金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年12月31日

ダウンロードランキング:金沢大学 血液・呼吸器内科HP&ブログ

金沢大学第三内科(血液&呼吸器内科)HP&ブログの記事は、しばしばダウンロードされているようです。

最近1ヶ月で、ダウンロードの多かった記事を紹介させていただきます。
いつもご利用いただきありがとうございます。

1. 血管内大B細胞リンパ腫   15.27%    
2. PNH血球検査について   10.85%    
3. ボリコナゾール(VRCZ)またはイトラコナゾール(ITCZ)   8.60%    
4. 非血縁者間同種骨髄移植における フルダラビン、静注ブスルファンおよび 低用量ATGによる骨髄非破壊的前処置   5.89%    
5. 造血幹細胞移植後シクロスポリン・タクロリムス
血中濃度に対する抗真菌薬イトラコナゾール の影響
  5.81%    
6. 血液疾患患者におけるアスペルギルス属およびその他 の糸状菌類による侵襲性真菌感染症   5.81%    
7. PNH血球検査について.doc   5.50%    
8. 末梢T細胞リンパ腫に対する自家および同種造血幹細胞移植   4.73%    
9. 成人再生不良性貧血における 免疫病態マーカー   4.65%    
10. ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を用いた難治性移植片対宿主病の治療   3.95%    

 

【リンク】

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【推薦記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

播種性血管内凝固症候群(インデックスページ)ー図解ー


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:21 | その他

2009年12月30日

後天性血友病Aと凝血学的検査

血友病と言えば、先天性出血性疾患(血友病A、血友病B)を思い描くのが自然です。しかし、近年は後天性血友病が何かと話題になりやすいのではないかと思います。

関節内出血が特徴的な先天性血友病とは異なり、後天性血友病は皮下出血と筋肉内出血が特徴です。

以下の論文は、これらの疾患の検査に関連した重要な論文ですので、紹介させていただきたいと思います。



「後天性血友病Aに関する凝血学的検査の注意点」

著者名:天野景裕
雑誌名:臨床病理 57: 999-1003, 2009.


<論文の要旨>


後天性血友病A(AHA)は、第VIII因子に対する自己抗体が出現する出血性素因です。死亡率7.9〜25%と報告されていますので、迅速かつ正確な診断が求められます。

異常出血の既往のなかった症例で、自然出血をきたしAPTTの延長が確認された時点で本疾患を疑うことになります。次に、第VIII因子活性の低下がみられること、vWF活性の低下がないことを確認し、第VIII因子インヒビター力価を測定します。

APTTの「クロスミキシング試験」は、凝固因子欠損症か、インヒビターかの鑑別に有用です。

第VIII因子インヒビターは時間および温度依存性ですので、混合直後のみならず2時間incubationも行う必要があります

一部の症例では、内因系凝固機序の全ての凝固因子活性が低下する所見を見ることがありますが、これは第VIII因子が欠損症していることによるartifactです。

ループスアンチコアグラント(LA)でもこのartifactの現象が見られることがあります。このartifactは検体の稀釈を行うことにより解決します。

 

なお、この論文ではインヒビター力価測定上の注意点、被検血漿中の残存第VIII因子活性に関する注意点などについても詳述されています。

 

 

管理人もクロスミキシング試験は、とても重要な検査と認識しています。保険点数もつきましたので、全国の医療機関でもっと行われても良い検査ではないかと思います。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:27 | 出血性疾患 | コメント(0)

2009年12月29日

検索フレーズランキング:血液・呼吸器内科のお役立ち情報(ブログ)

金沢大学第三内科のブログである「血液・呼吸器内科のお役立ち情報」ですが、GoogleやYahoo検索でのご訪問が大変多いようです。

今回はブログの方へのアクセスに関して、どのような検索フレーズ(検索ワードの掛け合わせ)が良く用いられているか紹介させていただきたいと思います(HPを除く)。

最近1ヶ月間の集計です。

タール便の検索でのアクセスがそれなりに多いのが以外に感じます。。。

1 INR 2.7%  
2 PT-INR 2%  
3 タール便 1.3%  
4 プラビックス 1%  
5 Dダイマー 0.9%  
6 APTT 0.8%  
7 dダイマー 0.7%  
8 みぞおち 場所 0.7%  
9 dic 診断基準 0.7%  
10 pt-inr 0.6%  
11 白血球数 少ない 0.5%  
12 リコモジュリン 0.5%  
13 INR 0.5%  
14 pt-inrとは 0.5%  
15 トロンボモジュリン 0.5%  
16 副鼻腔気管支症候群 0.5%  
17 ワーファリン inr 0.4%  
18 プロタミン 0.4%  
19 プレタール 0.4%  
20 オルガラン 0.4%  
21 アトピー咳嗽 0.4%  
22 pt-inr 正常値 0.3%  
23 DIC 診断基準 0.3%  
24 PT INR 0.3%  
25 PTINR 0.3%  
26 inr 0.3%  
27 ワーファリン INR 0.3%  
28 ワーファリン pt-inr 0.3%  
29 エノキサパリン 0.3%  
30 低分子ヘパリン 0.3%  

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:28 | その他 | コメント(0)

2009年12月28日

ブログ記事ランキング:金沢大学血液・呼吸器内科

金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)HP&ブログを、いつもご支援いただきありがとうございます。

最近1ヶ月で、よくお読みいただいているブログ記事(個々の記事)を、以下に紹介させていただきます。PT-INR検索でのご訪問が多いようです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

1. PT(PT-INR)   5.57%    
2. PT-INRとは(正常値、ワーファリン)   4.96%    
3. DIC(インデックスページ)    2.54%    
4. 血液凝固検査入門(インデックスページ)   2.18%    
5. 急性期DIC診断基準 vs. 旧厚生省(厚労省)DIC診断基準   1.98%    
6. APTTとは?   1.89%    
7. Dダイマー(D dimer:DD)とは?    1.83%    
8. 鼻出血(鼻血が止まらない)   1.52%    
9. プラビックス、プレタール、パナルジン    1.43%    
10. 播種性血管内凝固症候群(DIC):概念(図解1)   1.24%    

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:03 | その他 | コメント(0)

2009年12月27日

vWF分解酵素(ADAMTS13)と脳梗塞:TTP以外の意義

最近の論文を紹介させていただきたいと思います。

ADAMTS13と言えば、血液内科では血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と直結しますが、TTPとは違うテーマと関連した論文が報告されています。興味ある論文でしたので、ブログ記事にしたいと思います。



「vWF分解酵素(ADAMTS13)は脳梗塞モデルの虚血性脳障害を軽減する」
という論文です。
Blood 114: 3329-3334, 2009.


<論文の概略>

脳梗塞の発症には血小板が重要な働きを演じていますし、炎症反応は神経変性を増強させることが知られています。

また、血小板粘着因子であるvon Willebrand因子(vWF)は、脳梗塞急性期に上昇します。また、vWF活性はADAMTS13(vWFを分解して活性を少なくします)により修飾されます。

この論文の著者らは最近、ADAMTS13は血栓症と炎症に対して阻止的に作用することを報告しています。今回は、vWF活性を消失あるいは低下させることで、マウス脳梗塞モデルにおける梗塞量を1/2以下に低下させることを明らかにして、脳梗塞におけるvWFの重要性を指摘しています。

逆に、ADAMTS13を欠損させたところ、梗塞量は大きくなったと報告しています。

興味あることに、ワイルド型マウスの脳梗塞モデルに対して大量の遺伝子組換えADAMTS13を投与したところ、梗塞量を有意に低下させました

しかも、遺伝子組換えADAMTS13は、脳出血モデルの出血量を増加させることはありませんでした。

このように、脳梗塞病態にvWFが重要な役割を演じています。遺伝子組換えADAMTS13は新しい脳梗塞治療薬としての展望があるのではないかと考えられたと論じています。



ADAMTS13は、TTPから有名になりましたが、視点を変えて脳梗塞と関連させたという点で、とても興味深いと思いました。



【リンク1】

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)


 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:06 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月26日

ループスアンチコアグラント検査と血小板除去フィルター

ループスアンチコアグラント検査は、抗リン脂質抗体症候群の診断に不可欠な重要な検査です。ただし、ループスアンチコアグラント検査はデリケートな検査で、検体処理を適切に行うことが重要です。

今回紹介させていただく論文は、ループスアンチコアグラント検査においてフィルター処理(血小板除去)が重要であることも論じています。



「抗リン脂質抗体症候群における診断的臨床検査であるループスアンチコアグラントの検出方法としてのクロスミキシングテスト(交差混合試験)」
著者名:家子正裕、ほか。
雑誌名:臨床病理 57: 990-998, 2009.

 

<論文の要旨>

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、通常は内因系凝固活性化機序の凝固因子欠損をスクリーニングする目的で用いられます。

ただし、APTTの延長がみられた場合には、凝固因子欠損による出血傾向のみでなく、ループスアンチコアグラント(LA)による血栓傾向も考慮する必要があります。

そのため、APTT延長時の鑑別診断は重要です。この目的として「クロスミキシング試験」は大変重宝です。

APTTの延長がLAによる場合には、正常血漿に少量(10〜20%)の患者血漿を加えるのみで凝固時間の延長がみられます。一方、APTTの延長が凝固因子欠損による場合には、患者血漿に正常血漿を加えますと凝固時間の延長が是正されます。

また、LAに感度の高いAPTT試薬(PTT-LA)を使用することにより、更に良好な成績を得ることが可能です。

加えて、検体処理時には0.2μmのフイルターを用いて血小板を除去することもLA測定感度を上昇させる上で肝要です(註:管理人も全く同感です!)。

LA検査の工夫により良好な検査結果を得ることが可能ですが、LAの確定診断、定量化に向けての更なる検討が必要であると、総括しています。

 

 

 ループスアンチコアグラント(LA)が陽性か陰性かによって、治療方針が変わることも多々あります。そういう意味でも、精度の高いLA検査はとても重要だと思います。




【リンク】

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:51 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月25日

筋肉内血腫&皮下出血、血友病?:血液内科試験

金沢大学 血液内科系統講義試験が行われました。

まず、血栓止血領域の問題紹介と、簡単な解説を試みたいと思います。なお、右サイドの記事カテゴリより「医師国家試験・専門医試験対策」をクリックいただきますと、過去問の記事をもれなくご覧いただけます。

詳細に解説した過去問記事がありますので(ページ最下段の「次の20件」をクリックして最後のページまでご覧ください)、ご参考になるのではないかと思います。



【設問】

患者:73歳男性。筋肉内の大血腫、皮下出血の精査目的に来院した。関節内出血はみられない。

血液検査は下記の通りであった。
Hb 7.2 g/dL,血小板数 28.4万/μL,出血時間2分,PT 10.2秒,APTT 85.7秒,フィブリノゲン 361 mg/dL,FDP 8.3 μg/mL。

出血傾向の既往はなく、血縁者にも出血傾向のみられる者はいない。

「この73歳男性の疾患」と「血友病A」に共通しているのはどれか。一つ選べ。


a. 遺伝形式
b. 主な出血部位 
c. 破砕赤血球の出現
d. 血小板凝集能の低下
e. カオリン凝固時間の延長

 

【解説】

出血のため貧血があり、APTTの明らかな延長が見られていますが、血小板数、出血時間、PTは正常です。出血傾向の既往はなく、血縁者にも出血傾向のみられる者はいない、という記載より、先天性の出血性疾患ではないと考えられます(血液凝固検査入門)。

念押しで、関節内出血(先天性の血友病で特徴的)はみられないとまで書かれていますので、血友病ではないようです。

後天性血友病
が最も疑われます。後天性血友病では、関節内出血はまずなく、むしろ筋肉内の大血腫、皮下出血が特徴的です。

ということで「後天性血友病」と「血友病A」に共通しているのはどれか、という問題になります。


a. 血友病は伴性劣性遺伝しますが、後天性血友病はもちろん遺伝しません。

b. 主な出血部位は、後天性血友病は筋肉内出血、皮下出血です。血友病は関節内出血、筋肉内出血が特徴的です。

c. 破砕赤血球は、どちらの疾患でも出現しません。TTP、HUSなどで見られます。

d. 血小板凝集能は血小板機能を評価する検査ですが、どちらの疾患でも正常です。

e. カオリン凝固時間は、カオリンという異物による凝固をみる検査です。APTTと同様に、内因系凝固活性化機序をみる検査です。後天性血友病、血友病ともに延長します。

 

【正答】 e

 


【シリーズ記事】

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:05 | 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

2009年12月24日

血栓止血の臨床:血液内科試験問題

金沢大学 血液内科系統講義試験(問題の紹介と解説)を続けたいと思います。


【設問】

血栓止血関連疾患の治療に関する記載として正しいのはどれか。一つ選べ。

a.    心原性脳塞栓の再発予防としては、ワルファリンによる抗凝固療法が有効である。
b.    老人性紫斑病に対しては、ビタミンKの投与が半数例で有効である。
c.    アレルギー性紫斑病に対しては、ビタミンCの投与が半数例で有効である。
d.    閉塞性黄疸を合併したビタミンK欠乏症に対しては、ビタミンKの内服が有効である。
e.    第VIII因子インヒビターの出血に対しては、低分子ヘパリンが有効である。

 


【解説】

a. 心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓)の重要な危険因子です。抗血栓療法を行って、脳梗塞の発症を予防する必要があります(抗血栓療法の分類)。

心房細動がありますと、心内に血液の滞留を生じて、心内血栓を生じます(それが脳動脈に飛んでしまいますと、脳梗塞です)。血流が遅い環境下の血栓ですので、凝固血栓です。

ワルファリンによる抗凝固療法が血栓症発症予防に有効です(アスピリンは血小板血栓に有効です)。

b. 老人性紫斑病は放置して支障ありません。全ての血液検査が正常です。

c. アレルギー性紫斑病では、通常経過観察で自然軽快します(例外はありますが)。

d. ビタミンKは脂溶性ビタミンです。その吸収のためには胆汁に存在が必要です。閉塞性黄疸では胆汁が出ませんので、確実に効果を発揮させるために、経静脈的(点滴)で投与する必要があります(ビタミンK欠乏症)。

e.  第VIII因子インヒビターには、

(1)先天性血友病Aの合併症としてみられる場合と、

(2)後天性血友病の場合があります。

いずれにしましても、出血性疾患です。低分子ヘパリンを投与しますと、出血を悪化させます。

国家試験であれば、禁忌肢としたいところです。

 

【正答】 a

 


【シリーズ記事】

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2009年12月23日

TTP&HUS:血液内科試験問題

血液内科系統講義試験 <金沢大学>(問題解説)を続けたいと思います。


【設問】

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として正しいはどれか。一つ選べ。

a.    血中FDPの上昇
b.    ク−ムス試験陽性
c.    ADAMTS 13活性の低下
d.    直接ビリルビンの上昇
e.    血清ハプトグロビンの低下



【解説】

a. 
血中FDPの上昇がみられる疾患は、播種性血管内凝固症候群(DIC)深部静脈血栓症(DVT)などです。

b. TTP、HUSともに
ク−ムス試験は陰性です。

c. 
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)ではADAMTS 13活性が低下しますが、溶血性尿毒症症候群(HUS)では低下しません。

d. どちらの疾患でも、
溶血を反映して間接ビリルビンの上昇は見られますが、直接ビリルビンは上昇しません。

e. 
いずれの疾患でも、溶血を反映して血清ハプトグロビンは低下します。

 

【正答】 e

 


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2009年12月22日

播種性血管内凝固症候群(DIC):血液内科試験問題

問題解説(金沢大学 血液内科系統講義試験)を続けたいと思います。

参考:DIC(図解シリーズ)


【設問】

播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。一つ選べ。

a.    PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であれば、DICを否定できる。
b.    線溶亢進型DICでは、血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が正常である。
c.    固形癌に合併したDICでは、血中Dダイマーが正常である。
d.    急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
e.    敗血症に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。


【解説】

a. PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であっても、FDP&ダイマーが上昇していれば、播種性血管内凝固症候群(DIC)である場合があります。

b. 線溶亢進型DIC、線溶亢進型DICであっても、DICの本態である著しい凝固活性化は必ずみられます。つまり、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)などの凝固活性化マーカーは必ず上昇します。

c. DICにおける最も重要な所見の一つは、血中Dダイマーの上昇です(基礎疾患の如何にかかわらずです)。

d. 急性前骨髄球性白血病(APL)では、典型的な線溶亢進型DICを合併します。著しい線溶活性化のために、フィブリンのみならずフィブリノゲンの分解も進行するためにフィブリノゲンは著減します。

e. 敗血症では線溶阻止因子PAIが著増するために、線溶に強い抑制がかかります。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は、軽度上昇にとどまります。

 

【正答】 d

 


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2009年12月21日

抗リン脂質抗体症候群(APS):血液内科試験問題

問題解説(金沢大学 血液内科系統講義試験)が続きます。

参考記事:抗リン脂質抗体症候群(APS)


【設問】

典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、正しいものはどれか。一つ選べ。

a.    ループスアンチコアグラントが陰性であれば、APSを否定できる。
b.    APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正される。
c.    静脈血栓症では腸間膜静脈血栓症が最も多い。
d.    習慣性流産の若年女性に対しては、妊娠判明後ワルファリンとヘパリンによる抗血栓療法を行う。
e.    希釈ラッセル蛇毒時間が延長する。


【解説】

a. ループスアンチコアグラントが陰性であっても、抗カルジオリピン抗体が陽性であれば、APSのことがある。

b. APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正されない。クロスミキシング試験は臨床において極めて重要である。

c. APSの静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。

d. ワルファリンには、催奇形性の副作用があることを熟知している必要がある。

e. ループスアンチコアグラントの診断には、カオリン凝固時間のクロスミキシング試験や、希釈ラッセル蛇毒時間が用いられる。ループスアンチコアグラント陽性例では、しばしば希釈ラッセル蛇毒時間が延長する。


 

【正答】 e

 


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2009年12月20日

臨床検査と血栓症:血液内科試験問題

金沢大学 血液内科の試験問題解説が続きます。

この関連記事を続けてまいりましたが、医師国家試験対策や、専門医試験対策、卒業試験対策にもなるのではないかと思っています。

参考記事:臨床検査からみた血栓症



【設問】

下記の疾患のうち出血、血栓の両者がみられる疾患・病態はどれか。一つ選べ。

a.    電撃性紫斑病
b.    高Lp(a)血症
c.    Trousseau症候群
d.    異常プラスミノゲン血症
e.    組織プラスミノゲンアクチベータ産生腫瘍


【解説】

a. 
電撃性紫斑病は、プロテインC活性が著減した時にみられる、著しい血栓傾向です。

皮膚の微小循環レベルで微小血栓が多発して循環障害をきたします。そして、二次的に出血をきたして紫斑を生じます。

究極の血栓傾向であり、出血、血栓の両者がみられるという点で、播種性血管内凝固症候群(DIC)と類似した病態ということができます。

b. 高Lp(a)血症では、血栓傾向になります。

c. Trousseau症候群は、癌に遊走性血栓性静脈炎をきたす病態です。

d. 異常プラスミノゲン血症では、血栓傾向になる可能性があります。

e. 組織プラスミノゲンアクチベータ産生腫瘍では、線溶活性化に伴う出血傾向をきたします。


 

【正答】 a

 


【シリーズ記事】

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2009年12月19日

血液凝固検査:血液内科試験問題

金沢大学 血液内科の試験問題解説を続けます。

今回の問題は、金沢大学では恒例のパターンです。また、この問題かと言われそうです。。。

参考記事:血液凝固検査入門



【設問】

. 下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が正しいのはどれか。一つ選べ。

疾患・病態 出血時間 PT APTT Fbg HPT
 a. ビタミンK欠乏症 延長 延長 延長 正常 低下
 b. 血小板無力症 延長 正常 延長 正常 正常
 c. 第V因子インヒビター 正常 延長 延長 正常 低下
 d. 後天性血友病 正常 正常 延長 正常 低下
 e. von Willebrand病 延長 正常 延長 正常 正常


PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
HPT:ヘパプラスチンテスト

【解説】 

a. ビタミンK欠乏症では、出血時間は正常です。

b. 血小板無力症(=Glanzmann病)では、APTTは正常です。

c. 第V因子インヒビターでは、第V因子活性が低下しますので、PT&APTTは延長しますが、HPT(ビタミンK依存性凝固因子のうち、VII、X、IIを反映)は正常です。

d. 後天性血友病では、APTTは延長しますが、PT、HPTは正常です。

e. von Willebrand病では、APTT&出血時間が延長します(国家試験、卒業試験のヤマ中のヤマです)(血友病とvon Willebrand病の比較


【正答】 e

 


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2009年12月18日

大倉徳幸:金沢大学呼吸器内科

 
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)のスタッフ紹介は、ホームページにも掲載されていますが、こちらの方ではブログ記事にふさわしい「堅苦しくない自己紹介記事」をシーリーズでお届けしています。


【名前】大倉 徳幸

【顔写真】

大倉Dr








【専門細領域または業務内容】
呼吸器内科外来・入院診療をしています。気管支喘息、咳嗽について研究しています。

【所属学会】

日本内科学会、日本呼吸器学会、日本アレルギー学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本肺癌学会、日本結核病学会

【取得資格】
日本内科学会認定内科医、気管支鏡専門医、日本呼吸器学会専門医


【自分の研修医時代(または若かりし頃)の思い出】

研修医時代は、知識も経験も浅く、大変だったことを思い出します。同時に楽しかった思い出もたくさんあります。現在でもときどきその頃を思い出して、奮起しています。


【3内または自分のアピール】


第三内科のアットホームな雰囲気が好きです。

呼吸器の分野には、アレルギー、感染症、肺がんといったさまざまな疾患があり、内科医としてやりがいを感じる分野だと思います。


【将来の夢】

現在の自分の診療・研究分野に少しでも貢献できるようがんばり続けたいと思っています。


【趣味】


釣り、読書(司馬遼太郎が好きです)、音楽鑑賞(布袋寅泰、くるりが好きです)

 

 

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:28 | スタッフ自己紹介 | コメント(0)

2009年12月17日

杉森尚美:金沢大学血液内科

「スタッフ自己紹介」(ブログバージョン)をシーリーズでお届けしています。

関連記事:金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)のスタッフ紹介

 

【名前】杉森尚美

【写真】2009ASH. New Orleans会場にて(右側、左は亀遊先生)

杉森Dr


【専門細領域または業務内容】
血液内科外来診療、臨床講義係、標本カンファレンス係、検査部標本チェック、PNH血球検査結果報告など

【所属学会】
日本内科学会(認定内科医)、日本血液学会(血液専門医)、日本輸血細胞治療学会(日本輸血細胞治療学会認定医)、日本検査血液学会,日本造血細胞移植学会、日本臨床腫瘍学会など

【取得資格】

自動車免許、かるた初段


【自分の研修医時代(または若かりし頃)の思い出】

最初から子持ちでした。失敗は数しれず。指導してくださった先輩の先生方には大変感謝していますし、何よりも患者様が寛大な心を持って接してくださり成長できたのだと思います。それから家族の協力なしには仕事はできませんでした(今もです)。


【3内または自分のアピール】

痛いことが大嫌いです(誰でもそうでしょうが)。

血液の病気において検査でも治療でもできるだけ患者様に苦痛や不安を与えないよう、笑顔で治療をうけることができるよう特訓しようと思いました。まだまだ精進中ですが、、

【将来の夢】

血液や骨髄、リンパ節などの標本をみて美しいと思う仲間を見つけ出す。
常に勉強していける楽しい職業なので頭と体と心をさびつかせないようにしたいな。と思っています。


【趣味】

植物の鑑賞、山野草やハーブなど。

健康食品にも興味あり、自分や周りの人に試すことも。カレー、スパイス、漢方、映画、美術館、ヨガetc 私の好きなキーワードです。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:27 | スタッフ自己紹介 | コメント(0)

2009年12月16日

石山謙:金沢大学血液内科

 

「堅苦しくない自己紹介記事」をシーリーズでお届けしています。

参考:金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)のスタッフ紹介



【名前】石山 謙 (いしやま けん)

【顔写真】最も色黒です↓↓
 

石山先生


【仕事内容】
臨床:病棟で体を張っています。主に造血幹細胞移植の患者さんの治療に当たっています。
研究:「臨床研究」を主にお手伝いしています。現在は造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6型脳炎予防のための薬物療法、造血幹細胞移植時の抗真菌薬投与が免疫抑制剤の血中濃度に与える影響、また特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは診断できない血小板減少症の臨床像を明らかにするような、臨床的な観察研究をしています。

【所属学会】
日本内科学会(認定内科医)、日本血液学会(血液専門医・指導医)、日本造血細胞移植学会、米国血液学会。

【取得資格】

自動車免許、ケンブリッジ英検FCE、フランス語検定準1級、日医認定産業医(申請中)。


【自分の研修医時代(または若かりし頃)の思い出】

もともと「朝型」なのですが、指導医が私を上回る早起きな先生(Y先生)で…土曜日の朝9時前に病棟回診に行くと既に採血結果がコンピュータ画面に出ている&カルテに「採血しておきました」というコメントが書かれていた時には…言葉を失いました(当時、週末の採血は医師が検査室まで届けるルールになっていましたので、7時前には病院にいらっしゃったものと思われます…週末なのに……)。


【3内または自分のアピール】

仕事って、基本的には嫌なことが多いですが、でも楽しく感じることもありますよね。特に、主な仕事が病棟業務だと、場の雰囲気が自分のモチベーションを大きく変える。本当はこれではいけないのでしょうが、でも私達も生身の人間、そういう部分はあるのが自然なのではないかと思います。今の医局・病棟は、かなりいい感じ!病棟への足取りは昔より明らかに軽いです。

もう一つ。血液内科臨床は、人の命に直結します。また、ここでの研究は、臨床と紙1枚しか隔たりのない距離です。ですので、ここでの仕事は研究であれ臨床であれ、「患者さんのために」なります。このことを「重たく」感じることは時にはありますが、やりがいに思うことの方が間違いなく多いです。

私自身は、みんながやっていること、みんながやりたいことは誰かがしてくださると思うので、そうでないことに積極的に取り組んでいきたいと思っています。
↑まだ若かりし頃、中尾教授が私におっしゃった言葉を私なりに曲解した結果こうなりました。


【将来の夢】


手を抜かず走り続けたらどうなるのだろう…とは言え、若かりし頃の馬力は影をひそめてしまっていますので、「ぼちぼち」頑張ったら…どうなるんでしょうね。
自分でも楽しみです。


【趣味】

旅行先でおいしいものを食べること:現地密着系が好きです。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:59 | スタッフ自己紹介 | コメント(0)

2009年12月15日

森下英理子:金沢大学血液内科

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)のスタッフ紹介は、ホームページにも掲載されています。

しかし、オフィシャルな紹介記事では、味を出すところまではかなわないと思います。

ということで、ブログ記事にふさわしい「堅苦しくない自己紹介記事」をシーリーズでお届けしたいと思います。今回は、森下英理子Drに登場していただきました。


【名前】森下 英理子

【専門細領域または業務内容】

血栓止血,石川県女性医師メンター,先天性血液凝固異常症遺伝子解析担当

【所属学会】
日本内科学会、日本血液学会(評議員),日本血栓止血学会(評議員),日本検査血液学会(評議員),日本動脈硬化学会(評議員),日本老年病学会,日本臨床検査医学会,日本輸血細胞治療学会,

【取得資格】
日本内科学会専門医・指導医・認定医
日本血液学会専門医・指導医,
日本老年病専門医・指導医


【自分の研修医時代(または若かりし頃)の思い出】

研修は首都圏にある東大出身の血液内科の教授の下で行いましたが,2年間の研修はほとんど病院に泊って過ごしました.血液内科と消化器内科,内分泌内科がある医局で,全ての分野の患者さんを7-8人受け持ちましたが,白血病の患者さんはだいたいいつも,2名程度になるよう配慮されていました.
今のようにG-CSFもなく,nadirの時はお祈りするしかないような時代で,多くの白血病の患者さんが真菌性・細菌性肺炎で亡くなり,かなりつらい思いをしました.

1週間に1回の教授回診の前日は徹夜で回診対策をし(7-8人程度の患者さんのデータを全て頭にいれておかないといけない),回診終了後の夜は,病棟の先輩達と慰労会なる飲み会に毎週繰り出すといった生活で,きつかったけれど楽しかったですね.

一人のネーベンに一人のオーベンがついており,検査や治療計画だけでなく,検査手技,病態の把握,勉強の仕方,文献の調べ方,etc,あらゆることを指導して頂き,この2年間の研修が現在の自分の医療の大きな基礎となっていることは事実です.

2年間の研修の中には,半年間救命救急センターでの研修が入っており,「救命病棟」そのものの(というか,あの番組を撮影した病院です)きわめてハードな救命医なる貴重な経験もしました.1チーム4名で構成され4チームあり,順番でホットラインで飛び込んでくる患者さんを受け持つシステムです.したがって,4日に1回当直も回ってきて,一晩に3—4名の重症患者が搬送されることもあり,体力だけが全ての世界でした.でも,いまでも簡単な切創の縫合ならできますよ.

振り返りますと,体力だけで過ごした研修医時代でしたが,そこで得られたものは私にとってかけがえのない財産となっております.


【3内または自分のアピール】

第三内科の特徴は,なんといっても女医さん達が元気なところでしょうか.それは,教授をはじめ,医局長,病棟医長などの深いご理解と,周囲の男性医師群の協力があるからだと思っております.感謝,感謝,,,.

自分のアピールとしては,病気の方々の気持を結構理解できる医者だと思っております.何しろ,全身麻酔の手術を2回(肺だってお腹だって切りました),帝王切開も2回しており妊婦さんにも対応可,あの死ぬかと思うほど痛かった胆石発作も経験し,気胸なんて7回もやっておりトロッカーを入れるのがどんなに痛いか,肺がつぶれるとどんなに苦しいかもよく理解しております.

でも,きわめつけはDICでしょう.専門の病気になるとは聞いていましたが,まさか産科的DICで出血性ショックになるとは!(3000ml出血して三途の川を見てきました).

このように,さまざまな病気を経験し,現在の私がおります.まだ悪性疾患は経験していないので,本当の意味での全ての患者さんの気持ちを理解できているわけではありませんが,これからも日々努力して,医術を磨くと共に仁術も兼ね備えた医師を目指しております.


【将来の夢】

退職したら,やはり気候の温暖な地域に住みたいですね.北陸の冬は,関東育ちの私には何年たっても慣れません.


【趣味】

読書(マンガから児童書,文芸書までジャンルは問わない),温泉めぐり,




【関連記事

血栓止血の臨床ー研修医のためにー

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

播種性血管内凝固(DIC )治療

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:36 | スタッフ自己紹介 | コメント(0)

2009年12月14日

輸血学:血液内科試験問題

今回の金沢大学血液内科の系統講義試験問題から、輸血学の領域です。

 

関連記事

輸血学試験問題
異型輸血と不適合輸血
輸血後感染症頻度(HBV、HCV、HIV)
血液内科系統講義試験(輸血学)過去問題解説

 

 

【輸血学の問題】

1.  血液製剤に関して誤っているものはどれか。1つ選べ。
a)    400 mL全血献血から2単位の赤血球製剤ができる。
b)    免疫グロブリン製剤は血漿分画製剤である。
c)    凍結赤血球製剤は、まれな血液型へ対応するため用いられる。
d)    血液製剤から白血球除去を行う目的は、副作用予防である。
e)    血液製剤は非特定生物(由来)製品である。


2.  血液製剤に関して正しいものはどれか。1つ選べ。
a)    赤血球製剤は20-24℃で振とう保存する。
b)    赤血球製剤の有効期間は採血後21日間である。
c)    血漿製剤の有効期間は採血後10年間である。
d)    血小板製剤の有効期間は採血後2日である。
e)    血液製剤を生理食塩水と併用することはできない。


3.  輸血前検査に関して正しいものはどれか。1つ選べ。

a)    オモテ検査は交差適合試験の一種である。
b)    ABO式血液型検査の原則は、1回採血・2回検査である。
c)    患者のHAV・HBV・HCV検査を行う。
d)    ABO式血液型検査・RhD式血液型検査・不規則抗体検査を合わせてT&Sと呼ぶ。
e)    Rh陽性とは一般にRhE抗原陽性を指す。


4.  ABO型不適合赤血球輸血について誤っているものはどれか。1つ選べ。

a)    死亡率は約20%である。
b)    O+血液をA+患者に輸血しても、ABO型不適合輸血にはならない。
c)    ショックやDIC、腎不全に備える。
d)    バイタルサインを測定したのち輸血を中止する。
e)    原則ICU管理とする。


5.  不規則抗体について正しいものはどれか。1つ選べ。

a)    血液型関連抗体は全て不規則抗体である。
b)    不規則抗体の陽性率は10-20%である。
c)    妊婦に対する不規則抗体検査は不要である。
d)    自然抗体は主にIgMである。
e)    自然抗体は主に輸血・妊娠・移植により産生される。


6.  輸血療法に関して正しいものはどれか。1つ選べ。

a)    体重80kgの患者に赤血球製剤を2単位輸血すれば、Hbは約1 g/dlL昇する。
b)    輸血した血小板の約5%は脾臓に捕捉される。
c)    血清アルブミン値2.0 g/dLは、アルブミン投与の絶対適応である。
d)    新鮮凍結血漿は、融解後12時間以内に輸注する。
e)    アルブミン投与後の血管回収率は通常100%である。


【正答】

上から順番に、

1.  e
2.  b
3.  d
4.  d
5.  d
6.  a



【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

造血幹細胞移植

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:17 | 医師国家試験・専門医試験対策

2009年12月13日

朝倉英策:金沢大学血液内科

 

「スタッフ自己紹介」(ブログバージョン)をシーリーズでお届けしています。

関連記事:金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)のスタッフ紹介

 


【名前】朝倉英策

朝倉






【専門細領域または業務内容】
・ 血栓止血学:特に播種性血管内凝固症候群(DIC)抗リン脂質抗体症候群(APS)深部静脈血栓症/肺塞栓(DVT/PE)抗血栓療法など。
・ 金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)ブログ係。

【所属学会】

日本血栓止血学会(評議員)、日本血液学会(評議員)、日本臨床検査医学会(評議員)、日本検査血液学会(評議員)、日本老年医学会(評議員)、日本動脈硬化学会、日本脈管学会、日本循環器病学会、日本内科学会など

【取得資格】
日本内科学会 専門医・認定医・指導医
日本血液学会 専門医・指導医,
日本臨床検査医学会 専門医・管理医


【自分の研修医時代(または若かりし頃)の思い出】


私の研修医時代となりますと、今では大昔の話になりますが、重症患者さんの救命を期して毎晩遅くまで診療に携さわったのは、忘れることのできない思い出になっています。その患者さんが、その後何年にもわたって外来に笑顔で来られる姿を拝見しますと、感無量になります。

逆に、難治性の疾患で懸命の治療にもかかわらず救命できなかったことも多々ありますが、自分の無力さを感じるとともに医学研究の必要性を実感することになりました。


【3内または自分のアピール】

・ 第三内科の大きな特徴の一つは、女性医師が多いことではないかと思います。しかも、女性医師の方は、皆さん有能で大変元気があります。男性陣も負けておれないですね。。。

・ 今年の健康診断で腹囲測定をされた時に、頑張っていますねと声をかけられて、ちょっと嬉しかったです。でも標準体重になるためには、あと15kg以上の減量が必要です。ゴールはまだまだ先のようです。


【将来の夢】

・ 血栓止血学に興味を持ってくれる若手医師、コメディカル、医療関係学生を増やしたいです。

・ 100年後、1,000年後の医学がどうなっているのか是非みたいです。100年前、1,000年前の医学と現在の医学を比較しますと、まるで別世界の医学になっています。同じことが、100年後、1,000年後の医学にも言えるのでしょうね。タイムマシーンにのって未来の医学を覗きにいきたいです。


【趣味】

・ 現在担当させていただいているブログ係にはまっています。現在、約2,000人/日の方にご訪問いただいていますが、とても嬉しく思うとともに、責任を感じているところです。

・ 自宅の愛犬チワワ(ルイちゃん)には毎日癒されています。

・ 若かりし頃(=まだ老眼でなかったころ)は、カラオケも楽しみましたが、この10年間はほとんど行くことはなくなりました。

・ 近所の中学生の家庭教師をしています(不定期ですが)、数学30点代から半年で70点代まで飛躍しました。若者の成長を見れるのはとても痛快です。



【関連記事

血栓止血の臨床ー研修医のためにー

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

播種性血管内凝固(DIC )治療

血液凝固検査入門(図解シリーズ)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:23 | スタッフ自己紹介 | コメント(0)

2009年12月12日

金沢大学第三内科 忘年会 (in ホテル日航金沢)

忘年会

 



本日は、ホテル日航金沢で、金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)の忘年会が行われました。

とても楽しい一時で、あっと言うまに時間が経ってしまいました。

管理人には、オードリーのモノまね芸(上の画像)や、その他の芸が大変うけて、とても面白かったです。

なお偶然ですが、会場の隣では、当科がお世話になっている金沢市内の某病院の忘年会も行われていました。両方の掛け持ちで出席された方もおられたようです。どちらの忘年会が、盛り上がっていましたでしょうか。。。。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:26 | その他 | コメント(0)

2009年12月11日

アレルギー疾患の講演と相談会:金沢大学

『第16回アレルギー疾患の講演と相談会』

アレルギー週間に合わせて、金沢大学附属病院の医師らによるアレルギー疾患に関する講演と相談会を行ないます.多くの皆さんの参加をお待ちします.

日 時:平成22年2月20日(土)    午後2時〜4時
場 所:金沢大学附属病院外来棟4階宝ホール 
金沢市宝町13-1
参加費:無料(当日直接お越し下さい)



講演会:講演のテーマ「アレルギー疾患の予防・治療」


皮膚科        アトピー性皮膚炎について(午後2時〜2時20分)
小児科        食物アレルギーについて(午後2時20分〜2時40分)
眼科        花粉症・アレルギー性結膜炎について(午後2時40分〜3時)
耳鼻咽喉科    花粉症・アレルギー性鼻炎について(午後3時〜3時20分)
呼吸器内科    成人気管支喘息について(午後3時20分〜3時40分)


個別相談会:

上記講演会と同時に、各科専門医による相談会も実施いたします。
アレルギー疾患でお悩みの方は、お気軽にお越し下さい。


主催:    財団法人日本アレルギー協会


連絡先(石川県ブロック事務局):大倉徳幸、堀恵美子、藤村政樹
920-8641 金沢市宝町13-1金沢大学附属病院 呼吸器内科
電話:076-265-2276、ファックス:076-234-4252



【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:42 | 呼吸器内科

2009年12月10日

臨床検査からみた血栓症(インデックスページ)

「シリーズ:臨床検査からみた血栓症」のインデックスページを作成しておきたいと思います。

 

 

臨床検査からみた血栓症

1)血栓性素因

2)血栓性素因診断の流れ

3)血栓性素因の臨床症状

4)抗リン脂質抗体症候群(APS)の臨床症状

5)血栓性素因の問診

6)先天性血栓性素因

7)先天性血栓性素因診断時の注意点

8)抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査

9)高ホモシステイン血症

10)高Lp(a)血症

11)血栓性素因の診断

 

 

【関連記事

深部静脈血栓症/肺塞栓

先天性血栓性素因

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

播種性血管内凝固(DIC )治療


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2009年12月9日

血栓性素因の診断:臨床検査からみた血栓症(11)

臨床検査からみた血栓症(インデックスページ)

深部静脈血栓症/肺塞栓の関連記事


 【血栓性素因の診断】臨床検査からみた血栓症


先天性血栓性素因と診断するためには、何回か繰り返し測定して、後天性の要因の検索を十分におこなうことが必要です。

後天性血栓性のなかでも、最も高頻度にみられる後天性血栓性素因である抗リン脂質抗体症候群(APS)の有無には、常に注意が必要です。


先天性血栓性素因である先天性プロテインC&プロテインS欠損症においては、これらの凝固阻止因子が低下しますが、既にワルファリンが投与がされている場合は、診断に苦慮します(プロテインC&プロテインSはビタミンK依存性凝固因子ですので、ワルファリンの内服によっても血中活性が低下してしまいます)。

ただし、今後このような状況下でも先天性血栓性素因の診断を適確に行うことができるような検査法の開発が望まれます。


先天性血栓性素因を強く疑った場合には、可能なかぎり遺伝子解析を行い、診断を確定するのが望ましいです。

しかし、遺伝性疾患であるため患者一人の検査結果がその家族に波及することになります。慎重な対応と同時にカウンセリングなども必要となります。

一方で、家系内調査の最大のメリットは、同変異を有する保因者を検索し、血栓症を起こし易い状況を避けるような生活指導をおこなったり、血栓予防の対策を事前に講じることができる点があります。


現時点では遺伝子解析を行う施設は限られていますので(参考:先天性血栓性素因)、今後、PS Lys196Gluのような日本人の血栓症の危険因子として確立されかつ頻度の高い数種類の変異を、同時に検出できる簡易キットが開発されることを期待したいと思います。

  

【関連記事

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2009年12月8日

高Lp(a)血症:臨床検査からみた血栓症(10)

臨床検査からみた血栓症(インデックスページ)

深部静脈血栓症/肺塞栓の関連記事

抗リン脂質抗体症候群(APS)

 

【血栓性素因のスクリーニング検査】ー後天性血栓性素因ー

高Lp(a)血症の検査

リンク:Lp(a)

高Lp(a)血症も動脈硬化および心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓症の重要な危険因子です。

Lp(a)は、LDLのアポリポ蛋白B-100にアポ蛋白(a)がS-S結合した脂質です。アポ蛋白(a)は構造上、線溶因子であるプラスミノゲン(plasminogen:Plg)と非常に類似していますので、プラスミノゲンに対して拮抗的に作用します。そのため、プラスミノゲンのフィブリンへの結合を阻害してプラスミンの生成を抑制しますので、結果として線溶能が低下する(血栓傾向になる)ことになります。


Lp(a)濃度は優性遺伝し、一般人の1/4〜1/3が高Lp(a)血症を呈することより、先天性血栓性素因の一つと考えられます。


個人差で1,000倍以上の血中濃度の差があることも知られています。

  

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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2009年12月7日

高ホモシステイン血症:臨床検査からみた血栓症(9)

臨床検査からみた血栓症(インデックスページ)

深部静脈血栓症/肺塞栓の関連記事

抗リン脂質抗体症候群(APS)

 

【血栓性素因のスクリーニング検査】ー後天性血栓性素因ー

高ホモシステイン血症の検査

リンク:ホモシステイン

ホモシステイン尿症(ホモシステインを分解する酵素シスタチオニンβ合成酵素の欠損)はまれな先天性代謝異常症の一つであり、高ホモシステイン血症をきたし、心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症/肺塞栓(静脈血栓塞栓症:VTE)などの動・静脈血栓症を起こすことが知られています。

この所見より、高ホモシステイン血症と動脈硬化および血栓症との関連が近年注目されています。

 

血中ホモシステイン濃度は、先天性疾患の他に、以下の場合に高値を示します。

1)加齢 
2)男性
3)閉経
4)喫煙
5)ビタミンB12・B6欠乏
6)葉酸欠乏
7)疾患:腎障害、肝障害、糖尿病、甲状腺機能低下症
8)薬剤 など

 

動脈硬化、血栓症の発症機序として、過剰なホモシステインにより血管内皮傷害をきたしトロンボモジュリン(TM)、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)系の抗凝固活性が低下したり、血小板が活性化されることが考えられています(参考:先天性血栓性素因)。

血栓症の独立した危険因子かどうかは議論が分かれていますが、血中ホモシステイン濃度もスクリーニング検査として重要な項目と考えられています。

 

 

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2009年12月6日

抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査:臨床検査からみた血栓症(8)

深部静脈血栓症/肺塞栓の関連記事

臨床検査からみた血栓症(インデックスページ)

抗リン脂質抗体症候群(APS)

 

ーーーーーーーーーーー
抗リン脂質抗体症候群の改定分類基準 (2006年版)

以下の臨床所見の1項目以上が存在し、かつ検査所見の1項目以上が12週間以上の間隔をあけて
2回以上検出された場合を抗リン脂質抗体症候群(APS)と分類する。

 

臨床所見

1. 血栓症:
画像検査や病理検査で確認できる1つ以上の動静脈血栓症(血管炎は除く)

2. 妊娠合併症
(a) 妊娠10週以降の胎児奇形のない1回以上の子宮内胎児死亡
(b) 妊娠高血圧症、子癇もしくは胎盤機能不全などによる1回以上の妊娠34週未満の早産
(c) 妊娠10週未満の3回以上連続する原因不明習慣性流産

 

検査所見   
1.ループスアンチコアグラント(LA)陽性(LAの測定は国際血栓止血学会のガイドラインに従う)
2.IgGまたはIgM型抗カルジオリピン抗体陽性:中等度以上の力価または健常人の99パーセンタイル以上
3.IgGまたはIgM型抗β2−グリコプロテインI抗体陽性:健常人の99パーセンタイル以上
ーーーーーーーーーーー

 


【血栓性素因のスクリーニング検査】ー後天性血栓性素因ー

抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査

2006年に発表されましたSapporo Criteriaを改定した抗リン脂質抗体症候群(APS)分類基準によりますと(上記の表)、臨床症状1項目以上と、ループスアンチコアグラント(LA)、抗カルジオリピン抗体(aCL)、抗β2-グリコプロテインI (抗β2-GPI)抗体のうち1項目以上が12週間以上の間隔をあけて2回以上検出された場合をAPSと診断します。

抗リン脂質抗体と血栓症との関連性は、抗体によって様々ですが、血栓症と最も関連性の強い抗体はLAと考えられています。

抗β2-GPI抗体も診断的価値が高いですが、IgG型、IgM型とも保険適用外検査です。一方、aCLは診断基準に載っていますがそれほど関連性を認めないとの報告もあります。

Galli M, et al: Lupus anticoagulants are stronger risk factors for thrombosis than anticardiolipin antibodies in the antiphospholipid syndrome: a systematic review of the literature. Blood 101: 1827-1832, 2003.

 

ループスアンチコアグラント(LA)測定の際の注意点

LA検査は凝固時間法によって測定する定性的検査です。検体採血・処理方法、正常血漿の準備、用いる測定試薬によって測定結果は大きな影響を受けます。

被検者がヘパリン類使用中の場合は、LAが偽陽性を示すことがあります。

一方、血栓症急性期や妊娠中、重症炎症性疾患、高用量ステロイド使用中などの場合は、活性型凝固因子の増加のため、LAが偽陰性となりやすいことが知られています。

長時間駆血した検体や溶血検体も試験管内凝固が生じ、LAが偽陰性となりやすいです。

また、採血後の検体は血小板からリン脂質が溶出しLAが中和されるのを防ぐため、フィルターを通して血小板を除去する必要があります。

対照として用いる正常血漿も、フィルター処理を行い、なおかつ凝固活性化されていない検体を準備する必要がある点も明記したいと思います。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:34 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月5日

先天性血栓性素因検査時の注意点:臨床検査からみた血栓症(7)

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【血栓性素因のスクリーニング検査】ー先天性血栓性素因ー

先天性血栓性素因の検査時の注意点と結果の解釈

先天性凝固制御因子欠損症は、抗原量は正常でも活性低下を示す分子異常症があります。ですから、抗原量測定しか行わないとこれらのタイプを見落とす可能性がありますので、必ず活性測定を行う必要があります。

ただしプロテインS(PS)活性測定は保険適用外ですので、通常は遊離型PS抗原量測定で代用します。


AT測定の際の注意点:

ヘパリン使用時に採血すると、アンチトロンビン(AT)活性が低下しデータの信頼性が落ちますので注意が必要です。


AT活性低値を示す場合としては、以下のような場合がが考えられます。

1)先天性AT欠損症
2)凝固活性化に伴う消費(播種性血管内凝固症候群:DIC
3)炎症性サイトカインによる産生低下
4)炎症による血管外漏出(敗血症を基礎疾患としたDICなど)
5)肝機能障害(肝硬変、劇症肝炎、肝不全)による産生低下
6)肝の未発達な乳幼児
7)尿中への喪失(ネフローゼ症候群)
8)薬剤(エストロゲン製剤、L-asparaginaseなど)の影響


PC測定の際の注意点:

PC活性の測定には、凝固時間法(抗凝固活性)と合成基質法(アミド活性)とがあります。合成基質法は簡便で定量性に優れていますが、日本人の静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子として重要なLys196del変異のアミド活性は偽高値となり、凝固時間法による測定を行わないと診断を見落とす可能性があるので注意が必要です。

PC活性低値を示す場合としては、以下のような場合がが考えられます。

1)先天性PC欠損症
2)肝機能障害や肝の未発達な乳幼児
3)ビタミンK(VK)欠乏(食事摂取の低下、抗生物質の長期連用、胆道閉塞)
4)ワルファリン内服によるPIVKA-PCの生成
5)凝固活性化による消費(DIC)(播種性血管内凝固症候群:DIC
6)血管内皮細胞傷害に基づく血管外漏出や産生低下


ワルファリン投与後に血栓性素因の精査を行うと、先天性欠損症との鑑別はきわめて困難となってしまいます。したがって、血栓性素因が疑わしい症例ではワルファリン投与前の検体保存を心がけるべきです。



PS測定の際の注意点:


活性化PC(APC)に対する補酵素活性を有するのは遊離型PSのみで、この遊離型PSの低下が血中PS活性の低下につながると考えられています。

PS活性低値を示す場合としては、、以下のような場合がが考えられます。

1)先天性PS欠損症
2)肝機能障害
3)ビタミンK(VK)欠乏やワルファリン内服時
4)妊娠、経口避妊薬使用時(意外と知られていないかも知れませんので、要注意です!)

正常妊婦を対象としてPS活性の変動を検討した報告によりますと、分娩時には20-40%にまで著減しますので、PS欠損症との鑑別に注意が必要です。

SLE、抗リン脂質抗体症候群(APS)、ステロイド内服、ネフローゼ症候群でもPS活性が低下します。

なお、一般住民を対象にPS活性を測定したところ、健常者では40%〜170%まで幅広く分布していたという報告があります。

一方で、日本人に多いPS Lys196Glu変異のヘテロ接合体も40%〜110%と重複して分布していますので、PS活性測定だけではPS欠損症の診断には限界があることが判明しています。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:20 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月4日

先天性血栓性素因:臨床検査からみた血栓症(6)

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【血栓性素因のスクリーニング検査】ー先天性血栓性素因ー

本邦における先天性血栓性素因の要因

現在提唱されている先天性血栓性素因としての病態・疾患を、以下に示します。

 

ーーーーーーーーーーー

1)凝固制御因子の低下

・アンチトロンビン欠損症
・プロテインC欠損症
・プロテインS欠損症
・第V因子Leiden変異(活性化プロテインC抵抗性)(日本人にはない)
・トロンボモジュリン異常症*
・tissue factor pathway inhibitor(TFPI)欠損症*


2)線溶能の低下

・プラスミノゲン異常症*
・組織プラスミノゲンアクチベーター放出障害*
・プラスミノゲンアクチベーター・インヒビター−1(PAI-1)過剰症*
・ヒスチジンリッチグリコプロテイン増加症*


3)凝固因子の増加

・プロトロンビンG20210A(日本人にはない)
・第VIII因子増加症
・第XI因子増加症*


4)その他

・異常フィブリノゲン血症 
・第XII因子欠損症*
・高ホモシステイン血症
・高リポ蛋白(a)血症

ーーーーーーーーーーー

(*:血栓性素因としての意義が不確定あるいは以前提唱されていたけれども否定されたものです)

 


1)凝固制御系因子の欠乏:

AT、PC、PS活性が正常の50%程度に低下(ヘテロ接合体)しますと血栓傾向を示します。

特に先天性PS欠損症の発症頻度は1.12%と、欧米人(0.16〜0.21%)に比べて明らかに高く、中でもPS  Lys196Glu変異のアレル頻度は0.9%で日本人のVTEの危険因子として重要です(先天性血栓性素因)。

他にヘパリンコファクターIIやtissue factor pathway inhibitor(TFPI)の欠乏症で血栓症の報告がありますが、血栓性素因としての意義はまだ確立されていません。

最近、胎児性陳旧性脳梗塞を認めたトロンボモジュリン(TM)異常症(Gly412Asp変異)ホモ接合体の症例報告や、Arg455Val変異多型を保有する男性でVTEとの関連性を認めた報告があり、VTEの遺伝因子候補として注目されています。

 

2)線溶能の低下:

プラスミノゲン(Plg)異常症(栃木型:Ala620Thr)は日本人の遺伝子多型の一つですが、血栓症の危険因子でないことが判明しています。

また、線溶能低下をきたす病態である組織プラスミノゲンアクチベーター放出障害や、プラスミノゲンアクチベーター•インヒビター1(PAI-1)過剰症において血栓症家系の報告がありますが、血栓性素因としての意義は確立されていません。

 

3)凝固因子の増加:

第VIII因子(FVIII)活性の増加はVTE(深部静脈血栓症/肺塞栓)の危険因子と考えられています。FVIII活性が10 IU/dl(10%)増加するとVTEのリスクが10%増加するといわれています。しかし、現在のところ遺伝子変異部位は不明です。

 

4)その他:

フィブリノゲン(Fbg)異常症はFbg活性が低下していますが、出血傾向と血栓傾向の片方あるいは両方の症状を認めることが知られています。

また、第XII因子欠損症と血栓症については、一時期その関連が注目されましたが、現在のところ因果関係は明らかではありません。

なお、第V因子Leiden変異(506ArgGln変異)やプロトロンビン遺伝子の3’非翻訳領域の20210G>A変異は、白人種の血栓素因として重要ですが、日本人にはみられていません。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:42 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月3日

血栓性素因の問診:臨床検査からみた血栓症(5)

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【血栓性素因:問診のポイント】

既往歴では、以下が血栓性素因を疑う重要なポイントになります(血栓性素因の診断の流れ)。

・再発性
・抗凝固療法中にもかかわらず血栓症を反復
・習慣性胎児死亡
ワ ルファリン内服後の皮膚壊死
など


家族歴
では、以下の場合に先天性血栓性素因の可能性を強く疑います。

・家系内に若年性の血栓症の発症者がみられる場合

なお、抗リン脂質抗体症候群(APS)は全身 性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患に併発することが多い点にも留意します(ただし、基礎疾患が他に明らかでないAPSも多いです)。



発症の引き金となる他の危険因子

問診で他の危険因子の存在についても把握する必要があります。

・薬剤(特にホルモン補充療法や経口避妊薬)の使用
・妊娠
・外傷
・手術
・感染

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:02 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月2日

抗リン脂質抗体症候群(APS)の臨床症状:臨床検査からみた血栓症(4)

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ーーーーーーーーーーーーーー

抗リン脂質抗体症候群の改定分類基準 (2006年版)

以下の臨床所見の1項目以上が存在し、かつ検査所見の1項目以上が12週間以上の間隔をあけて2回以上検出された場合を抗リン脂質抗体症候群(APS)と分類する


臨床所見

1. 血栓症
画像検査や病理検査で確認できる1つ以上の動静脈血栓症(血管炎は除く)

2.妊娠合併症
(a) 妊娠10週以降の胎児奇形のない1回以上の子宮内胎児死亡
(b) 妊娠高血圧症、子癇もしくは胎盤機能不全などによる1回以上の妊娠34週未満の早産
(c) 妊娠10週未満の3回以上連続する原因不明習慣性流産

検査所見   
1.ループスアンチコアグラント(LA)陽性(LAの測定は国際血栓止血学会のガイドラインに従う)
2.IgGまたはIgM型抗カルジオリピン抗体陽性:中等度以上の力価または健常人の99パーセンタイル以上
3.IgGまたはIgM型抗β2−グリコプロテインT抗体陽性:健常人の99パーセンタイル以上

ーーーーーーーーーーーーーー



【血栓性素因の臨床症状】


<抗リン脂質抗体症候群(APS)>

抗リン脂質抗体症候群(APS)は、動脈&静脈血栓症または妊娠合併症を臨床症状とする自己免疫疾患です。

血栓症の特徴は、動脈・静脈のいずれにも発症し、大血管から毛細血管レベルまですべての血管に発症します。

動脈血栓症では、脳梗塞、一過性脳虚血発作などの脳血管障害が圧倒的に多く(動脈血栓の9割)、虚血性心疾患は少ないです。

妊娠合併症には、自然流産・不育症、妊娠高血圧症・子癇があります。

APS患者の流産は、妊娠中期・後期にも起きうることが特徴です。


血栓症と妊娠合併症以外に、心弁膜症、網状皮斑、血小板数減少症、微小血栓による腎障害、舞踏病などの神経疾患が、抗リン脂質抗体関連疾患とされていますので、これらの所見に注意する必要があります。

好発年齢は特になく、幼少児期でも発症する場合があります。

自己免疫疾患に併発することが多いため、男女比は1 : 2〜5と女性に発症しやすいですが、何ら基礎疾患を有さない原発性APSでは、男女差はほとんどありません。


 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:03 | 血栓性疾患 | コメント(0)

2009年12月1日

血栓性素因の臨床症状:臨床検査からみた血栓症(3)

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血栓診断

 

 

上図は、血栓性素因の診断の流れです。上図のなかで、青字の部分が行うべき検査項目になっています。

前回分(血栓性素因診断の流れ:臨床検査からみた血栓症(2))の補足になっています。

 


【血栓性素因の臨床症状】


<先天性血栓性素因>

臨床所見として、以下がある場合には、先天性血栓性素因があることを予測して血液検査をすすめることのなります。

1)40歳代以前に発症

2)再発性

3)まれな場所の静脈血栓(脳静脈洞血栓、門脈血栓、腸間膜静脈血栓など)

通常、先天性血栓性素因のヘテロ接合体患者は幼少時には血栓はみられませんが、血栓症の70〜80%が40歳以前に発症します。

プロテインC(PC)やプロテインS(PS)欠損症のホモ接合体および複合へテロ接合体は極めてまれですが、新生児期より皮膚の壊死を伴う電撃性紫斑病や、重篤な静脈血栓症を呈することがあります。

先天性凝固制御因子欠損症の多くは常染色体優性遺伝形式をとりますので、男女比率に差は認めません。


 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:19 | 血栓性疾患 | コメント(0)

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