金沢大学血栓止血研究室便り(3)
金沢大学血栓止血研究室便り(2)より続く
血栓止血研究室(3)
当研究室は、一貫して「血栓症の克服」に向けて研究を進めています。
特に、播種性血管内凝固症候群(DIC)病態解析と治療法の改善、抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析・臨床、血栓性疾患の病態解析、凝固異常症の遺伝子解析は、私達が最も力を入れているところです。
DIC研究に関しては、ラットDICモデルを用いた検討を行ってきましたが、LPS誘発DICモデルと組織因子(TF)誘発DICモデルでは全く病態が異なり、前者は臨床の線溶抑制型DICに後者は線溶亢進型DICに類似した病態であることを指摘しました。
また、TFモデルは元来臓器障害を来しにくいモデルですが抗線溶薬を投与すると臓器障害が悪化すること、LPSモデルに対する抗線溶薬の投与は臓器障害をさらに悪化させること、LPSモデルに対するウロキナーゼの投与は臓器障害の進展を阻止することなどの事実から、DICにおける線溶活性化が病態と密接に関連することを報告してきました。
最近では、本来は他疾患に用いられている種々の薬剤が、DIC病態を軽快させるという興味深い結果が蓄積されています。
なお、日本血栓止血学会 学術標準化委員会(SSC)の「DIC部会」の部会長として朝倉が任ぜられ、また、森下、林は部会員に任ぜられています。
金沢大学としては日本におけるDICの臨床&研究における責任の重大さを感じているところです。
現在、DIC診断基準の改訂作業が、最も重要なテーマになっています。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33
| 血栓止血(血管診療)
金沢大学血栓止血研究室便り(2)
金沢大学血栓止血研究室便り(1)より続く
血栓止血研究室(2)
深部静脈血栓症や肺塞栓に関する臨床各科からのコンサルトも相変わらず多いです。
また、術後の深部静脈血栓症(DVT)発症を予防する目的としてフォンダパリヌクスや低分子ヘパリンであるエノキサパリンも、当院においても数多く処方がなされています。
今後、血栓止血領域において「予防治療」的な考え方がますます浸透していくと思っています。
現代に生きる人間は出血には強力ですが、血栓症にはとてももろい生物です。
その理由は紙面の関係で省略しますが、全人類が血栓症に対抗する方法を考える必要があると思っています。
個人的には、全人類が疾患の有無とは関係なく、弾性ストッキングを装着したり、抗血栓療法治療薬をサプリ的に内服するような時代がくるような気がしています。
健康的な観点のみならず美容的にもすぐれたオシャレな弾性ストッキングが、いろんな所で売られるそして皆が装着する、いわゆる「全人類 弾スト時代」が到来するのではないでしょうか。
さて、当研究室の医局員スタッフは学内外を合わせて計10人で、大学には、朝倉、森下、林、門平(敬称略)の計4人が在籍しています。
またこれまでに、薬学部修士課程大学院生13人との共同研究を行ってきました。
検査部との共同研究も継続されています。
研究助手の穴田は、長きにわたり研究室のため縁の下の力者として活躍してもらっており、彼女なしでは研究室は運営できないという状況にあります。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12
| 血栓止血(血管診療)
金沢大学血栓止血研究室便り(1)
近く発刊される金沢大学第三内科同門会報の記事からです。
今回は、 血栓止血研究室(血管診療グループ)の紹介です。
血栓止血研究室(1)
血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究・教育のテーマとしています。
血液および全身臓器に分布する血管を対象としますので、多くの他領域と関連が深いのが特徴です。
血栓止血学は血液内科の領域の一つと思われがちですが、「血管内科」と言った方がよりわかりやすいかも知れません。
最近の臨床現場での話題の一つして、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM、商品名:リコモジュリン)を昨年も書かせていただきましたが、現在も相変わらずホットな薬剤です。
保険適応は、播種性血管内凝固症候群(DIC)のみなのですが、その強い抗炎症効果が注目されて、多くの病態での応用が期待されています。
実は、某焼き肉チェーン店の食中毒で有名になった溶血性尿毒症症候群(HUS)でもrTMが多用されたそうです。
薬問屋のrTMが枯渇してしまったと聞いています。
HUSを担当された同門の主治医の先生から、抜群の効果であったとお聞きしました。
もう一つの大きな話題は、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)です。
心房細動に起因する心原性脳塞栓の予防として保険収載されました。
ダビガトランは、経口の抗トロンビン薬です。
心房細動に対しては長らくワルファリン(商品名:ワーファリン)が使用されてきました。
ワルファリンは第二次世界大戦の頃に開発された大変歴史のある薬剤です。
数十年以上にわたり処方されてきたということはそれだけ優れた薬剤であった訳ですが、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンには多くの問題点も指摘されてきました。
例えば、ビタミンKが豊富な食物(納豆など)を摂食できないこと、多数の他の薬剤との相互作用があること、毎回PT—INRによるモニタリングが必要なことなどです。
これに対して、ダビガトランは臨床試験の結果によりますと、ワルファリンと比較して効果、副作用の両面で勝っていました。
まさに、スーパーワーファリンとしての呼び声が高かったのですが、実際は必ずしもそうではなかったようです。お薬が広く使用されるようになりますと、臨床試験で使用されてきたような質を維持できないようです。
出血の副作用による死亡症例も出て、マスコミで話題になりました。
特に腎臓機能の悪い方、高齢者などで致命的な出血が報告されました。
ダビガトランは夢の新薬として期待された薬物のためマイナス報道は残念です。
優れた薬物は大切に育てる必要があると思っています。
このためには、やはりPT、APTTによるモニタリングが不可欠であろうと私たちは考えています。
今後、経口抗トロンビン薬のダビガトランに続き、経口抗Xa薬が続々と登場してきます(参考:抗トロンビン薬)。
やはり、モニタリング不要というスタンスではなく、しっかりモニタリングして、夢の新薬を大事に育てていく必要があると思っています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43
| 血栓止血(血管診療)
金沢大学血液・移植研究室便り(3)
金沢大学血液・移植研究室便り(2)より続く。
血液・移植グループ(3)
4-2.研究
欧米を中心として再生不良性貧血に対するウサギATG(サイモグロブリン)の治療効果に疑問が呈される中、山崎宏人は免疫病態の関与を示唆するPNH型血球陽性の再生不良性貧血患者に治療対象をしぼれば、サイモグロブリンの治療効果は従来のウマATGを用いたときと遜色がないことを報告しました。
高見昭良先生は博士研究員のLuis Espinoza先生、保健学系修士課程2年目の中田勝也さんとともに、NKG2DやIL-17などの免疫調整遺伝子多型が非血液ドナーからの骨髄移植の治療成績に影響を及ぼすことを明らかにしました。
任田早希さんはTNFαと密接に関連しているCD53のSNP解析を行い、移植後の再発率との関連を検討しています。山田佳代子さんは同種骨髄移植におけるGranzyme Bの抗腫瘍活性について検討しています。
NTT西日本金沢病院に出向中の岩城範子先生もLuis Espinoza先生の手ほどきを受けて研究を開始しました。
高松博幸先生は再生不良性貧血におけるモエシン抗体の意義を追う傍ら、「症例特異的プライマーを用いた多発性骨髄腫微小残存病変(MRD)の検出と予後に関する検討:保存骨髄塗抹・生検検体を用いたレトロスペクティブ研究」を多施設共同研究として開始しました。
MRD陰性の症例では長期生存の可能性があり、様々な新薬の登場によって飛躍的に治療成績が向上している多発性骨髄腫の臨床研究として注目されています。
日本成人白血病研究グループ(JALSG)の臨床研究への症例登録が伸び悩んでいる一方、山�はコアメンバーである大竹茂樹先生のご推薦をいただいてGML211委員会の委員に加わりました。
当教室出身の石山謙先生もメンバーの一人です。
臨床・研究・学生教育に加え新スタッフ獲得のためのリクルート活動など、相変わらず忙しい毎日ですが、病棟も実験室も活気が戻ってきました。
OBの先生方もどうぞお気軽にお立ちより下さい。
(文責:山崎宏人)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02
| 血液内科
金沢大学血液・移植研究室便り(2)
金沢大学血液・移植研究室便り(1)より続く。
血液・移植グループ(2)
4-1.研究
血液・移植研究グループの主な研究テーマは、中尾教授のライフワークである「再生不良性貧血の病態解明」と「造血幹細胞移植による難治性血液疾患の治療」です。
学内在籍メンバーの研究内容を紹介します。
造血不全の基礎研究スタッフはすっかり代替わりしました。
牽引しているのは博士研究員の片桐孝和さん(2011年11月より保健学科助教に就任)と大学院3年目の細川晃平先生です。
片桐さんは、一部の再生不良性貧血患者では6pUPD(UPD, uniparental disomy:片親由来の遺伝子が2本ある、みかけ上のloss of heterozygosity)によってある特定のアレルが欠失していることを見出し、これらのHLAの保有が再生不良性貧血の発症リスクとなっている可能性を指摘しました(Blood 2011;118:6601-9.)。
細川先生は再生不良性貧血における染色体異常(特に13q-)の意義や抑制性サイトカインであるTGF-βの意義について検討し、その一部は今年の4月に長崎で行われたJSH 国際シンポジウムで発表し注目を浴びました。
細川先生に弟子入りした(?)某先生は、自己免疫性骨髄不全に関与している遺伝子変異解析や、EBV関連リンパ増殖性疾患におけるNK細胞の細胞傷害活性の差を検討するためにNKG2D遺伝子多型解析に取り組んでいます。
再生不良性貧血の診断には骨髄の巨核球減少が重要な所見の一つです。
しかし、骨髄穿刺や骨髄生検のみで巨核球数の正確な評価をするのはしばしば困難です。
そこで、清木ゆう先生は巨核球造血を評価する新たなマーカーとして血漿トロンボポエチン(TPO)値に注目しました。
血小板数10万/μL未満の再生不良性貧血および骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象に血漿TPO値を測定したところ、免疫抑制療法(IST)が奏功する骨髄不全はTPO値が高く、high risk MDSはTPOが低値であることを見出し、血漿TPOの測定がISTの治療効果予測に役立つマーカーとなる可能性を報告しました。
我々が従来取り組んできたPNH型血球検出に並ぶ第二のマーカーとして期待されています。
医学系修士課程2年目の佐々木祐美さんは、PCRを用いたヒトアンドロジェンレセプターアッセイ(HUMARA)を用いて、6pUPD陽性幹細胞に由来する顆粒球がクローン性であることを示しました。
また、現在はクローン性造血とテロメア長短縮との関係を検討しています。
(続く)金沢大学血液・移植研究室便り(3)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53
| 血液内科
金沢大学血液・移植研究室便り(1)
近く発刊される金沢大学第三内科同門会報の記事からです。
今回は、 研究室紹介(血液・移植グループ)です。
血液・移植グループ(1)
1.新メンバー紹介
平成23年度の新メンバーは材木義隆先生です。
初期研修1年目の最初の3か月間、血液内科に配属になったことがきっかけで、血液診療に興味を持ってくれたようです。
「大きなバックにたくさんの論文や教科書を詰め込んで医局と病棟を行き来する勉強熱心な一面」と、「自ら医局の海水浴を企画する行動派」といった硬軟併せ持つ好青年です。
2.人事異動
NTT西日本病院での勤務の傍ら基礎研究に取り組んでいた高松博幸先生が、助教として大学に復帰しました。
また、学位を取得した大畑欣也先生が、助教に抜擢されました。研究室に新風を吹き込んでほしいと思います。
富山県立中央病院で2年間の後期研修を終えた丸山裕之先生が、初めての大学勤務となりました。
システムの違いに最初はとまどっていたようですが、あっという間に病棟の人気者になったようです。
保健学科修士課程1年目の任田早希さん、山田佳代子さん、ベトナム出身の留学生LY QUOC TRUNG先生が新戦力として基礎研究に参加しています。
学外では吉田喬先生が富山県赤十字血液センター所長に、塩原信太郎先生が石川県赤十字血液センター所長にそれぞれご就任され、北陸の血液内科診療を支えて下さっています。
また、中村忍先生もこの春から金沢に戻ってこられました。
大先輩の先生方には、これからも私たちをあたたかく見守っていただきたいと思います。
3.教官業務
第三内科では今年度より学生指導を持ち上がり制としました。
昨年、5年生のBSLを指導した小谷岳春先生は、彼らが進級後もクリニカルクラークシップを担当し交流を深めています。
新5年生を受け持った大畑欣也先生も、それに続けと学生さんたちを様々な研究会に動員してくれています。
1月から始まる臨床講義プラクチカント(4年生)の指導は高松博幸先生が担当予定です。
外来医長2年目の近藤恭夫先生は、教室全体の日常業務や当直の手配に日夜苦心しています。
医局長2年目の山�宏人は、パソコンの前に座っている時間がだんだん長くなってきています。
(続く)金沢大学血液・移植研究室便り(2)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05
| 血液内科
金沢大学呼吸器研究室便り(3)
金沢大学呼吸器研究室便り(2)より
平成23年度研究室だより
金沢大学呼吸器研究室(3)
3.肺癌グループ(LKグループ)
21世紀になって肺癌の薬物療法は飛躍的な変化を遂げた。
その第一が2002年に臨床応用された上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor, EGFR)阻害剤のゲフィチニブであろうと考えられる。
ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異陽性の肺癌には著効を示すが、陰性の症例にはほとんど効果がないことが、我々も参加したIPASS試験から明らかになっている。
一方で目覚ましい腫瘍縮小効果が得られても、1年弱ほどで耐性化し、次の治療法を選択しなければならない。
酒井先生はこの問題を基礎的な観点から挑戦し、cMetという蛋白の過剰発現が原因でEGFR阻害剤が耐性となった肺癌細胞株を用いて、細胞障害性抗がん剤であるイリノテカンの標的分子のTopoisomerase Iが過剰発現していることを見出し、イリノテカンが高感受性になることを見出した。
すなわちEGFR阻害剤になった肺癌はイリノテカンがよく効くという仮説を証明した。
この研究成果をもとに、現在黒川先生は、このcMet蛋白発現とTopoisomerase I蛋白発現の関連を普遍化すべく検討している。
イリノテカンは非小細胞肺癌のみならず、小細胞肺癌でもよく用いられている。
むしろ小細胞肺癌でこそ使用頻度が多く、cMet蛋白とTopoisomerase I蛋白発現の関連は興味深いところである。
池田先生はこの点に着目し、小細胞肺癌の生検材料を用いてcMetとTopoisomerase I蛋白発現の関連を解析中である。
臨床面では数多くの臨床試験に参加できるようになった。
前述のIPASSを含めたEFGR-TKIの臨床試験や新しい分子標的治療薬の臨床試験に参加し、症例をエントリーしている。
エントリー数ではまだトップとは言えないが、それでもBest 15には入るようになり、国立大学機構の中だけで数えるとトップ3には入るようになった。
これは病棟を担当している研修医、指導医、上級医、外来担当医がすべて一致協力してできたものと喜んでいる。
またグループ主導の臨床試験として、EGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌に対するErlotinibの有用性予測因子を探索する第II相試験、高齢者非小細胞肺がんに対するPEMとPEM+ベバシズマブの無作為化第II相試験、TS-1の維持療法の第II相試験など自主研究も行っている。
肺癌化学療法は個別化医療へと向かっていると考えられ、これに遅れないように皆、頑張っている。
(続く)
【関連記事】 咳嗽の診断と治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30
| 呼吸器内科
金沢大学呼吸器研究室便り(2)
金沢大学呼吸器研究室便り(1)より
平成23年度研究室だより
金沢大学呼吸器研究室(2)
慢性労作時呼吸困難を訴える患者の胸部単純X線写真(上画像)を示す。診断は何でしょうか?
肺疾患グループが研究をすすめている疾患の一つに“上葉優位型肺線維症”がある。
本症例は、下葉優位に線維化が起こる特発性肺線維症とは全く異なり、上葉の縮みが下葉に比して強いために、相対的に下葉が引っ張られ、下葉は一見過膨張しているかのように見えるため、いわゆるCOPDと誤診されて不要な加療を受けていることが多い。
しかし、胸部Xpをよく見ると、上肺野の外層に強い濃度上昇(apical cap)と肺門の拳上を伴っている。
もともと、網谷らによる“上葉限局型肺線維症”という概念があり、これは1)胸郭の極端な扁平化、2)病変は主に両肺上葉に限局、3)蜂窩肺とは異なる線維性嚢胞性病変の形成、4)病理学的には非特異的線維化像、5)高率に再発性の両側気胸を合併、6)進行性で、末期に真菌感染などをきたす、7)胸郭外病変の欠如、を特徴とする概念である。
近年上葉のみならず、下葉まで同様に外層主体に線維化をきたすが上葉優位であるものを広く“上葉優位型肺線維症”と言われる。
当科でも上葉優位型肺線維症を呈する症例を10数例経験している。
病理学的には気腔内線維化をきたし、無気肺様に外層より折りたたまれるように縮む症例を数例経験している。
原因としては、アルミニウム肺や造血幹細胞移植後に生じたと考えられる症例が数例あるが、原因不明である症例(特発性)も多い。
呼吸機能検査での最大の特徴は特発性肺線維症と比較すると、どちらも肺活量が低下するが、特発性肺線維症は残気量が減少するのに比して、本疾患ではHe希釈法による残気量が増加する。
また、肺プレスチモグラフ法を用いた残気量はさらに増加し、He希釈法による残気量と乖離を伴うため、一見、閉塞性細気管支炎様の所見に類似するが、実際はクロージングボリュームにて第IV相が欠如していることより、閉塞性細気管支炎ではなく息がはききれないことによる所見であることが確認された。
治療は現時点では有効なものがなく、徐々に進行して気胸や感染などを合併し、呼吸不全に至る症例が多い。
COPDとして治療されているうちに増悪する症例も少なくないことより、早期に本症例を疑い、正確に診断することが、今後の治療につながる第一歩と考える。
今後も本症例の病態、治療について検討していく予定である。
(続く)金沢大学呼吸器研究室便り(3)へ
【関連記事】 咳嗽の診断と治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10
| 呼吸器内科
金沢大学呼吸器研究室便り(1)
平成23年度研究室だより
金沢大学呼吸器研究室(1)
1.気道疾患グループ(BAグループ)
咳嗽は、きわめて普遍的な症状であり、医療機関の受診理由として最も頻度が高い症候の一つに挙げられている。
2011年に実施したWebアンケート調査では、我が国の総人口の10%程度が咳嗽を自覚しており、さらに8週間以上持続している者は2%程度存在するが、医療機関を受診している割合は21.2%に過ぎないことが明らかとなった。
その理由の一つに医療者側の咳嗽診療に関する認識不足が挙げられる。2011年10月に北国新聞に掲載された記事をみて、大学病院に駆け付けた患者の中には、30年〜40年も咳嗽で苦しんでいた人がいた。
我々のグループでは、1989年にアトピー咳嗽に関する最初の論文を発表して以来、それまでの喘息中心の研究からアトピー咳嗽を柱とした慢性咳嗽中心の研究にシフトしてきた。
20数年間の基礎的および臨床的研究によって、アトピー咳嗽は疾患概念として市民権を得るに至った(平成24年度の「今日の治療指針」に登場)が、同時に対比すべき咳喘息に関する基礎的および臨床的研究も実施してきた。
その結果、アトピー咳嗽と咳喘息の咳嗽発生機序を突き止めることに成功した(咳嗽の発生機序:咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群2)。
慢性咳嗽の原因疾患の病態が解明されてくれば、それぞれの病態に基づいた診断(病態的診断)が可能になり、現在の治療的診断から脱却できる。さらに難治症例に対する特異的かつ、より強力な治療薬の開発も必要である。これらの目標に向かって研究を重ねている。
(続く)金沢大学呼吸器研究室便り(2)
咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群(インデックス)
【関連記事】 咳嗽の診断と治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58
| 呼吸器内科
金沢大学第三内科同門会報:臨床講義録
近く発刊される金沢大学第三内科同門会報の記事からです。
今回は、臨床講義録です。
平成22年度 臨床講義録
臨床講義は、医学科4年生を対象に冬学期(1月〜2月)に行われます。
22年度の中尾教授担当臨床講義は、急性骨髄性白血病、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんにご協力をいただきました。
また、主治医の先生方には、患者さんの紹介や資料の準備等ご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
さて、私は平成22年度初めて臨床講義係を務めました。
ほぼ10年ぶりの“講義”に些か緊張して望みましたが、学生達の進行するプレゼンテーションの(それなりの)まとまり方に驚きました。
おそらくこの文章を読んでおられる多くの方と同様、自分が学生の時に講義を受けた記憶はほとんどありませんが(ちなみに私は平成14年卒です)、学生のうちにパワーポイントでプレゼンをするような機会はなかったと思います。
5年生で行う臨床実習でのプレゼンや、医師になってからの学会発表等のよい予行演習になっているのではないかと思われます。
また、インターネットでの文献検索やup to date、NCCN guidelineといった最新の医学情報へのアクセスも行えるようになっており、そういった疾患、治療の知識をまとめることも学生にとってよい経験になっています。
替わって十分でないと感じられるところは、やはり患者さんとの応答です。
特に診察は、実習では学生同士でやっているはずなのですが、ベッドサイドに行っても学生同士で相談したり、手順がバラバラであったりで、こちらのサポートがないと進められないことが多いようでした。
初期臨床研修制度が開始されてもうすぐ10年になります。
いわゆる入局が遅くなったわけですが入局希望者のリクルートはむしろ早まり、5年生を対象とした各医局の勧誘活動が盛んに行われています。
その点から言うと、臨床講義は入院患者を担当する若手〜中堅のDrと学生が初めてコンタクトをとる貴重な機会であると考えられます。
引き続き関係の方々のご協力をお願いいたします。
(平成22年度臨床講義係 大畑欣也)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14
| その他
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)互礼会(4)
金沢大学第三内科の新年互礼会(3)より続く。
互礼会の写真を合体してみました。
1年の始め、皆で顔を合わせるのは良い感じですね。
今年も頑張ります!
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57
| その他
金沢大学第三内科の新年互礼会(3)
金沢大学第三内科の新年互礼会(2)より続く。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16
| その他
金沢大学第三内科の新年互礼会(2)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04
| その他
金沢大学第三内科の新年互礼会(1)
平成24年1月5日(木)の昼休みに、金沢大学第三内科の新年互礼会が行われました。
ビールなどのアルコール飲料のように見えるものもありますが、全てノンアルコールですので念のため。
文章は必要ないと思いますので、画像のみアップさせていただきます。
(続く)
金沢大学第三内科の新年互礼会(2) へ
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49
| その他
後天性血友病A診療ガイドライン(治療):血栓止血学会
後天性血友病A診療ガイドライン(診断):血栓止血学会より続く。
日本血栓止血学会 からの後天性血友病A診療ガイドラインの紹介を続けます。
ここでは、要旨のみを紹介させていただきますが、診療にあたっては必ず全文を熟読していただければと思います。
今回は治療編です。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「後天性血友病A診療ガイドライン(治療) 」
著者名:田中一郎、他。:
雑誌名:
日本血栓止血学会誌 22: 295-322, 2011.
<要旨>(ほぼ論文からの転写です)
止血治療
8. 生命予後に直結する臓器出血もしくは貧血の進行をともなう軟部組織への出血に対しては速やかに止血治療を開始すべきである。
9. 止血治療として遺伝子組換え活性型凝固第VII因子製剤(
rFVIIa)もしくは活性系プロトロンビン複合体製剤(APCC)を第一選択とする。ただし、両製剤のうちどちらがより有効かをあらかじめ予想することは困難である。
10. インヒビター力価が低く、かつFVIII:Cが検出される場合にはDDAVPもしくは第VIII因子製剤の使用も考慮される(参考:
止血剤の種類)。ただし、その効果判定にはFVIII:Cを注意深くモニタリングする必要がある。
免疫抑制療法
11. 本症では重症、致死的な出血をきたすことがあり、診断後直ちに免疫抑制療法を開始すべきである。すなわち、重篤な出血はもちろん、軽度の出血ですぐに止血治療を必要としない場合でも免疫抑制療法を直ちに開始すべきである。
12.
免疫抑制療法はPSLの単独療法を基本とし、PSLの初期投与量は原則1mg/kg/日とする(保険適応あり)。
13. 患者の年齢や基礎疾患、インヒビター力価、出血症状、これまでの免疫抑制剤の使用歴などを勘案した上で、より強力な免疫抑制が必要であり、かつ、患者が忍容できると判断される場合には、
PSLとCPAの併用療法も考慮する。CPAは50〜100mg/日の経口投与を基本とするが、高齢者などで感染症などの副作用のリスクが高いと判断される場合にはCPAパルス療法も考慮する(保険適応なし)。
14. 妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性に対しては、CPAや他のアルキル化剤の使用を避けるべきである。
15. 免疫抑制療法の効果はインヒビター力価の低下の程度を最も重視する。すなわち、治療開始後、順調にインヒビター力価が低下する場合は適時投与量を漸減するが、4〜6週間たってもインヒビター力価が低下しない場合は、薬剤の追加や変更を考慮する。
16. PSLとCPA以外の免疫抑制剤は、CyA、AZP、rituximabなどの中から選択する(保険適応なし)。また、高用量γグロブリン製剤の単独投与あるいは併用は推奨されない。
17. 本症の死因の約半数は感染症に起因するとの報告があり、免疫抑制療法中は免疫機能を十分に評価しながら、感染症の予防ならびに早期発見に努めるべきである。
18. 治療終了後に再燃をきたす症例が報告されており、寛解後も長期にわたる慎重なフォローアップが勧められる。
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16
| 出血性疾患
後天性血友病A診療ガイドライン(診断):血栓止血学会
日本血栓止血学会から、後天性血友病A診療ガイドラインが出ました。
ここでは、要旨のみを紹介させていただきますが、診療にあたっては必ず全文を熟読していただければと思います。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「後天性血友病A診療ガイドライン(診断) 」
著者名:田中一郎、他。:
雑誌名:
日本血栓止血学会誌 22: 295-322, 2011.
<要旨>(論文からの転写です)
1. 本症の診断ならびに治療は専門家の指導のもとで行われることが望ましい。すなわち、突然の出血症状とともに
APTTのみが延長(血小板数正常、
PT正常)し、さらにFVIII:Cの低下を認めた場合は本症を疑うことが重要である。さらに、必要であれば、専門家へコンサルトすることが勧められる。ただし、出血症状が重篤であり、すぐにFVIII:Cや
第VIII因子インヒビター(以下、インヒビター)の結果が得られない場合はAPTTのみ延長の段階で専門家にコンサルトもしくは搬送することが望ましい。
2. APTT延長、FVIII:Cの低下に加え、インヒビターが陽性であれば、本症が強く疑われる。ただし、確定診断のためには、VWFの低下および
ループスアンチコアグラントの存在を否定する必要がある。
3. インヒビターが検出された時点で明らかな基礎疾患がなくてもその後に基礎疾患が判明する場合があるので、絶えず自己免疫疾患や悪性腫瘍の存在に留意すべきである。
4. 先天性
血友病Aと異なり、本症では臨床的重症度とFVIII:Cは一致しない。そのため、FVIII:Cが検出された場合でも重篤な出血を起こす可能性があることに留意すべきである。
5. インヒビターのFVIII:C抑制作用は時間および温度依存性であるため、APTT
クロスミキシング試験を行う場合は
混和直後と37℃で2時間孵置後の両方の測定を行うことが推奨される。
6. インヒビター力価を測定する際にはあらかじめ被検血漿を56℃で30分間孵置し、血漿中に存在する第VIII因子を不活化することが勧められる。
7. タイプIIインヒビターの力価測定法はいまだ標準化されておらず、インヒビター力価を重症度の絶対的な指標としない。むしろ、免疫抑制療法の効果判定のための検査として評価した方がよい。
(続く)
後天性血友病A診療ガイドライン(治療):血栓止血学会 へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06
| 出血性疾患
血栓止血学会SSCシンポジウム:DIC部会
日本血栓止血学会の
学術標準化委員会(SSC)シンポジウムが、下記のごとく開催されます。
日 時:平成24年1月21日(土) 9:20〜16:20
会 場:東医健保会館
その中で、
DIC部会のプログラムをご案内させていただきます。
SSCシンポ(2012.1.21)
「DICの多様性」13:50〜16:20
I部:座長 朝倉英策、窓岩清治
1)
DICおよびその関連疾患におけるADAMTS13、von Willebrand Factor (VWF) ならびにVWF propeptide のプロファイル
波部幸司、水谷 仁(三重大学 皮膚科)、松本剛史(三重大学 輸血部)、池尻 誠、和田英夫、登 勉(三重大学 検査医学)
2)
急速進行性の固形癌のDICをどうするか?
関 義信(新潟県立新発田病院 内科)、若木邦彦(同 病理検査科)
3)
外傷直後の凝固障害の知見に関する混乱
〜プロテインCの活性化が原因か?〜
早川峰司、丸藤哲(北海道大学病院 先進急性期医療センター)
4)
肝虚血再灌流時に発症する肝障害とDICの病態におけるHMGB1の関与とrTMの治療効果
岡本好司(北九州市立八幡病院 外科、産業医科大学 第1外科)、田村利尚、長門 優、日暮愛一郎、山口幸二(産業医科大学 第1外科)
II部:座長 岡本好司、関 義信
5)
造血器腫瘍に関連したDICの病態
池添隆之(高知大学医学部血液・呼吸器内科)
6)
APLに合併したDICに対する臨床的分析とrTMの治療効果
川杉和夫、山本義(帝京大学医学部内科学講座)
7)
DICにおける出血傾向:線溶異常と低フィブリノゲン血症の関与
内場光浩(熊本大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と摘脾
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する
摘脾のありかたについての論文を紹介させていただきます。
この論文は、必ず実際に論文を全てお読みいただくことをお願いしたいと思います。管理人は、大変に勉強させていただきました。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「成人ITP治療のrisk-benefitについて(脾摘) 」
著者名:高木省治郎、他。
雑誌名:臨床血液 52: 1751-1758, 2011.
<論文の要旨>
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者における脾摘は、血小板減少に対し有用な治療法ですが、長期的な臨床効果や合併症については必ずしも満足すべきものではありません。
一般的に
脾摘による臨床効果は若年者において良好とされるため、特に、
妊娠、出産の可能性のある若年の女性では脾摘が考慮される一方、
高齢者では脾摘による副作用や若年者に比べその臨床効果が低いことから、他の治療が優先されるべきかもしれません。
しかし、脾摘の効果判定基準や年齢区分が報告によって異なりますので、脾摘の効果をより高く期待できる年齢を明確にすることはできません。
逆に、脾摘時期が若年であればある程、脾摘による長期の合併症の頻度も高くなる可能性があります。
残念ながら、現時点では脾摘のベネフィットとリスクを正確に評価することは極めて困難です。
今後、さらに血小板数に対する効果のみならず、血管性合併症や動脈硬化等を視点に入れた疫学研究や臨床的検討が日本でも必要であり、長期的な視点のもとで脾摘のベネフィットとリスクを評価することが重要と思われます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とステロイド治療
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するステロイド治療のありかたについての論文を紹介させていただきます。
この論文は、必ず実際に論文を全てお読みいただくことをお願いしたいと思います。管理人は、大変に勉強させていただきました。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「成人ITP治療のrisk-benefitについて(コルチコステロイド)」
著者名:高木省治郎、他。
雑誌名:臨床血液 52: 1751-1758, 2011.
<論文の要旨>
日本の成人成人
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)のガイドラインでは、
コルチコステロイドの維持量はプレドニゾロン換算で5〜10mg/日にすべきとされています。
しかしながら、推奨維持量でも副作用が発現する可能性があり、慎重なベネフィットとリスクの評価が必要です。
特に高齢者のITP患者が増加している現在では、
コルチコステロイド投与による骨折の合併は患者のQOLを著しく低下させ、患者にとって大きなリスクとなります。
たとえ少量のコルチコステロイドで血小板数が安定していても、漫然と長期投与は行うべきではありません。
コルチコステロイド投与後に無治療で血小板数を維持できない、あるいは血小板数を3×10
4/μl以上に維持するために少なくとも2ヵ月間のコルチコステロイドの継続投与が必要な場合には、コルチコステロイド投与の中止、減量を検討すべきです。
しかしながら、コルチコステロイドを継続投与せざるをえない場合には、コルチコステロイド投与のリスク軽減を図るべきです。
例えば、
コルチコステロイドによる骨粗鬆症の予防として、
1.禁酒
2.禁煙
3.適正な体重の維持
4.適度な運動(少なくとも週3回、30分以上)
5.転倒防止
6適.度なカルシウム(少なくとも1500mg/日)とビタミンDの摂取
7.ビスホスホネート製剤の投与
を行います。
ビスホスホネート製剤であるalendronateとrisedronateは、コルチコステロイドによる骨粗鬆症の予防の第一選択薬としてコルチコステロイド投与開始時から併用すべきとされています。
コルチコステロイドで治療されているITP患者への、6〜12ヵ月間のビスホスホネート製剤の投与で、有意な骨量の増加が期待できます。
このようなリスク軽減策をとりながら、コルチコステロイド投与のベネフィットとリスクを常に念頭において治療することが大切です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11
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インヒビター保有血友病と活性型プロトロンビン製剤予防投与
インヒビター保有の血友病患者に対する活性型プロトロンビン製剤の予防投与の是非に関して論じた、N Engl J Med の論文を紹介させていただきます。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「インヒビター保有血友病患者に対する活性型プロトロンビン製剤の予防投与 」
著者名:Leissinger C, et al.
雑誌名:N Engl J Med 365: 1684-1692, 2011.
<論文の要旨>
重症血友病Aに第VIII因子インヒビターを発症しますと、重症の出血をきたし関節症が進行しやすくなりますが、その治療法はまだ確立していません。
著者らは、高力価インヒビター保有血友病A(2歳以上、バイパス製剤使用中)を対象に、前向き無作為交差試験を行いました。以下2群間の比較を行いました。
I群:
活性型プロトロンビン複合体剤(AICC)85単位/kgを週に3回
予防投与(6ヵ月間)
II群:
出血時にAICC 85単位/kg投与(6ヵ月間)
両治療間に、3ヵ月間の休薬期間をもうけました。
34症例が登録され、26症例では両群の治療が行われました。
I群においてはII群と比較して、全出血エピソードが62%低下(P<0.001)、関節症が61%低下(P<0.001)、標的関節の出血(6ヶ月の治療期間中単節関節における関節血症が3回以上)が72%減少(P<0.001)しました。
少なくとも1回のAICC輸注が33症例において行われましたが、1例においてアレルギー反応をおこしました。
以上、
インヒビター保有の重症血友病Aに対して、AICCの予防投与は有効かつ安全な治療法と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07
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血液専門医テキスト & 血栓と止血の臨床:学会編
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34
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後天性血友病A:検査血液学会
後天性血友病は、血液内科で診療(あるいはコンサルト)されることが多いかもしれませんが、多くの領域から関心の持たれる疾患です。
具体的には、臨床検査医学、薬剤部、膠原病内科、産婦人科など多くの領域から注目される疾患です。今回紹介させていただく論文は、
日本検査血液学会雑誌に掲載された論文です。
発生頻度は年間人口100万に対して1.5人というのは、かなりの過少評価ではないでしょうか。本疾患であったにもかかわらず診断されなかった、いわゆる「隠れ後天性血友病A」の症例がそれなりにいらっしゃるのではないかと推測しています。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「後天性血友病A」
著者名:西屋克己、他。
雑誌名:日本検査血液学会雑誌 12: 305-311, 2011.
<論文の要旨>
後天性血友病Aは、悪性疾患、自己免疫疾患や妊娠などを基礎として、これまでに出血歴や家族歴がない患者に、後天性に第VIII因子に対する自己抗体(インヒビター)が発生し、重篤な出血症状を呈する疾患です。
発生頻度は年間人口100万に対して、1.5人と報告されていて、年齢分布は、60〜70歳台に第1のピークと、20〜30歳台に第2の小さなピークが認められます。
後天性血友病Aの出血症状は、皮下出血や筋肉内出血が多く、先天性血友病Aに認められるような関節内出血は少ないです。
治療には、急性出血に対する止血療法と、インヒビターの消失を目的とした免疫抑制療法があります。
止血療法には、バイパス止血製剤である活性型プロトロンビン複合体製剤と、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の2種類があります。
免疫抑制療法では、プレドニゾロン単独か、シクロフォスファミドの併用が行われることが多いです。
近年、リツキシマブの使用も注目されています。
後天性血友病Aは、わが国でもその認識が高まりつつあり、今後さらに症例数も増加するものと思われます。
しかしながら、その発症機序や病態は不明な点も多く、さらなる病態解明が望ましいです。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21
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ステロイド投与中の後天性血友病発症:自己免疫水疱症
第VIII因子インヒビター(後天性血友病)は、近年なにかと話題になりやすい重要疾患です。
自己免疫性疾患に合併することもあるため、ステロイド投与中のこともあると思いますが、ステロイド投与中であっても後天性血友病を発症するようです。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「著明な筋肉内血腫をきたした後天性血友病の1例」
著者名:高橋有我、他。
雑誌名:日本内科学会雑誌 100: 3052-3054, 2011.
<論文の要旨>
83歳、男性、既往に
水疱性類天疱瘡があり、プレドニゾロン10mg/日内服中でした。
誘因なく右下肢の筋肉内血腫が生じ、続いて側腹部および前腕の紫斑を認めました。
第VIII因子インヒビターが検出され、
後天性血友病と診断されました。
プレドニゾロン1mg/kg/日とともに活性型第VII因子製剤(
ノボセブン)を併用しました。約1ヵ月後にインヒビター活性が消失、
APTTは正常化しました。
自己免疫性水疱症に後天性血友病を合併した稀な症例と考えられます。
後天性第VIII因子インヒビターを生じた症例のうち基礎疾患を有する割合は69%であり、中でも自己免疫疾患が24%と最も多く、次いで悪性腫瘍19%、糖尿病9%がこれに続くとされています(嶋先生の報告)。
発症前の使用薬剤では副腎皮質ホルモン剤の使用頻度が高いです。
本症例でも水疱性類天疱瘡に対し、プレドニゾロン10mg/日が投与されていたにも拘わらず、インヒビターの発生をみています。
本邦において自己免疫水疱症に後天性血友病を合併した報告は著者らの例を含め27例(内訳:水疱性類天疱瘡17例、尋常性天疱瘡9例、後天性表皮水疱症1例)であり、本疾患が認知されるにつれ、ここ数年報告が増えています。
後天性血友病の特徴として、出血部位が皮下や筋肉内であることが多いです。
本症例でも、腸腰筋出血がみらましたが、体内深部の出血の進行を評価することが困難でした。
このためHb値を指標とし、回復傾向となる第9病日まで活性型第VII因子製剤を使用しました。
後天性血友病は本症例のような比較的少量の副腎皮質ステロイドを使用されている場合にも生じ、凝固異常を伴う突然の出血傾向を認めた際は、本疾患も鑑別する必要があります。
また、高度の貧血や進行性の出血症状に対するバイパス療法と、インヒビター産生の抑制のため早期からの適切な免疫抑制療法が治療上重要です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44
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von Willebrand病と過多月経&出産時出血
von Willebrand病(VWD)女性における
過多月経におよび出産時出血について論じた論文を紹介させていただきます。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「von Willebrand病(中等症〜重症)における婦人科的および出産時出血」
著者名:De Wee EM, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 106: 885-892, 2011.
<論文の要旨>
中等症〜重症のvon Willebrand病(VWD)における婦人科的および出産時の出血調査が、オランダで開始されました。
女性423症例(16歳以上)が登録されました。出血の重症度は、 Tosetto Bleeding (BS)で評価されました。
その結果、
過多月経は81%の症例で認められました。
全VWD女性のうち78%の症例では、過多月経に対して何らかの治療をうけており、20%の症例では主として重症の過多月経のために子宮摘出術が行われていました。
過半数の症例においては、出産時の異常出血がみられていました。
報告された妊娠のうち52%において、出血が原因のため掻爬術が行われていました。
挙児に到った平均数は1.9人であり、一般オランダ人と同様でした。
以上、中等症〜重症のVWDにおいては治療を要する過多月経が高頻度にみられ、20%では子宮摘出術が行われていた。
過半数を越える症例では出産時の異常出血または流産がみられました。ただし、出生数には影響がないものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:04
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VWDの過多月経とIL-11治療
von Willebrand病(VWD)女性における
過多月経に対して、遺伝子組換えIL-11(rhIL-11, Neumega)による止血治療を行った臨床試験の結果を報告しています。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「軽症VWDに不応性過多月経をきたした女性に対するIL-11治療(第II相臨床試験)」
著者名:Ragni MV, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 106: 641-645, 2011.
<論文の要旨>
von Willebrand病(VWD)女性における過多月経の治療は、いまだ満足すべきものがありません。
著者らは、このような症例に対する
遺伝子組換えインターロイキン-11(rhIL-11, Neumega)の効果と安全性を検討しました(単施設での第II相臨床試験)。
対象は、止血薬やホルモン薬に不応性の過多月経がみられる軽症VWD7例であり、月経周期6回に際して最長7日間のrhIL-11皮下注が行われました。
その結果、
rhIL-11の投与によって、月経時出血の重症度は低下しました(pictorial blood assessment chart <PBAC>で評価)。
rhIL-11の投与により、血漿VWF:RCo活性は1.1倍となりましたが、PBAC、出血日数、周期の重症度、高感度CRPとは相関しませんでした。
血小板内のVWF-mRNAの発現は平均4 倍(1.0〜13.5)となりました。
副作用として、軽度浮腫、顔面紅潮、結膜充血、局所の紫斑がみられましたが、許容範囲内でした。
以上、rhIL-11は、軽症VWDにおける過多月経を安全に軽減し、さらなる検討の価値があるものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37
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VWFプロペプチド(VWFpp)とvon Willebrand病診断
von Willebrand病(VWD)の診断を行う上で、VWFプロペプチド(VWFpp)の有用性を論じた報告を紹介させていただきます。
(参考)
血友病、
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター
「VWFプロペプチドによる評価はvon Willebrand病診断を向上させる 」
著者名:Casonato A, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 37: 456-463, 2011.
<論文の要旨>
von Willebrand病(VWD)のなかには、von Willebrand因子(VWF)の半減期が短かくなる病型が存在することが知られるようになりました。
VWFの半減期は、従来はデスモプレシン(DDAVP)負荷試験により検査されてきました。
最近では、
VWFプロペプチド(VWFpp)を測定することが可能となり、この方法であれば特に負荷試験を行うことなく、1回の採血でVWFの代謝を知ることができます。
すなわち、VWFの半減期が短くなると血中VWFpp濃度は上昇します。
また、VWFpp/VWF抗原比(VWFpp比)の算出は、DDAVP負荷試験の代わりとなるVWF代謝を評価する方法です。
VWD1型においてはVWFの量的な欠損でありVWFpp比は正常です。
VWD2B型においてはVWF半減期は短縮しており、VWFpp比は上昇しています(VWFpp比とVWF半減期は負の相関となります)。
以上、VWFpp比を測定することによりVWFの半減期を評価することは、VWDの病態を正しく把握するのみでなく、最も適した治療法を選択する上でも有用です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48
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APCインヒビターと血友病A患者トロンビン形成能
血友病A患者の止血治療は、第VIII因子製剤による補充療法が基本ですが、発展途上国では補充療法がままなりません。
今回紹介させていただく論文は、その代替え治療に関する検討です。
(参考)
後天性血友病、
PT-INR、
APTT、
第VIII因子インヒビター)。
「APCインヒビターは、血友病A患者の全血および血漿におけるトロンビン形成能を是正する 」
著者名:Brummel-Ziedins KE, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 2262-2267, 2011.
<論文の要旨>
血友病患者に対する補充療法は費用がかかり、また発展途上国の多くでは入手困難です。
著者らは、血友病治療に用いることができる低分子量の薬剤を開発し評価しました。
その薬剤は、
PNASN-1という合成薬剤であり、
活性化プロテインC(APC)に対するインヒビター活性を有しています。
APTT法によるAPCレジスタンス測定においては、PNASN-1はAPCの作用を部分的に中和しました。
トロンボグラフィーでは、PNASN-1はAPCによる正常血漿および第VIII因子欠乏血漿(FVIII:C<1%)におけるトロンビン形成抑制作用を中和しました。
血友病A症例(FVIII:C<1〜51%)の新鮮全血を用いた組織因子誘発のアッセイでは、トロンビン形成能を増加させました(78nmから162nmへ)。
このレベルは健常人における結果(201nm)に迫るものでした。
また、PNASN-1は血友病A全血における凝血壊の重量を47%増加させました。
以上、
特異的APCインヒビター(PNASN-1)は、第VIII因子欠損状態における凝血能を有意に代償するものと考えられ、血友病治療へ応用化の可能性があるものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27
| 出血性疾患
血友病A:VWF含有血漿由来第VIII因子製剤と免疫寛容療法
血友病A患者でインヒビター(参考:
第VIII因子インヒビター)が出現しますと、第VIII因子製剤の効果が激減しますので、その対策は重要です。
最も本質的な治療は、インヒビターを消失させることですが、
免疫寛容導入療法(ITI)がその目的を果たせる治療として知られています。
ITIに使用する製剤は何が良いのでしょうか。
今回紹介させていただく論文は、血漿由来第VIII因子製剤(VWF/pd-FVIII)製剤の意義を論じています(参考:
後天性血友病、
PT-INR、
APTT)。
「血友病AにおけるVWF含有血漿由来第VIII因子製剤を用いた免疫寛容導入療法 」
著者名:Kurth M, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 2229-2234, 2011.
<論文の要旨>
重症
血友病A患者におけるインヒビター発症は重大な合併症です。
免疫寛容導入療法(ITI)は、インヒビターを消失させる本質的な治療です。
ITIに用いる濃縮製剤の種類、特にvon Willebrand因子(VWF)含有の
血漿由来第VIII因子製剤(VWF/pd-FVIII)製剤の意義は不明です。
著者らは、VWF/pd-FVIIIの1剤のみを使用してITI(初回治療および救済治療)を行った臨床試験について後方視的にデータを集積しました。
対象は米国の11施設においてITI目的にVWF/pd-FVIIIの輸注を受けた血友病インヒビター保有症例です。
初回ITIが行われた8症例では、75%において完全または部分的に成功しました。
2回目のITIが行われた25症例では52%において完全または部分的に成功しました。
以上、
初回または救済ITIを行うに際しVWF/pd-FVIIIは有効と考えられましたが、特にITIに対する反応が不良の症例において考慮すべき治療ではないかと考えられました。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55
| 出血性疾患
血友病Aにおける手術とインヒビター
血友病A患者に対する強力な補充療法は、
第VIII因子インヒビター発症の危険因子であることが知られています。
これに手術の影響を加味するとどうなるかを検討した論文を紹介させていただきます(参考:
後天性血友病、
PT-INR、
APTT)。
「血友病Aにおける手術とインヒビター発症(Systematic review) 」
著者名:Eckhardt CL, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 9: 1948-1958, 2011.
<論文の要旨>
血友病A患者に対して強力な補充療法を行うと第VIII因子インヒビターを発症しやすいことが知られていますが、手術の関与の有無は不明です。
手術に伴う組織損傷に起因する免疫学的な危険シグナル(高濃度の第VIII因子抗原血症の状態で)は、第VIII因子に対する抗体産生を誘発する可能性があります。
著者らは、第VIII因子製剤投与下の外科手術におけるインヒビター出現のリスクを、出血時の補充療法および予防投与の場合と比較しました(systematic review)。
対象は血友病A 957例で、342例はインヒビターを保有していました(cohort study 4, case control study 3)。
その結果、強力な補充療法はインヒビター発症リスクを上昇させ、特に5日間以上の強力治療は3日間未満に比較して明らかに上昇させました(OR 4.1)。
手術時に初めて強力な治療が行われた重症血友病Aのインヒビター発症を、出血時の補充療法や予防治療と比較するとオッズ比は4.1となりました。
以上、
血友病A患者に対する手術時の強力な補充療法は、特に初回治療例においてインヒビター発症のリスクを高めるものと考えられました。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27
| 出血性疾患
イピリムマブと後天性血友病A
後天性血友病の基礎疾患はいくつか知られていますが、今回のN Engl J Medの論文では、 イピリムマブにより第VIII因子インヒビターが出現した症例を報告しています(参考:
後天性血友病、
PT-INR、
APTT)。
「イピリムマブによって誘導された後天性血友病A」
著者名:Delyon J, et al.
雑誌名:N Engl J Med 365: 1747-1748, 2011.
<論文の要旨>
イピリムマブは、細胞障害性Tリンパ球抗原4(CTLA 4)に対するモノクローナル抗体であり、転移性悪性黒色腫の予後を改善することが知られています。
転移性悪性黒色腫症例(42歳男性)が、化学療法などによる加療が行われましたが、病状が進行するために、イピリムマブ(3mg/kg、3週毎)による加療が行われました。
4回目の投与の数日前に、肉眼的血尿が観察されました(膀胱転移部位からの出血)。
血液検査より、
第VIII因子インヒビター(26B.U.)の存在が確認されました。
ステロイドによる免疫抑制療法と遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:
ノボセブン)による止血治療が行われました。
固形癌は
後天性血友病Aの原因となることがありますが、悪性黒色腫での報告は皆無です。
イピリムマブは、種々の免疫関連有害事象(大腸炎、下重体炎、甲状腺炎、肝炎、腎炎)を誘導することが知られていますが、後天性血友病の発症もありうるものと考えられました。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38
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インヒビター保有血友病とバイパス製剤併用療法?
血友病にインヒビターを発症した場合の止血治療としては、バイパス製剤があります(参考:
後天性血友病、
PT-INR、
APTT)。
バイパス製剤である遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:
ノボセブン)または活性型プロトロンビン複合体製剤が止血に有効な場合が多いですが、時に無効な場合があります。
そのような場合は、両薬剤を併用すれば良いのでしょうか?
「インヒビター保有血友病に対するバイパス製剤の併用療法」
著者名:Ingerslev J, et al.
雑誌名:Br J Haematol 155: 256-262, 2011.
<論文の要旨>
血友病患者におけるインヒビターの発症は、最も重大な合併症です。
インヒビター保有の血友病患者の多くでは、バイパス製剤(活性型プロトロンビン複合体製剤、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤 rFVIIa:
ノボセブン)が止血に有効ですが、一部の症例においては、いずれか一剤または両バイパス製剤ともに無効のことがあり、そのような場合には両バイパス製剤の併用(同時投与または一剤の後に他の一剤を連続投与)を行うことにより止血に成功することがあります。
しかし、バイパス製剤の併用は、血栓塞栓症を発症させる懸念があります。
著者らの調査の結果、バイパス製剤の併用療法に関するものが17文献あり、インヒビター保有の49症例(後天性血友病9例、先天性血友病でのインヒビター40例)のデータが集積されました。
その結果、
バイパス製剤の併用療法では血栓塞栓症の合併が高頻度でした。
後天性血友病9例中5例、先天性血友病40例中5例において血栓塞栓症がみられ、全体で4例が死亡した。
以上、インヒビター症例に対してバイパス製剤の併用は有効ではあるものの、血栓症の合併症を明らかに増加させるものと考えられた。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20
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