金沢大学 血液・呼吸器内科(旧三内)女性医師からのメッセージ
第6回 血液・呼吸器内科(旧第三内科)茶話会のご案内
対象:医学部 4〜6年生(男性もOK)
日時:7月1日(木)17時から(1時間程度)
場所:第三内科医局
連絡先:杉森尚美まで(TEL:076-265-2276)email: info@3nai.jp
● 女性医師ってどんな風に働いてるの?
● 結婚や出産した後に仕事なんてやっていけるの?
● 仕事と家庭の両立ってできるの?
医師を目指す女性なら誰もが抱く不安。
それなのに、誰もアドバイスなんかしてくれませんでした・・・。
でも、今は違います!
女性医師がぐっと増えた、金沢大学 血液・呼吸器内科では、いろんな試みにチャレンジしながら、この不安に応えようとがんばっています。
それでもまだまだ発展途上。
これから医師になる皆さんのアイデアで、今後もどんどん改善していきましょう!
女性医師の仕事の仕方や余暇の過ごし方、今後のこと・・・などなど、
ケーキを食べながら気軽にお話ししてみませんか?
連絡先:杉森尚美まで
TEL:076-265-2276
email: info@3nai.jp
第5回 血液呼吸器内科茶話会(旧:ケーキの会) ← クリック(第5回目の様子をご覧いただけます)
関連記事:
金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)女医会
第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科
仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師(日本血液学会)
女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い
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研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:19
| 女性医師(当科)からのメッセージ
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軽症血友病Aについて
血友病に関して、軽症の症例が問題になってきているということは、それだけ血友病の治療が発展してきたということの裏返しなのかも知れません。
最近、軽症の血友病に関する論文が少なくないように感じています。
「軽症血友病Aについて」
著者名:Franchini M, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 8 : 421-432, 2010.
<論文の要旨>
軽症血友病A(HA)は、臨床症状と第VIII因子活性(0.05〜0.40 IU/mL)より診断されます。
軽症HAに特徴的な遺伝子変異が知られており、臨床症状は重症HA(自然出血やくり返す関節内出血)とは異なります。
軽症HAは加齢とともに癌や心血管疾患を合併するようになりますと、その管理が問題となります。さらに、軽症HAであってもインヒビターを発症しますと、出血症状は重症化し管理が困難になります。
軽症HAにおいては、小出血や小手術の際にデスモプレシンや抗線溶薬(トランサミン)でも充分なことがありますが、大出血や大手術の場合は第VIII因子製剤が必要となります。
インヒビターを発症した症例に対してはバイパス製剤(ファイバ、ノボセブンなど)が出血に対して有効ですが、免疫寛容療法に関しては軽症HAでのデータは乏しく一定の見観はありません(参考:後天性血友病)。
リツキシマブは、インヒビターを消失させる治療として最近期待されています。
軽症HAに関してはいろんな点で不明な部分が多く、分子生物学、自然経過、適切な診断法&治療戦略についての検討が必要です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:24
| 出血性疾患
非血友病小児患者に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、第VIII因子インヒビター(先天性血友病におけるインヒビター、後天性血友病)に対して保険が通っています。
ただし、日本のみならず、全世界的に適応外使用がなされているという現状があります。
これは、あらゆるタイプの出血に対して、優れた効果を発揮するためではないかと思います。
今回紹介させていただく論文は、小児の非血友病に対しても、rFVIIaが有効であったことを報告しています。
「非血友病小児患者における止血治療薬としての遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)」
著者名:Chuansumrit A, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21 : 354-362, 2010.
<論文の要旨>
著者らの施設では、非血友病小児患者103例(新生児9例、乳児16例、それ以上の小児78例)の108回の出血に対して、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)による加療が行われましたが、それら症例について後方視的検討が行われました。
出血は2群に分類されました。
1群:
血液製剤に反応しない血小板数減少および凝固異常に起因する進行性大量出血に対して治療を行った群(デング熱、致命的な術中、術後出血:n=86)。
2群:
凝固異常を伴う慢性肝疾患を有した患者、および前もった出血傾向はないものの基礎疾患のために出血のリスクが高いと考えられた患者における、観血的処置時の出血予防治療を行った群(n=22)。
1群における止血効果は、2群よりも有意に劣っていました。
また、rFVIIaの使用量は、1群においては2群の2倍でした。出血または基礎疾患による全体での死亡率は、31.1%(32/103)でした。rFVIIaの投与を受けた3例(2.9%)において有害事象がみられました(心疾患に対する術中・術後出血に、rFVIIaを使用した症例)。
以上、血友病でなくとも、小児における止血管理目的に、rFVIIaは安全かつ有効と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56
| 出血性疾患
アミロイドーシスと後天性第X因子欠損症
アミロイドーシスでは、出血傾向をきたすことが知られています。
その機序に関しましては、まだ完全に解明されていないと思いますが、1)第X因子活性が低下する(血液凝固第X因子のアミロイド繊維への沈着)、2)線溶活性化がみられる、といった報告が見られています。
今回紹介させていただく論文は、アミロイドーシスの止血管理に関するものです。
「全身性ALアミロイドーシスにおける後天性第X因子欠損症(周術期の出血リスクと治療効果:60症例での検討)」
著者名:Thompson CA, et al.
雑誌名:Am J Hematol 85: 171-173, 2010.
<論文の要旨>
全身性ALアミロイドーシスにおいては、後天性第X因子欠損症を合併することが知られていますが、この凝固異常に対する適した管理法は知られていません。
著者らは、観血的治療が必要となった第X因子活性低下(50%以下)を伴ったALアミロイドーシス60症例(1975〜2007年)について検討を行っています。
第X因子活性の低下度により、重症(<10%;n=6)、中等症(10〜25%;n=15)、軽症(26〜50%;n=39)に分類されました。
観血的処置合計122回のうち、19回(17%)において周術期に止血剤による治療が行われました。14回(13%)の処置時に合併症がみられました(出血12回、血栓症1回、死亡1回)。
第X因子活性の基礎値によって、出血を予知することはできませんでした。処置後の出血と唯一関連がみられたのは、中心静脈カテーテル留置術でした。しかし、軽症または中等症において血管とは関連のない処置を行う場合は、出血の合併症は比較的低頻度でした。
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)は、大出術時の止血管理に有効である可能性がありますが、今後検討課題です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:35
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金沢大学公開講座が行われました。
金沢大学公開講座「健康寿命を伸ばそう(Part2)」が、行われました。
質問タイムでは、次々と多くの質問が出て、エンドレスになるのではないかという勢いでした。
市民の皆様の健康に対する強い関心が感じられました。
上画像は、熱い語りの、森下英理子医師(金沢大学血液内科)の講演の状況です。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 23:17
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金沢大学第三内科同門の先生からの記事を募集中!
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)HP&ブログへは、
おかげさまで、2,000人/日を超える方にご訪問いただいています。
多大な御支援に感謝しています。
さて、第三内科ブログでは、同門の先生からの寄稿も大歓迎しています!
病院紹介、随筆、有用情報など、何でもお寄せくださいませ。
早々にブログ記事として、アップさせていただきます。
今後ともどうかよろしくお願いいたします。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53
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第VIII因子インヒビターとHO-1
血友病の治療は、凝固因子製剤により満足すべきものになっています。
重症血友病に対しては、予防的投与法も浸透してきたのではないかと思います。
しかし、インヒビターの発症は、現在においても血友病治療の大きな問題点になっています。
今回紹介させていただく論文は、 Heme oxygenese-1(HO-1)の可能性を検討した興味ある報告です。
「第VIII因子マウスにおけるHO-1の誘導は第VIII因子インヒビターの発現を抑制する」
著者名:Dimitrov JD, et al.
雑誌名:Blood 115 : 2682-2685, 2010.
<論文の要旨>
血友病A症例に対して、第VIII因子製剤による補充療法を行いますと、30%の症例において第VIII因子インヒビター(IgG)を発症することが知られています。繰り返される出血に伴う慢性炎症は、FVIII因子インヒビター発症の危険因子と推測されます。
Heme oxygenese-1(HO-1)は、ストレスにより誘導される酵素であり、強力な抗炎症作用を有することが知られています。著者らは、マウスにおいて第VIII因子製剤投与前にHO-1を誘導しますと、著明に第VIII因子インヒビターの発現を抑制することを示しています。
この現象は、HO-1の代謝産物であるCOやビリルビンでも再現され、HO-1のインヒビターであるtin mesoporphyrin IXによって妨げられたため、HO-1に特異的な現象と考えられました。HO-1の誘導は、脾における抗原提示細胞のMHC class II発現の低下と、T細胞増殖の抑制を伴っていました。
血友病A患者における第VIII因子インヒビター発症を抑制するために、第VIII因子製剤を投与する前に内因性抗炎症機序を賦活化することは、新しい治療戦略ではないかと考えられました。
(補足)
HO-1は、LPS、炎症性サイトカインで誘導されますが、スタチンやクルクミンなどでも誘導されることが知られています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:44
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予防的血小板輸血の用量について
血小板輸血は、造血期悪性腫瘍の化学療法時など、必要不可欠な医療行為です。
しかし、どの程度の血小板輸血を行えば良いのかにつきましては、意外とエビデンスがありません。
今回紹介させていただく論文(N Eng J Medより)は、この素朴な疑問に答えてくれる貴重な報告ではないかと思います。
「予防的血小板輸血の用量について」
著者名:Slichter SJ, et al.
雑誌名:N Eng J Med 362: 600-613, 2010.
<論文の要旨>
著者らは、骨髄抑制を伴う血小板数減少症に対して予防的に血小板輸血を行う場合の用量に関する検討を行っています。
造血器悪性腫瘍または固形癌に対して、造血幹細胞移植または化学療法を行い血小板輸血を行う群を、低用量群、中等用量群、高用量群(それぞれ、1.1×1011、2.2×1011、4.4×1011platelets/体表面積m2)に分類しました。
血小板輸血のタイミングは、朝の採血で血小板数1万/μl以下としました。一次エンドポインは、grade 2以上(WHOクライテリアによる)の出血としました。
その結果、1回以上の血小板輸血を受けた1,272症例において、各群のエンドポイントは、上記の順に71%、69%、70%で観察されました(有意差なし)。より高gradeの出血、他の有害事象も、群間差は見られませんでした。輸血血小板数は、低用量群において有意に少なかったですが、輸血回数は低用量群において有意に高頻度でした。
朝の血小板数が0.5万/μl以下であった場合には、25%の症例でその日に出血がみられたのに対し、血小板数0.6〜8万/μlの場合は17%でした。
以上、低用量の予防的血小板輸血は、血小板輸血量を減らすことができますが、輸血回数は増やすものと考えられました。
また、1.1〜4.4×1011/ m2の範囲での血小板輸血は、出血頻度に影響を与えないものと考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:14
| 出血性疾患
APTTで血友病をスクリーニングできない?
血友病では、APTTが延長するというのは、医師国家試験でも頻出の重要事項です。
しかし、実際の臨床では、なかなか教科書通りにはいきません。
教科書通りにいかないのは、血友病だけではありませんが、今回紹介させていただく論文は、改めてAPTTには限界があると注意を喚起しています。
「APTTが正常の血友病Bもあるため要注意!」
著者名:Park CH, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 21: 368-371, 2010.
<論文の要旨>
血友病Bは、第IX因子活性が低下する伴性劣性遺伝の先天性出血性素因です。
血友病Bのスクリーニングは、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長が一般的ですが、軽症の血友病BではAPTTが正常ないし軽度延長に留まることがあります。
著者らは、軽度の出血既往を有する軽症血友病B(26才、男性)の診療にあたりました。
この発端者には、同様の出血症状のみられる弟および母方の男性いとこがいました。
血液凝固スクリーニング検査では明らかな異常はなく、APTT40.0sec(正常値29.1〜41.9秒)でした。しかし、第IX因子活性は27%と低下していました。
弟のAPTTも45.1秒と軽度延長にとどまっており(混合試験では凝固時間の延長は是正された)、FIX活性は34%でした。
遺伝子解析では、兄弟ともに同じ変異(軽症血友病Bに特徴的とされる変異)が確認されました。
以上、APTTが正常の血友病Bもあるため、本疾患を疑った場合には、APTTが正常であっても凝固因子活性の測定や遺伝子解析が必要と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:58
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先天性第V因子欠損症における出血症状が軽症である理由
先天性第V因子欠損症は、血液凝固第V因子が1%未満の重症例であっても、出血症状は軽症であることが知られています。
今回紹介させていただく論文は、その理由について検討した興味ある報告です。
「先天性第V因子欠損症(重症)における出血症状が軽症である理由」
著者名:Duckers C, et al.
雑誌名:Blood 115: 879-886, 2010.
<論文の要旨>
血漿および血小板中の血液凝固第V因子(FV)は、トロンビン形成に不可欠ですが、第V因子活性が検出されないような症例においても大出血はほとんどみられません。
著者らは、先天性第V因子欠損症(重症)(FV<1%)の4症例において、血小板中第V因子の役割を明らかにするため、トロンビン形成試験による検討を行っています。
その結果、乏血小板血漿(PPP)を用いた場合には、組織因子(TF)を50pMまで増量してもトロンビン形成はみられませんでした。
一方、多血小板血漿(PRP)を用いた場合には、TF1〜5pMにおいてトロンビン形成がみられました。
第V因子欠損症症例からのPRPを用いたトロンビン形成は、血小板活性化剤(コラーゲン、Caイオノフォア)によってほぼ正常レベルまで増幅されましたが、第V因子インヒビターによって完全に抑制されました(FV依存性であることが証明されました)。
全4症例において、血小板中のFV抗原&活性は測定可能であり、FVaの存在がwestern blottingで証明されました。
FV欠乏症においては組織因子経路インヒビター(TFPI)が低値であることが知られていますが、このTFPIを補正して正常化すると、PRP血漿においてもトロンビン形成が完全に抑制されました。
以上、重症の先天性第V因子欠損症において、血小板中に機能を有するFVが含まれますが、TFPIが低い状態でのみトロンビン形成が行われ、この両要因が本症例において致命的な出血のない理由と考えられました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:39
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金沢大学第三内科同門会:宇宙航空研究開発機構(JAXA)の講演
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会が行われました。
正確には、第27回金沢大学第三内科同門会総会 & 第42回金沢大学第三内科開講記念会です。
金沢大学の内科の中では、三番目に開講されましたので、最も新しい内科なのですが、それでも既に42年の年を重ねたのかと思いますと、感慨深いものがあります。
特別講演は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)HTV project team 主任開発員の、尾藤日出夫先生に「日本の宇宙開発と宇宙ステーション補給機(HTV)」のタイトルでしていただきました。
小惑星探査機「はやぶさ」が話題になっている時で、大変にタイムリーな講演だったと思います。
お話の内容は、とても夢のあるもので引き込まれてしまいました。
なお、金沢大学第三内科の同門会会長は、長年にわたり北中勇先生がされてきましたが、ご本人のご意向により、この度交代になりました。新同門会会長は、近藤邦夫先生です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47
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金沢大学第三内科同門会 総会&開講記念会のご案内
金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会のご案内です。
第27回金沢大学第三内科同門会総会
第42回金沢大学第三内科開講記念会
日時 平成22年6月19日(土)午後3時00分より
・ 同門会総会:午後3時00分〜
・ 開講記念会:午後3時30分〜
場所 金沢エクセルホテル東急 5階「ボールルームA」
< 第27回 同門会総会 > (15:00〜)
1. 同門会長挨拶 北中 勇
2. 役員会報告 笠原 寿郎
3. 会計報告 笠原 寿郎
4. 会計監査報告 石井 陽
5. 教室事務報告 山崎 宏人
< 第42回 開講記念会 > (15:30〜)
1. 教授挨拶 中尾 眞二 教授
2. 研究室報告 司会:山崎 宏人
・血液研究室・移植研究室 山崎 宏人
・血栓止血研究室 朝倉 英策
・呼吸器研究室 藤村 政樹
3.教授講演 司会:朝倉 英策
「 第3内科(血液・呼吸器内科)の現状と将来 」
中尾 眞二 教授
4.特別講演(17:00〜) 司会:笠原 寿郎
「日本の宇宙開発と宇宙ステーション補給機(HTV)」
宇宙航空研究開発機構(JAXA) HTV project team 主任開発員
尾藤 日出夫 様
◎終了後懇親会を行います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57
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血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)治療
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)診断&検査 から続く
関連リンク:
血液専門医試験対策(DIC)
抗リン脂質抗体症候群(インデックス)
抗リン脂質抗体症候群(APS)の治療(血液専門医試験対策)
1)動・静脈血栓症の治療
APSに対する抗血栓療法は、INR3.0以上の強力な抗凝固療法(ワルファリン)が有効であるのに対して、弱い抗凝固療法や、アスピリンは効果が劣るという報告がありました。
Khamashta MA, et al: The management of thrombosis in the antiphospholipid-antibody syndrome. N Engl J Med 332:993-997, 1995.
しかしその後、INR2.0〜3.0程度のコントロールの方がかえって有効という報告がなされました。
Crowther MA, et al: A comparison of two intensities of warfarin for the prevention of recurrent thrombosis in patients with the antiphospholipid antibody syndrome. N Engl J Med 349: 1133-1138, 2003.
現在はAPSに対してワルファリンを用いる場合であっても、INR2.0〜3.0程度のコントロールが多いと思います。
ただし、APSに対する抗血栓療法は、日本においては抗凝固薬であるワルファリンのみでなく、特に動脈血栓症においては抗血小板薬であるアスピリン、シロスタゾール、ベラプロストナトリウム、クロピドグレルなども使用されています(静脈血栓症ではワルファリンが有効です)。
APSでは、動脈血栓症と静脈血栓症を同時に合わせ持つこともあり、そのような場合には、抗血小板薬と抗凝固薬(ワルファリン)が併用されることも少なくありません。
2)不育症(習慣性流産を含む)に対する治療
少量アスピリンと、ヘパリンの皮下注(5000単位を、1日2〜3回)の併用が、妊娠から出産までへの成功率が最も高いです。
しかし、ヘパリンの皮下注は患者にとって負担となること、この治療でも成功率は100%でないこと、少量アスピリンのみでもそれなりの成功を見込めることなどにより、患者の年齢、流産回数なども考慮して、少量アスピリン単独で治療することも選択肢になります。
3)抗リン脂質抗体陽性症例に対する治療
抗リン脂質抗体陽性だけれども、血栓症がない(APSとは診断されない)場合の、血栓症の一次予防については一定の見解はありません。
ただし、抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントの検査が普遍的になってきた今日、このような症例に遭遇する頻度は増加しており、今後の重要な検討課題と考えられます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41
| 血栓性疾患
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血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)診断&検査
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)症状 から続く
関連リンク:
血液専門医試験対策(DIC)
抗リン脂質抗体症候群(インデックス)
抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断&検査(血液専門医試験対策)
<抗リン脂質抗体症候群 分類基準(2006年)>
臨床所見
1.血栓
画像検査や病理検査で確認できる1つ以上の動静脈血栓症(血管炎は除く)
2.妊娠合併症
1)妊娠10週以降の胎児奇形のない、1回以上の子宮内胎児死亡。
2)妊娠高血圧症、子癇もしくは胎盤機能不全などによる、1回以上の妊娠34週未満の早産。
3)妊娠10週未満の3回以上連続する原因不明習慣性流産。
検査所見
1. LA陽性:国際血栓止血学会のガイドラインに従う(※)。
2. ACL(IgGまたはIgM型):中等度以上の力価または健常人の99パーセンタイル以上
3. 抗β2-glycoproteinT抗体(IgGまたはIgM型):健常人の99パーセンタイル以上
上記の臨床所見の1項目以上が存在し、かつ検査所見の1項目以上が12週間以上の間隔をあけて2回以上検出された場合を、抗リン脂質抗体症候群(APS) と診断する。
(※)ループスアンチコアグラント
a. リン脂質依存性凝固反応(APTT、カオリン凝固時間、希釈ラッセル蛇毒時間など)の延長がみられる。
b. 混合試験で、凝固時間の延長が是正されない。
c. 高濃度のリン脂質の添加により、凝固時間の延長が是正される。
d. 他の凝固異常(第VIII因子インヒビターなど)が除外できる。
APS分類基準(2006年)(上記)によりますと、臨床症状1項目以上と、aCL、LA、抗β2-グリコプロテインI (抗β2-GPI)抗体のうち1項目以上が、12週間以上の間隔をあけて2回以上検出された場合にAPSと診断されます。
抗リン脂質抗体と血栓症との関連性は、抗体によって様々ですが、血栓症と最も関連性の強い抗体はループスアンチコアグラント(LA)と考えられています。
Galli M, et al: Lupus anticoagulants are stronger risk factors for thrombosis than anticardiolipin antibodies in the antiphospholipid syndrome: a systematic review of the literature. Blood 101: 1827-1832, 2003.
抗β2-GPI抗体も診断的価値が高いですが、IgG型、IgM型ともに保険適用外検査です(本記事執筆時点)。一方、抗カルジオリピン抗体(aCL)は診断基準に取り上げられているものの、血栓症との関連性は乏しいと報告されています。
aCLは定量測定されるのに対して、LAは複数の凝固時間法を用いて総合的に定性診断すること、検体処理法や用いるコントロール血漿により大きく結果が変動しやすいから、残念ながら施設間で測定感度・特異性に相当の差異がみられます。
なお、aCLまたはLAが陽性であっても、臨床症状がない場合は、その時点ではAPSではなく、「抗リン脂質抗体陽性症例」という表現に留まります。
APSの診断と直結する訳ではありませんが、血小板数減少、APTT延長、梅毒反応偽陽性、抗核抗体陽性なども、APSで見られることがあります(見られないことも多いです)。
抗リン脂質抗体陽性症例では、既に無症候性の血栓症を発症していることも少なくなく、発症頻度の高さや重要性も考慮して、脳MRI、下肢静脈エコー、眼底検査、皮膚科診察、心エコーなどの検査を行っておくのが望ましいです。
(続く)
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)治療 へ
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)症状
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)病態 から続く
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血液専門医試験対策(DIC)
抗リン脂質抗体症候群(インデックス)
抗リン脂質抗体症候群(APS)の症状(血液専門医試験対策)
APSの症状は多彩です。血栓症は動脈、静脈のいずれにも見られ、大血管から毛細血管レベルまですべての血管に発症します。
<抗リン脂質抗体症候群にみられる症状>
1. 動脈血栓症
脳梗塞、一過性脳虚血発作、末梢動脈血栓症、皮膚潰瘍、網膜中心(分枝)動脈閉塞症、狭心症、心筋梗塞、腎梗塞、肝梗塞、腸管膜動脈血栓症など。
2. 静脈血栓症
深部静脈血栓症、肺塞栓、網膜中心(分枝)静脈閉塞症、脳静脈洞血栓症、肝静脈血栓症(Budd-Chiari症候群)、副腎静脈血栓症、腸管膜静脈血栓症など。
3. 不育症(習慣性流産を含む)
4. その他:網状皮斑、舞踏病、てんかん、心臓弁膜症など。
動脈血栓症では、脳梗塞、一過性脳虚血発作などの脳血管障害が多く、虚血性心疾患は少ないです。
静脈血栓症では、
深部静脈血栓症や肺塞栓が高頻度にみられます。
APSに伴う妊娠合併症には、自然流産・不育症、妊娠高血圧症・子癇などが知られています。
子宮異常や染色体異常の流産が、妊娠前期に多いのに対して、APS症例における流産は、妊娠中期や後期にも少なくないのが特徴です。
血栓症と妊娠合併症以外に、心臓弁膜症、
網状皮斑、血小板数減少症、微小血栓による腎障害、舞踏病なども、APS関連疾患として知られています。
なお、(表在性)血栓性静脈炎(superficial thrombophlebitis)は
深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)とは異なり、APSやその他の凝固異常とは無関係と考えるのが一般的です。
(続く)血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)診断&検査 へ
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血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)病態
関連リンク:
血液専門医試験対策(DIC)
抗リン脂質抗体症候群(インデックス)
血液専門医試験対策(DIC)のシリーズが完結しましたので、今回からは血液専門医試験対策(抗リン脂質抗体症候群:APS)をお届けしたいと思います。
抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態・疫学(血液専門医試験対策)
<病態>
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は、高頻度に見られる後天性血栓性素因の一つです。
APS診断のためには、
抗カルジオリピン抗体(aCL)および
ループスアンチコアグラント(LA)検査が不可欠ですので、これらの特殊検査が未施行ですと、APSを見逃す懸念があります(参考:
LA測定時の問題点)。
APSの血栓傾向の機序については多くの報告がみられますが、おそらく単一の機序ではないものと思われます。例えば、以下のような報告があります。
抗リン脂質抗体(aPL)が、
1)凝固活性化に対して抑制的に作用するβ2-GP1を阻害する。
2)プロテインC活性化を抑制する。
3)血管内皮細胞に存在する抗凝固性物質
トロンボモジュリンやヘパラン硫酸の発現を抑制する。
4)プロスタサイクリン産生を抑制する。
5)
血管内皮細胞における組織因子、線溶阻止因子PAI、接着因子の産生を亢進させる。
6)その他。
APSは、SLEなどの膠原病に合併することもありますが、他に明らかな基礎疾患がない場合も多く、
後者を「
原発性抗リン脂質抗体症候群(primary antiphospholipid syndrome:PAPS)」、
前者を「
二次性抗リン脂質抗体症候群(secondary antiphospholipid syndrome:SAPS)」と称します。
<疫学>
厚労省研究班の疫学調査によりますと、以下のように報告されています。
原発性と二次性の比
PAPS:SAPS = 44.4%:55.6%
平均年齢
PAPS:40.5±13.9歳(7-87歳)
SAPS:41.9±13.6歳(11-97歳)
男:女比
PAPS 19%:81%
SAPS 10%:90%
SAPSの基礎疾患
SLE :78%
SLEと他の疾患の合併:3%
MCTD: 5%
シェーグレン症候群: 4%
慢性関節リウマチ :1%
その他 :9%
上記のように、APSは小児から高齢者までいずれの年齢層の血栓症の基礎疾患にもなりますが、若年者の血栓症(特に脳梗塞に代表される動脈血栓症)の症例では最初に疑う病態の一つです。
(続く)
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)症状 へ
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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血液専門医試験対策:基礎疾患別のDIC治療法
リンク:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液専門医試験対策:DICの治療薬 より続く。
基礎疾患別のDIC治療法(血液専門医試験対策)
<急性白血病(APL以外)に合併したDICの治療>
急性白血病に対して、適切な化学療法を行うことが最重要です。
抗凝固療法としては、歴史的には、未分画ヘパリン(参考:ヘパリン類)が頻用されてきましたが、出血の副作用のため、近年はあまり使用されません。出血の副作用が少ない低分子ヘパリン(フラグミン)やDS(オルガラン)の方がヘパリン類の中では使用される機会が多くなっています。ただし、これらのヘパリン類も出血の副作用が全くないという訳ではありません。
メシル酸ナファモスタット(NM:フサンなど)は出血の副作用がないため、白血病が基礎疾患のように出血しやすいDICには良い適応となります。NMは線溶抑制効果も強力であり、線溶亢進型DICに対して有効な治療薬です。
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン:rTM)は、臨床試験の結果によりますと、造血器悪性腫瘍に合併したDICに対しても有効との結果が得られています。
急性白血病では、DICコントロールを行っても血小板数の回復は期待できませんので、しばしばPCの輸注が必要となります。フィブリノゲン著減例や、プロトロンビン時間が著明に延長した症例に対しては、FFPによる凝固因子の補充を行います。
<APLに合併したDICの治療>
APLは、典型的な線溶亢進型DICを発症します。
APLに合併したDICの特殊性として、all-trans retinoic acid(ATRA)による治療があります。ATRAは、APLの分化誘導として有効ですが、APLに合併したDICに対してもしばしば著効します。
APLにおいて線溶亢進型DICを合併する理由は、APL細胞に存在するアネキシンIIの果たす役割が大きいことが知られています。アネキシンIIは、組織プラスミノゲンアクチベーター(tissue plasminogen activator:t-PA)と、プラスミノゲンの両線溶因子と結合して、このことでt-PAによるプラスミノゲンの活性化能が飛躍的に高まります。
APLに対してATRAを投与しますと、APL細胞中のTFおよびアネキシンIIの発現も抑制されます。このため凝固活性化と線溶活性化に同時に抑制がかかり、APLのDICは速やかに改善します。
なお、前述のように、APLに対してATRAを投与している場合には、トラネキサム酸(TA:トランサミン)は絶対禁忌です。
<敗血症に合併したDICの治療>
感受性を有した抗生剤投与が最重要です。
敗血症に合併したDICにおいては多くの例で、アンチトロンビン活性が低下しますので、アンチトロンビン(AT)濃縮製剤が必要となることが多いです。充分な凝固活性を期待するためには、ヘパリン類を併用します。
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン:rTM)は、敗血症に合併したDICに対しても有効です。AT濃縮製剤とrTMの併用が認められる医療環境になって欲しいところですが、現時点では不明です。
肝不全合併のため、PT著明延長やフィブリノゲン著減がみられることがあり、この場合にはFFPを投与します。
食事摂取ができない状態で長期間の抗生剤が投与されることに伴って、ビタミンK欠乏症を併発する可能性がありますので、ビタミンK の予防投与(点滴)を行っておく方が無難です。
<固形癌に合併したDICの治療>
DICを合併した固形癌においては多くの場合、全身転移をともなった進行癌症例です。化学療法で腫瘍量の低下が期待できない場合のDIC治療は困難です。
ただし、進行癌であってもDICの治療を行うことで、十分な予後改善が期待できる場合もあります。管理人らは、進行癌でDICの治療により、1年以上の生命予後が可能となった症例を蓄積しています。
抗凝固療法としては、ヘパリン類の投与を行います。患者を持続点滴で拘束したくない場合には、DS(オルガラン)による加療が有用です。
一部の固形癌に合併した症例では線溶亢進型DICの病型となります。この場合には、メシル酸ナファモスタット(NM:フサンなど)またはヘパリン類&TA併用療法が、出血症状に対して著効します。
<参考文献>
1) Levi M, Ten Cate H: Disseminated intravascular coagulation. N Engl J Med 19: 341: 586-592, 1999.
2)日本血栓止血学会学術標準化委員会DIC部会. 科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス. 日本血栓止血学会誌 20: 77-113, 2009.
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血液専門医試験対策:DICの治療薬
リンク:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液専門医試験対策:DICの診断など より続く。
DICの治療薬(血液専門医試験対策)
DICの進展を阻止するためには、基礎疾患の治療と共に、凝固活性化を阻止する必要があります。基礎疾患の治療を行っても、基礎疾患が一両日中に治癒することは極めて例外的ですから、この間にDICが原因で病態が悪化することを防がなければなりません。
1) 基礎疾患の治療
全症例において、基礎疾患の治療は最重要です。急性白血病や進行癌に対する化学療法、敗血症に対する抗生剤治療などがこれに相当します。
なお、悪性腫瘍(造血器を含む)に対して化学療法を行うと、腫瘍細胞の崩壊に伴ってTFが大量に血中に流入するため、DICが一時的悪化することが少なくないですが、それを理由に基礎疾患の治療を躊躇してはいけません。
2) 抗凝固療法
DICの病態に応じて適切な薬剤を選択します。
(1)ヘパリン類&アンチトロンビン濃縮製剤
DICに対して使用可能なヘパリン類としては、ダナパロイドナトリウム(DS:オルガラン)、低分子ヘパリン(LMWH:フラグミン)、未分画ヘパリンがあります。これらのヘパリン類は、いずれもアンチトロンビン(AT)依存性に抗凝固活性を発揮する点で共通していますが、抗Xa/トロンビン(IIa)活性比や、血中半減期に差違がみられます。
DSは半減期20時間と長いために、1日2回の静注であっても効果が持続する点が魅力です。ただし、腎代謝のため、腎機能障害のある症例や低体重の症例では減量して使用すべきです(他のヘパリン類にも当てはまります)。
ヘパリン類は、AT活性が低下した場合は充分な効果が期待できないため、AT濃縮製剤を併用します。
(2)合成プロテアーゼインヒビター
合成プロテアーゼインヒビター(serine protease inhibitor:SPI)は、AT非依存性に抗トロンビン活性を発揮します。
代表的薬剤は、メシル酸ナファモスタット(NM:フサンなど)および、メシル酸ガベキサート(GM:FOYなど)です。
出血の副作用はまずありません。また、両薬は膵炎治療薬でもありますので、膵炎合併例にも良い適応となります。
NM(フサンなど)は臨床使用量で抗線溶活性も強力であり、線溶亢進型DICに有効です。ただし、本薬の高カリウム血症の副作用には注意が必要です。
フサン、FOYともに静脈炎の副作用があり、中心静脈からの投与が原則です。
(3)遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(recombinant thrombomodulin:rTM、リコモジュリン)は、近年処方可能になりました。本薬は抗炎症効果を合わせ持ち、特に炎症性疾患に合併したDICに対して、抗凝固、抗炎症の両面から期待されています。
3) 補充療法
血小板や凝固因子の著しい低下(消費性凝固障害)のため出血がみられる場合には、補充療法を行います。
血小板の補充目的としては濃厚血小板、凝固因子の補充目的としては新鮮凍結血漿を用います。
4) 抗線溶療法
DICにおける線溶活性化は、微小血栓を溶解しようとする生体の防御反応の側面もありトラネキサム酸(TA:トランサミン)などの抗線溶療法は原則禁忌です。特に、敗血症に合併したDICでは絶対禁忌です。
また、APL症例において、all-trans retinoic acid(ATRA)による分化誘導療法を行っている場合も、TAを投与しますと全身性血栓症を併発して死亡したという報告が多数見られますので、絶対禁忌です。
ただし、線溶亢進型DICの著しい出血例に対して、ヘパリン類併用下にTAを投与すると出血に対して著効することがありますが、使用方法を間違うと全身性血栓症をきたすために、必ず専門家にコンサルトの上で行う必要があります。
また、線溶亢進型以外のDICに対しては、トラネキサム酸(トランサミン)は禁忌であるため線溶亢進型DICの診断は万全を期する必要があります。
(続く。。。)
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血液専門医試験対策:DICの診断など
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血液専門医試験対策:DICの病型分類と臨床症状 より続く。
DICの診断(血液専門医試験対策)
DIC診断基準として最も頻用されているのは、厚生労働省DIC診断基準です。
基礎疾患、臨床症状(出血症状/臓器症状)、血小板数、FDP、フィブリノゲン、PT比によってスコアリングして診断します(骨髄抑制をきたすような白血病群では、出血症状、血小板数を含めません)。典型的なDICにおける、臨床・検査所見を網羅している点が特徴ですが、早期診断には不向きとの指摘があります。
急性期DIC診断基準は、早期診断が可能な診断基準として救急領域において期待されています。
特に、感染症に合併したDICの診断には威力を発揮しますが、血液疾患(白血病群)には適応できません。
国際血栓止血学会(ISTH)のDIC診断基準は、日本の厚生労働省診断基準を模して作成されたものですが、さらに早期診断には不向きです。
残念ながら、現在ベストと言える診断基準はなく、今後の発展が期待されます。
DICの本態である凝固活性化を反映するマーカー(TAT、SFなど)を是非とも診断基準に組み込むべきでしょう。また、線溶活性化マーカー(PICなど)も何らかの形で、DIC病態診断に必要な項目として取り込むべきと考えられます。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27
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血液専門医試験対策:DICの病型分類と臨床症状
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血液専門医試験対策:DICの疫学 より続く。
DICの病型分類と臨床症状(血液専門医試験対策)
著しい凝固活性化はDICの主病態であり全症例に共通していますが、その他の点については基礎疾患により病態が相当異なっています。
凝固活性化は高度であるけれども線溶活性化が軽度に留まるDICは、敗血症に合併した例に代表されます。線溶阻止因子PAIが著増するために強い線溶抑制状態となり、多発した微小血栓が溶解されにくく微小循環障害による臓器障害が高度になりやすいですが、出血症状は比較的軽度です。このようなDICを「線溶抑制型DIC」と称しています。
検査所見としては、凝固活性化マーカーであるトロンビン-アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex: TAT)は上昇するものの、線溶活性化マーカーであるプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(plasmin-α2 plasmin inhibitor complex: PIC)は軽度上昇に留まります。また、微小血栓の溶解を反映するフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)やDダイマーも軽度上昇に留まるのが特徴です。
一方、凝固活性化に見合う以上の著しい線溶活性化を伴うDICは、APLや腹部大動脈瘤に合併した例に代表されます。
PAIは上昇せずに線溶活性化が強く、止血血栓が溶解されやすいことと関連して、出血症状が高度になりやすいですが臓器障害はほとんどみられないのが特徴です。このような病型のDICを「線溶亢進型DIC」と称しています。
検査所見としては、TAT、PIC両者とも著増し、FDPやDダイマーも上昇します。フィブリノゲン分解も進行するためにFDP/DD比は上昇(DD/FDP比で表現する場合は低下)しやすいのも特徴です。
凝固・線溶活性化のバランスがとれており上記両病型の中間的病態を示すもの(固形癌に合併したDICなど)を「線溶均衡型DIC」と称しています。進行例を除くと、出血症状や臓器症状は意外とみられにくいです。
(続く)
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血液専門医試験対策:DICの疫学
リンク:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液専門医試験対策:DICの病態など より続く。
DICの疫学(血液専門医試験対策)
旧厚生省研究班疫学調査によりますと、我が国におけるDIC患者数は73,000人/年、死亡率は56.0%です。
DICの三大基礎疾患は全体としては、敗血症、固形癌、造血器悪性腫瘍です。この疫学調査では、各領域において絶対数および発症頻度の多いDIC基礎疾患が報告されています。
内科領域において絶対数が多いのは敗血症、非ホジキンリンパ腫(NHL)、肝細胞癌、急性骨髄性白血病(AML)、肺癌の順、発症頻度では急性前骨髄球性白血病(APL)、劇症肝炎、敗血症、乳癌、AMLの順です。
外科領域において絶対数は敗血症、結腸癌、胃癌、胆管癌、ショックの順、発症頻度は急性膵炎、腹膜炎、敗血症、ショック、ARDSの順です。
小児科領域において絶対数はALL、敗血症、呼吸器感染症、AML、膠原病の順、発症頻度はAML、ALL、敗血症、新生児死亡、呼吸器感染症の順です。
産婦人科領域において絶対数は妊娠(合併症)、卵巣癌、子宮癌、常位胎盤早期剥離、敗血症の順、発症頻度は前置胎盤、常位胎盤早期剥離、弛緩性出血、敗血症、尿路感染症の順です。
救急部領域において絶対数はショック、肝硬変、外傷性出血、劇症肝炎、敗血症の順、発症頻度は劇症肝炎、外傷性出血、肝細胞癌、ショック、敗血症の順です。
(続く)
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血液専門医試験対策:DICの病態など
リンク:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液専門医試験対策として、DICは重要疾患の一つになります。
シリーズで、ブログ記事化したいと思います。
DICの病態(血液専門医試験対策)
播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)は、基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし、細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。凝固 活性化と共に線溶活性化がみられますが、その程度は基礎疾患により差違がみられます。進行しますと血小板や凝固因子と言った止血因子が低下し、
消費性凝固障害の病態となります。
DICの二大症状は、出血症状と臓器症状ですが、臨床症状が出現しますと予後は極めて不良となりますので、臨床症状の出現がない時点で治療開始できるのが理想です。DICの三大基礎疾患は、敗血症、急性白血病、固形癌ですが、その他にも多くの基礎疾患が知られています。
敗血症においては、lipopolysaccharide(LPS)やTNF、IL-1などの炎症性サイトカインの作用により、単球/マクロファージや血 管内皮から大量の組織因子(tissue factor:TF)が産生され、著しい凝固活性化を生じます。また、血管内皮上に存在する抗凝固性蛋白であるトロンボモジュリン (thrombomodulin:TM)の発現が抑制されるため、凝固活性化に拍車がかかることになります。さらに、血管内皮から産生される線溶阻止因子 であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)が過剰に産生されるため生じた血栓は溶解されにくい病態になります。
一方、急性白血病や固形癌などの悪性腫瘍においては、腫瘍細胞中の組織因子により外因系凝固が活性化されることが、DIC発症の原因と考えられています。血管内皮や炎症の関与がほとんどない点において、より直接的な凝固活性化の病態となっています。
(続く。。。)
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DIC病型分類の問題点
DIC病型分類の利点 より続く
前回の記事で、播種性血管内凝固症候群(DIC)診療における、病型分類の概念の利点を書かせていただきましたので、今回は問題点に言及したいと思います。
DIC病型分類の問題点
1)分子マーカーの結果が即日でない
施設によって、病型分類に用いられるTATやPICの結果が迅速に得られない点が挙げられます。測定結果の遅れは、治療開始の遅れにつながります。
ただし、だから分子マーカーが組み込まれた診断基準や病型分類は実用的ではないという考え方にいくのではなくて、分子マーカーを組み込むことで、これらのマーカーの普及につなげると言った、前向きの発想に転換したいところです。
10年後も、院内で分子マーカーの測定ができないようですと、10年経ってもDIC診療の発展がないことになってしまいます。
今後病型分類の普及とともに、TATやPICの院内測定率がアップすることを期待したいと思います。
2)感染症DICの超急性期の問題点
DICの病態は多様性に富み、かつ経時的に変動していますので、病型分類にはいくつかの例外が存在すします。
例えば、線溶抑制型DICに代表される感染症DICにおいて、極めて早期に血液検査を行いますと、PICが著増している(10μg/ml以上)場合があります。
チンパンジーにエンドトキシンを投与した実験では、投与後120分でPICがピークに達し、2時間遅れてTATがピークとなります(上図)。
Levi M, Cate Ht, Bauer KA, et al : Inhibition of endotoxin-induced activation of coagulation and fibrinolysis by pentoxifylline or by a monoclonal anti-tissue factor antibody in chimpanzees. J Clin Invest 93 : 114-120, 1994.
つまり、敗血症DICでは凝固活性化よりも早期に線溶が活性化されると考えられ、超急性期に検査すると線溶亢進状態を示す可能性があるのです。
3)TATの限界
線溶抑制型DICの中には、著明な凝固活性化が生じているにもかかわらず血中TATが軽度上昇にとどまり、SFが増加している症例があります。
こういった症例はむしろ予後が悪い印象がありますが、その理由についてはよくわかっていません。今後の検討課題ではないかと思います。
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DIC病型分類の利点
DIC病型分類の考え方は、DICの診断を行う上でも、治療を行う上でもメリットがあります。
DIC病型分類に関する欧文論文:Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2014, 2: 20.
診断に際しての利点
FDP 、DダイマーはDIC診断の最も重要なマーカーと信じられていますが、敗血症などに合併する線溶抑制型DICでは、その上昇は軽度にとどまることが少なくありません。
したがって、これらのマーカーを過度に重用視しますと、DICの診断が遅れる懸念があります。
このようなタイプのDICでは、血中TATやSFの上昇、血小板数の経時的低下に着目することにより、早期診断が可能となります。
治療に際しての利点
線溶亢進型DICに対してヘパリン類単独治療を行いますと、かえって出血を助長することも少なくありません。
このようなタイプのDICには、凝固活性化のみならず線溶活性化も同時に十分阻止するような治療を行いますと、出血症状に対して著効します。
具体的には、メシル酸ナファモスタット(抗トロンビン作用のみならず抗プラスミン作用も強力な合成プロテアーゼインヒビター:フサンなど)、あるいはヘパリン類とトラネキサム酸の併用が有効です。
ただし、DICに対するトラネキサム酸などの抗線溶療法は、血栓症や臓器障害の合併の報告があり、適応や使用方法を誤ると重大な合併症をきたすことになります。したがって適応を誤らないためにも、病型の明確な定義が必要と考えられます(線溶亢進型DIC)。
(続く)DIC病型分類の問題点へ
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医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)4
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)1
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)2
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)3 より続く。
今回は4問目です。4連問ですので、1問目からご覧いただきますと、ストーリーが続きます。
第4問目では、治療または病態と関連した問題が出される(治療または病態と関連した問題を作成する)ことになっています。
68歳の女性。3日前から頻尿、排尿時痛の症状がみられたが放置していた。本日になり39.3℃の高熱がみられ、腰痛もみられるようになったため来院。血尿および紫斑がみられる。身体所見では、肋骨脊椎角部叩打痛が見られた。血液検査では、血小板数が著明に低下し、血液培養および尿培養で大腸菌が検出された。また、フィブリン分解産物(FDP)上昇の所見が見られた。
この疾患の治療として正しいのはどれか。
A.血漿交換
B.線溶療法
C.抗線溶療法
D.ヘパリン療法
E.免疫抑制療法
リンク:回答はこのリンク集の下にあります。
医学部CBT試験対策:血液内科(コアカリ)、凝固検査、DIC
医学部コア・カリキュラム(出血傾向):CBT対策
医師国家試験 問題対策:血液内科(血栓止血領域)
CBT、医師国家試験、専門医試験問題対策
解答:
D
解説:
播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療を問うています。
A × :播種性血管内凝固症候群では行ないません。
B × :禁忌です。
C × :DIC、特に感染症に合併したDICに対する抗線溶療法(トラネキサム酸)は絶対禁忌です。突然死の可能性があります。
D ○ :ヘパリン類は、標準的治療です。
E × :播種性血管内凝固症候群では行ないません。
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59
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医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)3
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)1
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)2 より続く。
4連問ですので、1問目からご覧いただきますと、ストーリーが続きます。
今回は、連問の第3問目です。第3問目では、検査と関連した問題が出される(検査と関連した問題を作成する)ことになっています。
68歳の女性。3日前から頻尿、排尿時痛の症状がみられたが放置していた。本日になり39.3℃の高熱がみられ、腰痛もみられるようになったため来院。血尿および紫斑がみられる。身体所見では、肋骨脊椎角部叩打痛が見られた。血液検査では、血小板数が著明に低下し、血液培養および尿培養で大腸菌が検出された。
血液検査でみられる所見はどれか。
A. 抗血小板抗体陽性
B. プロトロンビン時間(PT)短縮
C. フィブリン分解産物(FDP)上昇
D. アンチトロンビン(AT)活性上昇
E. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)短縮
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回答:
C
解説:
急性腎盂腎炎から敗血症となり、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併したものと考えられます。
正答・誤答の理由:
A × :抗血小板抗体は播種性血管内凝固症候群(DIC)と無関係です。
B × :プロトロンビン時間(PT)は延長することがあります。ただし、CBTレベルではないですが、PTは、肝不全やビタミンK欠乏症などの多くの他の要素で延長するため、DIC診断における重要性はかなり低いと、管理人らは考えています。
C ○ :フィブリン分解産物(FDP)やDダイマーの上昇は特徴的です。
D × :アンチトロンビン(AT)活性はしばしば低下します。ただし、CBTレベルではないですが、急性前骨髄球性白血病(APL)などDICを合併していても、AT活性が低下しないことも多く、DIC診断における重要性はかなり低いと、管理人らは考えています。
E × :活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長することがあります。ただし、CBTレベルではないですが、DIC初期にはかえって短縮することもあります(活性型凝固因子の存在のためか)。
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)4 へ
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36
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医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)2
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)1 より続く。
上記をまだご覧いただいていない場合には、まず上記をご覧下さい。
4連問ですので、1問目からご覧いただきますと、ストーリーが続きます。
今回は、連問の第2問目です。第2問目では、身体所見と関連した問題が出される(身体所見と関連した問題を作成する)ことになっています。
68歳の女性。3日前から頻尿、排尿時痛の症状がみられたが放置していた。本日になり39.3℃の高熱がみられ、腰痛もみられるようになったため来院。血尿および紫斑がみられる。
認められる所見はどれか。
A. 歯肉腫脹
B. 扁桃腺腫脹
C. 拡張期心雑音
D. 右下腹部圧痛
E. 肋骨脊椎角部叩打痛
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回答:
E
解説:
急性腎盂腎炎に出血症状(紫斑)を合併しており、播種性血管内凝固症候群(DIC)の合併が疑われます。
本問では急性腎盂腎炎の身体所見を問うています。
A × :歯肉腫脹は、急性単球性白血病でみられることがあります。
B × :扁桃腺腫脹は、扁桃腺炎などでみられることがあります。
C × :拡張期心雑音は、AR、MSなどの心臓弁膜症で聴取されます。
D × :右下腹部圧痛は、虫垂炎などでみられます。
E ○ :急性腎盂腎炎の身体所見として、肋骨脊椎角部叩打痛は有名です。
医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)3 へ
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52
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医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)1
医学部CBT試験は、4年生から5年生に進級する際に、全国レベルで行われる、コンピューターを用いた試験です。
この問題作成は、全国の各大学が担当し、中央で良問が採用されます。
試験を受ける学生さんたちも緊張感があると思いますが、試験を作成する各大学も、より多くの問題を採用してもらえるようにと努力しています。
大学内で問題のブラッシュアップを行い、より洗練された問題作成を目指しています。
今回は、結局、金沢大学内で採用されなかった問題を練習問題用として、ブログ記事にしておきたいと思います。問題タイプQ(4連問タイプ)です。諸般の事情で採用されなかったのですが、悪問だったからではなく、事務的な理由からです。問題の質は悪くないと思っています。
連問の第一問目です。第一問目では、病歴と関連した問題が出される(病歴と関連した問題を作成する)ことになっています。
68歳の女性。3日前から頻尿、排尿時痛の症状がみられたが放置していた。本日になり39.3℃の高熱がみられ、腰痛もみられるようになったため来院。
まず聞くことはどれか。
A. 血尿はあるか。
B. 下痢はあるか。
C. 常用薬はあるか。
D. 海外渡航歴はあるか。
E. 上気道炎に罹患しているか。
リンク:回答はこのリンク集の下にあります。
医学部CBT試験対策:血液内科(コアカリ)、凝固検査、DIC
医学部コア・カリキュラム(出血傾向):CBT対策
医師国家試験 問題対策:血液内科(血栓止血領域)
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回答:
A
解説:
膀胱炎を放置していたところ、急性腎盂腎炎をきたしたと考えられる症例です。
A ○ :重症の膀胱炎では血尿がみられることがあります。
B × :下痢は関係ありません。
C × :常用薬は関係ありません。
D × :海外渡航歴は関係ありません。
E × :上気道炎は関係ありません。
(続く)医学部CBT試験問題対策:タイプQ(4連問)2 へ
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