平成23年度 金沢大学血液内科学系統講義試験:細胞移植学(血液内科)<問題の紹介と正答>
今回は、白血病ほかの問題です。
参考:造血幹細胞移植入門(インデックス)
問26. 本邦の成人患者に関する記述で正しいのはどれか。
(1) 急性骨髄性白血病より急性リンパ性白血病の方が発症頻度は高い。
(2) 急性骨髄性白血病のFAB分類ではM2の発症頻度が最も高い。
(3) 多発性骨髄腫の罹患率は女性より男性の方が高い。
(4) 多発性骨髄腫の人口10万人あたりのおおまかな年間発症数は30人である。
(5) 慢性骨髄性白血病は白血病全体の約50%を占める。
a. (1)(2) b. (2)(3) c. (3)(4) d. (4)(5) e. (1)(5)
(正答)b
問27. 疾患名と臨床症状の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 急性単球性白血病 − 歯肉腫脹
b. 慢性骨髄性白血病 − 脾腫
c. 真性多血症 − 顔面紅潮
d. 原発性骨髄線維症 − 巨脾
e. 多発性骨髄腫 − 顎骨壊死
(正答)e
問28. 疾患名と検査所見の組み合わせで誤っているのはどれか。2つ選べ。
a. 急性リンパ性白血病 − Auer body
b. 慢性骨髄性白血病 − 好塩基球の増加
c. 真性多血症 − tear drop
d. 骨髄線維症 − leukoerythroblastosis
e. 多発性骨髄腫 − rouleaux formation
(正答)a, c
問29. 好中球ALP染色(NAP)スコアが低値を示すのはどれか。2つ選べ。
a. 慢性骨髄性白血病慢性期
b. 慢性骨髄性白血病急性転化
c. 発作性夜間ヘモグロビン尿症
d. 真性多血症
e. 類白血病反応
(正答)a, c
問30. 疾患名とその診断に必要な検査所見の組み合わせで誤っているのはどれか。2つ選べ。
a. フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 − t(9;22)
b. 急性前骨髄性白血病 − t(15;17)
c. 慢性リンパ性白血病 − bcr/abl融合遺伝子
d. 真性多血症 − Jak2V617F遺伝子変異
e. 多発性骨髄腫 − IgM型M蛋白
(正答)c, e
問31. 各疾患の腫瘍細胞と表面マーカーの組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 急性骨髄性白血病(AML-M0)− CD33(+)
b. 急性リンパ性白血病(B-ALL)− CD19(+)
c. 急性リンパ性白血病(T-ALL)− CD3(+)
d. 多発性骨髄腫 − CD38(+)
e. 多発性骨髄腫 − CD19(+)
(正答)e
問32. 疾患名と治療法・治療薬の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 慢性骨髄性白血病慢性期 ― メシル酸イマチニブ
b. 真性多血症 ― ハイドロキシウレア
c. 血栓症状を伴う本態性血小板血症 ― 低用量アスピリン
d. MGUS − MP(メルファラン+プレドニゾロン)療法
e. 若年の多発性骨髄腫 ― 自家末梢血幹細胞移植
(正答)d
問33. 各疾患の治療効果の判定方法について正しいのはどれか。2つ選べ。
a. 急性骨髄性白血病の完全寛解(CR):骨髄中の芽球が5%未満
b. 急性リンパ性白血病の完全寛解(CR):末梢血中の芽球が5%未満
c. 慢性骨髄性白血病の血液学的完全寛解(CHR):脾腫の有無は問わない
d. 慢性骨髄性白血病の細胞遺伝学的完全寛解(CCR):染色体が正常核型
e. 多発性骨髄腫における完全寛解(CR):血清遊離軽鎖(free light chain)κ/λ比の正常化
(正答)a, d
問34. 造血器腫瘍の治療に用いられる抗がん剤とその代表的な副作用の組み合わせで誤っているのはどれか。
(1) ダウノルビシン − 心機能障害
(2) レチノイン酸(ATRA) − 播種性血管内凝固症候群
(3) L-アスパラギナーゼ ― 肝炎
(4) サリドマイド − 深部静脈血栓症
(5) ボルテゾミブ − 末梢神経障害
a. (1)(2) b. (2)(3) c. (3)(4) d. (4)(5) e. (1)(5)
(正答)b
問35. 各疾患の予後に関する記述で正しいのはどれか。2つ選べ。
a. t(8;21)の染色体異常を有する急性骨髄性白血病は予後不良である。
b. FLT3変異を有する急性骨髄性白血病は予後不良である。
c. フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の予後は20年前とほとんど変わらない。
d. del(17p)の染色体異常を有する多発性骨髄腫は予後不良である。
e. 無症候性多発性骨髄腫は年1%の割合で症候性骨髄腫やアミロイドーシスに進展する。
(正答)b, d
参考:造血幹細胞移植入門(インデックス)
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