金沢大学血液・呼吸器内科ブログ記事の検索方法
金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)ブログにご訪問いただきありがとうございます。
ブログ記事が多くなってきましたので、目的の記事に到達するのにご苦労をおかけしているかも知れません。以下の方法が能率良いのではないかと思います。
【ブログ記事の検索方法】
1)記事カテゴリ:
このブログの右サイドに記事カテゴリがあります。ご覧になりたい記事カテゴリをクリックいただく方法です。
ただし、カテゴリーによっては、1つのカテゴリー内にも多数の記事があります。
カテゴリー内にも少しずつインデックスページを増設して、よりご利用いただきやすい環境にしてまいります。少しお時間をいただければと思います。
2)HP本体からの検索:
このブログはHPに併設されています。金沢大学血液内科・呼吸器内科HP(http://www.3nai.jp/)に一旦移動していただき、HP右上の「サイト内検索」に、キーワードを入力していただく方法です。
キーワードによっては、多数のブログ記事が検索されてきます。
皆様のご意見を伺いながら、より良いサイトをめざしてまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【リンク】
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ブログと医学の啓蒙(6):金沢大学血液・呼吸器内科
ブログコメント2/医学情報発信(5):金沢大学血液・呼吸器内科 より続く
【医学の啓蒙・発展】
ブログから発信された医学関連の情報は、研修医、内科系医師、外科系医師、臨床検査技師、医療関係学生など多くの職種の方にご覧いただいていることが、コメント書き込みから知ることができます。
コメントをいただけることも、ブログを運営していく上でのモチベーションになるのではないかと思っています。
私達のサイトが、血液学、血栓止血学、呼吸器学の裾野を広げて、これらの学問に興味を持つ方が1人でも増えることに少しでも貢献できれば幸いと思っています。
なお、学会の宣伝記事も適宜アップさせていただいています。このことで、学会HPへのアクセス数が増えることも期待しているところです。
追記:
まれに、患者さんから病気のご質問をいただくこともあるのですが、充分に病状を把握させていただいていない状況下で回答いたしますと、かえってご迷 惑をおかけしてしまうことを懸念しています。
申し訳ございませんが、このようなご質問への回答は遠慮させていただいています。どうか、ご理解のほど、お願 いもしあげます。
なお、金沢大学附属病院にはセカンドオピニオン外来がありますことも、申し添えさせていただきます。
医学とブログ(目次):金沢大学血液・呼吸器内科 へ
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ブログコメント2/医学情報発信(5):金沢大学血液・呼吸器内科
ブログコメント1/医学情報発信(4):金沢大学血液・呼吸器内科 より続く
【コメント欄書き込みの例(2)】
今回は、外科医からの書き込みです。
「内科も少人数で血液専門家もいない小さな公立病院で外科医をしています。ぜひ質問させてください。50代歳男性。上腸間膜静脈血栓症による小腸壊死のため小腸部分切除を行った患者さまです。(中略)術後29日後の採血でAT活性が54%です。(中略)AT活性が低値で先天性アンチトロンビン欠乏症(ヘテロ型)も疑えると思いますが、重症感染症、肝不全状態ではAT活性が低値になるとあります(後略)」(一部改変)
近くに相談できる専門医がいなくて苦心されている様子が感じられます。これに対しても、管理人の分かる範囲内で同じコメント欄で回答させていただいています(先天性アンチトロンビン欠損症の治療)。
次に、麻酔科医からの書き込みを紹介したいと思います。
「医師になってウン10年の麻酔科医です。止血・凝固は苦手意識をもっていましたが、このページをがんばって読ませていただいています。手術前の患者さんで、APTTのみの延長がみられるときに、凝固因子低下なのか、凝固反応阻止物質なのか、クロスミキシング試験でみることがあったりしますので、とっても参考になります。質問させてください。抗カルジオリピン抗体では、APTTは延長が見られないのでしょうか」
抗リン脂質抗体症候群
最後に、某大学病院で臨床検査技師をされている方のブログコメント欄への書き込みを紹介させていただきたいと思います。
「TATについて調べています。慢性DICの治療で遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)を使用している患者さんがいます。治療効果の指標としてTATの検査依頼を出す医師とFDPしか依頼しない医師がいます。このサイトを見ますとTATで効果の判定をするのがいいように思うのですが、TATでモニタリングするのとFDPでモニタリングするのとでは臨床側からみてどう違うのでしょうか」(一部改変)」
勉強されている方の書き込みで、私達のサイトも情報収集の一助となっているとすれば、大変に嬉しく思う瞬間です。
なお、このご質問に対する回答は専門家の間でも意見が分かれる可能性があります。その点も明記した上で、回答させていただきました。
リンク:血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)へ
(続く)
ブログと医学の啓蒙(6):金沢大学血液・呼吸器内科 へ
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ブログコメント1/医学情報発信(4):金沢大学血液・呼吸器内科
ブログ記事の例/医学情報発信(3):金沢大学血液・呼吸器内科 より続く
【コメント欄書き込みの例(1)】
ブログでは、全ての記事に対して訪問者が自由に書き込み可能とする設定ができます。この点も、HPとブログとの違いの一つではないかと思います(ブログとHPの比較)。
私たちのサイトでは、まだそれほどの書き込みはありませんが、このコメント欄がフル活用されるようになりますと、研究者、臨床医、教育者、医療関係者などの不特定多数の訪問者間の意見交換が可能となると思います。ただし、建設的な議論の場になるように、ブログ管理人による調整が必要になる場合もあるかも知れませんが。。。。
いくつかのコメント書き込みを紹介させていただきたいと思います。
以下は某病院の研修医からの書き込みですが、ブログ管理人をしていて嬉しく感じる書き込みです。
「はっきりいってDICについての知識がゼロで苦手意識満載でしたが、この講座の小気味よく丁寧でわかりやすい内容に出会って一気に全部読み通した結果、血栓症が面白くてたまらなくなりました」
播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ)
血液内科に興味を持っていただける方が、1人でも増えることに貢献できたことを嬉しく思います。
次は、循環器内科医からの書き込みです。
循環器を専門にされる方にとっても、血液内科は大変関連のある領域です。1人でも多くの循環器専門医の方にこの領域への関心を持っていただければと思っています。
「ヘパリン投与時に、どうしてAPTTのみが延長するのでしょうか。確か、ヘパリンはアンチトロンビン(AT)と結合して、トロンビン活性を抑制し、抗凝固に働いているはずですが、PTより先にAPTTがなぜ延長するのでしょうか」
これに対しては、管理人の分かる範囲内で同じコメント欄で回答させていただいています(APTTとは? ヘパリンのモニタリングか)。
リンク:血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)へ
(続く)
ブログコメント2/医学情報発信(5):金沢大学血液・呼吸器内科
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:27
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ブログ記事の例/医学情報発信(3):金沢大学血液・呼吸器内科
ブログとHPの比較/医学情報発信(2):金沢大学血液・呼吸器内科より続く
【ブログ記事の例】
ブログ「血液・呼吸器内科のお役立ち情報」では、右サイドにあるような記事カテゴリーを設定しています。
このカテゴリーは、項目数も項目名も自由に変更できますが、この記事を書いている時点では26の記事カテゴリーがあります。括弧内の数字は、記事数を示していますので、どのカテゴリーの記事が充実しているかもすぐに分かるようになっています。
たとえば、記事カテゴリー「播種性血管内凝固症候群(図解)」内の記事から、インデックス記事を紹介したいと思います(→ 播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ))
播種性血管内凝固症候群(DIC):(図解シリーズ) の記事は、現在No.51までの記事が掲載されていますが、最終的には、100位の記事数になる予定です。
そして、たとえば、インデックスの中から「11. TAT&PICとは?」をクリックしますと記事の画面が登場するようになっています。
ブログ管理人として最も力を入れて書いた記事が「播種性血管内凝固症候群(図解)」のカテゴリーに多数ありますので、現在最もアクセスの多いカテゴリとなっているのは意気に感じるところです。
蛇足ながら、2番目にアクセスの多い記事カテゴリーは「凝固検査」です。
リンク:血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)へ
(続く)
ブログコメント1/医学情報発信(4):金沢大学血液・呼吸器内科 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:42
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ブログとHPの比較/医学情報発信(2):金沢大学血液・呼吸器内科
ブログによる医学情報発信(1):金沢大学血液・呼吸器内科より続く
医学分野でのHPとブログの比較(管理人の私見です)
|
ホームページ |
ブログ |
操作 |
やや煩雑。専門的知識が必要。 |
極めて簡単。専門的知識は不要。 |
更新 |
労力を要する |
簡便(毎日でも可能) |
文調 |
文語体が多い |
口語体でも違和感なし |
インターネット検索 |
全記事が検索されるとは限らず |
個々の記事ごとに検索される |
読者のコメント書き込み |
通常なし |
全ての記事に対して設定可能 |
記事の長さ |
医学記事では長くなりやすい |
短くても違和感なし |
アクセス数 |
比較的固定したアクセス数 |
サイト成長に伴いアクセス数増加 |
【ブログとHPの比較】
ブログと言うと、どのような印象をもたれるでしょうか。芸能人、スポーツ選手、政治家のインターネット上の日記や広報、あるいは一般の方の趣味、日記というイメージが強いかも知れません。
日本におけるブログ人口は1,000万人以上とも言われているそうですが、医学的情報をHPではなくブログで発信しているサイトは、まだそんなに無いのではないかと思います。しかし、ブログは医学的情報を発信するという点からも威力を発揮することを実感しています。
一度もブログを扱ったことが無い人にとっては、ブログの管理人となって情報を発信していくことに関して、遠い世界のことのように感じられるかも知れません(管理人もそうでしたので)。
しかし、ブログはHPと比較して遥かに操作が簡便ですし、運営していく上で専門的知識はほとんど必要ありません。毎日記事を更新していく場合であっても、負担がないのが特徴だと思います(上の表)。今日からブログを開設しようと思い立ったら、その30分後には一つ記事を書けるといった具合です。
さらにブログはサイトの成長とともに、アクセス数が飛躍的にアップするようです。
前述のように、私たちのHP&ブログには多くの方のご訪問をいただいていますが、アクセス数が増加しているのはブログの方です。
折角の記事をアップしても誰にも閲覧してもらえないようでは、記事公開の意義が乏しくなってしまいます。その点、ブログであれば、サイトの成長がアクセス数のアップに正直に反映されるようです。
現在、私たちのブログでは、記事を一つ書いて公開しますと、早いと1分後にはその記事がGoogleで検索されるようになっています。情報発信の手段として大変パワフルだと思っています。
(続く)
ブログ記事の例/医学情報発信(3):金沢大学血液・呼吸器内科 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:05
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ブログによる医学情報発信(1):金沢大学血液・呼吸器内科
いつも、金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)のブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)をご支援いただきありがとうございます。
このブログの管理人をさせていただきながらら、日頃思っていることを、シリーズで記事にしておきたいと思います。
自分も、私たちも、ブログを始めようと思われる方が増えていただければ本望です。
【医学におけるインターネット&ブログの意義】
インターネット全盛時代と言える現在において、医学分野における研究、教育、臨床においてもインターネットの果たす役割はとても大きいと思います。
管理人自身の経験においても、医学関連の何か調べものをする際に、書籍や雑誌を手にする前に、パソコンの前に座ってGoogleやYahooで検索する機会の方が遥かに多くなっているような気がしています。
たとえば、内科専門医資格を維持するために、定期的にセルフトレーニング問題(一種の自習学習)をこなす必要があるのですが、インターネット検索なしではこの自習学習で合格点を獲得するのは容易ではないと思います。自分があまり得意としない分野の手っ取り早い情報収集という観点から、インターネット検索ほど重宝なものはないでしょう。
私が所属する、金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)では、以前よりホームページ(HP)による情報公開を行っていましたが、より多くの方にご訪問いただけるように2008年9月にリニューアルいたしました。
この際に、浮かんだアイデアがHPに「ブログを併設」(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)することです。
これが奏功しまして、以前は20〜30人/日であった訪問者数が、リニューアル後にはアクセス数が順調に伸びだして、現在は約2,000人/日のご訪問をいただいています(閲覧数によるカウントでは、この2.5倍になります)。
しかも、金沢大学第三内科HP&ブログへの訪問者数の8割はHP本体ではなくブログへの訪問になっています(閲覧数による解析では85%がブログ記事へのアクセスです)。ブログパワー炸裂と言ったところではないでしょうか。
現在、私は当科のブログ管理人を任せられている関係上、ブログは、医学の研究、教育、臨床に有効利用できると痛感できる機会がとても多いです。
ブログ管理人としての経験の一端を紹介させていただくことで、本シリーズの記事を連載で進めていきたいと思います。
(続く)
ブログとHPの比較/医学情報発信(2):金沢大学血液・呼吸器内科へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:28
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血餅退縮能検査とは(5):参考文献
血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義 より続く
● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
リンク:血餅退縮能(インデックス)
血餅退縮能検査に関する記事を続けてきました。
これまでの記事で、本文中に文献番号を付けてきましたので、その論文を紹介させていただきたいと思います。
血餅退縮能検査の参考文献
1) Macfarlane RG: A simple method for measuring clot retraction. Lancet I: 1199-1201, 1939.
2) Castaldi PA,et al: The bleeding disorder of uraemia. A qualitative platelet defect. Lancet 2(7454): 66-69, 1966.
3)渡辺清明:出血傾向に関する検査(血小板機能に関する検査)。三輪血液病学(浅野茂隆、池田康夫、内山卓編), p1968-1976, 文光堂, 2006.
4)Ginsberg MH, et al: Divalent cation regulation of the surface orientation of platelet membrane glycoprotein IIb. Correlation with fibrinogen binding function and definition of a novel variant of Glanzmann's thrombasthenia. J Clin Invest 78: 1103-1111, 1986.
5)Kouns WC, et al: Activation of the fibrinogen binding site on platelets isolated from a patient with the Strasbourg I variant of Glanzmann's thrombasthenia. Blood 84: 1108-1115, 1994.
6)Fournier DJ, et al: A variant of Glanzmann's thrombasthenia characterized by abnormal glycoprotein IIb/IIIa complex formation. Thromb Haemost 62: 977-983, 1989.
7)Chen YP, et al: A point mutation in the integrin beta 3 cytoplasmic domain (S752-->P) impairs bidirectional signaling through alpha IIb beta 3 (platelet glycoprotein IIb-IIIa). Blood 84: 1857-1865, 1994.
8)Kunitada S, et al: Inhibition of clot lysis and decreased binding of tissue-type plasminogen activator as a consequence of clot retraction. Blood 79: 1420-1427, 1992.
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:29
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血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義
血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子 より続く
● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
リンク:血餅退縮能(インデックス)
血餅収縮の意義
1) 止血機序:
止血過程において、血小板粘着、血小板凝集、凝固活性化(フィブリンの形成)と進行した上で、凝血塊(血餅、止血血栓)が収縮することで、より強固な止血が完了します。
2) 血栓症:
血小板を含有した血栓により血管が閉塞された場合であっても、血栓が収縮することで、血液の再還流が期待できます。
ただし、血餅退縮が生じることで、血栓が線溶の作用による溶解を受けにくくなりかえって不利になるという考え方もあります 8)。
血餅退縮能の関連検査項目
1) 出血時間:
出血時間は、
・血小板数の低下
・血小板機能の低下(血小板無力症、von Willebrand病、アスピリン内服など)
・血管壁の脆弱性
のいずれかがみられる場合に延長します。
2) 血小板凝集能:
血小板無力症では、ADPの一次凝集の低下という特徴的な所見がみられます。
(続く)
血餅退縮能検査とは(5):参考文献 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:18
| 凝固検査
血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子
血餅退縮能とは(2):検査方法 より続く
● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
リンク:血餅退縮能(インデックス)
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血小板無力症の分類
1. GPIIb/IIIaの量的異常
1) タイプI:GPIIb/IIIaが正常の5%以下に著減。血餅退縮は欠如。
2) タイプII:GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在。血餅退縮はほぼ正常。
2. GPIIb/IIIaの機能的異常(variant型)
GPIIb/IIIaが正常の50%以上存在するにもかかわらず、血小板無力症の病態。
血餅退縮は欠如する例も残存する例もあり。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
血餅退縮能検査に影響を及ぼす因子
1) 血小板数:
血小板数<10万/μLでは血餅退縮能の減弱傾向が観察され、血小板数<5万/μLでは明らかな減弱がみられます。
2) 血小板無力症:
血餅退縮能は明らかに減弱します。ただし、GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在するtype IIでは、血餅退縮能は低下しないことが多いです(上の表)。
Variant typeでは、欠損するものと、欠損しないものの両者の報告がみられます 4)5)6)7)。
また、血小板機能が低下する疾患の中でも、storage pool disease、von Willebrand病などでは異常になりません。
3) 赤血球数の異常(全血を用いた場合):
赤血球数の多い症例では低値を示し、赤血球数の少ない(貧血)症例では高値を示しやすいです。
4) フィブリノゲン量または機能の低下:
血餅退縮能の減弱がみられます。
5) 線溶亢進症例、第XIII因子欠損症:
血餅が経時的に縮小または溶解する現象がみられます。
6) 試験管:
ガラス試験管ではなく、シリコン処理試験管またはプラスチック試験管を用いると病態を有した検体でなくても、血餅収縮は悪くなります。
(続く)
血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:05
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血餅退縮能とは(2):検査方法
血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査より続く
● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
リンク:血餅退縮能(インデックス)
血餅退縮能検査の目的
やはり、血小板無力症のスクリーニング検査としての意義が大きいです。
血餅退縮能の次のステップの検査としては、出血時間、血小板凝集能、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa解析などになります。
血餅退縮能検査の方法
1) Macfarlane法(全血を使用)1)
・ 静脈血を採取して、目盛りつきのガラス遠心管に正確に5 mL入れます。
・ 針金付きのゴム栓をします(針金先端は、後で血餅を取り出すことができるように鉤状になっており血液の上層にひたる長さにします)。
・ 血液が凝固した後に、遠心管を37℃の恒温槽で、1時間incubationします。
・ 1時間経過した後、静かに針金を引き上げて凝血塊を取り除き、収縮により、凝血塊(血餅)よりしぼり出された血清量を読みます(S mL)。この際、artifactで血清量が多くならないように、静かな操作が肝要です。
・ そして以下の式により血餅退縮能を算出します。
・ 血餅退縮能=S/{5×(1—Ht/100)}×100(%)
2) Castaldi変法(血漿を使用)2)3)
・ 抗凝固剤であるクエン酸ナトリウム入り試験管で採血し、50G、15分室温で遠心し、多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)を採取します(血小板数をカウントします)。
・ その後、2000G、30分で遠心して、乏血小板血漿(platelet poor plasma:PPP)を採取します。
・ PRPをPPPで希釈して、血小板数20万/μLに調整します。
・ ガラス試験管に調整済みPRPを1mLとり、37℃の恒温槽に入れます。
・ 数分後に、トロンビン溶液(生食で50単位/mLに調整)0.2mLをPRPに加え、1時間incubationします。
・ 凝血塊(血餅)が収縮し、血清部分との分離が生じるので、ピペットで血清を取り出し、その容量(A ml)を測定します。
・ 血餅退縮能は、以下の式で求められます。
・ 血餅退縮能=A/1.2×100(%)
血餅退縮能検査の基準値
1) Macfarlane法:40〜94%
2) Castaldi変法:80〜95%。50%以下は異常。
(続く)
血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40
| 凝固検査
北陸血栓止血検査懇話会開催のご案内
第5回北陸血栓止血検査懇話会
代表幹事 福井大学医学部附属病院検査部 岡田 敏春
【日時】 平成22年 1月23日(土) 15時00分〜16時30分
【場所】 金沢都ホテル 5階 能登の間
金沢市此花町6番10号 (JR金沢駅東広場正面)
TEL 076−261−2111
【研究会内容】(敬称略)
15時00分〜15時20分
<学術情報提供> テストチーム試薬 発売30周年記念ー発売の歴史と製品紹介ー
積水メディカル株式会社 検査事業部門
カスタマーサポートセンター学術グループ 金田 幸枝
15時30分〜16時30分
座長 富山大学大学院医学薬学研究部臨床分子病態検査学講座 教授 北島 勲
<特別講演>
「凝固線溶マーカーの臨床応用」〜可溶性フィブリンについて〜」
三重大学大学院医学系研究科 准教授 和田 英夫
* 参加費500円
【関連記事】
血液凝固検査入門(インデックスページ)
【リンク】
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただけます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:16
| 研究会・セミナー案内
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真菌症フォーラム2010 IN 北陸
「真菌症フォーラム2010 IN 北陸」が開催されますので、以下の如くご案内申しあげます(敬称略)。
日時 : 平成22年2月13日(土) 15:45〜19:00
会場 : 金沢ニューグランドホテル 4階 「金扇の間」
製品紹介 「アムビゾーム 最近の話題について」 大日本住友製薬株式会社 製品企画部
症例報告
座長 富山県立中央病院 血液内科 部長 吉田喬
1)「アムビゾームの使用経験」
石川県立中央病院 血液内科 診療部長 山口 正木
2)「多彩な感染症を発症したangioimmunoblastic T cell lymphomaの1例」
NTT西日本金沢病院 内科 熊野 義久
3)富山県立中央病院 1症例報告
特別講演(I)
座長 金沢大学医薬保健研究域医学系 細胞移植学 教授 中尾眞二
演題「造血器腫瘍患者の真菌感染症対策」
演者 自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科 教授 神田善伸
特別講演(II)
座長 金沢大学附属病院 呼吸器内科 臨床教授 藤村政樹
演題「内科領域における深在性真菌症の現状と新展開」
演者 長崎大学病院 院長 河野 茂
閉会の辞:金沢大学医薬保健研究域医学系 細胞移植学 教授 中尾眞二
※ 講演会終了後情報交換会あり。
主催:大日本住友製薬株式会社
【NETセミナー】
汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について
急性骨髄性白血病の治療
悪性リンパ腫の診断
造血幹細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
ドナーリンパ球の威力 −ドナーリンパ球輸注(DLI)−
貧血患者へのアプローチ
輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法
血液内科に関する研修医からのQ&A
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ
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研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:55
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血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査
血餅退縮能は、現在あまり行われなくなってきている検査かもしれませんが、血小板、血栓を理解するという観点からも重要な検査ではないかと思います。
関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
リンク:血餅退縮能(インデックス)
血餅退縮能とは
血餅退縮能(clot retraction test)は、血小板無力症のスクリーニング検査としての意義が最も大きいですが、血小板凝集能を施行可能な医療機関であれば、あまり行われていないのが実状ではないかと思われます。
しかし、止血、血液凝固、血小板機能などの本質を知る上で、是非知っておきたい検査と言えます。
血液凝固反応が進行して凝血塊(血餅)が形成される過程で、血小板が血餅に取り込まれます。この形成された血餅は次第に収縮(退縮)していく現象が知られています。そのため、血餅中から血清が分離されてきます。
これは、血餅内で血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa(血小板インテグリンαIIb/β3)とフィブリンが結合した状態で、血小板内の収縮蛋白の作用により血小板が収縮した結果として、フィブリンが引っ張られて血餅が収縮するためと考えられています。
なお、GPIIb/IIIaは膜を貫通しているインテグリンファミリーの一つで、裏打ち蛋白のアクトミオシン(骨格蛋白)と結合しています。GPIIb/IIIaにフィブリンが結合しますと、裏打ち蛋白の収縮力はGPIIb/IIIaを介してフィブリンに伝わり、フィブリン塊が収縮し、血餅退縮を生じます。血餅退縮は、フィブリン塊を補強する役割を演じているものと考えられています。
血小板無力症では、GPIIb/IIIaが欠損しているために、血餅退縮能は低下します。
また、血小板無力症以外では、血小板数やフィブリノゲンが低下した病態でも血餅退縮能は低下します。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:48
| 凝固検査
致命的な出血に対するノボセブンの報告
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa、商品名:ノボセブン)に関する論文は多数ありますが、大きく以下の論文に分類されると思います。
1)rFVIIaの作用機序に関連した論文
2)rFVIIaの臨床効果を報告する論文
上記のうち、2)の論文ですが、本来の適応である先天性血友病でのインヒビターや後天性血友病に関する論文よりも、適応外使用の論文の方が多いと思います。
その位、適応外使用で著効することが注目されているということではないかと思います。
金沢大学第三内科ブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)で、既に何回か紹介させていただきましたが、今回も、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤に関する適応外使用の論文を紹介させていただきます。
「致命的な出血に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の有効性」
著者名:Sartori MT, et al.
雑誌名:Clin Appl Thromb Hemost 15: 628-635, 2009.
<論文の要旨>
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、難治性の致命的な出血に対して適応外使用されることが多いのが現状です。
著者らは、外傷、手術、臓器移植、肝硬変、子宮破裂に起因する出血をきたし、血液製剤や観血的処置による標準治療が無効であった31症例に対してrFVIIaを投与しています。評価項目は血液・凝血学的所見、酸・塩基バランス、出血量、赤血球輸血量、血漿・血小板輸血量、合併症、生存率です。
rFVIIa(平均使用量132.2±56.3μg/kg)は、28/31症例(90.3%)において止血効果を発揮し、出血量も12.4±10.2→2.7±2.2 L(P<0.0001)へと減少させました。
各種血液製剤の使用量も有意に低下しました。
また、凝血学的検査所見、ヘマトクリット、PHも有意に改善しました。4症例においてはrFVIIaによると思われる副作用が見られました。1日後および30日後における生存率は、それぞれ48.4%、29.1%でした。
以上、rFVIIaの適応外使用は、致命的出血のみられる臨床現場において有用な治療薬になっているものと考えられました。
rFVIIaの副作用も皆無ではありませんし、実際、血栓症の合併症をきたし致命症となることもまれにはありえます。無分別な適応外使用は行うべきではありませんが、一方で、本薬により九死に一生を得ることもある点は、頭に留めておきたいと思います。
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| 出血性疾患
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と頭蓋内出血(脳出血)の報告
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例で、頭蓋内出血(脳出血)をきたすことは稀ですが、一旦発症しますと予後不良になりますので、注意が必要になります。
そのような観点から、ITPの患者さんで脳出血を発症しやすい要素を前もって知ることは意義深いと考えられます。
小児ITP症例を対象とした検討が、最近Bloodに報告されましたので、紹介させていただきます。
「小児ITP症例において頭蓋内出血をきたした症例の解析」
著者名:Psaila B, et al.
雑誌名:Blood 114: 4777-4783, 2009.
<論文の要旨>
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)における頭蓋内出血(ICH)は、まれですが重大な合併症です。著者らは、米国において1987〜2000年の間にICHをきたした小児ITP40症例の解析を行っています(対象にITP80例)。
その結果、ICHの発症率は0.19〜0.78%と考えられました。
ICHを発症した症例における血小板数は、90%の症例で2万/μl未満であり、75%の症例で1万/μl未満でした。
ICHを発症したうち18例(45%)の小児ITP症例において、ITP診断の7日以内の発症でした。
これらのうち10症例において、ICHがITPの初発症例でした。12症例(30%)の患児においては慢性ITPでした。
ICHをきたしたITP患児のうち、33%では頭部外傷、22.5%では血尿を併発していました(対象群ではそれぞれ、1例、0例)。ICH発症例での死亡率は25%であり、25%では神経学的な後遺症が残存しました。
以上、血小板数低下が高度なITP患児のうち、頭部外傷や血尿が見られる症例ではICH発症のリスクが高く、より強力な治療が必要と考えられました。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例に対する治療(参考:ピロリ菌とITP)が奏効して血小板数が速やかに回復するのが理想ですが、本疾患は難病指定疾患でもあり、治療反応が得られにくいことも少なくありません。
頭部外傷があれば注意が脳神経系に向かいやすいと思いますが、血尿出現例でも注意が必要ということだと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:48
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血小板機能異常症の診断と対応:研修医のためにより
日本血栓止血学会HPでは、以下のシリーズが連載でアップされています。
特集「血栓止血の臨床-研修医のために」
学会員でなくても、無料(パスワード不要)でダウンロードすることができます。
現在64記事まで連載が進行しています。
また、同じ内容のものが、日本血栓止血学会誌にも掲載されています。
比較的最近の論文を紹介させていただきたいと思います。
「血小板機能異常症の診断と対応」(特集:血栓止血の臨床—研修医のためにーより)
著者名:金子誠、ほか。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 20: 487-494, 2009.
<論文の要旨>
血小板機能異常症
【概念】
血小板機能に障害があり、粘膜、皮膚の出血が主体の止血困難、出血傾向が特徴です。
【検査】
血小板数は正常から軽度低下、出血時間が延長、凝固時間(PT、APTT)は正常であることが、本症を疑う糸口となります。
【問診のポイント】
既往歴、家族歴、基礎疾患、服薬歴などを漏れなく聴取することが重要です。
【治療】
血小板無力症などの先天性血小板機能異常症では、重篤な出血症状の際に血小板輸血を行う必要があります。
【注意】
・血小板機能異常症のなかでも一般臨床で最も頻度が高いのは、血小板機能を低下させる薬剤によるものです。
・血栓止血学に造詣の深い医師や検査技師、また他施設の専門医にコンサルトをして確定検査などのための検査を行った上で、出血に対して的確な治療を施行すべきです。
血小板機能異常症の診断と対応 ← この論文の本記事にリンクしています。
また、他の63記事に関しては、以下からご覧いただけます。
特集「血栓止血の臨床-研修医のために」
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:15
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遺伝子組換え第IX因子-アルブミン融合製剤の報告(血友病)
血友病症例において出血がみられた場合に、適切に補充療法を行うことにより関節症の進行を阻止することが可能と考えられています。
また、重症症例では、出血のエピソードとは無関係に、定期的な(2〜3回/週など)凝固因子製剤の予防投与が有効との報告も多々あります。
特に予防投与を考える場合には、投与間隔が長くなれば、患者さんに対する負担も少なくなり有用ではないかと考えられます。
このような観点から、近年、半減期の長い製剤の開発が行われています。
関連論文の紹介をさせていただきたいと思います。
「遺伝子組換え第IX因子-アルブミン融合製剤の薬物動態」
著者名:Metzner HJ, et al。
雑誌名:Thromb Haemost 102: 634-644, 2009.
<論文の要旨>
血友病Bは、血液凝固第IX因子が先天性に欠損する伴性劣性の遺伝性疾患です。
重症の血友病Bにおいては、第IX因子製剤の予防投与が2回/週程度行われていますが、もしも第IX因子の薬物動態に影響を与えることにより製剤の投与回数を減少させることができれば有用と考えられます。
この目的で、遺伝子組換え第IX因子-アルブミン融合蛋白(rIX-FPs)の開発が行われました。
各種の検討により、rIX-FPsは凝固活性を充分に発揮することが確認されました。また、ラットで血中半減期およびAUCを評価したところ、rIX-FPsはrFIXと比較して有意に好プロフィールを示しました。FIX欠損マウスによる検討でも同様に好成績を示しました。
FIX欠損マウスの尾切断を行うことによる出血時間は、本剤により有意に短縮しました。
以上、アルブミンとFIXを融合させたrIX-FPs製剤の開発は、大変魅力的な治療につながる可能性があるものと考えられました。
薬剤の血中半減期を伸ばすような開発は、投与回数を減らすことができるということで、大きなメリットがあると思います。
疾患・病態によっては、薬剤の半減期を伸ばすことがデメリットになることもあるかも知れませんが、血友病症例に対する凝固因子製剤の予防投与という点からは、半減期の延長は大きなメリットになると思います。
現時点では夢物語ですが、もしも半減期が1年もある凝固因子製剤があれば、1年に1回の投与で良くなるかもしれませんね。夢物語でなくなる日が、早く来て欲しいものです。
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ITPに対するピロリ菌除菌療法と鉄欠乏性貧血の報告
治療が必要な特発性血小板減少性紫斑病(ITP)治療の第一選択薬と言えば、一昔前はステロイド治療でした。
今もこの治療は、最も重要な位置を占める治療の一つであることは間違いないですが、しかし、ステロイド治療と同等以上に、ピロリ菌の除菌療法が重要な位置を占めているのではないかと思います。
除菌療法は、ステロイド治療とは異なり、ほとんど副作用がありません。しかも、ピロリ菌陽性の人で除菌療法に成功しますと、半数例で血小板の回復が期待できます。
また、この除菌療法は、鉄欠乏性貧血に対しても有効な場合があることが報告されています。
最近、ITPに対する除菌療法を考える上で、示唆に富む報告がありましたので、紹介させていただきたいと思います。
「特発性血小板減少性紫斑病の経過中にHelicobacter pylori除菌療法により軽快した鉄欠乏性貧血」
著者名:守田玲菜、ほか。
雑誌名:臨床血液 50: 1655-1657, 2009.
<論文の要旨>
H.pylori(HP)は、胃・十二指腸潰瘍以外に、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や鉄欠乏性貧血(IDA)との関連性が指摘されています。
著者らは、ITP経過中にFe剤抵抗性のIDAを合併し、HP除菌療法がITPに対しては効果がなかったものの、IDAには有効であった症例を報告しています。
症例は53歳女性で、ITPに対してプレドニゾロンの治療が行われ、IDAに対して鉄剤の内服投与が行われましたが、いずれも効果はみられませんでした。呼気テストによりHPの感染が確認されたために、2001年に除菌療法が行われました。
その結果、ITPに対しては無効でしたが、IDAに対しては有効でした。
HP感染との関連性は、ITPとIDAで全く異なるものと推測されていますが、今回のような症例を解析することにより、HP感染に伴うITPやIDA発症の機序を解明していくことが可能ではないかと考えられあます。
ピロリ菌は、なかなか奥が深いです。
なお、管理人はITPの患者さんで、ピロリ菌陽性であった場合には、治療選択肢が増えるという観点から、むしろ歓迎すべきことではないかと思うことが多々あります。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:40
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遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)(ノボセブン)の報告
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)<商品名:ノボセブン>は、以下の疾患に対して保険適応を有しています。
1)先天性血友病にインヒビター(同種抗体)が出現した場合。
2)後天性血友病(自己抗体)
しかし、この製剤は人間が遭遇するいろんなタイプの出血に対して有効ではないかということで、全世界的に適応外使用が行われているのが現状だと思います。実際、種々の出血に対して有効であったという報告が多数みられています。
そういう意味では、究極の止血剤と言えるかも知れません。
出産後出血の原因としては、常位胎盤早期剥離や羊水塞栓に伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)、前置胎盤などが知られています。また、まれではありますが、出産に伴う後天性血友病も知られています。
最近の論文で、出産後の大出血に対するrFVIIaの有用性についてに関して論じた報告がありますので、紹介させていただきます。
「出産後の大出血に対するrFVIIaの有用性について」
著者名:Barillari G, et al.
雑誌名:Thromb Res 124: e41-e47, 2009.
<論文の要旨>
出産後出血(PPH)に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)の治療効果について検討した報告です。
イタリアにおいてrFVIIaによるPPH治療の行われた症例について解析された後方視的検討です。
2005〜2007年までのPPH35症例の収集が行われています。rFVIIaの投与前後における凝血学的パラメーターと輸血量の変化が検討されました。
その結果、rFVIIaの使用によりINRは有意に低下し、フィブリノゲン濃度は有意に上昇しました。
rFVIIa前後の、赤血球輸血、血小板輸血、新鮮凍結血漿、crystalloid&colloidの使用量はそれぞれ、6→2単位、1.5→0単位、1250→0mL、3000→1250mLと減少しました。
rFVIIaの投与前においては29/35症例において観血的処置が必要でしたが、rFVIIa投与後においては9/35症例のみでした。母体死亡例はなく、血栓性の副作用も全く見られませんでした。
以上、rFVIIaはPPHにおける止血治療として有効かつ安全ではないかと考えられました。
早く、この薬剤が第VIII因子インヒビターなどの特殊疾患のみでなく、多くの出血に対して保険診療内で使用できるようになって欲しいと、切に願っているところです。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:30
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慢性ITP症例に対するromiplostimの有用性(日本人での臨床試験報告)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療に関しましては、ピロリ菌の除菌療法はすっかり定着した感がありますが、その他の新たな展開が期待されています。
その一つが、トロンボポエチン受容体刺激薬であるromiplostimです。
今回は、最近Int J Hematolに報告された論文を紹介させていただきたいと思います。
「日本人慢性ITP症例に対するromiplostimの有用性(第II相 臨床試験)」
著者名:Shirasugi Y, et al.
雑誌名:Int J Hematol 90: 157-165, 2009.
<論文の要旨>
トロンボポエチン受容体刺激薬であるromiplostimの日本人における慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する効果を検討した第II相臨床試験の結果についての報告です。
ITP症例に対して、romiplostim:1、3、6μg/kg(各用量4症例)の皮下注が行われました(day 1&8)。血小板数の反応が見られた(血小板数の前値が倍増または5万/μl以上への上昇)場合にはその用量において、romiplostimを毎週継続されました。
その結果、本薬は用量依存性に血小板数の平均値およびピーク値を上昇させました。5症例においては、毎週の血小板数評価ポイントの半分以上のポイントで血小板数5万/μl以上を持続していました。
全症例において重大な副作用は見られず、romiplostimやトロンボポエチンに対する抗体も検出されませんでした。
以上、海外での成績と同様に、romiplostimは日本人の慢性ITPに対して有用と考えられました。
第III相臨床試験では、初期用量を3μg/kgとした検討を行う予定です。
ITPの治療方法は、複数の選択肢がありますが、それにもかかわらず難治の場合が少なくありません。このような新たな治療方法が選択肢として加わることは、朗報ではないかと思います。
今後の速やかな進展を期待したいと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:20
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第VIII因子インヒビター(後天性血友病)を発症した骨髄腫症例
第VIII因子インヒビターには、大きく以下の2つのタイプがあります。
1)先天性血友病Aに対して、第VIII因子製剤を投与した場合に発症する場合(同種抗体)
2)後天性に(悪性腫瘍、膠原病、高齢などを背景に)発症する場合<後天性血友病>(自己抗体)
どちらも最近、何かと話題ですが、今回は多発性骨髄腫を背景とした後天性血友病の最近の症例報告を紹介させていただきます。
「第VIII因子インヒビターを発症した多発性骨髄腫の1例」
著者名:Sari I, et al.
雑誌名:Int J Hematol 90: 166-169, 2009.
<論文の要旨>
著者らは、多発性骨髄腫に第VIII因子インヒビターを発症した43歳女性の報告を行っていあす(世界で2例目の報告です)。
本症例における入院の契機は貧血と赤沈亢進でした。
入院の2ヶ月前に、卵巣のう腫の手術を行っていますが、術後に大出血をきたしました。血液検査ではAPTT延長、混合試験でのinhibitor pattern、第VIII因子活性の低下所見が見られ、第VIII因子インヒビターの診断がなされました。
また、骨髄において骨髄腫細胞40%の浸潤が確認され、免疫泳動所見よりIgG-κ型の多発性骨髄腫と診断されました。
VAD療法を3クール行ったあとに、自己幹細胞移植を行い、最終的には第VIII因子インヒビターは検出されなくなりました。
以上、高度な出血症状をきたす症例に遭遇した場合には、第VIII因子インヒビターも念頭におくべきと考えられました。また、第VIII因子インヒビター症例の基礎疾患として多発性骨髄腫もありうるものと考えられました。
第VIII因子インヒビターは、最近になり啓蒙が 進んでいるように感じています。
管理人の個人的な経験でも、近年、多くの第VIII因子インヒビター(特に先天性血友病)症例のコンサルトを受けているように思います。
これは、発症者数が増加したというよりも、啓蒙が進んだ結果として適確に診断されるケースが増えてきたことが原因ではないかと思っているところです。
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明けましておめでとうございます。
旧年中は、私たち(金沢大学第三内科/血液内科・呼吸器内科)のHP&ブログに多大なご支援をいただきありがとうございました。
本年も皆様のご期待に添えるように記事をアップしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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