後天性血友病(3):基礎疾患、症状
前回記事(後天性血友病(2):病態、疫学、発症率)からの続きです。
後天性血友病(Acquired Hemophilia)
【基礎疾患】
後天性血友病の基礎疾患としては以下のような疾患が知られています。換言しますと、後天性血友病症例に遭遇した場合に、以下の疾患が隠れていないかどうかチェックする必要があります。
ただし、精査しても基礎疾患がはっきりしないことも少なくないようです。
1. 自己免疫疾患(免疫関連疾患):
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、GVHD(同種骨髄移植後)、重症筋無力症、多発性硬化症、喘息、天疱瘡、非特異的皮膚炎など。
2. 悪性腫瘍:
固形腫瘍、血液腫瘍(慢性リンパ性白血病、リンパ腫など)。内科の立場では、悪性腫瘍が隠れていないかどうかは、大変気になります。
3. 妊娠、分娩:
DIC(常位胎盤早期剥離、羊水塞栓などに起因)とともに、分娩時の大出血の原因になります。
4. 高齢:
前回の記事で書かせていただいたように、この病気は若い年齢層と、高齢者に分布が分かれるのですが、3&4が理由になります。
5. 薬物:
ペニシリン、クロラムフェニコール、フェニトインおよびその他抗痙攣薬、スルホンアミド、インターフェロンα、フルダラビンなどが知られています。
6. 手術:
手術が契機になることもあるようです。
【症状】
1. 重篤な出血:
先天性血友病では、何と言っても関節内出血があまりにも有名ですが、後天性血友病では関節内出血は例外的です。むしろ、皮下出血、筋肉内出血がが特徴的です。
2. 貧血:出血に伴い貧血を来します。
3. 観血的処置後の出血遷延で気づかれる場合があります。軽症例です。
4. さらに、軽症例では術前検査で初めて発見されることもあります。
5. その他:消化器、泌尿器への出血。あるいは分娩後の出血など。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:14
| 出血性疾患
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後天性血友病(2):病態、疫学、発症率
前回記事(後天性血友病(1):第VIII因子インヒビター)からの続きです。
後天性血友病(Acquired Hemophilia)
【病態】
1. 従来出血性素因がみられなかった個人に、出血症状(しばしば重篤)で発症する後天性出血性疾患です。この病気は、先天性の血友病とは全く無関係ですので、男性にも女性にも発症します。
なお、前回の記事でも書かせていただいたように、先天性の血友病Aの患者さんにおいても、第VIII因子製剤の投与に伴って第VIII因子に対する同種抗体(第VIII因子インヒビター)が出現することがありますが、この場合は後天性血友病とは言いませんので、念のため補足いたします。
2. 本態は血液凝固第VIII 因子に対する自己抗体の出現による第VIII 因子活性の低下です。このために、しばしば重篤な出血症状をきたすことになります。
3. 通常、血友病と言えば先天性のものを意味しますが、この疾患は後天性の凝固異常症ということになります。
【疫学】
1. 発症率は、年間 1人/100 万人で、わが国では毎年約100 人の発症があることになります。ただし、この数字は相当に低く算出されているのではないかと思います。管理人1人の経験だけでも、この1年間で数人の後天性血友病の患者さんのご相談を北陸各地の医療機関からお受けしたように思います。
2. 発生率において男女差はありません。
3. 死亡率は、報告によっても異なりますが、10〜20%程度です。30%という報告もあります。難病と言えます。
4. 発生年齢は20-30 歳と60-70 歳に2大ピークがあります。
5. 最大30%の症例で自己抗体が自然消失すると言う報告があります。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:21
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第6回 北陸血管・血液セミナーのご案内
まだ大分先ですので未定の部分もありますが、プログラム(案)ということで御案内させていただきます。
第6回 北陸血管・血液セミナー
日時:平成21年10月31日(土) 16:00〜18:30
会場:金沢エクセル東急ホテル
プログラム(案)
開会の挨拶
金沢大学大学院医学系研究科 細胞移植学 教授 中尾眞二
指定演題 (後天性血友病などの出血性疾患を検討中)
特別講演1
座長:金沢大学大学院医学系研究科 細胞移植学 教授 中尾眞二
『虚血性心疾患における動脈硬化粥腫進展と血栓症』(案)
金沢大学大学院医学系研究科 循環医科学 教授 山岸正和 先生
特別講演2
座長:富山大学医学部 臨床分子病態検査学講座 教授 北島勲 先生
『(血小板関連のご講演)』
山梨大学医学部 臨床検査医学 教授 尾崎由基男 先生
主催:ノボ ノルディスクファーマ株式会社
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:12
| 研究会・セミナー案内
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後天性血友病(1):第VIII因子インヒビター
血友病と言えば、先天性出血性素因です。しかし、後天性血友病(acquired hemophilia)と言う病気があります。なぜ、血友病は先天性なのに、後天性の枕詞がつくのかと奇異に感じられるかも知れません。
後天性血友病の記載をさせていただく前に、まず第VIII因子インヒビターについて言及したいと思います。この場合のインヒビターと言うのは抗体の意味です。
第VIII因子インヒビター(抗体)が出現するのは、2つのタイプがあります。
1) 先天性血友病Aにおける同種抗体
1つ目は、先天性の血友病(特に血友病A)に、血液凝固因子製剤(血友病Aの場合は、第VIII因子製剤)を輸注することにより、抗体が出現する場合です。
この場合の抗体は、同種抗体になります。
血友病Aの患者さんにとっては、第VIII因子は自分で産生できませんので、未知の蛋白ということになります。皮肉なことですが、血友病Aの患者さんに治療目的で第VIII因子製剤を輸注しますと、第VIII因子に対する抗体ができてしまうのです。第VIII因子製剤の治療効果が激減してしまいますので、厄介な合併症なのです。
血友病Aは原則として男性のみの疾患ですので、この病態も男性でのみ見られることになります。
2) 後天性血友病
2つ目は、先天性の血友病とは全く関係なく、第VIII因子に対する抗体が出現する病態です。
後の記事で詳しく書かせていただきますが、悪性腫瘍、膠原病、高齢、出産などが原因となって、第VIII因子に対する抗体が出現するために、高度な出血傾向をきたします。
この場合の抗体は、自己抗体です。そしてこの疾患を、後天性血友病と言います。先天性の血友病Aとは無関係ですので、男性にも女性にも発症します。
後天性血友病は、最近何かと話題になっていますので、シリーズで記事を連載していきたいと思います。
1)2)の共通点
・出血症状がみられること。
・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長すること。
・第VIII因子インヒビターの場合:凝固第VIII因子活性が低下すること。
・プロトロンビン時間(PT)、出血時間が正常であること。
・第VIII因子製剤が無効であること。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:28
| 出血性疾患
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金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)HP&ブログ:アクセス数
金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)のホームページ(HP)(毎日更新のブログ併設)を、昨年の9月にリニューアルさせていただきました。
おかげさまで、リニューアル後、多くの皆様にご支持いただいています。
この場を借りまして、厚く御礼申しあげます。
上図のように昨日&今日と、2日続けてセッション数(ほぼ訪問者数)が、1,700人/日を超えました。多くの皆様にご支持いただいていますことを、大変感謝致しております。
今後とも、多くの皆様にご支持いただけるよう、全力で記事を発信してまいりたいと思います。
どうか、よろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申しあげます。
追記:
上図のグラフはセッション数(ほぼ訪問者数)ですが、閲覧数はこの3倍くらいになっています。アクセス解析もいろいろなものがありますが、閲覧数をアクセス数としているところもあるようです。
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(1)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(2)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(3)
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:56
| その他
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DIC診断基準:厚労省、ISTH、急性期(図解37)
DIC診断でFDP(Dダイマー)のみの限界(図解36)から続く
参考書籍リンク:しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編 ← クリック
参考書籍:「臨床に直結する血栓止血学」(DICについては特に詳述されています)
世界的にDIC診断基準はいくつもありますが、日本で最も頻用されているのは、厚生労働省(厚労省)DIC診断基準でしょう。いわゆる1988年改訂版の旧厚生省DIC診断基準です。改訂版と言いましても、補助診断項目に若干の補足が加わったのみですので、実質は1980年に作成されたDIC診断基準なのです。
改訂版というのも気が引けるくらいに、日本で長らく使われています。こんなに長らく使用されているというのは、評価されるべき点が多いのだとは思いますが、一方で厚労省DIC診断基準には多くの問題点も指摘されています。この点は、今後の記事で触れたいと思います。
国際血栓止血学会(ISTH)の診断基準(2001年)は、internationalなDIC診断基準を作成しようとした点で評価されるものです。ただし、上記の図を見てもわかりますように、必ずしも評判の良くなかった厚労省DIC診断基準(実質20年以上前のもの)を模倣したものなのです。DIC診断基準をみても、いかに日本は世界をリードしていたかが分かります。20年以上の差をつけて先行していたことになるのです。
急性期DIC診断基準は、厚労省DIC診断基準の弱点、すなわち感染症に合併したDICの早期診断には非力であった点を改善しています。確かに、感染症に合併したDICの診断には急性期DIC診断基準は力を発揮するものと考えられます。しかし、造血器悪性腫や固形癌に合併したDICなどの症例には適応できないなど、適応できる疾患に制限がある点が今後の検討課題です。
【DIC関連のリンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
血液凝固検査入門(全40記事)
DIC(敗血症、リコモジュリン、フサン、急性器DIC診断基準など)へ
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:12
| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(2)
金沢大学附属病院 血液内科・呼吸器内科(第三内科)
【病棟医長の新企画:一言お願いします(2)】
先日、金沢大学附属病院卒後臨床研修センター主催の研修医歓迎会に参加してきました。本年度は1年目・2年目の初期研修医の先生方が総勢60名近く在籍しているとのことで、「二次会にいきましょう!」と壇上で宣言した研修医の先生の姿をみて、今年は元気がいいな、と思いました。
私自身は例の新型インフルエンザ対策のための委員会に出席していたため、ちょっと遅れて参加したのですが、血液内科で現在研修中の3名の先生方が私の周りを囲んでくれたので、とてもうれしく感じました。
さて、その一人、本藤先生が寄せてくれた「病棟医長の新企画:一言お願いします!」はいかがでしたでしょうか。血液内科のスタッフよりずっと上手に当科の魅力をアピールしてくれたようです。
本藤先生のメッセージにも紹介がありましたように、血液内科のクリクラは本年度から大きく様変わりしました。いわゆる屋根瓦方式のチーム実習です。果たして充実した臨床実習を体験できたでしょうか?
第1タームに血液内科を選択してくれた「池辺美奈子さん、一言お願いします!」
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血液内科クリクラを終えての感想
金沢大学医学部 6年 池辺美奈子
まず始めに、お忙しい中、1カ月ご指導して頂きありがとうございました。
5年時のBSLでは、期間が長い内科でも各臓器約2週間ずつなので、1カ月の実習は長く感じるかもしれないと思っていましたが、終わってみると本当にあっという間でした。しかし、あっという間だったと感じましたが、中身の濃い実習で、多くのことを学ばせて頂いた実習だったと第三者にも自信を持って言えます!!
充実した実習を送ることができたのは、学生に対して丁寧に指導してくださる雰囲気があったことが挙げられると思います。
クリクラでは、朝のミーティング、病棟実習、外来実習を軸に過ごしていきました。
ミーティングについてですが、月、水、金の週3回、山崎宏人先生とクリクラのメンバー4人に加え、初期研修と後期研修の先生方も交えて朝のミーティングを行い、悪性リンパ腫の診断、輸液、骨髄の形態などについて勉強しましたが、研修医の先生方が参加してくださったおかげで、クリクラメンバーだけのミーティングよりも、充実した内容になったと思います。
毎回曖昧な点、疑問点として挙げられたことをクリクラメンバーが調べて発表するのですが、人に発表することで、自分も知識の整理ができますし、不十分な点や疑問点を挙げたり、挙げて頂くことで、内容が深くなりました。また、ミーティングで山崎先生が、質問される際も、まずクリクラのメンバーに聞き、その次にクリクラのメンバーがわからなかったことを研修医の先生に聞くといった形だったので、全員参加型のミーティングとなり、朝来る時は眠くても、朝のミーティング後は、目が覚めてそのあとの病棟実習を行うことができました。
また、朝のミーティングで話すことをきっかけに研修医の先生ともミーティング以外で話せるようになり、楽しい実習になりました。
病棟実習では、私は「チーム本藤」に所属し、朝、夕の2回、担当した患者さんについて、経過や診察所見、検査結果についてdiscussionしました。そのdiscussionのおかげで、検査結果について分からなかったことが解決できました。BSLの学生、クリクラ、本藤先生、そして監督の大畑先生、オーナーの山崎先生と、屋根瓦式の教育体制で病棟実習を行うことができ、とても充実していたと思います。
終わってしまって寂しいですが、今回のクリクラで学んだことをしっかりと定着させ、今後自分が医者になった時に生かせるようにしたいと思います。
本当にありがとうございました。
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池辺さん、どうもありがとうございました。本年度の血液内科のクリクラは完全オーダーメイド。
今回の実習は、あらかじめシナリオが用意されている訳ではなく、朝のミーティングで話題に挙がった疑問点を参考に全てアドリブでテーマを決めたため、正直なところ、こんなに喜んでもらえるクリクラ実習になるとは思っていませんでした。
これもひとえに研修医の先生方のサポートがあったからだと大変感謝しています。
しかし、何よりも今回のクリクラのメンバー全員の熱意が、研修医の先生方に通じたのだと思います。学生さんのがんばりは、患者さんの声にも反映されていました。1ヶ月間本当にお疲れ様でした。さて、しばらくクリクラメンバーのメッセージが続きます。乞うご期待!
【関連記事】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(1)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(2)
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12
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DIC診断でFDP(Dダイマー)のみの限界(図解36)
前回の記事(DICで、FDP(Dダイマー)の上昇しない意義(図解35))で、FDP&D-dimer(Dダイマー:DD)は、播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態が良い時も悪いときも上昇しないと書かせていただきました。
このようなどっちつかずのマーカーは、DICの病態把握や、診断には無力なのでしょうか。いえ、そういう訳ではありません。DICの病態把握や診断のために、FDPやD-dimerは不可欠でしょう。
これは、FDP&DD「のみ」で病態把握することの限界ということができます。
FDPやDDとともに、DICの本態である凝固活性化を反映するマーカーであるTATや、DICの病型分類のために必要なマーカーであるPICを合わせて測定することで、正確な評価が可能と考えられます。
さて、DIC診断基準ですが。。。。
以下で、DIC関連記事とリンクしています。
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:56
| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)
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金沢大学附属病院:呼吸器内科後期研修(専門医養成)(後編)
金沢大学附属病院:呼吸器内科後期研修(専門医養成)(前編)から続く
金沢大学第三内科のうち血液内科の後期研修案内に続きまして、今回は呼吸器内科の紹介です。
【関連記事】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします!
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
金沢大学附属病院ホームページで掲載されている内容を若干のみ改変してお届けします。
金沢大学附属病院
呼吸器内科 後期研修(専門医養成コース)プログラム (2)
研修プログラム
大学では高度先進医療と医学的な病態把握と治療を中心に研修し,関連病院では一般的な呼吸器疾患を中心とした多くの症例の診療を経験する。
大学を始めとして当科関連の学会認定施設において,日本呼吸器学会専門医制度研修カリキュラムおよび日本アレルギー学会専門医制度研修カリキュラム (内科系)に従って,それぞれの専門医資格の取得を目指して後期研修を行う。
また,各学会専門医申請に必要な業績(症例,学会発表,論文,学会出席等)の取得も積極的に行っていく. 本カリキュラムによる研修によって3年目終了時には一般呼吸器内科医としての実力は身に着くが、さらに上の「考える呼吸器内科医・専門呼吸器内科医」を目指して、後期研修4年目から医学研究を行い、医学博士号を取得する。
<参考>
日本呼吸器学会ホ−ムペ−ジ
日本アレルギ−学会ホ−ムペ−ジ
日本呼吸器内視鏡学会ホ−ムペ−ジ
診療内容と症例数
金沢大学呼吸器内科における年間症例経験数を記載する.
1) 慢性咳嗽のアルゴリズムによる診断と治療 約200例/年
2) 気管支喘息の診断と治療,特異的病態の解析 約200例/年
3) 慢性閉塞性肺疾患の病態診断と特異的治療による長期管理 約100例/年
4) 慢性呼吸不全の在宅ケア 30例/年
5) 間質性肺炎の病態診断と病因診断 約50例/年
6) 難治性肺炎の診断と治療 約10例/年
7) 肺癌の診断 約30例/年
8) 進行肺癌の集学的治療 約50例/年
9) 睡眠時無呼吸症候群の診断と治療 約20例/年
10)急性呼吸不全の診断と集学的治療 約10例/年
11)肺循環障害(肺高血圧症、肺血栓塞栓症)の診断と治療 約10例/年
資格取得
初期研修終了後3年間の内科系研修を行い、日本内科学会内科認定医を取得する.その後さらに研修を積み重ねて下記の3つの専門医資格を取得する。
1. 呼吸器学会専門医 (内科系臨床研修後3年)
2. アレルギー学会専門医 (内科系臨床研修後3年)
3. 呼吸器内視鏡学会専門医 (内科系臨床研修期間を含めて5年)
専門医試験申請のためには,各学会認定施設における一定の研修期間が必須となっている.以下の3段階(順番)で実施する。
1) 大学(後期研修1〜2年目,なお1年目は呼吸器内科以外の研修も可能)
2) 2〜4年間の関連病院(後期研修2〜5年目)
3) 大学(3年間,基礎研究の2年間を含む)
4. 臨床腫瘍学会専門医(初期研修後5年,内科認定医取得必要)
平成18年度より臨床腫瘍学会専門医が誕生した.北陸では以下の医療機関のみが認定施設であり,初期研修終了後5年以上経験および認定施設での2年以上の研修が必要とされている.今後当科関連の認定施設も増加し,本学会専門医を取得する医師が急増する予定である.
富山県(認定年度と施設名、以下同じ)
2005年4月1日 高岡病院、富山市民病院、2007年4月1日 富山県立中央病院、富山大学附属病院
石川県
2005年4月1日 石川県立中央病院、2006年4月1日 金沢医科大学病院、金沢大学医学部附属病院、2008年4月1日 金沢医療センター
福井県
2005年4月1日 福井大学医学部附属病院、2006年4月1日 福井県済生会病院
学位取得
学位取得をめざす場合には,大学院に入学する.
関連施設で2〜4年勤務後,大学において2年間のベットフリ−での研究を行い学位取得をめざす.なお,1年間で研究が終了した場合,残る1年間は他施設での研究も可能である.
後期研修後の進路
(専門医コ−ス)
学会認定施設となっている関連施設を中心に経験を積み、各専門医を取得する.大学院に進学しない
場合でも,途中1年間は大学での高度先進医療および詳細な診療研修を行う.
(専門医および大学院コ−ス)
専門医コ−スと同様に研修を行い,途中研究期間が設けられる.研究期間中も外来勤務および症例検討会等に参加することによって専門医取得も合わせて目指す.
専門医取得後,勤務先や留学等各人とよく相談の上紹介を行っている.特に女性医師の場合,結婚・出産・育児期間中の勤務についても十分配慮している.
スタッフ
http://www.3nai.jp/class/02.html
関連施設 (平成20年10月現在)
・常勤医の派遣されている病院
・常勤&非常勤医の派遣されている病院
連絡先
医局長 奥村廣和
e-mail info@3nai.jp
〒920-8641 石川県金沢市宝町13−1
金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学 (第三内科)
電話 076-265-2272(医局長室)、076-265-2274、2275(秘書室、事務室)
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:24
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金沢大学附属病院:呼吸器内科後期研修(専門医養成)(前編)
金沢大学附属病院:血液内科後期研修(専門医養成)(後編)から続く
金沢大学第三内科のうち血液内科の後期研修案内に続きまして、今回は呼吸器内科の紹介です。
【関連記事】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします!
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
金沢大学附属病院ホームページで掲載されている内容を若干のみ改変してお届けします。
金沢大学附属病院
呼吸器内科 後期研修(専門医養成コース)プログラム (1)
概要
基礎研究と臨床研修の独立方式:
呼吸器内科には,気道グループ,肺グループ,肺癌グループの3つの研究グループがあり、それぞれのグループのチーフの指導の下に基礎的研究を実施している。
さらに,呼吸器専門医としてのレベル向上を目的として,研究グループの枠を超え,関連病院勤務医も全て含めて,呼吸器内科全員参加型の臨床研究を実施している。例えば,基礎研究が肺癌であっても,気管支喘息に関する臨床研究の中心的役割を担うなどである。この研修方式によって,偏りのない呼吸器専門医としての実力を身につけている。
呼吸器専門医が足りない:
北陸地区(富山、石川、福井)の地域中核病院に勤務している呼吸器専門医の不足は深刻であり,一人でも多くの研修医が呼吸器専門医になってくれることを熱望している。
金沢大学呼吸器内科の特色
得意分野:呼吸器内科一般に加えて,全国をリードしている得意分野がある。
1) 慢性咳嗽の体系的診療
新規疾患「アトピー咳嗽」の発見・確立、病態の解明と新しい治療法の開発
咳喘息の病態解明とより良い診断法の確立と効果的な治療法の開発
原因疾患の診断のための総合的診断システムの開発
2) 気管支喘息,閉塞性肺疾患の病態診断と特異的治療
気管支喘息の的確な診断を基本として、閉塞性肺疾患の寄与疾患を正しく診断し、治療可能な病態を抽出することによる最善の治療の実践
3) 間質性肺炎の病態診断と原因診断
病態診断と原因診断を組み合わせた的確な治療法の選択と実践
とくに外的因子(環境抗原や薬剤)による間質性肺炎の診断
4) 化学療法,分子標的治療,放射線治療を組み入れた肺癌の集学的治療
標準的治療を行うとともに、肺癌治療成績の向上を目指した新しい治療法の開発緩和治療(疼痛、呼吸困難、咳嗽、栄養)の的確な実践
スタッフ
http://www.3nai.jp/class/02.html
関連施設 (平成20年10月現在)
・常勤医の派遣されている病院
・常勤&非常勤医の派遣されている病院
連絡先
医局長 奥村廣和
e-mail info@3nai.jp
〒920-8641 石川県金沢市宝町13−1
金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学 (第三内科)
電話 076-265-2272(医局長室)、076-265-2274、2275(秘書室、事務室)
(続く)
金沢大学附属病院:呼吸器内科後期研修(専門医養成)(後編)へ
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:43
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金沢大学附属病院:血液内科後期研修(専門医養成)(後編)
金沢大学附属病院:血液内科後期研修(専門医養成)(前編)から続く
金沢大学附属病院のホームページに掲載されている、血液内科 後期研修(専門医養成コース)プログラムの紹介の続編です。
【関連記事】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします!
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
血液内科に関する研修医からのQ&A
今回も、金沢大学附属病院ホームページで掲載されている内容を若干のみ改変してお届けします。
金沢大学附属病院
血液内科 後期研修(専門医養成コース)プログラム (2)
研修プログラム
診療内容と症例数
1) 急性骨髄性白血病 20例/年
2) 急性リンパ性白血病 6例/年
3) 慢性骨髄性白血病 6例/年
4) 慢性リンパ性白血病 3例/年
5) 非ホジキンリンパ腫 30例/年
6) ホジキンリンパ腫 4例/年
7) 多発性骨髄腫 6例/年
8) 骨髄異形成症候群 10例/年
9) 再生不良性貧血 20例/年
10) 骨髄増殖性疾患 10例/年
11) 特発性血小板減少性紫斑病 10例/年
12) 播種性血管内凝固症候群 50例/年
13) 抗リン脂質抗体症候群 50例/年
14) 先天性凝固異常症 5例/年
15) 血栓性血小板減少性紫斑病 3例/年
16) 血球貪食症候群 3例/年
自家末梢血幹細胞移植 10例/年
同種造血幹細胞移植 30例/年
資格取得
血液内科では、日本内科学会認定医・専門医、日本血液学会専門医、日本臨床腫瘍学会の「がん薬物療法専門医」、日本輸血学会専門医、日本老年病学会専門などの資格を取得することが可能です。
学位取得
学位の取得を目指す場合には、大学院入学が必要です。大学院での研究予定については研修プログラムを参照してください。卒後3年目の入学では7年目、4年目の入学では8年目が取得時期の目安です。
後期研修後の進路
専門医コース:大学病院や学会認定施設となっている関連病院を中心にローテートし、専門医受験資格に必要な症例を経験します。さらに、最先端の研究的治療、薬剤開発のための臨床試験(治験)、多施設共同臨床試験を経験し、方法論を学びます。
大学院コース:専門医コースと同様に研修を行い、その途中に大学病院で学位取得のための研究を行います。学位取得時期は卒後7〜8年目が目安となります。
関連施設 (平成20年10月現在)
・常勤医の派遣されている病院
・常勤&非常勤医の派遣されている病院
連絡先
医局長 奥村廣和
e-mail info@3nai.jp
〒920-8641 石川県金沢市宝町13−1
金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学 (第三内科)
電話 076-265-2272(医局長室)、076-265-2274、2275(秘書室、事務室)
(続く)
金沢大学附属病院:呼吸器内科後期研修(専門医養成)(前編)へ
【リンク】
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:37
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金沢大学附属病院:血液内科後期研修(専門医養成)(前編)
先天性凝固異常症 & 大動脈瘤:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(3)から続く
金沢大学附属病院のホームページ(HP)に、血液内科 後期研修(専門医養成コース)プログラムが掲載されているのですが、pdf.ファイルでの掲載のため、ひょっとしたらあまり目にされていないかも知れません。
念のために、私たちのブログ記事でも紹介させていただきたいと思います。血液内科の紹介(2回シリーズで紹介させていただきます)のあとは、呼吸器内科の紹介の予定です。
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします!
金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
金沢大学附属病院HPで掲載されている内容を、若干のみ改変して紹介させていただきます。
金沢大学附属病院
血液内科 後期研修(専門医養成コース)プログラム (1)
概要
当教室は、昭和44年に初代服部絢一教授により開設されました(金沢大学医学部第三内科)。平成11年8月からは二代の松田保教授の後を受け、中尾眞二教授が担当しています。当科では血液内科疾患全般の診療を行っています。
昭和58年に本邦初の同種骨髄移植長期生存例を報告して以来、我が国における造血幹細胞移植の情報発信源施設としての地位を築いてきました。それ以外に再生不良性貧血の免疫抑制療法、造血器腫瘍の化学療法、血栓性疾患の治療などを診療の柱としています。
研究では「診療にすぐに役立つ研究を」をモットーに同種免疫療法の開発、再生不良性貧血の病態解明とそれに基づく治療法の開発、腫瘍ワクチン療法、造血器疾患の治療反応性と副作用の発現予測、播種性血管内凝固(DIC)をはじめとする血栓性疾患の病態解析と治療に取り組んでいます。
当科の特色
当科では、血液・移植グループと血栓止血グループに別れています。両グループの診療内容と研究内容について以下に示します。
1) 造血器悪性腫瘍
臨床:造血器疾患に対する化学療法、難治性造血器疾患に対する造血幹細胞移植など。
研究:リツキシマブ抗腫瘍効果増強作用の検討、骨髄増殖性疾患の診断と病態解析、同種免疫療法(腫瘍ワクチン)の開発、腫瘍細胞特異的細胞障害性T細胞の解析、幹細胞移植に合併するウイルス感染予防、GVHDの治療法開発。
2)骨髄不全
臨床:再生不良背貧血に対する免疫療法・同種幹細胞移植、骨髄異形成症候群に対する同種幹細胞移植。
研究:再生不良性貧血の病態解析・高感度フローサイトメトリーによる予後予測・自己抗体解析。
3) 播種性血管内凝固症候群(DIC)
臨床:DICの診断・治療。
研究:DICの病態解析(DICモデル実験)・新規治療法の開発など。
4)先天性&後天性血栓性素因
臨床:先天性凝固異常症の診断・治療、抗リン脂質抗体症候群(APS)治療の層別化。
研究:先天性凝固異常症の遺伝子解析・機能解析、APSの病態解析・治療法の開発。
スタッフ
http://www.3nai.jp/class/02.html
(続く)
金沢大学附属病院:血液内科後期研修(専門医養成)(後編)へ
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:28
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先天性凝固異常症 & 大動脈瘤:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(3)
DIC&APSの病態・治療:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(2)から続く
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(第三内科)研究室紹介は、以下からもご覧いただけます。
1) 血液・移植研究グループ紹介
2) 呼吸器研究室グループ紹介
<血栓止血研究室>(3)
【先天性凝固異常症】
先天性凝固異常症の分子病態に関する研究としては、凝固因子および凝固阻止因子の分子異常について幅広く研究しています。今までにプロトロンビン異常症、第 VII・X・XI・XII因子・プレカリクレインなどの凝固因子欠損症の解析、またプロテインC&S・アンチトロンビンなど の凝固阻止因子欠損症の解析を行なっており、世界でも報告のない新たな変異部位を次々と明らかにしました。現在では、全国各地から様々な欠損症の解析を依 頼されています。
<関連記事>
・先天性血栓性素因と病態:アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
・抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)
・深部静脈血栓症/肺塞栓(インデックスページ)
【HMG-CoA還元酵素阻害剤】
動脈硬化と血栓症に関する研究としては、最近は、高コレステロール治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)のpleiotropic effectとしての凝固線溶系への効果を意欲的に研究しており、スタチンが単球、血管内皮細胞における組織因子や線溶阻止因子であるPAI-1の発現を down-regulateし、一方で凝固阻止因子であるTFPIの発現をup-regulateし、血栓形成阻害効果をもたらす可能性を明らかにしまし た。
【大動脈瘤とアネキシンII】
また新たな研究の方向性として、大動脈瘤に合併するDICの病態に迫るべく大動脈瘤のラット動物モデルを作成し、線溶作用を有するアネキシンIIが高発現 していることを免疫組織学的染色およびreal-time RT-PCR法を用いて明らかにしました。最近、大動脈瘤壁組織の免疫組織学的検討においてア ネキシンIIが濃染することを明らかにし、瘤形成における線溶系の関与を示唆しました。
Hayashi T, et al: Expression of annexin II in human atherosclerotic abdominal aortic aneurysms. Thromb Res. 2008;123(2):274-80.
(続く)
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<関連記事>
・播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ)
・播種性血管内凝固(DIC )治療のインデックス
・血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)
・トランサミン(インデックスページ)
・抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
・ヘパリン類 : フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:38
| 血栓止血(血管診療)
DIC&APSの病態・治療:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(2)
市民公開講座:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(1)から続く
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(第三内科)研究室紹介は、以下からもご覧いただけます。
1) 血液・移植研究グループ紹介
2) 呼吸器研究室グループ紹介
<血栓止血研究室>(2)
前回の血栓止血研究室紹介では、具体的な研究内容には言及しませんでしたので、今回から具体的内容を紹介させていただきます。
金沢大学第三内科血栓止血研究室は、一貫して「血栓症の克服」に向けて研究を進めています。
特に、
● 播種性血管内凝固症候群(DIC)病態解析と治療法の改善
● 抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析・診療
● 血栓性疾患の病態解析
● 凝固異常症の遺伝子解析
などは、私達が最も力を入れているところです。
【播種性血管内凝固症候群】
播種性血管内凝固症候群(DIC)研究に関しては、動物DICモデルを用いた検討を行ってきましたが、私たちは、LPS誘発DICモデルと組織因子(TF)誘発DICモデルでは全く病態が異なり、前者は臨床の線溶抑制型DICに後者は線溶亢進型DICに類似した病態であることを指摘しました。
また、新規線溶阻止因子TAFIのDIC病態における役割を検討して、大変興味ある成績が得られました。 最近では、他疾患に用いられている某薬剤が、DICの臓器障害を劇的に改善するという刺激的な成績も得られました。
DIC治療ガイドラインに関しましては、金沢大学も大きく関わる形でその作成が終了し、ついに世に出ました(諸般の事情から、正確にはエクスパートコンセンサスとして世に出ました)。今後のDIC診療において、大きな意味を持つことになるでしょう。
<関連記事>
・播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ)
・播種性血管内凝固(DIC )治療のインデックス
・血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)
【抗リン脂質抗体症候群】
抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する基礎的検討、臨床研究につきましても従来より精力的にとり組んでいます。当院皮膚科、聖マリアンナ大学皮膚科、信州大学皮膚科などとの共同研究の結果、多くの原著論文を発信してきました。
抗リン脂質抗体症候群により死産を経験したことを公表し、その後、アスピリンとヘパリン注射によりお子様を授かった女優さんの影響か、不育症患者様の紹介、あるいは自分から希望しての受診が激増しています。
APS関連不育症については妊娠判明時より少量アスピリン内服とヘパリン皮下投与により80%以上の症例で生児を得ることができることが報告されています。
APSはいまだ不明の部分も多い疾患群ですが、徐々に解明され、コントロール可能となりつつある部分もあります。今後のさらなる医学の発展が期待されるところです。
<関連記事>
・抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)
・深部静脈血栓症/肺塞栓(インデックスページ)
・先天性血栓性素因と病態:アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
(続く)
先天性凝固異常症 & 大動脈瘤:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(3)へ
【関連記事】
・トランサミン(インデックスページ)
・抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
・ヘパリン類 : フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:32
| 血栓止血(血管診療)
市民公開講座:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(1)
肺癌(肺がん):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(3)から続く
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(第三内科)の研究室紹介は、
1) 血液・移植研究グループ紹介
2) 呼吸器研究室グループ紹介
を既にブログ記事としてアップ終了いたしました。最後は、血栓止血研究室(血管診療グループ)です。
血栓止血学は、血液内科の範疇にはいる学問と考えられているかも知れませんが(確かにそのような要素もありますが)、本来は血液内科とは学問の性格が違うような気もしています。血栓止血学は、血液内科というよりも血管内科と言った方が、よりしっくりくるように感じています。
<血栓止血研究室>(1)
血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究テーマとしています。全身の血管を対象としますので多くの他領域とも関連が深いのが特徴です。
最近、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓(PE)(DVT/PEのインデックスページ)に対する臨床各科の関心が高まっており、整形外科領域などの術後のDVT発症予防としてのフォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)や低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の使用が保険収載されました。当院においても既に数多くの症例での処方がなされています。治療ではなく「予防」として保険適応となったという点では、まさに保険診療上における画期的なできごとではないかと思います。
また、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(商品名:リコモジュリン)が2008年5月からDIC治療薬として発売されました。全例調査が必要なため、まだ全医療機関で処方することはできないのですが、DIC治療の新潮流と言えるのではないかと思います。
さて「日本血栓止血学会 市民公開講座 in 金沢」が、平成20年3月2日(日)13〜16時(於:金沢駅前の県立音楽堂)で開催されたことは、私たちの研究室にとっては極めて大きなできごとです。1,000人を超える市民の方に出席していただきました。アンケート調査では、市民公開講座の反響はすこぶる好評で、多くの方に毎年開催して欲しいというご意見をいただきました。ただし、この市民公開講座は全国持ち回りの会のため毎年開催できないのが残念です。
松田保名誉教授によって金沢大学に灯していただいた血栓止血学の火が、市民の皆様に広がっていったと言う意味でも、大変感慨深いものがあります。このブログをかりまして恩師の松田名誉教授および血栓止血学に深いご理解をいただいている中尾教授に感謝いたします。
なお、個人的には市民公開講座での鎌田實先生(諏訪中央病院名誉院長)のご講演に大変感銘いたしました。公開講座のあと鎌田先生のご著書を10冊以上購入して拝読しました。とても感銘する内容で、心が洗われる思いになりました。
血栓止血研究室の研究内容と直接関係無い紹介から書かせていただきすいません。次回は、具体的な研究内容に言及してまいります。
(続く)
DIC&APSの病態・治療:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(2)へ
【関連記事】
・播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ)
・播種性血管内凝固(DIC )治療のインデックス
・血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)
・深部静脈血栓症/肺塞栓(インデックスページ)
・抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)
・先天性血栓性素因と病態:アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
・トランサミン(インデックスページ)
・抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
・ヘパリン類 : フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:43
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肺癌(肺がん):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(3)
肺疾患(間質性肺炎):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(2)から続く
今回は、金沢大学 血液内科・呼吸器内科(第三内科)呼吸器研究グループの3回目の紹介です。
呼吸器研究グループの3つのサブグループのうち、これまでに、気道疾患グループ、肺疾患グループ(間質性肺炎など)を紹介させていただいていますので、今回は肺癌グループです。
悪性腫瘍の疾患は多数ありますが、その中でも、呼吸器悪性腫瘍の一つである肺癌の克服は、人類に課せられた大きな課題の一つではないかと思います。
【関連記事】
非小細胞肺癌治療の最前線
肺がんに気づくサイン
<肺癌グループ>
2002年9月に臨床応用された肺癌治療薬ゲフィチニブ(イレッサ)を含む上皮成長因子受容体阻害剤(EGFR-TKI)は肺がんの個別化療法の扉を開けそうになりました。
金沢大学呼吸器内科の肺癌グループはこれらの研究に積極的に参加しています。ゲフィチニブの効果予測因子としてのEGFR遺伝子変異と遺伝子増幅を比較検討した研究では、EGFR遺伝子変異はゲフィチニブの効果予測因子ですが、遺伝子増幅は効果予測因子ではないことを明らかにしました(曽根)。
またGlobal studyにも積極的に参加し、2008年に発表され、大きな反響を呼んだWJTOG0203(化学療法後のゲフィチニブの有用性を検討する第III相試験)やIPASS(アジアにおけるゲフィチニブと細胞障害性化学療法の有用性を比較する第III相試験)にも症例を多く登録しました。
また、呼吸器グループで主導した
1)高齢者進行非小細胞肺癌に対するVinorelbine、Gemcitabine隔週投与後、ゲフィチニブを逐次投与する臨床第II相試験
2)VB、W期非小細胞肺癌に対するVinorelbineとCarboplatinの併用化学療法後Gemcitabineを逐次療法として追加する第U相臨床試験
3)局所進行非小細胞肺癌に対するDocetaxel / Cisplatin導入化学療法後Docetaxel 毎週投与併用下胸部放射線照射の逐次併用療法の検討
4)ゲフィチニブ奏効後の再発非小細胞肺癌症例に対する毎週投与パクリタキセルとゲフィチニブ併用療法
などの臨床研究が進行しています。
基礎的研究では、曽根がEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の感受性規定因子としての血漿中のVEGFが有用であることを見出し、また木村は血液中に混在している腫瘍由来のDNAを抽出し、EGFR遺伝子変異を検出しています。これは全世界的に大きな反響を得ています。新屋は工学部の長野教授グループとの共同研究で、温熱療法と選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬の併用の基礎的研究を進めました。この共同研究は現在も継続しています。また、丹保は、EGFR遺伝子変異・増幅が非小細胞肺癌の予後に大きな影響を与えると仮説し研究を続けています。
呼吸器の疾患は種類も病態も多様であり、教科書通りの患者は少なく、一人ひとりの患者の病態を考えながら診療しなくてはなりません。
つまり、「考えながら診療する能力」が求められる訳です。そこで研究、とくに学位研究は、呼吸器内科専門医となるために重要なステップとなります。
診療や外勤のため研究時間が十分に確保できない状況での研究活動は容易ではありませんが、できるだけ良い環境で研究ができるようにとスタッフと中堅メンバーも頑張っています。
(続く)
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【関連記事】
・慢性咳嗽の診療
・ガイドライン:咳嗽の診断と治療
・好酸球性下気道疾患
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12
| 呼吸器内科
肺疾患(間質性肺炎):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(2)
気道疾患:金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(1)から続く
金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)の呼吸器研究グループの研究室紹介の2回目です。
今回は、肺疾患グループです。特に、間質性肺炎の診療と臨床研究・基礎研究に精力的に取り組んでいます。肺疾患グループは、安井正英先生(現:金沢市立病院呼吸器内科)が長年にわたり引率してこられましたが、現在は若手新進気鋭の先生方がバトンを受けて一生懸命頑張っています。
間質性肺炎は、その一病型が膠原病とも関連の深い疾患ですので、他臓器の内科や、皮膚科(強皮症関連)など、多くの診療科とのコミュニケーションが多いのが特徴ではないかと思います。
<肺疾患グループ>
間質性肺炎の領域は、病型の多様性(IPF,NSIP, COP, EP, DIPなど)のため、それぞれの病態毎の機序や原因の解明がなかなか進まないのが現状です。
抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体に注目し、間質性肺炎の病型との関連を検討してきましたが、非特異的間質性肺炎(NSIP)との関連が示唆されています。長年、乾性咳嗽は間質性肺炎の症状の一つだと信じられてきました。数年来、それぞれの病型の間質性肺炎患者の咳嗽について、その原因疾患を追求してきました(一般常識に対する挑戦的研究)。その結果、大部分が慢性咳嗽の原因疾患による咳嗽であることが判明しました。すなわち、間質性肺炎を治療できなくても、咳嗽を軽快させることは可能となった訳です。
基礎的研究では、ブレオマイシン肺線維症モデルに対するAT1およびAT2受容体拮抗薬の影響を検討し、AT1受容体拮抗薬は増殖因子の抑制を介して肺の線維化を抑制し、AT2受容体拮抗薬は炎症の抑制を介して線維化を抑制することを明らかにしました(早稲田)。
また、シリカ肺線維症モデルにおけるアルドステロンの役割に関する研究では、肺内アルドステロンが初期に増加し、スピロノラクトンがTNFα,TGFβの抑制を介して肺の線維化を抑制することを示しました(市川)。
肺の線維化におけるキマーゼの役割についての研究では、キマーゼが好中球性炎症を惹起し、TGFβを介して肺の線維化に関与していることを明らかにしました(高戸)。
さらに、「アンジオテンシン受容体拮抗薬の肺線維化抑制作用におけるACE2及びAng1-7の関与」について精力的に実験を進めています(犬塚)。
(続く)
肺癌(肺がん):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(3)へ
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・ガイドライン:咳嗽の診断と治療
・好酸球性下気道疾患
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:58
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気道疾患:金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(1)
同種造血幹細胞移植&ワクチン療法:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(3)から続く
この度は、金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)の呼吸器研究グループの研究室紹介をさせていただきます(今回は第1回目)。
血液・移植研究グループと同様に、金沢大学第三内科の最新同門会誌からの改変です。ただし、執筆時期と同門会誌発刊時期との間に時間的な幅があるために、必ずしも最新研究情報の紹介とはならないことをご容赦いただければと思います。
【関連記事】
・慢性咳嗽の診療
・ガイドライン:咳嗽の診断と治療
・好酸球性下気道疾患
呼吸器内科は専門的に実践しようとすると大変ハードな領域です。血液内科、循環器内科などと同様にチーム医療が必要です。北陸の各地区に原則1つの専門呼吸器内科部門を維持すべく地域中核病院の特化を進めています。この場合、1部門に呼吸器内科医3名以上を原則としています。
さて、呼吸器研究グループには現在、気道疾患グループ、肺疾患(間質性肺炎など)グループ、肺癌グループの3つのサブグループがあり、臨床、研究を精力的に遂行しています。
<気道疾患グループ>
慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」に取り組み、国内外をリードする我々のグループにとって、各々の疾患における咳嗽の発生機序の解明と治療法の開発は義務となっています。
アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、
「アレルギー機序による咳感受性亢進と各種免疫調整薬の影響」(徳田先生)
「咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究」(大倉先生)
が順調に進んでいます。
動物実験では、気管支平滑筋収縮がAδ神経線維を刺激して咳嗽を発生するという新事実を突き止めました(大倉先生の学位論文)。
臨床研究では、気管支平滑筋収縮による咳嗽反応に、疾患による特徴があるという興味ある成績が出つつあります。
慢性気流制限(いわゆる慢性閉塞性肺疾患:COPD)を来す機序は明らかではありません。とくに、気管支喘息の慢性気流制限は一部の患者さんでのみ進行します。この規定因子が、好酸球性気道炎症のバイオマーカーである呼気NO濃度ではなく、吸入ステロイド薬を中心とする長期管理によっても残存している気道過敏性亢進であることが判明しました(大倉先生)。
徳田先生はアトピー咳嗽の研究と平行して、「TNF-α(COPDで増加)とIFN-γ(ウイルス感染で増加)によるToll-like receptor 2の発現とその制御」について検討を進め、その成果が出つつあります。
(続く)
肺疾患(間質性肺炎):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(2)へ
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:45
| 呼吸器内科
同種造血幹細胞移植&ワクチン療法:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(3)
骨髄不全:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(2)から続く
当科の血液・移植研究室の紹介の続編です。
関連記事:
汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について
急性骨髄性白血病の治療
造血幹細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
造血幹細胞移植後の再発:インデックスページ
【金沢大学 血液・移植研究グループ】(3)
<同種造血幹細胞移植>
がん監視機構・自己免疫疾患の疾患感受性・感染免疫・臓器移植に影響する免疫関連遺伝子多型に着目し、同種造血細胞移植後転帰との関連を解析しています。
日本骨髄バンクから非血縁者間骨髄移植を受けた血液がん患者とそのドナーの試料提供を受け、いくつかの遺伝子多型が移植の成否にかかわっていることを明らかにしました。
<白血病・リンパ腫に対するワクチン療法の開発>
白血病細胞や白血病細胞由来樹状細胞は抑制性補助シグナル分子であるGITR (Glucocorticoid-induced TNFR-related protein)リガンドを発現することで、同種造血幹細胞移植後にドナー由来の白血病特異的細胞障害性T細胞の誘導を阻害していることを明らかにしました。
移植片対白血病効果の増強を目的として、抗GITR抗体を併用したCDK2ペプチド・ワクチンの臨床応用を計画しています。
(続く)このあと、当科の呼吸器研究室の紹介記事に続きます。
気道疾患:金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(1)へ
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研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:57
| 血液内科
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします!
金沢大学附属病院 血液内科・呼吸器内科(第三内科)
【病棟医長の新企画:一言お願いします!】
「後期研修医の独り言」がなかなか好評とのことで、ずいぶん前から「病棟の紹介記事を」とせっつかれていた病棟医長はとても肩身の狭い思いをしています。
この事態をなんとかせねばと、新企画を立ち上げることにしました。
題して、「一言お願いします!」。
病棟医長の強みを最大限に活かして、金沢大学附属病院 東病棟6階(血液内科・呼吸器内科病棟)に滞在中のメンバーから、こっそり本音を聞き出します。
記念すべきトップバッターは、初期研修医2年目の本藤先生です。まさに血液内科での研修を満喫しているといった感じの先生です。「本藤有智先生、一言お願いします!」
-------------------------------------------
血液内科研修報告
金沢大学附属病院研修医2年目 本藤有智
新緑の目にまぶしい5月、血液内科での研修も2ヶ月目を迎えた。重症の方の多い病棟である。当初、果たして自分についていけるのだろうかと、心配、不安は相当にあったが、周囲のフォローに助けられて、実りある研修生活を過ごしている。
熱心な教育姿勢
血液内科研修の概観を述べるとき、まず、驚くほど研修医・学生を歓迎する雰囲気に満ちていることがあげられる。どの医師からも、よくなってもらいたい、力をつけてもらいたいという熱意が感じられる。教授からしてそうなのだ。全体のカンファレンスの進行を止めてまで「今の話わかったかな」と学生や研修医の理解を確かめてくれる。大学時代から通じて、このような科がかつてあっただろうか。驚くべき教育姿勢である。
スタッフの満足度の高さ
さらに、今の状況に不満を漏らしている人が少ないのも良い。研修を受ける立場の者にとっては、スタッフが満足して働いているのか、裏を返せば、自分が将来そのスポットで仕事をしようとするとき、やりがいのある環境なのかどうか、スタッフの言動によるものが大きいのだが、あからさまな不満を口にする人が誰もいない。
学生との接点が多い
“教うるは学ぶの半ば”と古人は言ったが、学生が同じ場所で学んでいる影響は大きい。自然と指導する機会にも恵まれるし、指導医の説明もより丁寧になるため、自分の分かっていなかったことがハッキリする。後輩から思いもしない鋭い質問が飛び出し、幅広く学ぶ、絶好の機会を得ることもある。
女性医師が多く雰囲気がよい
女性の長所は優しさだと私は昔から思っている。女性が一人いるだけで、場の雰囲気が和らぎ、温かみのある空間になった経験をお持ちの方はいないだろうか。私が医師を目指したのも、優しい女医さんにあこがれてのことだった。女性の存在は、医局全体のムードを後押ししている。
他にもまだまだあるのだが、ざっと利点を挙げると、以上のようなものだろうか。金沢大学病院に来て一年。様々な科で研修を受けてきたが、血液内科では、他の科では味わえない楽しさ、やりがいがあり、躍動する日々を過ごしている。残る一ヶ月も、全力で研修に臨み、医師としてのスキルアップを図りたい。
-------------------------------------------
(以上)
本藤先生、どうもありがとうございました。ちょっとほめすぎですが、血液内科にとても好感を持っていただいていることがわかってホッとしました。
今年度の血液内科は、後期研修医の細川先生を筆頭に、初期研修医3名、クリクラ(6年生)4名、BSL(5年生)3名が、まさに屋根瓦方式での賑やかな研修・実習をしています。なかでも、「チーム本藤」は団結力を感じさせます。さて、次回は誰にお願いしようかな。
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:59
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2009 金沢大学附属病院 診療案内より
既に紹介させていただいた「2009 金沢大学附属病院 診療案内」冊子内の写真です。
以前の記事(
金沢大学附属病院:新外来棟での診療)の画像と、ほぼ180°反対側から撮影されています。
この画像の向かって左側に、Kanazawa University Hospitalと書かれたのをご覧いただけるでしょうか。日本語ではなく英語になるだけで、近未来的な印象になりますね。新外来棟(各診療科外来)につながるエレベーターです。
やはり吹き抜け空間が、独特の雰囲気を出しているように思います。
関連記事:金沢大学附属病院の新外来棟オープン:血液内科・呼吸器内科
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:52
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金沢大学附属病院:新外来棟での診療
本日「2009 金沢大学附属病院 診療案内」を手にしました。
176ページの冊子で、各診療科の案内(スタッフ顔写真を含む)が書かれています。
大学病院は多数の診療科があり、また多数のスタッフがいるために、なかなか顔と名前が一致しない方も多いのですが、このような冊子がありますと、院内のスタッフを覚え易くなりますので、私達にとっても大変重宝です。
さて、この冊子の表紙ページを飾ったのは、このほどオープンした新外来棟のエントランス部分です。以前の記事でも紹介させていただいたように、広大な吹き抜け、ふんだんの採光、3階まで続くエスカレーター、瓦屋根の装飾などがとても印象的です。
金沢大学病院で研修される研修医の皆さんにとっても、このような新しい病院での研修はモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
追記:
管理人も初めて新外来棟での診察を経験しました。システム面で不慣れのため、診察に若干時間を要してしまいましたが、早く慣れたいと思っています。受付が総合受付でなく、各科ごとの受付になりましたので、患者さんからは、いつもより待ち時間が少なかったという意見もお聞きしました。
関連記事:金沢大学附属病院の新外来棟オープン:血液内科・呼吸器内科
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:35
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金沢大学附属病院の新外来棟オープン:血液内科・呼吸器内科
金沢大学附属病院では、連休明けの本日、新外来棟がオープンいたしました(左画像は、複数画像の合成です)。
まさに、ピカピカの外来棟です。
病院ではなくホテルのようだというご意見も聞かれました。管理人も同意見です。
吹き抜けの広大な空間、採光に配慮した天井や壁面、3階まで続くエスカレーター、瓦屋根の装飾、喫茶店や売店、。。。。。
病棟は既に新しくなっていますが、この度、外来も新規オープンしたことで、入院、外来の両面で、新しい金沢大学附属病院が誕生したことになります。
もちろん、外見よりも中身の方が重要であるのは言うまでもありませんが、新しい装いですと、更に一生懸命頑張りたいという気持ちにもつながるように思います。
研修医として、金沢大学附属病院での研修(血液内科・呼吸器内科)を考えておられる方もおられると思います。
必ずや、清々しい気持ちで、研修していただけるのではないでしょうか。
なお、金沢大学附属病院 血液内科・呼吸器内科での研修や入局に関するお問い合わせは、以下でお願いいたします。
金沢大学 血液内科・呼吸器内科
info@3nai.jp
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:40
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金沢大学血液内科・呼吸器内科HP&ブログ記事の閲覧数ランキング
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP&ブログで、閲覧回数の多かった記事のランキングを紹介させていただきます。
個々の記事と、カテゴリーのみのランキングとさせていただきます。
HP&ブログのトップページの集計は削除いたしました。
最近1ヶ月間の集計です。いつも、多大なご支援をいただき誠にありがとうございます。
1)PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症 3,303(回/月)
2)悪性リンパ腫の診断 3,091
3)PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)? 2,956
4)Dダイマー(D dimer:DD)とは? :FDP/Dダイマー比 1,181
5)血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ) 1,177
6)鼻出血(鼻血が止まらない):粘膜出血 1,150
7)播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)(カテゴリー) 1,078
8)DICの病態・診断 975
9)APTTとは? ヘパリンのモニタリングか 942
10)DIC(カテゴリー) 883
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:26
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額谷ふれあい公園:金沢大学病院から車で10分
金沢大学附属病院から、車で10分くらい行ったところに、額谷ふれあい公園という自然を満喫できるところがあります。金沢国際ホテルの近くです。山側環状道路が開通して、金沢大学附属病院からとても近くなりました。
大学病院から歩いて行ける兼六園(兼六園の桜1、金沢大学附属病院の桜、兼六園の桜2)も、もちろん素晴らしいです。加えて、天候に恵まれた日には趣を変えて自然公園を散策してみるのは如何でしょうか(今のシーズンはツツジを満喫することができます)。綺麗な空気で心身ともにレフレッシュして、明日からの激務に向けて、充電できるのではないでしょうか。
おそらく、金沢に住む人間にとっても意外と知る人はなく、穴場的な公園ではないかと思います。草木の呼吸を感じることができて、管理人好みの公園です。
連休ですので、医学からちょっと離れた記事にしてみました。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:27
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金沢大学血液内科・呼吸器内科ダウンロードランキング
金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)のホームページ&ブログでダウンロードの多かった記事ランキング ベスト10を紹介させていただきます。
最近、1ヶ月間の集計です。
同じ内容で、.pdf&.docの両者で登場しているものもあります。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:21
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骨髄不全:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(2)
金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(1):臨床研究から続く
前回に続きまして、当科の血液・移植研究室の紹介です。
関連記事:汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について
【金沢大学 血液・移植研究グループ】(2)
<骨髄不全>
過去においては不治の病と言われてきた再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)も、免疫抑制療法(immunosuppressive therapy)の導入後、約7割の患者さんにおいて寛解が可能となりました。こうした免疫病態が原因で発症した骨髄不全の患者さんを治療開始前に判別可能であれば、治療方針の決定に極めて有用です。
金沢大学血液・移植研究室では、歴代の大学院生たちが免疫病態を示唆するマーカー(微少PNH型血球、抗DRS-1抗体、抗モエシン抗体)を新たに見いだして、それらのマーカーを治療前に検索して免疫抑制療法に対する治療効果との関係を検討しています。そして、これらのマーカーが治療反応性の予測因子となり得るか否かを明らかにするための多施設共同臨床試験を実施しています。現在、全国から多数の登録をいただき解析しているところです。
「高感度フローサイトメトリー法を用いたPNH型血球の検出」は、現在ではその重要性が広く認知されるようになりました。これまでの700例以上のデータの解析から、再生不良性貧血の約50%,骨髄異形成症候群の約15%にPNH型血球の微少増加を認めました。PNH型血球増加を認めた多くの症例は免疫抑制療法に高反応性を示し、長期予後も良好であることわかりました。
このPNH型血球がどのようにして生じ、長期的にどのように推移するのかついてはよく分かっていませんでした。これらの問題を明らかにするため、骨髄不全の患者さんから検出したPNH型顆粒球について、PIGA遺伝子変異の有無を解析し、これを経時的に行うことによりPIGA変異造血幹細胞クローンの動態を明らかにする試みをはじめました。現在までに3例でPIGA遺伝子変異を同定し、6ヶ月後の再検でも同一の変異が持続していることを観察しています。このうちの1例は移植後生着不全時にドナー由来のPNH型血球が出現した例でした。この例のドナーの骨髄細胞をARMS-PCR法を用いて解析したところ、骨髄細胞中にPIGA変異が認められました。ドナー末梢血中にはPIGA変異は認められず、PIGA変異造血幹細胞が再生不良性貧血発症前の健常者骨髄に認められた例として報告しました。
Mochizuki K, et al: Expansion of donor-derived hematopoietic stem cells with PIGA mutation associated with late graft failure after allogeneic stem cell transplantation.
Blood. 2008 Sep 1;112(5):2160-2.
また、PNH型形質の細胞が検出される再生不良性貧血患者の血清中に、モエシン(細胞骨格と細胞膜とのリンカータンパク質)に対する抗体が高頻度で検出され、抗モエシン抗体を検出することにより再生不良性貧血の免疫病態を診断できる可能性が示唆されました。また、リンパ球や単球の表面にはモエシンが発現しており、再生不良性貧血患者血清から分離した抗モエシン抗体をリンパ球や単球に作用させるとTNF-αやIFN-γの分泌促進が起こることがわかりました。更に抗モエシン抗体によって単球内のERK1/2経路が働き、TNF-α分泌が生じることを同定しました。
Takamatsu H, et al: Specific antibodies to moesin, a membrane-cytoskeleton linker protein, are frequently detected in patients with acquired aplastic anemia.
Blood. 2007 Mar 15;109(6):2514-20.
Takamatsu H, et al: Anti-moesin antibodies in the serum of patients with aplastic anemia stimulate peripheral blood mononuclear cells to secrete TNF-alpha and IFN-gamma.
J Immunol. 2009 Jan 1;182(1):703-10.
以上のことから、抗モエシン抗体によって造血抑制サイトカイン分泌促進が生じ、再生不良性貧血の免疫病態が形成される可能性を考えています。
(続く)
同種造血幹細胞移植&ワクチン療法:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(3)へ
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