金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年11月29日

若手臨床血液学セミナー(日本血液学会、血液専門医)

昨日から、

第2回若手臨床血液学セミナー(監修:日本血液学会)

が東京で開催されています。



このセミナーは、主としてこれから血液専門医試験を受けようとする医師を対象としていますが、大変人気があります。

定員は、100名ですが昨年はあまりにも多くの方の応募があったため、抽選もれの方が多数出てしましました。良い評判を耳にして、さらに受講希望者が増えているようです。

そういう訳で、昨年と全く同じプログラムで、今年も企画されています。

おそらく、来年以降も開催されると思いますので、希望の方は学会の案内に注意されていると良いのではないかと思います。

第2回若手臨床血液学セミナー

なお、以下のサイトもお役にたてるのではないかと思います。

金沢大学第三内科HP
・全教官執筆によるNETセミナーが目玉です。
研修医/入局者の声の閲覧も多いようです。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 18:59 | 研究会・セミナー案内 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月28日

日本臨床検査医学会と日本検査血液学会の合同シンポ(血液内科)

学会は、とてもたくさんあります。
私たちの金沢大学 血液内科・呼吸器内科と関連した学会のみでも多数(無数)にあります。

その中で、今回は「臨床検査医学会」を紹介させていただきたいと思います。この学会の面白いところは領域横断的なところです。
私たちと関連のある血液内科呼吸器内科の領域も取り上げられていますが、内科系、外科系、基礎医学(病理を含む)のほとんど全ての領域を含んでいます。

血液学会、呼吸器学会のように1つの領域を深く追求する学会はとても大きな意義がありますが、これらの学会と同等以上に領域横断的な学会は意義が大きいのではないかと思っています。

参考までに現在名古屋で開催されている臨床検査医学会のシンポジウムの一つに以下のようなものがあります。

シンポジウム:血小板(数)異常を呈する疾患の病態ならびに診断
(これは、日本臨床検査医学会日本検査血液学会の合同シンポジウムです)
● 総論:一次止血における血小板の役割
● 血小板機能異常
● 播種性血管内凝固症候群の病態と診断
● Thrombotic Microangiopathy(TMA)
● 抗リン脂質抗体症候群の病態と診断、特に抗リン脂質抗体と血小板異常について
● ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の病態ならびに診断
● ITP診療の進歩
● 骨髄増殖性疾患

(参考サイトのリンク)
日本臨床検査医学会
日本臨床検査専門医会
日本検査血液学会
日本血栓止血学会
国際血栓止血学会(ISTH)

血栓止血の臨床(研修医のために)

金沢大学第三内科ホームページ

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:14 | 学会・地方会 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月27日

播種性血管内凝固症候群(DIC):LPS誘発DICモデル(図解18)

DIC18

 

 

DIC(図説)シリーズの続きです。LPS誘発DICモデルと、組織因子(TF)誘発DICモデルの比較についてです。今までの「DIC(図説)」記事は右サイドカテゴリーからご覧いただけます。

臨床で遭遇するDICには多様性があるように、DICモデルにも多様性があるのではないかと思い、私たちは一連の検討を行ってきました。

前回の記事で書かせていただいたように、血小板数、フィブリノゲン、TATからのみでは、両モデルの差異を見いだすことはできませんでした。

しかし、Dダイマーと線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)を見ますと両モデルの大きな差異を見いだすことができます。

 


まず、LPS誘発DICモデルです。

LPS誘発DICモデルでは、PAIが過剰発現している点が注目されます。そのために線溶に強い抑制がかかりますので、血栓が溶解しにくい病態になります。
血栓が溶解されにくいために、Dダイマー(フィブリン溶解産物)はあまり上昇しないのが特徴です。

実は、TFモデルとLPSモデルでのDダイマーの上昇度があまりにも違うので変だと思ったところが、両モデルでの比較検討を行ったきっかけです。私たちにとって、この意味でもDダイマーは感慨深いものがあります。

 

 

なお、DICの図解シリーズの今までの記事は、右の記事カテゴリーの

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)」←  クリック(1)

 から、ご覧いただけます。
 
 
DIC関連記事病態・診断・治療) ←  クリック(2)
 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:48 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月26日

第4回医学部女子学生茶話会(ケーキ会):金沢大学第三内科

1

 

 金沢大学第三内科 第4回女子学生茶話会(通称ケーキ会)
が金沢大学第三内科医局にて開かれました。(H20年11月19日水曜日16時30分〜)


今回は5年生4人、4年生8人が集まりました。


早朝に雷鳴がとどろき初雪で路面が真っ白になった日でしたが
医局の中は熱気で笑い声も満ちあふれていました。

今回は配布資料として、
『女子医学生、研修医等をサポートするための会』

(H19年10月14日石川県医師会の資料)や

『仕事と生活の調和の実現にむけた取り組みと女性医師』
(第70回日本血液学会総会のMorning Conferanceの資料)

『総合内科専門医とサブスペシャリティー女性医師の役割ー』
(日本内科学会雑誌 第97巻11号平成20年11月10日2826-2831)

を自由に持っていってもらいました。

 


三内からの女性医師の出席者は、

後期研修医、
研究中の大学院生、
出産後復職直後の医師、
妊娠中の医師、
子供がいる女性医師などです。

2

いつ結婚したらよいか?
出会いはあるのか?
仕事と家庭の両立のコツ?いつ出産すべきか?
何科に進めばよいか?など


切実な問題を聞かれました。


10人いれば10通りの解答があると思われますが
それぞれの経験を話している間にあっという間に時間はたちました。
5年生4人はしばらく時間延長。

今後いつでも医局にお立寄くださいね。

3


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:16 | 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月25日

臨床研修に関するアンケート調査(全国医学部長病院長会議&臨床研修協議会共同実施)

 


全国医学部長病院長会議と臨床研修協議会が共同で実施した

「臨床研修に関するアンケート調査」

<11月18日に開かれた厚生労働省と文部科学省の「臨床研修制度のあり方に関する検討会」で公表>

(対象:医学生、初期研修医、卒後3−5年目の医師; 回答数:8945人)


「将来従事したい診療科または基礎系の分野」

医学生初期研修医卒後3〜5年目の順で記載しています。


1.      内科  14.1%→13.6%→4.5%
2.     呼吸器内科 1.8%→2.4%→3.5%
3.      循環器内科 4.6%→4.8%→3.5%
4.      消化器内科(胃腸内科) 4.2%→6.1%→5.1%
5.     腎臓内科 1.1%→1.6%→2.3%
6.     神経内科 2.3%→1.8%→3.3%
7.     糖尿病内科(代謝内科) 1.9%→2.0%→2.3%
8.     血液内科 1.4%→1.3%→1.7%
9.     皮膚科 2.1%→2.8%→5.5%
10.    アレルギー科 0.1%→0.3%→0.1%
11.    リウマチ科 0.8%→1.1%→1.3%
12.    感染症内科 0.2%→0.5%→0.4%
13.    小児科 11.5%→6.9%→5.2%
14.    精神科  3.6%→5.2%→6.2%
15.    心療内科 0.3%→0.2%→0.1%
16.    外科 4.9%→3.9%→2.2%(以下、3%以上のみ列挙)
17.    消化器外科  3.6%→3.0%→3.1%
18.    脳神経外科 3.0%→1.4%→3.7%
19.    整形外科 5.1%→6.2%→4.2%
20.    産婦人科 4.1%→2.9%→3.1%
21.    麻酔科 3.2%→4.8%→7.3%



このブログ管理人による印象

1)    内科が、卒後3−5年目の医師による希望が急落している。これは、何を意味しているのか?
2)    呼吸器内科、精神科、麻酔科が、卒後経験とともに漸増。
3)    血液内科は、1.5%前後で推移。
4)    皮膚科が、卒後3〜5年目での希望が急増。
5)    小児科、外科が、卒後経験とともに漸減。

マスコミでは、産婦人科、小児科医師の不足が強調されていますが、少なくとも私たちの地域では、内科医も不足していますので、もっと内科希望者が多いと良いと思っているところです。 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:03 | 医学全般 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月24日

金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)HP&ブログ

先日、学会で何人かの方(医療関係者も企業の方もおられます)に、金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)のホームページとブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)を良く見ていると言われました。

大変嬉しく感じましたが、一方で責任も感じた次第です。
今まで、研修医の皆さんや医療関係学生の皆さんを意識して記事を書いてきましたが、どなたに御覧いただいても恥ずかしくない記事をアップしていけるよう努力していきたいと思っています。

もし間違った記載や、分かりにくい記載があれば修正、過筆してまいりますので、コメントなどを入れていただければと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)のホームページ

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)



追伸:
学会発表のスライドに、私たちのブログの図を引用してくださった方もおられ、大変感激しました。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:08 | その他 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月23日

慢性咳嗽:咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群など

右サイドの記事カテゴリーから、ご希望の記事をご覧頂けます。


慢性咳嗽
問診、身体所見、胸部単純X線検査やスパイログラフィーなどの一般検査では原因を特定できない8週間以上持続する咳嗽が唯一の症状であるもの。


咳嗽
湿性咳嗽:喀痰を喀出するための生理的咳嗽(防御反応)。気道の過分泌がポイント。
乾性咳嗽:咳嗽が一次的に発症する病的咳嗽。

(乾性咳嗽の発症機序)少なくとも以下の二つがある。
1)気道の咳感受性亢進によって咳嗽が発症する機序:アトピー咳嗽、胃食道逆流による咳嗽、アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽など
2)気管支平滑筋の収縮がトリガーとなって咳嗽が発症する機序:咳喘息、喘息の咳嗽


本邦における慢性咳嗽の三大原因疾患は、咳喘息(乾性咳嗽)、アトピー咳嗽(乾性咳嗽)、副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)である。

この内容の関する本格記事は、以下からご覧いただけます。
NETセミナー:慢性咳嗽の診療

また、以下に充実の関連記事(カラーの図表があります)のリンク集を設置いたしましたので、ご利用くださいませ。

 

 

【シリーズ】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 


【関連記事】NETセミナー

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 
【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:02 | 研修医/学生用ミニセミナー | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月22日

播種性血管内凝固症候群(DIC):動物DICモデル比較(図解17)

DIC17

 

前回のDIC(図説)記事からの続きです。これまでのDIC(図説)記事は右サイドカテゴリーからご覧いただけます。さて、それではLPS誘発DICモデルと、組織因子(TF)誘発DICモデルを比較してみましょう。

典型的なDIC(進行したDIC)症例で最も目立つ臨床検査所見は、血小板数の低下やフィブリノゲンの低下ではないかと思います。モデルではどうでしょうか?

上図のように、LPSモデルにおいてもTFモデルにおいても血小板数が明らかに低下しています。フィブリノゲンは後半リバウンドしますが、やはり低下します。つまり、両モデルにおいて確かに消費性凝固障害(consumption coagulopathy)の病態になっています。

DICの本態は、全身性持続性の著明な凝固活性化状態です。凝固活性化マーカーのTATはどうなっているでしょうか。両モデルにおいてTATが著増していることが分かります。

このように、血小板数、フィブリノゲン、TATだけで評価しますと、両モデルとも著明な凝固活性化を伴った消費性凝固障害のモデルです。つまり典型的なDICモデルです。

ということは、両モデルは同じ病態なのでしょうか?
いいえ、違います。単に、血小板数、フィブリノゲン、TATによる病態把握には限界があるということだけです。

さて、どのような方法で、両モデルの違いを見抜くことができるでしょうか?
続く。。。
 

 

 

なお、DICの図解シリーズの今までの記事は、右の記事カテゴリーの

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)」←  クリック(1)

 から、ご覧いただけます。
 
 
DIC関連記事病態・診断・治療) ←  クリック(2)
 

 ・NETセミナーDICの病態・診断   ←  クリック(3)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:04 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月21日

【金沢大学血液内科進級試験過去問題解説】兼:医師国家試験・専門医試験対策


金沢大学血液内科進級試験過去問題


(設問)(一部改変)
播種性血管内凝固症候群(DIC)の検査所見に関する記載として正しいものはどれか。
a.    PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であれば、DICを否定できる。
b.    敗血症に合併したDICでは、血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)活性が著増する。
c.    線溶亢進型DICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が正常である。
d.    急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著増する。
e. 線溶亢進型DICでは臓器症状がみられやすい。


(ポイント)
a.    PT、APTT、フィブリノゲンともに正常であっても、DICを否定できない。特に、FDP、Dダイマー、血小板数、TATなどはDIC診断上、最重要である。
b.    敗血症に合併したDICでは、LPSや炎症性サイトカインの作用により、血管内皮からPAIが過剰産生される。
c.    どのようなタイプのDICであっても、血中TATは必ず上昇する。トロンビンの過剰産生(著明な凝固活性化)は、DICの本態である。
d. 急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著増ではなく著減する。
e. 線溶亢進型DICでは、出血症状はみられやすいが、臓器症状はみられにくい。多発した微小血栓が溶解されるため、微小循環障害に起因した臓器障害をきたしにくいのである。

類似の過去問題 ← クリック

(答)b
 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:00 | 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月20日

【金沢大学血液内科進級試験過去問題解説】兼:医師国家試験・専門医試験対策

金沢大学血液内科進級試験過去問題


(設問)
下記の疾患のうち出血傾向、血栓傾向の両者がみられる疾患・病態はどれか。
a.    高ホモシステイン血症
b.    異常フィブリノゲン血症
c.    先天性プロテインS(PS)欠損症
d.    先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症
e. 高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症

(ポイント)
a. 高ホモシステイン血症、高Lp(a)血症はいずれも血栓傾向の原因となる。
b.    異常フィブリノゲン血症:フィブリノゲンの機能障害のため出血しやすいが、一方で形成された血栓が溶解されにくいため血栓傾向にもなる。
c.    先天性アンチトロンビン(AT)欠損症、先天性プロテインC(PC)欠損症、先天性プロテインS(PS)欠損症は、血栓傾向となる。
d. 先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症:過度の線溶活性化のため出血傾向になる。
e. 高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症:線溶が抑制されるため、血栓傾向になる。

類似の過去問題 ←クリック

(答)b


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:21 | 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月19日

【金沢大学血液内科卒業試験過去問題】兼:国家試験対策・専門医試験対策

(設問)
14歳男性。幼少時より、膝関節、足関節など、種々の関節の痛みが出現することがあった。昨日の遠足後に帰宅したところ、左膝の痛みが出現し軽快しないため来院した。身体所見上、左膝関節の腫脹がみられた。近隣在住の叔父も、幼少時より種々の関節の痛みが出現する。血液検査では、APTTが延長していた。
同じ疾患を有している可能性があるのは誰か。1つ選べ。

A. 父方の祖父
B. 父方の叔母
C. 母方の祖父
D. 母方の叔母
E. 姉


(ポイント)

幼少時から、関節の痛み、腫脹がみられているということで、先天性の疾患が疑われる。
近隣在住の叔父も、幼少時より種々の関節の痛みが出現するということで、同じ疾患を有しているものと考えられる。
関節の腫脹、痛みを伴った病態として関節内出血が想定される。
血液検査では、APTTが延長している点が特徴的検査所見である。
以上から、血友病と考えられる。


血友病
は、伴性劣性遺伝であり、原則として男性のみが発症し、母方から遺伝する。

選択肢から、まず女性を消去する。
次に、父方の親族を否定する。


(答)C


(補足)家系図で考えても間違いではないが、上記のごとく消去法で考えると、すぐに回答に到達できる。


右サイド記事カテゴリーの「医師国家試験・専門医試験対策」より、他の問題&解説をご覧いただけます。


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:18 | 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月18日

播種性血管内凝固症候群(DIC):動物DICモデルへ(図解16)

DIC16

 



臨床で経験するDICが多様であり、線溶抑制型線溶均衡型線溶亢進型に病型分類されることを前回書かせていただきました。

私たちは、まず臨床でのDIC病型分類から入りましたが、原点に立ち戻ってDICモデルにおいても用いるDIC惹起物質によってDICの病態は異なるのではないかと考えて一連の検討を行ってまいりました。

DIC病態は試験管レベルで再現することはできませんので、DICの基礎的検討は動物モデルを用いて検討されてきました。DIC惹起物質として最も頻用されてきたのがlipopolysaccharide(LPS)です。その他には、組織因子(tissue factor:TF)トロンビンが用いられた検討もあります。

世界的には敗血症に合併したDICが注目されていることと関連してか、DICモデル作成にはLPSを惹起物質として用いたものが圧倒的に多用されてきました。しかし、用いるDICモデルによって病態が異なる可能性は十分にあり、もしその場合には有効な治療手段も変わってくる可能性すらあります。

私たちは、LPS誘発DICモデルと、TF誘発DICモデルの病態を比較してみることにしました。比較検討した項目は、凝血学的グローバルマーカー・分子マーカー、臓器障害マーカー、炎症性サイトカイン、出血所見、病理所見、死亡率などです。

このようなDICの基礎的検討の結果は、またDICの臨床に生かされる(フィードバックされる)ものと思っているところです。

 

  

なお、DICの図解シリーズの今までの記事は、右の記事カテゴリーの

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:44 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月17日

播種性血管内凝固症候群(DIC):DICの病型分類、TAT、PIC(図解15)

DIC病型2010

 

今回のスライドは既にこのブログで登場済みですが、ストーリー展開の関係上、再掲いたします。また、記事の内容も以前のものとは違う内容で書かせていただきます。

DICの本態は全身性持続性の著しい凝固活性化状態(TATの上昇で反映されます)です。この点は、全DICに共通した病態です。しかし、線溶活性化の程度(PICの上昇で反映されます)は基礎疾患によって相当の差異がみられます。


線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC):
線溶阻止因子PAIが著増するために、線溶に強い抑制がかかります(PICの上昇はごく軽度です)。多発した微小血栓溶解の結果として血中に出現するDダイマーは微増に留まります。臨床的には臓器症状は重症ですが、出血症状は比較的軽度です。代表的基礎疾患は、敗血症です。


線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC):

線溶阻止因子PAIは微増にとどまるために、線溶に対する抑制はありません(PICの上昇は高度です)。Dダイマーの上昇は明らかです。フィブリンのみならずフィブリノゲンの分解も進行すると、FDP/DD比は高値となります(DD/FDP比は低値となります)。臨床的には出血症状は重症ですが、臓器症状はほとんどみられません。代表的基礎疾患は、急性前骨髄球性白血病(APL)、腹部大動脈瘤、転移性前立腺癌などです。


線溶均衡型DIC
上記2病態の中間的病態となります。進行例を除きますと出血症状や臓器症状などの臨床症状はあまりみられません。固形癌に合併したDICに代表されます。


このDIC病型分類の考え方は、DICの診断にも、治療法の適切な選択の上でもとても重要と考えています。

そういう意味でも、DICの疑われた症例では、TATPICの測定は不可欠と言うことができます。

 

 

なお、DICの図解シリーズの今までの記事は、右の記事カテゴリーの

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:40 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月16日

輸血後感染症頻度(HBV、HCV、HIV)

輸血学の重要ポイントを記事でアップさせていただきます。


■ 献血者は年間540万人

■ 輸血を受ける患者は年間120万人

■ ウイルス感染症は核酸増幅検査(NAT)導入後激減

 

■ HBV
○ ウイルスが献血内に存在する確率=13万人に1人(スクリーニング検査陰性でNAT陽性)
○  輸血による感染者数=年間13-17例
○  輸血を受ける患者8万人に1人
○ 輸血35万本に1件

■ HCV
○  ウイルスが献血内に存在する確率=2,200万人に1人(スクリーニング検査陰性でNAT陽性)
○ 感染症例が少なくリスクも推定困難な程低い

■ HIV
○  ウイルスが献血内に存在する確率=1,100万人に1人(スクリーニング検査陰性でNAT陽性)
○ 感染症例が少なくリスクも推定困難な程低い


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:24 | 輸血学 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月15日

研修医の広場(金沢大学 血液内科・呼吸器内科)

この度は、沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)へご訪問いただきありがとうございます。

このブログは、
金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページに併設されています。
ほぼ、毎日更新されていますので、いつご訪問いただいても新しい記事をご覧いただけます。

右サイドに記事カテゴリーがありますので、そこからご希望の記事をご覧いただけます。

特に、研修医/学生用ミニセミナー(さらに多くのサブカテゴリーがあります)は力の入った記事が満載されています。医師国家試験、専門医試験対策も医学部学生の皆さんや、研修医の皆さんのお役にたてると思います。




最後になりましたが、

研修医の広場
(↑
↑ クリック:右サイド記事カテゴリーの一番上にあります)では、

医学部学生の皆さん、研修医の皆さんからのコメント書き込みを大歓迎しています。もちろん、ベテラン医師の方の書き込み、ご助言も大歓迎です。質問や、相談などございましたら遠慮なく書き込んでいただけばと思います。研修医の広場の記事の下方にある青字の「コメント(○)」(○は今までのコメントの総数です)をクリックしますと、コメント書き込み画面が登場いたします。

管理人または、その他の
金沢大学 血液内科・呼吸器内科スタッフが全力で回答させていただきます。

コメント書き込み時には、ご自分の名前はかかれずに、ペンネームまたは匿名希望としていただければと思います。

また、ご自分のメールアドレスも書き込まれないようにお願いいたします。


プライバシー上問題ないことを確認できましたら公開させていただき、回答いたします。


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:28 | 研修医/学生用ミニセミナー | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月14日

抗MRSA薬適正使用講演会


抗MRSA薬適正使用講演会


日時:平成20年11月14日(金) 19:00〜21:00
場所:金沢ニューグランドホテル 4階「金扇」


製品紹介:オキサゾリジノン系合成抗菌剤 「ザイボックス」


講演(1)
座長:金沢大学医薬保健研究域保健学系病態検査学  教授 藤田信一先生

『抗菌薬の適正使用 〜現場と共に歩む〜』
大阪大学医学部附属病院 感染制御部 助教 橋本 章司 先生


講演(2)
座長:金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学 教授 中尾眞二 

『抗MRSA薬の適正使用を考える 』
愛知医科大学 感染制御学 教授 三鴨 廣繁 先生



 


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2008年11月13日

播種性血管内凝固症候群(DIC):PAIの変動(敗血症、癌、白血病など)(図解14)

DIC14

 

前回の記事で、線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビターPAI)はどういうものであるかの記事を書かせていただきました。

さて、それでは、DICの代表的な基礎疾患である急性前骨髄球性白血病(APL)、APL以外の急性白血病固形癌敗血症(sepsis)ではどうなっているでしょうか?

上図で示されている縦軸は、PAIの中でも活性を有しているactive PAIです。この測定法では健常人は、15ng/mL以下になります。

敗血症においては、PAIは健常人の10倍と著増しています。つまり、敗血症においては線溶活性化に対して強い抑制がかかっていることになります。

一方、APLにおいてはPAIのレベルは健常人と大差ありません。つまり、APLにおいては線溶活性化に全くブレーキをかけていないことになります。

APL以外の急性白血病や固形癌は、APLと敗血症の中間的なレベルにあります。このように、凝固活性化(TATの上昇)は全DIC症例において共通の病態ですが、線溶活性化に対する抑制は基礎疾患によって大きく異なっています。そのために、DICの基礎疾患によって線溶活性化(PICの上昇)の程度は大きく異なるのです。

DICの病態を特徴つける点で、PAIは極めて大きな意義を有しているのです。

線溶抑制状態の強さを不等号で表しますと、以下のようになります。

 

線溶抑制状態:APL<急性白血病、固形癌<敗血症

 

 

 

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2008年11月12日

悪性リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫):標本2

BSL標本カンファレンス

 

(関連記事)

NETセミナー:悪性リンパ腫の診断

悪性リンパ腫:1

悪性リンパ腫:2

悪性リンパ腫:3

 

2008年9月30日(火)「ホジキン病関連」その2


症例2 60台男性

現病歴 8年前前立腺がんの既往があり、金沢大学血液内科受診3ヶ月前に撮影されたfollow upのCTで全身リンパ節腫脹、脾腫を指摘。B症状(発熱)あり。
身体所見 発熱を認め、右後頸部リンパ節を触知
主要な検査 LDH 218と軽度上昇、血小板減少、sIL-2R 2610、PETにて全身リンパ節と骨に異常集積を認めた


右外腸骨動脈周囲リンパ節生検標本
◆H-E染色

標本2-1

ろ胞構造が消失している。弱拡では症例1と比べるとピンクの部分が多いように見え、強拡で大型の核小体がはっきりした細胞(ホジキン様)や中型〜大型の異型リンパ球が増加していることが確認できる。

 


◆CD30:ホジキン様の細胞の多くが陽性

標本2-2

 

 

◆CD15:CD30と同様にホジキン様の細胞が陽性
◆CD20、79α:ホジキン様の細胞の一部と、中型から大型の異型リンパ球の多くが陽性

 

◆EBER:大型ホジキン様細胞の一部が陽性
標本2-3



図はEBERのスライド強拡大

 

 

◆CD3:陰性

骨髄生検:リンパ腫細胞の浸潤が認められる

 

診断 
本症例では腫瘍細胞と考えられる大型の細胞がCD30、15、20、79αに陽性であった。

腫瘍細胞のほとんどがCD20陽性であったことや79α陽性であったこと、リンパ節腫脹部位が全身であることや、骨浸潤があることはホジキン病ではなく非ホジキンリンパ腫の特徴であり、B細胞性非ホジキンリンパ腫と診断された。

しかしCD15が陽性であったことなど、病理標本からは症例1のようなホジキン病との鑑別は非常に難しく、専門家の間でも意見が分かれホジキン病からの移行期の症例とも考えられた。

B細胞性非ホジキンリンパ腫(臨床病期 IVB(骨浸潤)、international prognostic index; IPIはhigh)
サブタイプ:Age related EBV-associated B-cell lymphoproliferative disorders (senile lymphoma)

 

Q&A
・Age related EBV-associated B-cell lymphoproliferative disorders(senile lymphoma)の予後は?

年齢、B症状(発熱、盗汗、体重減少)の有無 で予後が決まる
2つ陽性なら平均生存期間 9ヶ月
1つ陽性なら25ヶ月
0個なら56ヶ月

治療にリツキシマブを加えるかどうかで予後が改善するかどうかはまだ検討中である。


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:39 | 血液内科(標本) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月11日

播種性血管内凝固症候群(DIC):線溶阻止因子PAIの役割(図解13)

DIC13

 

DICにおける凝固活性化は、DICの最も本質部分と言うことができます。前回も記事にさせていただいたように、DICにおいては必ず凝固活性化マーカーTATが上昇します。

しかしながら、線溶活性化は基礎疾患によって相当の差異がみられます(PICで評価できます)。どうして、凝固活性化が同程度であったとしても線溶活性化は大きく異なるのでしょうか?

これは、線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)の役割が大きいことが分かってきました。上図を用いて、PAIの説明を試みたいと思います。

血管内皮から組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator: t-PA)が産生されますと、t-PAはプラスノゲンをプラスミンに転換します。そしてプラスミンが血栓(フィブリン)を分解しますと、血栓の分解産物であるFDP(Dダイマー)が形成されます。

PAIは、t-PA同様に血管内皮から産生され、t-PAと1:1結合することで、線溶を阻止します。ですから、PAIの産生が亢進した症例においては、線溶に強いブレーキがかかりますし、一方PAIの産生があまりない症例においては線溶が抑制されにくいことになります。

さて、基礎疾患別にみたPAIの産生具合はどうなっているのでしょうか?次回の記事に続きます。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:02 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月10日

金沢市医師会 金沢医学館記念医学賞受賞

朝倉英策(金沢大学附属病院 血液内科)が、金沢市医師会 金沢医学館記念医学賞を受賞しました。
(平成20年11月9日:金沢ニューグランドホテル)。

受賞内容「播種性血管内凝固症候群の病態解析および新規治療法の開発」


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:43 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0) | トラックバック(0)

金沢大学検査部からの欧文論文 by 若手技師(血栓止血研究室との共同研究)

当科(金沢大学 血液内科・呼吸器内科)の血栓止血研究室と、当院(金沢大学附属病院検査部は、20年以上にわたって共同研究をさせていただいています。

その結果として、これまでに数々の研究成果を世界に発信してまいりました。


さてこの度、当院検査部において、吉田知孝技師長の御指導のもと、若手の表美香技師が忙しい業務の合間を縫って欧文論文を書いてくれました。そしてついに先日、Thromb Res(←クリック)という血栓止血学の専門誌にpublishされました。

検査技師の方(大変お若い方です)が、筆頭著者として欧文論文をpublishしたというのは、まさしく快挙と言えます。

この場を借りて、快挙に拍手を送りたいと思います。

このあと、第2弾、第3弾、。。。。と検査部から発信されていくものと期待しているところです。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:30 | 血栓止血(血管診療) | コメント(0) | トラックバック(0)

汎血球減少(骨髄不全):再生不良性貧血、MDS、PNH

骨髄不全とは:
血球減少を呈する疾患のうち、その原因が血球の破壊の亢進や、骨髄の占拠性病変による二次的な造血障害ではなく、造血幹細胞の減少や質的異常のために血球産生が持続的に減少した状態。


一般には:

1) 再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)

2) 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)

3) 発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)

などの特発性の造血障害を表しているが、これらの疾患は互いの境界が必ずしも明瞭ではなく、相互に移行することがある。


共通点:
免疫病態による造血障害と、造血幹細胞自身の異常による造血障害が混在している。
(→近年では骨髄不全または骨髄不全症候群として一括して呼ばれることが多い)


ポイント:
日常診療では骨髄不全という漠然とした症候群の中に診断を押し込めるのではなく、下記の鑑別が重要。
1) 免疫抑制療法を中心とする薬物療法によって治せる骨髄不全
2) 薬物療法では治せない(造血幹細胞移植を必要とする)骨髄不全


なお、この内容に関する本格記事は、以下のNETセミナーから御覧いただけます。

NETセミナー:汎血球減少のマネジメント(特に骨髄不全について)← クリック


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11 | 血液疾患(汎血球減少、移植他) | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月9日

播種性血管内凝固症候群(DIC):基礎疾患ごとのTAT&PICの変動(図解12)

DIC12

 

上図は、DICの代表的な4つの基礎疾患において、凝固活性化マーカーTATと、線溶活性化マーカーPICの変動を見たものです。

DICの代表的基礎疾患は、急性前骨髄球性白血病(APL:M3)急性白血病(APLを除く)、固形癌敗血症です。TATとPICの成績は透かし図になっていますので、イメージとしてご理解いただけるのではないかと思います。

まず、凝固活性化マーカーTATですが、全4基礎疾患において明らかな上昇がみられています。DICの本態は全身性持続性の著しい凝固活性化状態ですので、TATは必ず上昇している必要があります。言い方を変えますと、TATが正常であればそれはDICではありません。

次に、線溶活性化マーカーPICですが、APLでは10μg/ml程度と上昇しており著しい線溶活性化が見られているのに対しまして、敗血症では健常人をわずかに上回る程度の上昇に留まっています(2〜3μg/ml程度までの上昇)。つまり、敗血症に合併したDICでの線溶活性化は軽微です。APL以外の急性白血病や固形癌は、APLと敗血症との中間的な線溶活性化です。

このように、DICにおける著しい凝固活性化は共通した病態ですが、線溶活性化の程度は基礎疾患によって大きく異なっています。この、線溶活性化の程度が異なることはDICの病態を左右する大きな要素の一つになっているのです。

 

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2008年11月8日

血液内科(研修医)

血液内科は、医学部学生さんや、研修医の皆さんにとってどのようなイメージでしょうか?
医学の最先端を走っている、血液内科と言えば造血幹細胞移植(骨髄移植)、高度な専門性、 重症症例が多く大変そう。。。

そのような数々の質問に答えてくれる

血液内科に関する研修医からのQ&Aを、

NETセミナー(このブログが併設されている金沢大学血液内科・呼吸器内科ホームページ内)で記事にしています。

是非とも、医学部学生さんや、研修医の皆さんに読んでいただければと思います。

血液内科に関する研修医からのQ&A ← クリック

以下は、Qの一部ですが、その他にも多数のQ&Aの記事をご覧いただけます。

Q1.     血液内科の魅力は?
Q4.     血液内科は重症の患者様が多いのでしょうか.自分は体力に自信がないのですが。。。
Q6.     血液内科は専門性が高いように思いますが,一般内科としてもトレーニングされるのでしょうか?
Q14.     骨髄移植はどのように行うのですか?場所は手術室ですか?
Q17.     教授回診や毎日の診察で、口の中を診察するのが目に付く気がするのですが?


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12 | 血液内科 | コメント(0) | トラックバック(0)

2008年11月7日

第17回金沢造血器腫瘍研究会


第17回金沢造血器腫瘍研究会
11月7日(金)18;45〜
金沢ニューグランドホテル 5階 銀扇の間

演者:熊本大学 麻生 範雄 先生

演題:遺伝子異常からみた白血病の診断と治療


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:55 | 研究会・セミナー案内 | コメント(0) | トラックバック(0)

播種性血管内凝固症候群(DIC):TAT、PICとは(図解11)

DIC11

 

上図を使って、凝固活性化マーカーであるトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)と、線溶活性化マーカーであるプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の解説を試みたいと思います。

組織因子(TF)の作用によって凝固活性化を生じますと、最終的にトロンビンというkey enzyme(鍵となる酵素)が形成されます。トロンビンがフィブリノゲンに作用しますと、フィブリノゲンはフィブリンに転換して血栓が形成されます。このkey enzymeであるトロンビン産生量を評価することが可能であれば、凝固活性化の程度が分かります。

しかし、トロンビンの血中半減期は極めて短く直接測定することはできません。それならばと言うことで、トロンビンとその代表的な阻止因子であるアンチトロンビン(AT)が、1対1結合した複合体を測定しようとしたマーカーがTATです。TATの半減期は数分ありますので測定することが可能です。TATが高値であるということは、トロンビン産生量が多い、すなわち凝固活性化状態にあるということを意味します。

DICは究極の血栓症ですので(著しい凝固活性化状態にありますので)、TATは必ず上昇します。換言しますとTATが正常であれば、その一点のみでDICを否定することができます。


形成された血栓を溶解しようとする働きのことを線溶(fibrinolysis)と言います。

血管内皮から組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)が産生されます。t-PAは、プラスミノゲンをプラスミンに転換しますと、プラスミンは血栓(フィブリン)を分解します。血栓が分解された際に生ずる分解産物のことをFDP(Dダイマーと言います。線溶活性化の程度を評価するためにはプラスミン産生量が分かれば良いのですが、プラスミンの血中半減期は極めて短く直接測定することはできません。それならばと言うことで、プラスミンとその代表的な阻止因子であるα2プラスミンインヒビター(α2PI)が、1対1結合した複合体を測定しようとしたマーカーがPICです。PICの半減期は十分ありますので測定することが可能です。PICが高値であるということは、プラスミン産生量が多い、すなわち線溶活性化状態にあるということを意味します。

DICにおいては、凝固活性化と並行して線溶活性化がみられますので、必ずPICの上昇がみられます。ただし、線溶活性化の程度は基礎疾患によって様々です。この線溶活性化状態の程度は、DICの病型を分けますのでその評価はとても重要なのです。

管理人らは、DICの評価のためには、FDP、Dダイマー、血小板数よりも、TATやPICの方がより重要であることが少なくないと思っています。

 

 

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2008年11月6日

播種性血管内凝固症候群(DIC):DICの本態とTAT、PIC(図解10)

DIC10
既に記事にさせていただいたように、播種性血管内凝固症候群(DIC)の本態は、基礎疾患の存在下における全身性持続性の著しい凝固活性化状態です。
決して、血小板数が低下したり、FDPやDダイマーが上昇することではありません。
血小板数が低下するのはDICの結果ですし、FDPやDダイマーが上昇することはもっと結果と言えます。

また、出血症状や臓器症状がみられることもDICの本態ではありません。

全身性持続性の著しい凝固活性化状態がDICの本態としますと、この凝固活性化状態を見るマーカーがDICの最も重要なマーカーということになります。
そのようなマーカーとして現在頻用されているのが、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)です。

また、程度は種々ですが、凝固活性化と同時進行的に線溶活性化がみられます。線溶活性化の程度はDICの病型を大きく分けます。この線溶活性化を評価するマーカーがプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)です。

DICの本態を見極めるためにTATを用いて、DICの病型を見極めるためにPICを用いることになります。

さて、TAT、PICとは一体どのようなマーカーなのでしょうか。次回に続きます。



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2008年11月5日

播種性血管内凝固症候群(DIC):臓器症状(多臓器不全 MOF)(図解9)

DIC9
DICの二大症状は、出血症状臓器症状です。

既に記事にさせていただいたように、臓器症状のコントロールはしばしば困難を極めます。
DICの予後が不良である理由は、特に臓器症状の出現のためです。

さて、DICではなぜ臓器症状がみられるのでしょうか?
実はかなり複雑なのですが、今回は長年指摘されてきた内容のみにさせていただきます。
詳細は後日記事にさせていただくことになると思います。

DICでは、重要臓器において微小血栓microthrombi)が多発します。
その結果、微小循環障害をきたします。
腎臓で微小循環障害をきたせば腎不全を起こしますし、肝臓で微小循環障害をきたせば肝不全を起こします。
しばしが、多臓器において微小循環障害が同時進行的に悪化しますので、多臓器不全の病態になります。

多臓器不全は、英語ではmultiple organ failureですので、MOFと略称します。

DICの治療は、ヘパリン類などの抗凝固薬が用いられてきたのですが、微小血栓の形成を抑制して臓器症状の進行を抑制するためにあります(そして同時に血小板や凝固因子が消費されることを抑制するためにあります)。
 

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2008年11月4日

播種性血管内凝固症候群(DIC):出血症状の理由(図解8)

DIC8


DICの臨床症状は2つのみです。すなわち、出血症状臓器症状です。このどちらも致命症になることがある重要な症状です。

DICでの種々の検査所見の中でも、血小板数の低下は最初に気がつきやすい臨床検査の一つです。ですから、「DICは血小板数が低下して出血する病気である」という印象を持っている方が多いのではないかと思います。果たして、それで良いのでしょうか?



DICで出血症状がみられる理由は、以下の2つです。

1)    消費性凝固障害:血小板数や凝固因子の低下

2)    線溶活性化:止血血栓の溶解



上記のどちらも重要なのですが、管理人らは2)の方がより重要な要素と考えています。確かに、血小板数が低下したり、凝固因子が低下する(血液検査ではPTやAPTTの延長、フィブリノゲンの低下)ことは出血症状を出現させる要素の一つになっていると思います。

しかし、例えば同じ血小板数が3万/μLの場合であっても、線溶活性化がどの程度であるかによって出血症状の程度は大きく変わってきます。

血小板数が3万/μLで、かつ線溶活性化が高度な場合は著しい出血症状がみられます。しかし、同じく血小板数が3万/μLであっても線溶活性化が軽度であれば、意外と出血症状はみられないのです。
DICではないですが、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の患者様で、血小板数3万/μLだけれども無治療で外来通院している方が多々いらっしゃいます。血小板数3万/μLあれば(線溶活性化がなければ)、全くと言って良いくらい出血しないからなのです。

逆に、血小板数が5万/μLあっても、線溶活性化が高度であれば、脳出血をおこしてしまうこともあります。

DICの患者様が出血を起こしやすいかどうかを判断するためにも、また適切な治療法の選択のためにも線溶活性化の評価はとても重要と考えられます。
 

 

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2008年11月3日

播種性血管内凝固症候群(DIC):予後(図解7)

DIC7
厚生労働省(旧厚生省)研究班が、平成4年度と平成10年度にDICの疫学調査を行っています。

その結果は、平成4年度は、4科で死亡率65.2%(内科68.1%・外科71.3%・小児科45.5%・産婦人科38.9%)、平成10年度は、6科で死亡率56.0%(内科61.8%・外科61.5%・小児科42.3%・産婦人科46.4%・集中治療部46.4%・救急部42.9%)でした。

DICの死亡率は、6割前後と極めて予後不良です。平成4年度から平成10年度にかけて若干予後が改善しているようにも見えますが、死亡率が内科や外科よりも低い集中治療部と救急部が疫学調査に加わっていることも関係があります。

この後は、日本での疫学調査は行われていませんが、管理人らの印象としては、ほとんど変わらないものと思っています。

どのような疾患であっても早期診断、早期治療が重要ですが、DICの予後を改善させるためには治療法の改善とともに、予後の改善に直結するようなDIC診断基準の開発も求められているところです。
 

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2008年11月2日

播種性血管内凝固症候群(DIC):臨床症状の出血症状・臓器症状(図解6)

DIC6
DICの症状は2つのみです。
DICは極めて予後不良の症候群ですが、その理由はこの2つの臨床症状の出現のためです。


1)    出血症状:

紫斑、鼻出血、口腔内出血、血尿などの出血症状では致命症となることは例外的ですが、脳出血、肺出血、ショックをきたすような吐血・下血などではしばしば致命症になります。特に、脳出血は最も致命症になりやすい出血症状です。

 

2)    臓器症状:

しばしば多臓器において同時進行的にみられて、多臓器不全(multiple organ failure:MOF)の病態となります。

 

出血症状も臓器症状も、DICの予後を悪くしている大きな要素です。ただし、これらの症状のうち特に臓器症状のコントロールがより困難です。

DICにおける出血症状は、病態把握が正確であって適切な治療が行われれば速やかに軽快しますが、臓器症状の方はコントロールに極めて難渋することが多いです。

 

 

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2008年11月1日

播種性血管内凝固症候群(DIC):発症機序(図解5)

DIC5

 



DICの発症機序は、基礎疾患によって異なります。
今回は、DICの代表的基礎疾患である、急性白血病、固形癌、敗血症について紹介させていただきます。


1)    急性白血病、固形癌:    

これらの疾患では、腫瘍細胞中の組織因子tissue factorTF)が重要な働きを演じています。TFによって、外因系凝固機序が活性化されて、凝固阻止因子による制御を上回りますとDICを発症します。後述する敗血症の場合よりも比較的シンプルな発症機序であると言えます(急性白血病、固形癌ではDIC発症に血管内皮の関与はほとんどありません)。

急性白血病に対して化学療法を行いますと、腫瘍細胞の破壊により血中に大量のTFが放出されます。急性白血病では化学療法とともにDICが一時的にかえって悪化する現象をよく経験するところです。しかし、このことを理由に化学療法を躊躇することがあってはいけません。一時的に悪化するDICを乗り切る必要があります(関連記事1:造血期悪性腫瘍に合併したDICの治療)(関連記事2:造血器悪性腫瘍に合併したDICの病態)。

 

2)    敗血症:

この場合のDIC発症機序はやや複雑です。敗血症においては、Lipopolysaccharide(LPS)や炎症性サイトカインがフル稼働状態です。このLPSやサイトカインは、単球/マクロファージ、血管内皮からのTF産生を亢進させることで、凝固活性化を惹起します。また、LPSやサイトカインは血管内皮に存在している抗凝固性物質トロンボモジュリンthrombomodulinTM)の発現を抑制しますので、凝固活性化にさらに拍車をかけることになります(血管内皮とトロンボモジュリン)。

加えて、LPSやサイトカインは線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)の発現を著しく亢進させますので、多発した微小血栓は溶解されにくく、微小循環障害に起因する臓器障害をきたしやすくなります(敗血症に合併したDICの発症機序:関連記事)。

 

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11 | 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

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