DICの概念・症状・予後:医師国家試験 問題対策
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)など :医師国家試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(19)
詳細記事へのリンクもつけておきます。
・播種性血管内凝固(DIC)(図解シリーズ)へ
・DICの治療などへ
播種性血管内凝固症候群(DIC)【重要疾患】【必須】
Disseminated Intravascular Coagulation
<本態>
主概念
1. 基礎疾患の存在【重要】
・三大疾患:急性白血病、固形癌、敗血症
・産科合併症:常位胎盤早期剥離,羊水塞栓
・動脈瘤、膠原病(血管炎を伴う),外傷,熱傷
2. 全身性&持続性の血管内における極端な凝固活性化状態(いわゆる「血栓症の王様」)
→微小血栓の多発
3. 二次線溶:ただし,その程度は症例により様々。
・線溶は、生じた血栓を溶解しようとする働き。
・生体の防御反応の一面も.
副概念
4. 消費性凝固障害(consumption coagulopathy):血小板や凝固因子の低下。
5. 出血症状,臓器症状 (DICの2大症状)
<症状>
1. 出血症状
・血小板や凝固因子の消費による消費性凝固障害
・二次線溶による止血血栓の溶解.
2. 臓器症状
・ 微小血栓の多発→微小循環不全→臓器障害→多臓器不全;Multiple Organ Failure(MOF)
<予後>
厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班の疫学調査によると、50-70%の死亡率
(続く)
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血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:46
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ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)など:医師国家試験 問題対策
高Lipoprotein(a)[ Lp (a) ] 血症など :医師国家試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(18)
僧帽弁狭窄症(MS)& 心房細動(Af)
・ 血液の滞留により,心内に血栓が形成される。
・ 脳塞栓の重要な危険因子。
・ ワルファリンによる予防が必要!
ワルファリンによる血栓傾向
・先天性プロテインC欠損症症例における電撃性紫斑病.
・ワルファリン内服により、半減期の短いプロテイン Cが速やかに低下して、かえって血栓傾向になる病態。先天性プロテインC欠損症に対して、ワルファリン導入する際の重大な合併症。
ヘパリン起因性(誘発性・依存性)血小板減少症(HIT)【話題疾患】
heparin induced thrombocytopenia( HIT )
・ヘパリンは血中のアンチトロンビンの活性を飛躍的に増大し,本来は抗血栓性に作用する。
・ しかし,ヘパリン投与時に,ヘパリンと血小板第4因子との複合体に対して,抗体(HIT抗体)が出現することがあり,それに伴い血小板が凝集し,血小板数の低下とともに血栓傾向となる。
・治療:ヘパリンを中止して、アルガトロバン(合成抗トロンビン薬)などに変更する。
経口避妊薬の内服による血栓傾向【有名】
アンチトロンビン活性の低下,第VII因子活性の増加,
フィブリノゲンの増加,血小板凝集能の亢進,プロテインSの低下などが原因か.
手術後の血栓傾向
特に,整形外科手術術後の肺塞栓、深部静脈血栓症(DVT)
(続く)
DICの概念・症状・予後へ
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播種性血管内凝固症候群(インデックスページ)ー図解ー
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高Lipoprotein(a)[ Lp (a) ] 血症など:医師国家試験 問題対策
抗リン脂質抗体症候群 :医師国家試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(17)
今回の記事は、血液内科(血栓止血領域)にも関連がありますが、内分泌・代謝内科など他の領域とも関連があります。ですから、血液内科以外の範囲として国家試験に出る可能性もあるかと思います。
高Lipoprotein(a) (Lp(a)) 血症
1. 虚血性心疾患、脳梗塞といった動脈血栓症の独立した危険因子として知られる。
2. また,肺塞栓(PE)、深部静脈血栓症(DVT)の危険因子としても知られている。
3. Lp(a)の構造の一部が、線溶因子であるプラスミノゲンと相同性が高いため、拮抗的に作用し、線溶抑制状態となる。
4. 血中濃度は遺伝的に決定され、環境因子による影響はうけにくい。
高ホモシステイン血症
1. 動脈 & 静脈両者の血栓症をきたす。
2. 血栓傾向の機序は不明。ホモシステインが血管内皮のトロンボモジュリンの発現を抑制、逆に組織因子の発現を亢進など。
高PAI血症(PAI:plasminogen activator inhibitor、プラスミノゲンアクチベータインヒビター)
1. PAIは血管内皮から産生される線溶阻止因子
2. 高PAI血症は,虚血性心疾患,または深部静脈血栓症などの静脈血栓症の危険因子。
3. PAIの日内変動:早朝に高値となる。虚血性心疾患が早朝高頻度の発症する原因か? 国試には出ないが興味深い。
4. 中性脂肪,肥満度,高インスリン血症と正相関.
悪性疾患
1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患の一つ。癌細胞由来の組織因子。
2. Trousseou症候群:遊走性血栓性静脈炎の合併.
敗血症
1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患の一つ。
2. LPSやサイトカイン(IL-1, TNFなど)の刺激により、単球&血管内皮由来の組織因子、PAIの発現が亢進する。
3. 血管内皮上のトロンボモジュリンの発現が低下する。
ネフローゼ症候群
尿中に凝固阻止因子であるアンチトロンビンの排泄が亢進.静脈血栓症がみられやすい.
(続く)
ヘパリン誘発性(起因性・依存性)血小板減少症(HIT) などへ
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抗リン脂質抗体症候群:医師国家試験 問題対策
先天性アンチトロンビン欠損症など :医師国家試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(16)
【後天性血栓性疾患】
抗リン脂質抗体症候群【重要疾患】【要対策】
(Antiphospholipid syndrome:APS)
詳細記事:抗リン脂質抗体症候群へ
<概念>
・リン脂質またはリン脂質に結合した蛋白に対する自己抗体(抗リン脂質抗体)が出現することにより、血栓症(動脈も 静脈もあり),習慣性流産(不育症)を来す。
・狭義の不妊ではなく、妊娠成立は同じ。
・SLEなどの自己免疫性疾患、悪性腫瘍、薬物服用に伴い発症。また特発性のものも多い。
・後天性の血栓症の原因としてもっとも頻度が高い。
劇症型APS: 外科手術,薬物投与,抗凝固療法中止などに伴い,全身性多臓器血栓症を来す.死亡率50%
<症状>
1. 動脈血栓症:
・脳梗塞,一過性脳虚血発作【既出】
・心筋梗塞(日本人には少い)
・網膜中心(分枝)動脈血栓症
・上&下腸管膜動脈血栓症【既出】
2.静脈血栓症:
・肺塞栓
・深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)
・網膜中心(分枝)静脈血栓症.
・上&下腸管膜静脈血栓症
・脳静脈洞血栓症
・Budd-Chiari症候群【既出】
3. 不育症、習慣性流産【既出】
・理由:胎盤に血栓ができるため
・妊娠中期以降もあるのが特徴。
4. 網状皮斑:循環障害による【CBT既出】
5.てんかん,舞踏病,片頭痛.
<血栓傾向をきたす機序>
・不明。単一ではない。多数の学説あり。
<診断>下記の1.&2.の両者を満たすもの
1.臨床症状の存在
(1)血栓症
(2)習慣性流産(不育症)
2.下記の抗リン脂質抗体のいずれか一方以上が陽性
(1)抗カルジオリピン抗体:β2-glycoprotein I (β2-GPI)依存性のものが重要
(2)ループスアンチコアグラント(Lupus anticoagulant :LA)
<検査>
1. 抗カルジオリピン抗体陽性【既出】
2. ループスアンチコアグラント陽性【重要】
3. 梅毒反応の生物学的疑陽性(BFP)【既出】
4. 血小板数の低下:5-10万/μL程度が多い【既出】
5. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長【既出】【ヤマ】
6. 複数の凝固因子の低下
7. 抗核抗体(ANA)などの自己抗体の陽性
(注意1)
・これらの検査所見は,高頻度にみられるが必ずみられる訳ではない.
・たとえば,APTTの延長のないAPSも存在するのでAPTTはスクリーニング検査には使用できない.
(注意2)
・ITP (特発性血小板減少性紫斑病)&APS 両者の合併あり。
・ITPの症例では,抗リン脂質抗体の有無のチェックが必要。
・特に、ITPでの摘脾後には、血小板数が上昇することと、安静臥床とあいまって要注。合併例での治療は大変難しい!血栓も出血もきたしやすい。
<治療>
・抗リン脂質抗体を消失させることはできない。
・抗血栓療法による治療を行う。
・アスピリンによる抗血小板療法よりも、ワルファリンによる抗凝固療法の方が有効とされる。
・ただし、ワルファリンには、出血の他に、催奇性(骨形成不全)という重大な副作用があるため、習慣性流産の女性には使用できない.
・ワルファリンの催奇性の理由:
骨代謝に関わる押す低カルシンは、ビタミンK依存性。
習慣性流産の女性の妊娠時には,アスピリンの内服と,ヘパリンの皮下注.
cf. ビタミンK依存性蛋白【重要】
・凝固因子:FVII、IX、X、II
・凝固阻止因子:プロテインC、プロテインS
・骨代謝:オステオカルシン
(続く)
高Lp(a)血症などへ
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先天性アンチトロンビン欠損症など:医師国家試験 問題対策
第VIII因子インヒビター(循環抗凝固因子)など :医師国家試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(15)
【先天性血栓性疾患】
先天性に凝固阻止因子が欠損している場合の血栓傾向など。
詳細記事:先天性アンチトロンビン・プロテインC・プロテインS欠損症
1. 先天性アンチトロンビン欠損症/異常症
・「異常症」は抗原量はあるが、活性がない時に用いられる用語。
2. 先天性プロテインC欠損症/異常症
・プロテインCは、ビタミンK依存性蛋白【注意】
3. 先天性プロテインS欠損症/異常症
・プロテインSは、ビタミンK依存性蛋白
4. 先天性プラスミノゲン低下症/異常症
・異常プラスミノゲン血症は日本人の3%。
・ただし、全ての異常プラスミノゲン血症の患者が血栓症を発症しやすい訳ではない。
・病的意義については不明な点も多い。
5. その他
(備考)
凝固因子と凝固阻止因子の不思議。。。。
・たとえば血友病Aの患者では、第VIII因子が1/10(10%)に低下しても、出血症状はほとんど見られない。
・一方、凝固阻止因子は50%に低下(ヘテロ接合体)すると、若年より重症の血栓傾向をきたす。
・現在の人間は、出血に対しては強いが、血栓に対しては弱い。
(続く)
抗リン脂質抗体症候群へ
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第VIII因子インヒビター(循環抗凝固因子)など:医師国家試験 問題対策
特発性血小板減少性紫斑病 :医師国家試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(14)
第VIII因子インヒビター【話題疾患】【注意】
1.先天性の血友病Aにおいて:
・凝固第VIII因子製剤(血友病A患者にとっては未知の蛋白になる)を投与した場合に、時に出現。
・男性のみ。
・同種抗体。
・治療は、バイパス製剤(遺伝子組換え第VIII因子製剤など)
2. 後天性血友病A:
・詳細記事:後天性血友病とは
・自己免疫疾患,悪性疾患,出産後に出現することあり。
・重症の出血症状。
・男性&女性ともあり。
・自己抗体。
・治療は、副腎皮質ステロイド,その他の免疫抑制療法。止血目的には、バイパス製剤(遺伝子組換え第VIII因子製剤など)
(補足1)
極めて稀に、VIII因子以外の凝固因子に対して自己抗体が出現 → 循環抗凝固因子(循環抗凝血素)と総称する【既出】
(補足2)
出産に伴う大出血
1) DIC(常位胎盤早期剥離、羊水塞栓、前置胎盤)
2) 第VIII因子インヒビター(後天性血友病)
L-asparaginase(L-アスパラギナーゼ)による凝固異常
・フィブリノゲンをはじめ,多くの凝固因子および凝固阻止因子を低下させる.
・そのため,出血も血栓もきたす.
アミロイドーシスによる出血傾向
・アミロイド沈着による血管の脆弱性
・血中の凝固第X因子のアミロイド繊維への沈着.
骨髄増殖性疾患
・詳細記事:骨髄増殖性疾患と血栓症
・真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)などの骨髄増殖性疾患では、血小板数が増加するが、血小板機能は低下。
・そのため、PV,ETでは,出血傾向にも,血栓傾向にもなる。
(続く)
先天性血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠損症など)へ
【関連記事】
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特発性血小板減少性紫斑病:医師国家試験 問題対策
Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病) :医師国家試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(13)
特発性血小板減少性紫斑病【頻出疾患】
(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)
血小板に対する自己抗体が産生され、血小板の破壊(脾で)が亢進し、血小板寿命は短縮し出血傾向をきたす。
小児科領域では,先行感染を伴った急性型が多いのに対して(しばしば自然治癒する)、内科領域では、先行感染のない慢性型が多い(女性に多い)。
【症状】
・点状出血、粘膜出血など。
【検査&診断】
・血小板数の低下(PT&APTTは正常)。
・他血液疾患の除外(除外診断)。特に,MDSは確実に否定すること。
・骨髄巨核球の増加!【骨髄像必出】末梢での血小板破壊に対する反応
・血小板結合性IgG(PAIgG)の上昇。
【治療】【頻出】
必ずしも早期診断・治療が当てはまらない。
1)血小板数が数万以上では無治療で経過観察.
2)血小板数が2-3万以下で出血があれば、副腎皮質ステロイドがfirst choice。長期的寛解率 30-40%.
3)無効例では,摘脾術を考慮する。長期的寛解率 60%。
摘脾術に際して,免疫グロブリン大量療法.
IgGのFc部分が網内系細胞のFcレセプターをブロックするため,感作血小板の補足が抑制され,血小板数が増加.
4)免疫抑制療法も試みられる.
5)ピロリ菌の除菌療法:最近の、ITP治療のトピックス。今や、ITPの第一選択の治療か。
6)血小板輸血:できるだけ避けたいが,緊急治療.
(補足)ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併あり。摘脾術時の術後血栓症に注意。
偽性血小板減少症 【血液像既出】
EDTA存在下でのみ血小板が凝集.
知らないと,ITPと誤診される.
病気ではない!!出血なし.骨髄穿刺不要!!
対策:
・臨床症状との解離に注意.
・血液塗抹標本で、多数の血小板凝集像の確認.
・EDTA以外の抗凝固剤(例:ヘパリン, クエン酸ナトリウム)で、血小板凝集塊の形成がなくなる。
(続く)
循環抗凝固因子(第VIII因子インヒビター)などへ
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アレルギー性紫斑病:医師国家試験 問題対策
ビタミンK欠乏症:医師国家試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(12)
Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)【重要疾患】 【皮疹画像頻出】
1. 小児に多い(成人にもあり):
血管性出血性素因。毛細血管の透過性が亢進する。
皮膚出血斑(特に、下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血傾向。
上気道感染が先行。
時に,腹部症状(腸重積、腹痛、下血など),関節痛,血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴う。
2. 全身性の血管炎が本態。血管壁にIgAの沈着。
3. PT、APTT、出血時間、血小板数は正常。時に、第XIII因子が低下。
4. 腎障害がなければ、予後は良好。自然治癒も多い。
5. 画像をチェックしておいてください。この疾患が国試で出題される時は、必ず画像が添えられます。
単純性紫斑
・血管性出血性素因。
・若い女性に多い.
・良性疾患。全ての検査所見は正常。
・治療は必要ない。
老人性紫斑
・血管性出血性素因。老人性紫斑の関連記事へ。
・老人者の手背、前腕伸側などにみられる。
・良性疾患。全ての検査所見は正常。
・治療は必要ない。
肝障害(肝硬変など)
・凝固因子&血小板数の低下が原因で、出血傾向をきたす。
・PT&APTTは延長。
腎障害
・尿毒素 (guanidinosuccinic acid, phenlic acidなど)により、血小板機能が低下するため。
・出血時間は延長(PT&APTTは正常)
薬剤性(アスピリン)
・アスピリンはサイクロオキシゲナーゼをブロックする。そのため,血小板機能を抑制する。
・ 昔は、消炎鎮痛薬として頻用されたが、今は、抗血小板薬として用いられることが多い。
・ 出血時間は延長。PT&APTTは延長しない。
(続く)
特発性血小板減少性紫斑病へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:09
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ビタミンK欠乏症:医師国家試験 問題対策
血友病とvon Willebrand病の比較:医師国家試験対策から続く。
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【後天性出血性疾患】
ビタミンK欠乏症【重要疾患】
参考記事:ビタミンK欠乏症の原因
1. ビタミンK依存性凝固因子:FVII、IX、X、II 【重要】の低下により出血傾向をきたす。
2. ビタミンK欠乏症の危険因子(どういう時になりやすいか)
1)食事摂取の少ない患者:ビタミンKの摂取も低下。
2)閉塞性黄疸:ビタミンKは脂溶性ビタミンであり、胆汁がないと吸収されにくい。
3)広域抗生剤の投与:ビタミンKは腸内細菌が産生。抗生剤の投与により、腸内細菌が死滅する。
3. 新生児メレナ、乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)
4. PTの延長,遅れてAPTT延長.出血時間は正常【重要】
・なぜ、APTTよりもPTの方が早く延長するか???→回答:ビタミンK依存性凝固因子の覚え方
・PIVKA II の上昇 参考記事:凝固系検査
5. 治療
・ビタミンKの点滴静注で半日で改善(閉塞性黄疸がある場合には、経口投与では吸収されない)
・致命的な出血時は新鮮凍結血漿 (FFP)
・遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)も有効
(補足)ワルファリンの過剰投与
・ワルファリンの過剰投与でも、ビタミンK欠乏による出血をきたす(ワルファリンの副作用)。
・プロトロンビン時間の高度の延長(PT-INRの高度上昇)でチェック可能【既出】。
・治療は、ビタミンKによる中和。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:43
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医師国家試験 過去問題/対策:血液内科・呼吸器内科
医師国家試験は、医師になる上でクリアすべきハードルになっています。
医師国家試験・専門医試験対策のカテゴリーへ
ただし、ハードルとは言っても例年の合格率はそれなりに高く、司法試験のように超難関という訳ではありません。
管理人は、医師国家試験の詳細を熟知している訳ではありませんが、CBTと同じく勉強しなかったものには一度しっかり反省してもらおうという意味あいではないかと思っています。
このブログでも、医師国家試験、専門医試験、CBTなどを意識した記事もアップさせていただいています。
金沢大学で行われた、進級試験、卒業試験、統合試験などの過去問題解説(特に血液内科:血栓止血領域)も記事にしていますが、これらの過去の試験問題では、医師国家試験での好成績につながるように思いを込めた問題が出題されていますので、医師国家試験の対策にもなるのではないかと思っています。
以下より、リンクしていますのでご参考となれば幸いです。
最近、国試対策の一般記事をアップしていますので、実際の過去問題解説は、かなりページをさかのぼっていただく必要があるのですが、どうぞよろしくお願い致します。
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医師国家試験 問題対策のエッセンス記事:血液内科(血栓止血領域)へ
追記:現在、医師国家試験対策のブログ記事は、50回以上になっています。
【参考記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:02
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血友病とvon Willebrand病の比較:医師国家試験 問題対策
von Willebrand病:国試験対策から続く。
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血液内科(血栓止血領域)(10)
臨床/検査所見 |
血友病A or B |
von Willebrand病 |
遺伝形式
|
伴性・劣性
|
常染色体・優性 |
性別 |
男性のみ |
男女ともあり |
欠損因子 |
VIII or IX |
von Willebrand因子 |
欠損機能
|
内因系凝固機序 |
血小板粘着 (血小板機能) |
出血部位 |
関節内、筋肉内
手術・抜歯時出血 |
粘膜出血(鼻出血など)
手術・抜歯時出血 |
出血時間 |
正常 |
延長 |
PT |
正常 |
正常 |
APTT |
延長 |
延長 |
VIII因子 |
血友病Aでは低下 |
低下 |
IX因子 |
血友病 Bでは低下 |
正常 |
von Willebrand因子活性 |
正常 |
低下 |
治療 |
A:第VIII因子濃縮製剤 |
von Willebrand因子の混入した
第VIII因子製剤 |
|
B:第IX因子濃縮製剤 |
DDAVP |
|
|
|
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:28
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von Willebrand病:医師国家試験 問題対策
血友病A&B:国試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(9)
von Willebrand病(vWD) 【頻出】【重要疾患】
1. 常染色体性優性遺伝:
・男女とも発症。
・患者の母親も出血症状あれば、常・優【既出】
2. 粘膜出血:
・鼻出血,歯肉出血,消化管出血など。
・軽症例では、抜歯時などの止血困難で診断。
3. 出血時間の延長
・血小板粘着能の低下
・APTTの延長.PTや血小板数は正常【検査頻出】
・血小板凝集能のリストセチン凝集の低下
4. von Willebrand 因子 (vWF) の低下
・第VIII因子も低下!
5. 治療
・血漿由来血液凝固第VIII因子製剤(第VIII因子濃縮製剤だが、vWFも混入)【既出】
(商品名:コンファクトF)
・抗利尿ホルモン剤のDDAVP(デスモプレシン)【既出】
(続く)
血友病 & von Willebrand病 の比較へ
【関連記事】
血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:09
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北陸造血細胞移植研究会:検討症例募集
第9回北陸造血細胞移植研究会 検討症例募集のご案内
北陸造血細胞移植研究会を下記の通り開催する運びとなりました。つきましては、会員の先生方から造血細胞移植に関しての問題症例、特殊な症例などの演題募集を行います。
治療等でご苦労なさっていて、広く意見を求めたい症例等ありましたら、是非ご応募ください。
スライドは必ずしも準備していただく必要はなく、生データの提示でも結構です。
日時:平成21年11月7日(土)16:00〜(予定)
場所:金沢ニューグランドホテル 5階 『銀扇』
テーマ:造血細胞移植に関する問題症例・特殊症例
募集演題:2〜3題
応募期限:平成21年10月16日(金)
送 付 先:
金沢大学附属病院 輸血部内
北陸造血細胞移植研究会 事務局 高見 昭良
E-Mail takami@med3.m.kanazawa-u.ac.jp
特別講演/18:00〜19:00
演 者
慶應義塾大学医学部 血液内科 森 毅彦先生
「当院における移植前処置の工夫と感染症対策」
情報交換会/19:00〜 5階 「銀扇」
会費:1,000円
当番世話人
中尾眞二 (金沢大学 細胞移植学)
事務局
高見 昭良 (金沢大学附属病院 輸血部)
共催 北陸造血細胞移植研究会/協和発酵キリン株式会社
検討希望症例 申し込み(以下の内容をA4 1枚で)
御氏名:
御所属:
症 例:
診 断:
既往歴:
現病歴:
検査成績:
経 過:
問題点:
【リンク】
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研修医・入局者募集
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:33
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血友病A&B:医師国家試験 問題対策
先天性出血性疾患:国試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(8)
血友病 A & B 【頻出】【重要疾患】
先天性出血性素因の中で最も高頻度。重篤な出血傾向をきたす。
発症頻度は,血友病A:血友病B = 5:1
どちらも臨床症状は全く同じ。
1)ともに伴性劣性遺伝の出血性疾患.
・患者は男性、母親がキャリアー【必須】
・母方の男性血縁者に出血者がみられることが多い。
・突然変異も20% → この病気がなくならない理由。
2)関節内出血が特徴的【重要】で、繰り返すと関節拘縮
・その他、筋肉内出血、皮下出血などの深部出血。
(参考)点状出血は、血小板の数or機能低下で見られ,血友病ではまず見られない.
3)APTTの延長 (PT、出血時間は正常)【重要】
4)凝固因子活性
・血友病A:第VIII因子の低下
・血友病B:第IX因子の低下
5)治療は出血時の第VIII(IX)因子濃縮製剤輸注
<血友病治療の問題点>
1. インヒビター(同種抗体)の発生
血友病の輸注療法中に中和抗体であるインヒビターが出現することに伴い、輸注療法の効果が極端に減弱する。
抗体の力価はベセスダ単位で表現される.
(対策)
・バイパス製剤:活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)など
・インヒビターを中和する量を上のせした、超大量の濃縮製剤投与,
2. HIV、HCVなどのウイルス感染症
・現在は問題ない.
・特に、HCVによる慢性肝炎、肝硬変は深刻。
(続く)
von Willebrand病 へ
【関連記事】
血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー
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先天性出血性疾患:医師国家試験対策
凝固系検査:国試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(7)
血栓止血関連疾患の分類
大きく分けて下記の4疾患群に分類される
1)先天性の疾患
・出血性疾患
・血栓性疾患
2)後天性の疾患
・出血性疾患
・血栓性疾患
【先天性出血性疾患】
1. 血友病A:【頻出】
第VIII因子の先天性欠損、伴性劣性遺伝(男性の疾患)。
2. 血友病B:【頻出】
第IX因子の先天性欠損、伴性劣性遺伝(男性の疾患)。
3. von Willebrand病 (vWD):【頻出】
von Willebrand 因子(vWF) の先天性欠損、常染色体性優性遺伝(男性&女性の疾患)。
4. Bernard-Soulier症候群(BSS):
glycoprotein Ib (GP Ib)の先天性欠損、常染色体性劣性遺伝。
巨大血小板の出現【専門医試験で頻出】
5. 血小板無力症 (Glanzmann病) 【頻出】
glycoprotein IIb/IIIaの複合体の先天性欠損、常染色体性劣性遺伝。
血小板凝集能でADPの一次凝集の欠如【既出】
血餅退縮能の低下【既出】
(続く)
血友病A&B へ
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凝固系検査:医師国家試験対策
線溶機序:国試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(6)
出血時間 の延長【頻出】
1. 血小板数の低下:種々の血液疾患、肝硬変など
2. 血小板機能の低下:血小板無力症、von Willebrand病、Bernard-Soulier症候群、尿毒症、アスピリンなどのNSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)内服
3. 血管壁の脆弱性
<出血時間が正常の出血性疾患>【注意】
上記の1〜3を満たしていなければ出血時間は正常。
例:血友病A&B、ビタミンK欠乏症、ワルファリン投与、ヘパリン投与、第VIII因子インヒビター
プロトロンビン時間(PT)の延長【頻出】
1. 外因系凝固機序の凝固因子活性を総合的に評価.
2. ビタミンK欠乏症
3. ワルファリン療法時のモニタリング
4. 肝予備能の評価
5. DICでは、典型例で延長.
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長【頻出】
1. 内因系凝固機序の凝固因子活性を総合的に評価.
2. 血友病A(FVIII欠損)、血友病B(FIX欠損)、von Willebrand病(FVIIIのキャリア蛋白であるvWFの低下によりFVIIIも中等度低下)
3. ビタミンK欠乏症、ワルファリン内服
4. ヘパリン投与
5. ループスアンチコアグラント陽性
フイブリノゲン (Fbg)
1. 炎症:上昇
2. DIC、肝不全:低下
PIVKA-II(Protein Induced by Vit K Absence-II)
1. ビタミンK欠乏症の診断
2. 肝細胞癌では、腫瘍マーカーとして上昇
アンチトロンビン(AT)
トロンビン、FXaなどの活性型凝固因子と1対1結合することにより凝固阻止作用を示す.
ヘパリンにより作用増強。
FDP & Dダイマー(上昇)【重要】
1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
2. 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)
3. 肺塞栓(pulmonary embolism:PE)
トロンビン-アンチトロンビン複合体 (TAT)(上昇):凝固活性化のマーカー
1. DIC【既出】
2. 各種血栓症,心房細動(とくにMS)
プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)(上昇):線溶活性化のマーカー
1. DIC
2. 一次線溶,線溶療法時,各種血栓症
(続く)
先天性出血性素因
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:13
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線溶機序:医師国家試験対策
血液凝固カスケード:国試験対策から続く。
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(5)
線溶機序:
線溶(fibrinolysis)とは、できた血栓を溶解する働き。線溶活性化の結果として、FDPやDダイマーが形成される。
FDP:フィブリン/フィブリノゲン分解産物(
fibrin/
fibrinogen
degradation
products)の略称。
Dダイマー(D dimer):フィブリン分解産物の方の最小単位。
FDP&Dダイマーの上昇とは:
凝固活性化によって血栓が形成されて、かつその血栓が溶解したということを意味する。
播種性血管内凝固症候群(DIC)や、
深部静脈血栓症(DVT)で上昇する
【国試対策の重要事項】
(続く)
凝固系検査へ
【関連記事】
播種性血管内凝固症候群(図説)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:25
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血液凝固カスケード:医師国家試験対策
血液凝固の機序:国試対策より続く。
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以下もご参考になると思います。
血液凝固検査入門(図解)
<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(4)
内因系凝固活性化機序:
異物による凝固。
凝固第XII、XI、IX、VIII、X、V、II、I因子が関与。
活性化部分トロンボプラスチン時間(
APTT)は、この凝固機序を試験管レベルで再現した検査。
外因系凝固活性化機序:
組織因子(tissue factor:TF)による凝固。
凝固第VII、X、V、II、I因子が関与。
プロトロンビン時間(
PT)は、この凝固機序を試験管レベルで再現した検査。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:02
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血液凝固の機序:医師国家試験対策
血液凝固因子:国試対策より続く
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(3)
血液はなぜ凝固するのか?
凝固系カスケードの存在
・止血:生体の重要な生理的反応
・血栓:心筋梗塞, 脳梗塞に代表されるように生体にとって不都合な病態。
→ しかし、両者は同じような機序により生じる。
血液凝固の機序
(1)内因系凝固機序:異物(陰性荷電)による凝固。
この機序に障害は、血友病、von Willebrand病、ビタミンK欠乏症など【重要】
(2) 外因系凝固機序:組織因子(TF)による凝固。
この機序に障害は、ビタミンK欠乏症など【重要】
血液凝固に必要なもの
1. 血小板:リン脂質が凝固反応の場を提供する
2. 凝固因子:最終的にはフィブリンが形成される
FXII、XI、IX、VIII、VII、X、V、II、I & XIII
3. 組織因子(TF)
4. カルシウムイオン
止血・血栓のステップ
血小板の粘着:von Willebrand factor(vWF)が必要
↓
血小板の凝集:フィブリノゲン(Fbg)が必要
↓
血液凝固(フィブリンの形成): 血小板膜リン脂質を反応の場
血液はなぜ凝固しないのか?
血管内皮の抗血栓作用
1. トロンボモジュリン(TM):トロンビン・TM複合体はProtein Cを活性化(補酵素として Protein S 必要)
2. ヘパリン様物質(ヘパラン硫酸):AT,TFPIが結合
3. PGI2(プロスタサイクリン):血管拡張作用、抗血小板作用
4.一酸化窒素(NO):4.と類似の作用
5. 組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA):線溶
【参考】流血中の抗血栓因子
1. アンチトロンビン(AT):ヘパリンで活性増強
2. プロテイン C(PC):ビタミンK依存性蛋白
3. プロテイン S(PS):ビタミンK依存性蛋白
4. 組織因子経路インヒビター(Tissue factor pathway inhibitor:TFPI)
(続く)
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凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門(図解)
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
【関連記事】
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血液凝固因子:医師国家試験対策
抗凝固剤:国試対策より続く
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<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(2)
血液凝固因子
・血漿中の最重要成分の一つ。 止血という、生体の生命維持に不可欠な生理現象に関与(血小板と共に).
・凝固因子の命名:ローマ数字による記載
・第I因子〜第XIII因子(第VI因子は欠番!)
(第I因子):フィブリノゲン
(第II因子):プロトロンビン
(第III因子):組織因子 Tissue factor (TF)(以前は,組織トロンボプラスチンと言った)
(第IV因子):カルシウムイオン
その他の凝固関連因子
von Willebrand因子(von Willebrand factor; vWF)
1)血小板粘着の際に必要
2)第VIII因子のキャリアー蛋白:
→ von Willebrand病では、von Willebrand因子のみならず、第VIII因子活性も低下する【重要】
凝固因子の記載について
1) 活性化凝固因子は、ローマ数字右下に「a」(activeに由来).
2) 凝固因子は,「F」(Factorに由来)
例:第VII因子→FVII,活性型第VII因子→FVIIa
一部の凝固因子の産生に必要なビタミン→ビタミンK(脂溶性ビタミンに属す)
ビタミンK依存性蛋白【重要】
(1)FVII、IX、X、II (4凝固因子)
(2)プロテインC, プロテインS (2凝固阻止因子)
cf.ワルファリン(Warfarin):
・ビタミンKと拮抗して,抗凝固活性を発揮.
・納豆は最もビタミンKが豊富な食物:ワルファリン内服中の患者は、納豆を食してはいけない!!
(続く)
血液凝固の機序
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門(図解)
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:56
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抗凝固剤:医師国家試験対策
<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(1)
この後しばらく、医師国家試験対策用の記事をアップしていきたいと思います。
医学部生の皆さんに少しでもお役にたてれば良いのですが。。。。
国試を意識して、【既出】【頻出】【重要疾患】などのマークも記事内に、随時入れていきたいと思います。
医師国家試験問題対策(インデックスページ)へ ← 国試対策インデックスページの記事にリンクしています。
血液の成分
有形成分(顕微鏡で観察可能なもの)
・赤血球(red blood cell; RBC)
・白血球(white blood cell; WBC)
・血小板(platelet; Plts)
無形成分(液体)
・血漿 (Plasma):全血の約55%
血漿(Plasma):
抗凝固剤(※)の添加された状態で遠心した上清(未凝固検体の上清)。
フィブリノゲン(Fbg)が含まれる.
血清(Serum):
抗凝固剤の添加されていない状態で遠心した上清(既凝固検体の上清).
フィブリノゲン(Fbg)が含まれていない.
(※)抗凝固剤
1) EDTA:Caイオンのキレート剤。血液はCaイオン非存在下では凝固しない。血算用。【国試既出】
2)クエン酸ナトリウム:Caイオンをブロック。凝固検査用。【国試既出】
3) ヘパリン:
血液は活性化凝固因子がブロックされると凝固しない.
ヘパリンは,アンチトロンビン(AT)を介して,抗凝固活性を発揮.
AT非存在下では無効.
4) フッ化ナトリウム(NaF):
解糖系をブロック。血糖用の試験管【国試既出】
(続く)
血液凝固因子へ
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門(図解)
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:41
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輸血学試験問題:金沢大学血液内科
先週の血液内科の試験問題から、今回は輸血学の領域です。以下のリンク先もご参考になるのではないかと思います。
・異型輸血と不適合輸血
・輸血後感染症頻度(HBV、HCV、HIV)
・血液内科系統講義試験(輸血学)過去問題解説
造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)に関する下記の記述について、正しいのはどれか。一つ選べ。
a GVHDには急性GVHDと非急性GVHDがある。
b 急性GVHDの主な標的臓器は、皮膚・腸管・眼球である。
c 急性GVHDの症状は、自己免疫疾患に似ている。
d自家造血幹細胞移植とは、患者自身の造血幹細胞を用いた移植のことである。
e GVHDの標準治療は、シクロスポリン(またはタクロリムス)・メトトレキセート併用療法である。
(答え)d
(解説)
・GVHDには急性・慢性GVHDがある。
・急性GVHDの主な標的臓器は、皮膚・腸管・肝臓である。
・慢性GVHDの症状は自己免疫疾患に似ている。
・日本造血細胞移植学会ガイドラインによると、GVHDの標準治療は、シクロスポリン(またはタクロリムス)・ステロイド併用療法である。
アルブミンの使用が適切と考えられる症例はどれか。一つ選べ。
a 脳梗塞急性期患者
b 血清アルブミン2.0 g/dLの高齢患者
c 血清アルブミン2.0 g/dLの末期癌患者
d 血清アルブミン2.0 g/dLの低栄養患者
e 血清アルブミン2.0 g/dLの肺水腫患者
(答え)e
(解説)
厚労省の「血液製剤の使用指針」によると、アルブミン投与の目的は、血漿浸透圧の維持による重度浮腫の治療である。
輸血に関して誤っているのはどれか。一つ選べ。
a 体重40 kgの患者に赤血球製剤を2単位輸血すれば、Hbは約2 g/dL上昇する。
b 輸血した血小板の約1/3は脾臓に捕捉される。
c 血小板輸血翌日に十分な血小板増加がみられない場合、血小板輸血終了1時間後の血小板数を調べる必要がある。
d 新鮮凍結血漿は融解後6時間以内に輸注する。
e 造血幹細胞移植時の輸血療法は、赤血球輸血より血小板輸血が中心となる。
(答え)d
(解説)
新鮮凍結血漿は、解凍後凝固因子活性が急激に失活するため、解凍後3時間以内に輸注し終わることが原則である。
【造血幹細胞移植後の再発】
1)治療の種類
2)免疫療法&白血病再発
3)免疫(抑制)療法
4)移植後微少残存病変(MRD)
【造血幹細胞移植前処置としてのATG】
1)背景
2)作用機序
3)GVHD予防
4)晩期効果
5)急性GVHDに対するpre-emptive ATG療法
6)臍帯血移植&GVHD
【関連記事】NETセミナー
汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について
造血幹細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:36
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悪性リンパ腫:Prof.Jorge A. Carrasquillo Lecture in Kanazawa
悪性リンパ腫放射免疫療法講演会の御案内
さて、この度ニューヨークのMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerから、悪性リンパ腫におけるRadioimmunotherapyの第一人者でありますJorge A carrasquillo先生を金沢にお招きし、講演会を開催させて頂く運びとなりました。
下記のごとく、ご案内申しあげます。
開催日時:10月5日(月)18時00分〜19時00分
会 場:金沢大学附属病院、宝ホール(新外来棟4階)
≪Lecture≫
Radioimmunotherapy of lymphoma with Zevalin and Bexxar
- The latest findings in the US -
≪Speaker≫
Prof.Jorge A. Carrasquillo
Memorial Sloan-Kettering Cancer Center , USA
参加をご希望される場合は、下記までまでご連絡下さいませ。
主催:富士フイルムRIファーマ
連絡先:富士フイルムRIファーマ 北陸支店
担当:流,公家 0120-413770、076-223-3770
【関連記事】
マントル細胞リンパ腫、FDG-PET:悪性リンパ腫アカデミー (1)
節外性NK/T細胞リンパ腫、Macroglobulinemia:悪性リンパ腫アカデミー(2)
NETセミナー:悪性リンパ腫の診断
悪性リンパ腫:1
悪性リンパ腫:2
悪性リンパ腫:3
悪性リンパ腫:4
【リンク】
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なお、案内のプログラムには綺麗な兼六園の写真がありました。管理人の力不足でプログラムと合体した写真を掲載できないのですが、兼六園の写真のみを取り出すことができました。折角の綺麗な画像ですので、上記のごとく掲載させていただきます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:05
| 血液内科(標本)
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血液凝固検査、PT(INR)など:金沢大学血液内科試験問題より
先週行われました、金沢大学血液内科病棟実習試験の解説を続けます。
なお、PT(INR)関連の記事は、以下からどうぞ。
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)
今回紹介させていただく問題は、金沢大学血液内科の血栓止血領域の試験では、ほぼ毎回出るタイプのものです。
このタイプの問題は、血液凝固検査と疾患の関連を熟知していませんと回答できないのですが、正答率99%でした。管理人としては、もっとも正答率が高くあって欲しいと願っていましたので、大変嬉しいです。
あまり簡単すぎる問題を作らないようにとお叱りをうけそうですが、病棟実習試験問題としては決して簡単ではないと思っています。学生さんたちのがんばりに敬意を表したいと思います。
血栓止血関連マーカーの変動を示した下記の記載のうち正しいものはどれか.1つ選べ.
|
出血時間 |
PT |
APTT |
HPT |
(a)Glanzmann病 |
延長 |
正常 |
延長 |
正常 |
(b)単純性紫斑病 |
正常 |
正常 |
延長 |
正常 |
(c)von Willebrand病 |
延長 |
正常 |
正常 |
正常 |
(d)ビタミンK欠乏症 |
正常 |
延長 |
延長 |
正常 |
(e)後天性血友病 |
正常 |
正常 |
延長 |
正常 |
PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
HPT:ヘパプラスチンテスト
解説
(a)Glanzmann病 :血小板無力症とも言います。血小板機能が低下していますので、出血時間は延長しますが、PT、APTT、HPTは正常です。
血液凝固検査入門もご参照いただければと思います。
(b)単純性紫斑病:全ての凝血学的検査が正常です。老人性紫斑病も同様です。
(c)von Willebrand病:国家試験的にも重要疾患です。出血時間、APTTが延長します。PT、HPTは正常です。von Willebrand病では、鼻出血などの粘膜出血が特徴です。
d)ビタミンK欠乏症:ビタミンK欠乏性凝固因子である、凝固第VII、IX、X、II因子活性が低下します。PT、APTTは延長し、HPTは低下します。
(e)後天性血友病:最近、何かと話題の疾患です。管理人はそろそろ国家試験に出るのではないかとの胸騒ぎがしています。この病気を知っているかどうかがほとんど全てだと思います。
後天性血友病 ←クリックいただければと思います。
正答:(e)
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
【関連記事】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11
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ワーファリンとアスピリンの使い分け:金沢大学血液内科試験問題より
先週の金沢大学血液内科試験問題の解説を続けます。
今回の問題は、正答率95%でした。ちょっと簡単すぎたのかも知れませんが、問題そのものは重要問題ですので、正答率が高かったことを嬉しく思っています。
血栓止血の臨床に関する記載として正しいはどれか.1つ選べ.
(a) 深部静脈血栓症(DVT)に対する抗血栓療法としては,アスピリンが第一選択である.
(b) 閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択である.
(c) 心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法としては,アスピリンが第一選択である.
(d) 線溶療法を行うと血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇する.
(e) 低分子ヘパリンはアンチトロンビン非依存性に抗凝固作用を発揮する.
解説
(a) 深部静脈血栓症(DVT)に対する抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択です。
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?へ
(b) 閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては,アスピリンなどの抗血小板薬が第一選択です。ワルファリンは、効果をアップさせることなく、出血の副作用を増やすという有名なN Engl J Medの報告があります。
(c) 心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択です。
抗血栓療法の分類へ
(d) 線溶療法を行うと血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇します。
血液凝固検査に関しては、血液凝固検査入門で分かりやすく図解で記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。
(e) 低分子ヘパリンはアンチトロンビン依存性に抗凝固作用を発揮します。換言しますと、アンチトロンビン活性が少ない環境では、低分子ヘパリンは充分な効果を発揮いたしません。
ヘパリン類へ
正答:(d)
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:39
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播種性血管内凝固症候群(DIC):金沢大学血液内科試験問題より
前回の記事同様に、先週の金沢大学血液内科試験問題の解説を続けます。
今回の問題は、正答率86%でした。これも、まずまずの正答率のようです。
播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する記載として誤りはどれか.1つ選べ.
(a) 急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては,血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する.
(b) 腹部大動脈瘤に合併したDICにおいては,血中FDPが著増する.
(c) 敗血症に合併したDICにおいては,血小板数が著減する.
(d) 線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)においては,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増する.
(e) 線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)においては,血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著減する.
解説
(a) 急性前骨髄球性白血病(APL)では、線溶亢進型DICを合併します。血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増します。参考:DIC(治療ほか)
なお、DICに関しましては、DIC(図解)で分かりやすく記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。
(b) 腹部大動脈瘤では、線溶亢進型DICを合併します。FDPは著増します。
(c) 敗血症に合併したDICにおいては,血小板数が著減します。しばしば、時間単位で血小板数が低下します。
(d) どのようなDICであっても、著明な血管内凝固活性化がみられます。ですから、全てのDICで、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増します。
なお、血液凝固検査に関しては、血液凝固検査入門で分かりやすく図解で記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。
(e) 敗血症に合併した場合のように、線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)においては、線溶阻止因子である血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著減ではなく著増します。
正答:(e)
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:08
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血小板数低下、PDW:金沢大学血液内科病棟実習試験より
先週に、金沢大学血液内科の病棟実習試験がありました。
今回紹介させていただく問題は、正答率87%でした。
管理人は、正答率85%くらになることを目標にいつも試験問題を作成していますので、ほぼ思惑とおりの問題になったと言えます。
血小板数低下をきたす疾患に関する記載として正しいものはどれか.1つ選べ
.
(a) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)ではADAMTS 13活性が上昇する.
(b) 溶血性尿毒症症候群(HUS)でピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させる.
(c) HELLP症候群の3徴候は,溶血,腎不全,血小板数低下である.
(d) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては,血小板分布幅(platelet distribution width:PDW)が上昇する.
(e) 挙児を希望する抗リン脂質抗体症候群(APS)の女性患者に対しては,ワルファリンが有効である.
解説
(a) 典型的な血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では、ADAMTS 13に対する自己抗体が出現して、ADAMTS 13活性が低下します。なお、溶血性尿毒症症候群(HUS)では、ADAMTS 13に対する自己抗体は出現いたしません。
(b) ピロリ菌感染が証明されれば,除菌療法が約5割の症例で血小板数を上昇させる:これは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)です。
(c) HELLP症候群の3徴候は、溶血(Hemolysis)、肝酵素上昇(Elevated Liver Enzyme)、血小板数低下(Low Platelet)です。
(d) 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)においては,血小板分布幅(platelet distribution width:PDW)も平均血小板容積(mean platelet volume:MPV)も上昇します。
(e) 抗リン脂質抗体症候群(APS)の女性では、習慣性流産(不育症)が問題になることがあります。ワルファリンは、催奇形性の副作用があるため、挙児希望の女性には処方できません。
正答:(d)
凝固検査&DIC
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:03
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とサイトメガロウイルス(CMV)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の最近の論文を紹介させていただきます。
「不反応性ITPの病態にサイトメガロウイルス感染症が関与することがある」
という論文です。
Br J Hematol 146: 104-112, 2009. からです。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板の破壊や産生低下が原因となって血小板数が低下する疾患です。
ITPの病態が持続する場合であっても、通常はITPの特異的治療である免疫グロブリン大量療法、ステロイド、抗D抗体、摘脾術に対して反応することが多いのが特徴です。
近年、ITPの一部の症例においてサイトメガロウィルス(CMV)が病態に関与しているという、興味ある報告がみられるようになっています。
著者らは、活動性のCMV感染症を合併したITP4症例(大人2名、小児2名)を経験して報告しています。
これらの4症例は重症かつ不応性であり、血小板数も著減していました。
臨床症状としては、発熱、肝障害、好中球減少、異型リンパ球出現が見られ、通常のITP治療には不応性でしたた。
ステロイドによる治療はむしろITPを悪化させました。
しかし、これら4症例に対してガンシクロビルおよびサイトガムによるCMV治療を開始し、ステロイドを減量したところ、2週間以内に血小板数が回復しましたた。
以上、一部のITP症例ではCMVが病態に深く関与しており、CMVに対する治療が有効であると考えられます。
なお、詳細につきましては、上記論文をご覧いただければと思います。
【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:56
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先天性第V因子欠損症と出血傾向
今回は、先天性第V因子欠損症に関する最近の総説論文(BJHより)を紹介させていただきます。
血液凝固第V因子(Factor V:FV)は、血漿中のみならず、血小板中にも存在しています。
血漿中に80%、血小板のα顆粒中に20%存在することが知られています。
FVノックアウトマウスにおいては、全て致命的になることからも、FVは必要不可欠な凝固因子と考えられます。
しかし、驚くべきことに人間におけるFV欠損症は、重症の場合であってもほとんど致命症となることがありません。
確かにFV欠損症の新生児において致命的な頭蓋内出血がみられたという報告もありますが、一方で、ほとんどのFV欠損症においては(FVが検出されない重症例であっても)、出血症状はきわめて軽症〜中等症であり、予防治療を必要としないことが知られています。
FV欠損症の表現型に多様性がある理由はほとんど分かっていませんが、血小板が重要な意義を有していると考えられています。
さらに、以下のBJH論文では、先天性第V因子欠損症では生理的凝固阻止因子であるTFPIが低下しており、FVが2%未満に低下していてもトロンビン形成が低下しないことを紹介しています。
先天性第V因子欠損症における第V因子の意義、臨床症状についてはなお検討すべき点が多いようです。
なお、詳細は以下の論文をご覧くださいませ。
Br J Hematol 146: 17-26, 2009
【先天性血栓性素因】アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
1)病態
2)疫学
3)症状
4)血液・遺伝子検査 ←遺伝子検査のご依頼はこちらからどうぞ。
5)診断
6)治療
【凝固検査&DIC】
1)血液凝固検査入門
2)DIC(図解)
3)DIC(治療ほか)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:46
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引用(参考)文献:真性赤血球増加症、本態性血小板血症と血栓症(6)
血栓症の治療:真性赤血球増加症、本態性血小板血症(5)から続く
真性赤血球増加症(真性多血症:PV)、本態性血小板血症(ET)と血栓症関連の記事をシリーズでお届けしてきましたが、最後に、最近発表された重要な論文の引用をつけておきたいと思います。
原則としてここ数年以内の新しい論文を中心に紹介させていただきます(ただし、特に重要な論文では、例外もあります)。
なお、番号はこれまでの記事で本文中にふってきた番号と一致させています。
【文献】
1) Passamonti F, Brusamolino E, Bernasconi C, et al. Efficacy of pipobroman in the treatment of polycythemia vera: long-term results in 163 patients. Haematologica. 2000; 85:1011-8.
2) Marchioli R, Finazzi G, Barbui T, et al. Vascular and neoplastic risk in a large cohort of patients with polycythemia vera. J Clin Oncol. 2005; 23: 2224-32.
3) Gangat N, Strand J, Tefferi A, et al. Leucocytosis in polycythaemia vera predicts both inferior survival and leukaemic transformation. Br J Haematol. 2007; 138: 354-8.
4) Chim CS, Kwong YL, Liang R, et al. Long-term outcome of 231 patients with essential thrombocythemia: prognostic factors for thrombosis, bleeding, myelofibrosis, and leukemia. Arch Intern Med. 2005; 165: 2651-8.
5) Jensen MK, de Nully Brown P, Hasselbalch HC, et al. Incidence, clinical features and outcome of essential thrombocythaemia in a well defined geographical area. Eur J Haematol. 2000; 65: 132-9.
6) Campbell PJ, Scott LM, Buck G, et al. Definition of subtypes of essential thrombocythaemia and relation to polycythaemia vera based on JAK2 V617F mutation status: a prospective study. Lancet. 2005; 366: 1945-53.
7) Carobbio A, Finazzi G, Barbui T, et al. Leukocytosis is a risk factor for thrombosis in essential thrombocythemia: interaction with treatment, standard risk factors, and Jak2 mutation status. Blood. 2007; 109: 2310-3.
8) De Stefano V, Za T, Rossi E, Vannucchi AM, et al. Recurrent thrombosis in patients with polycythemia vera and essential thrombocythemia: incidence, risk factors, and effect of treatments. Haematologica. 2008; 93: 372-80.
9) Landolfi R, Di Gennaro L, Falanga A. Thrombosis in myeloproliferative disorders: pathogenetic facts and speculation. Leukemia. 2008; 22: 2020-8.
10) Chait Y, Condat B, Brière JB. et al. Relevance of the criteria commonly used to diagnose myeloproliferative disorder in patients with splanchnic vein thrombosis. Br J Haematol. 2005; 129: 553-60.
11) Brière JB. Budd-Chiari syndrome and portal vein thrombosis associated with myeloproliferative disorders: diagnosis and management. Semin Thromb Hemost. 2006; 32: 208-18.
12) Schafer AI. Molecular basis of the diagnosis and treatment of polycythemia vera and essential thrombocythemia. Blood. 2006; 107: 4214-22.
13) Turitto VT, Weiss HJ. Red blood cells: their dual role in thrombus formation. Science. 1980; 207(4430): 541-3.
14) Wautier MP, El Nemer W, Wautier JL, et al. Increased adhesion to endothelial cells of erythrocytes from patients with polycythemia vera is mediated by laminin alpha5 chain and Lu/BCAM. Blood. 2007; 110: 894-901.
15) Michiels JJ, Berneman Z, Schroyens W, et al. Clinical and laboratory features, pathobiology of platelet-mediated thrombosis and bleeding complications, and the molecular etiology of essential thrombocythemia and polycythemia vera: therapeutic implications. Semin Thromb Hemost. 2006; 32: 174-207.
16) Cortelazzo S, Finazzi G, Barbui T, et al. Hydroxyurea for patients with essential thrombocythemia and a high risk of thrombosis. N Engl J Med. 1995; 332: 1132-6.
17) Colaizzo D, Amitrano L, Margaglione M, et al. The JAK2 V617F mutation frequently occurs in patients with portal and mesenteric venous thrombosis. J Thromb Haemost. 2007; 5: 55-61.
18) Boissinot M, Lippert E, Hermouet S, et al. Latent myeloproliferative disorder revealed by the JAK2-V617F mutation and endogenous megakaryocytic colonies in patients with splanchnic vein thrombosis. Blood. 2006; 108: 3223-4.
19) Primignani M, Barosi G, Mannucci PM, et al. Role of the JAK2 mutation in the diagnosis of chronic myeloproliferative disorders in splanchnic vein thrombosis. Hepatology. 2006; 44: 1528-34.
20) Patel RK, Lea NC, Mufti GJ, et al. Prevalence of the activating JAK2 tyrosine kinase mutation V617F in the Budd-Chiari syndrome. Gastroenterology. 2006; 130: 2031-8.
21) De Stefano V, Fiorini A, Leone G, et al. Incidence of the JAK2 V617F mutation among patients with splanchnic or cerebral venous thrombosis and without overt chronic myeloproliferative disorders. J Thromb Haemost. 2007; 5: 708-14.
22) Kiladjian JJ, Cervantes F, Valla DC, et al. The impact of JAK2 and MPL mutations on diagnosis and prognosis of splanchnic vein thrombosis: a report on 241 cases. Blood. 2008; 111: 4922-9.
23) Pardanani A, Lasho TL, Tefferi A, et al. JAK2V617F mutation screening as part of the hypercoagulable work-up in the absence of splanchnic venous thrombosis or overt myeloproliferative neoplasm: assessment of value in a series of 664 consecutive patients. Mayo Clin Proc. 2008; 83: 457-9.
24) Arellano-Rodrigo E, Alvarez-Larrán A, Cervantes F, et al. Increased platelet and leukocyte activation as contributing mechanisms for thrombosis in essential thrombocythemia and correlation with the JAK2 mutational status. Haematologica. 2006; 91: 169-75.
25) Falanga A, Marchetti M, Barbui T, et al. V617F JAK-2 mutation in patients with essential thrombocythemia: relation to platelet, granulocyte, and plasma hemostatic and inflammatory molecules. Exp Hematol. 2007; 35: 702-11.
26) Carobbio A, Finazzi G, Barbui T, et al. Thrombocytosis and leukocytosis interaction in vascular complications of essential thrombocythemia. Blood. 2008; 112: 3135-7.
27) Marchetti M, Castoldi E, Falanga A, et al. Thrombin generation and activated protein C resistance in patients with essential thrombocythemia and polycythemia vera. Blood. 2008; 112: 4061-8.
28) Sozer S, Fiel MI, Hoffman R, et al. The presence of JAK2V617F mutation in the liver endothelial cells of patients with Budd-Chiari syndrome. Blood. 2009; 113: 5246-9.
29) Santilli F, Romano M, Davì G. Circulating endothelial progenitor cells and residual in vivo thromboxane biosynthesis in low-dose aspirin-treated polycythemia vera patients. Blood. 2008; 112: 1085-90.
30) Harrison CN, Campbell PJ, Green AR, et al. Hydroxyurea compared with anagrelide in high-risk essential thrombocythemia. N Engl J Med. 2005; 353: 33-45.
31) Maugeri N, Giordano G, Donati MB, et al. Inhibition of tissue factor expression by hydroxyurea in polymorphonuclear leukocytes from patients with myeloproliferative disorders: a new effect for an old drug? J Thromb Haemost. 2006; 4: 2593-8.
32) Landolfi R, Marchioli R, Barbui T, et al. Efficacy and safety of low-dose aspirin in polycythemia vera. N Engl J Med. 2004; 350: 114-24.
33) Ruggeri M, Rodeghiero F, Barbui T, et al. Postsurgery outcomes in patients with polycythemia vera and essential thrombocythemia: a retrospective survey. Blood. 2008; 111: 666-71.
(続く) 本態性血小板血症/真性赤血球増加症:血栓症(インデックス)へ
【凝固検査&DIC】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:32
| 血栓性疾患
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血栓症の治療:真性赤血球増加症、本態性血小板血症(5)
JAK2遺伝子変異と血栓症:真性赤血球増加症(真性多血症)、本態性血小板血症(4) から続く
【PV、ETにおける血栓症の危険因子】
真性赤血球増加症(真性多血症:PV)、本態性血小板血症(ET)における血栓症発症のリスクの程度によって治療方針も変わってきます。
PV、ETのいずれにおいても高齢、および血栓症の既往は血栓症の重要な危険因子と考えられています。また、血栓症を再発する場合であっても、前回と同じ臓器に発症しやすいことも知られています。
一般的な血栓症の危険因子である高血圧症、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙などが、PV、ETにおける血栓症発症の危険因子になるかどうかについては相反する報告もあり一定の見解はありません。
血液学的所見としては、白血球数高値が動脈・静脈両者の血栓症の危険因子とする報告が多いです。
一方で、ETでは血小板数高値と血栓症との関連を指摘した報告はほとんどありません。
血栓性素因として知られている、アンチトロンビン・プロテインC・プロテインS欠損症、第V因子Leiden、プロトロンビンG20210A、高ホモシステイン血症、抗リン脂質抗体などと血栓症の関連を論じた報告も散見されますが、まだ充分なエビデンスは蓄積されていないのが現状です。
【血栓症治療(予防対策)】
● PVにおいては、血栓症のリスクがそれほど高くない場合、血液粘度を低下させるための瀉血治療が有効です。
● 一方、血栓症のリスクが高い場合には、PV、ETともにヒドロキシウレアが選択肢となります。特にETにおいては、少量アスピリンとヒドロキシウレア併用の有効性が報告されています16)30)。なお、ヒドロキシウレアが抗血栓効果を発揮する理由としては、本薬による白血球数と白血球機能抑制に依存しているのではないかとも考えられています 31)。
● アスピリンは、特に動脈血栓症の予防治療薬として、世界中で頻用されている薬物です。PV、ETにおいては、トロンボキサンA2の産生が亢進しているという報告もあり、理論的にもこれらの疾患におけるアスピリンの投与は有用と考えられます。
実際、PV518例を対象にした大規模試験においては、アスピリン100mg/日の内服を行った場合に、出血の副作用なく有意に動・静脈血栓症の発症を抑制したと報告されています 32)。
一方で、ET症例(特に血栓症リスクが低いET症例)におけるアスピリンの有用性についてはまだ一定の見解はないのが現状です。
● 手術を契機に、術後血栓症を発症することも少なくありません。
術後に、PVでは静脈血栓症を発症しやすく、ETでは動脈血栓症を発症しやすいと報告されています33)。
一方で、これらの疾患では術後の出血も少なくないことにも注意が必要です。
術後の血栓症予防目的として、PVではヘパリン類、ETでは抗血小板薬というような使い分けが良い可能性がありますが、この点についてはなお検討すべき課題と思われます。
(続く)
引用(参考)文献:真性赤血球増加症、本態性血小板血症と血栓症(6)へ
【凝固検査&DIC】
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