金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年8月31日

中尾眞二:金沢大学医学部第三内科

金沢大学 細胞移植学(血液・呼吸器内科学)教室【3】
(旧:金沢大学内科学第三教室)

リンク:金沢大学内科学第三教室史:インデックス

 

 松田保先生:金沢大学医学部第三内科 二代目教授(名誉教授)

(在職 昭和59年7月〜平成11年3月)

 

金沢大学 細胞移植学(血液・呼吸器内科学)教室【4】

<第三代教授 中尾 眞二>(在職 平成11年8月〜現在)


<教授略歴>

昭和30年大阪市に生まれる。

昭和55年3月金沢大学医学部卒業。

昭和59年3月同大学院医学研究科修了。恵寿総合病院、国立療養所金沢若松病院に勤務。

昭和63年5月アメリカ国立衛生研究所臨床血液部門に留学。

平成元年金沢大学内科学第三助手

平成4年7月   金沢大学医学部 内科学第三 講師

平成11年8月  金沢大学医学部 内科学第三 教授

平成13年4月  金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻・細胞移植学教授

平成16年4月  金沢大学医学部附属病院検査部部長 併任

平成18年4月  金沢大学医学部附属病院副病院長 併任

平成22年4月 金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻長 併任

平成24年4月 金沢大学医薬保健研究域医学系 副系長 併任

平成17年の金沢大学医学部附属病院における臓器別診療体制の強化に伴い、血液内科、血栓止血、呼吸器内科の3領域に分かれて診療・研究活動を進めている。


<主な学会会長>

平成12年6月 第181回日本内科学会北陸地方会
平成25年3月 第35回日本造血細胞移植学会学術総会


<所属学会>

日本血液学会理事、日本造血細胞移植学会副理事長、日本内科学会評議員。アメリカ血液学会


<研究内容>

血液グループ
同種造血幹細胞後の移植片による抗白血病効果の解析
骨髄緩和的移植前処置による同種造血幹細胞移植の普及
骨髄不全における免疫病態の解明

血栓止血グループ
播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態解析と新規治療法の開発
抗リン脂質抗体症候群(APS)の病態解析と新規治療法 の開発
先天性凝固異常症の遺伝子解析
動脈硬化性疾患の病態解析

呼吸器グループ
患者間および病態間における喘息病態の不均一性の解明
新規疾患概念「アトピー咳嗽」の発見・確立と慢性咳嗽診療の体系化
腫瘍代替組織を用いた肺癌特異的な遺伝子変異の検出と治療効果予測及び肺癌における遺伝子異常と治療反応性の体系的解析
増殖因子受容体・細胞分裂関連酵素の発現と小細胞肺癌の予後
骨髄移植後閉塞性細気管支炎発症における増殖因子の解析
IgG4関連肺疾患の臨床像と予後


<研究成果>

血液グループ
第三内科における骨髄移植の伝統を継承し、同種末梢血幹細胞移植や臍帯血を用いた骨髄緩和的臍帯血移植に国内ではいち早く着手した。その結果、臍帯血移植にはNK細胞による強い抗白血病効果があることを明らかにした。ドナーT細胞による抗白血病効果を明らかにするための大量ドナーリンパ球輸注療法、シクロスポリンのピークレベルを高く保つことによる移植片対宿主病予防法、再生不良性貧血の免疫病態マーカーの意義を明らかにするため共通プロトコールによる免疫抑制療法などの全国的な臨床試験を行い、診療ガイドラインの作成に寄与した。
再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの骨髄不全において、特定のHLA-DRB1アレル、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者で増加しているGPI-アンカー膜蛋白欠失血球、造血幹細胞における6番染色体短腕の片親性2倍体により、特定のHLAクラスIアレルを欠失した白血球、などが免疫病態のマーカーであり、これらが骨髄不全の発症に密接に関係していることを初めて明らかにした。これらはすべて診療に利用されている。

血栓止血グループ
動物モデルと分子マーカーを駆使することにより、DICの病態を明らかにした。抗リン脂質抗体症候群の病態における抗PS/PT抗体の意義を見出し、その成果を治療に応用した。全国で発生する凝固異常症について、依頼に応じて遺伝子解析を行うとともに、組み換えDNAの手法を用いて異常分子を作製し、それぞれの機能異常を明らかにした。
日本止血学会の学術標準化委員会では、DIC部会と抗リン脂質抗体症候群部会において当グループのスタッフが部会長となり主導的役割を果たした。

呼吸器グループ
気管支喘息は発作の誘因によって病態が異なり、同じ誘因であっても患者間で病態が異なることを明らかにした。我々が解明したアルコール喘息におけるヒスタミンの役割は喘息ガイドラインに採用されている。
日本における慢性咳嗽の三大原因疾患の一つである「アトピー咳嗽」を発見した。これが、慢性咳嗽診療の体系化(咳嗽ガイドラインの発刊)に繋がった。
腫瘍組織検体が採取しにくいという肺癌の問題点を克服するため、血液を腫瘍代替組織として用いることにより、分子標的薬の標的となる遺伝子異常の検出方法を確立した。この方法は現在世界で広く用いられている。
びまん性肺疾患の研究ではIgG4関連肺疾患の臨床病理学的解析を進め、診断ガイドラインに寄与している。

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22 | その他

2012年8月30日

服部絢一先生:金沢大学医学部第三内科

金沢大学 細胞移植学(血液・呼吸器内科学)教室【2】
(旧:金沢大学内科学第三教室)

 リンク:金沢大学内科学第三教室史:インデックス


<初代教授 服部 絢一>

(在職 昭和44年4月〜昭和59年4月)


<教授略歴>

大正8年    福岡県中間町に生まれる。

昭和18年9月    九州帝国大学医学部卒業。当時は第二次世界大戦の最中であったが、その年度から始まった大学院特別研究生の制度に入り、血液学専攻。

昭和25年9月    九州大学大学院修了

昭和31年8月    米国ピッツバーグ大学内科留学(フルブライト交換研究員)。組織化学、特に好中球アルカリフォスファターゼの研究に従事。

昭和33年11月    九州大学医学部附属病院講師

昭和40年7月    九州大学助教授

昭和44年4月    金沢大学教授

昭和53年4月    金沢大学医学部附属病院長(2年間)

昭和59年4月    退官。金沢大学名誉教授

昭和59年4月    石川県赤十字血液センター長

平成2年8月    石川県赤十字血液センター長勇退

平成16年12月4日逝去


<主な学会会長>

昭和52年5月    第39回日本血液学会総会会長

昭和52年9月    第16回日本臨床細胞学会秋期大会会長

昭和56年5月    第29回日本輸血学会総会会長

昭和56年10月    第23回日本臨床血液学会総会会長

昭和57年2月    第15回日本無菌生物ノートバイオロジー学会総会会長


<所属学会>

多くの学会で理事を歴任。日本血液学会(名誉会員)、日本臨床血液学会(名誉会員)(現在は日本血液学会と合流)ほか多数。


<研究内容>

・光学・位相差・電子顕微鏡による血液疾患形態学
・ 抗体産生細胞の同定
・ T・Bリンパ球の免疫反応における役割
・ 細胞診による悪性細胞の診断基準の制定
・ ステロイドホルモンの生体内代謝
・ 同種造血幹細胞移植療法の確立
・ 無菌室治療・腸管内無菌化療法の確立

<研究成果>

昭和49年頃より骨髄移植療法の開発に着手し、血液・免疫グループに加えて、呼吸器グループ(移植後の肺合併症)、感染症グループ(無菌室治療)、心身症グループ(無菌室に隔離された患者の心のケア)による骨髄移植チームを育成した。

昭和50年に国立大学附属病院で初めての無菌治療室を導入し、昭和52年に第1例目の同種骨髄移植を実施。

昭和53年にはわが国で初めて、急性リンパ性白血病に対する同種骨髄移植に成功した。

その後在任中に30例の同種骨髄移植を行った。

骨髄移植の健康保険適用に向けて厚生省に何度も足を運び、厚生大臣や日本医師会長とも直接会って陳情した結果、昭和57年無菌室治療薬(vancomycin)や骨髄移植の保険適用が認められた。

<代表的な著書(単著)>

1970年 「血液の知識」(中外医学社)
1972年 「貧血の診断と治療」(南山堂)
1973年 「血液疾患」(朝倉書店)
1982年 「新版血液疾患」(朝倉書店)
1983年 「骨髄移植」(中外医学社)


<受賞歴>

1)昭和59年5月    紫綬褒章
2)平成元年11月    勲三等旭日中綬章受章


<その他>

学生教育にも並々ならぬ情熱を注いだ。

1976年に、骨髄移植療法の創始者であるアメリカシアトルのDrドナルド・トーマスが金沢を訪れた際、「トーマス博士は将来必ずノーベル賞を取る学者だから、すべての学生が話を聞いた方が良い」と訴えた結果、全学年の講義が中止され、トーマス博士による骨髄移植の特別講義が十全講堂で行われた。

その15年後にトーマス博士はノーベル医学生理学賞を受賞した。

 

 


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2012年8月29日

教室の沿革:金沢大学医学部第三内科

金沢大学 細胞移植学(血液・呼吸器内科学)教室【1】
(旧:金沢大学内科学第三教室)

 リンク:金沢大学内科学第三教室史:インデックス


<教室の沿革>

昭和44年3月の医学部教授会において、同43年4月より金沢大学に新設の内科学第三講座の主任教授に、当時九州大学助教授(第一内科教室)の服部絢一が選ばれ、同44年4月より開講した。

教室創立当時は、20の病床が旧病棟6階と東病棟とに散在していたが、昭和46年5月新病棟建設に伴い、37床に増床された。

研究棟も木造2階と別棟1階に散在し、旧研究棟がほどなく取り壊し予定のため、すべての研究施設は一時的な仮設に止められたが、現臨床研究棟1階がその後内部改装され、47年春に移転した。

昭和56年救急部の新設に伴い、臨床研究棟1階を救急部に明け渡すため、主な研究室・居室は旧3病棟1階に移転された。

病室は旧3病棟3階と6階を合わせて43床となった。

昭和58年、服部絢一の定年退官後、東京都立老人医学研究所室長であった松田保が第二代教授として着任した。

平成11年、松田保の退官に伴い、第三内科学教室の講師であった中尾眞二が第三代教授に昇進した。

宝町キャンパス再開発のため平成13年に旧中央診療棟4階、平成18年に元の臨床研究棟1階、平成24年に新臨床研究棟4階へと移転を重ねて、現在に至っている。

病棟は、平成15年の新病棟への移転の際、東病棟6階に配置され、病床数は48床となった。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2012年8月28日

金沢大学医学部統合問題:紫斑

金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。

臨床問題

42歳女性。全身皮膚の紫斑のため来院した。

現病歴:2週間前から右季肋骨部痛が出現するようになり、近医にて抗生剤を含む投薬を受けた。5日前から四肢、胸腹部などに、紫斑がみられるようになった。本朝から紫斑が広範囲となってきたため来院。

既往歴:特記すべきことなし。

現 症:意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧120/78 mmHg。黄疸あり。四肢、胸腹部に紫斑が広範囲にみられる。心音、呼吸音異常なし。腹部は平坦で、肝、脾、腎を触知しない。右季肋骨部痛あり。下肢に浮 腫を認めない。

検査所見:赤血球383万、Hb11.8g/dl、白血球12,700、血小板21.1万、PT 23.6秒(基準10〜14)、APTT 39.2秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン450 mg/dl(基準200〜400)、FDP 6μg/ml(基準10以下)、ALT 35単位、LDH 239単位(基準176〜353)、クレアチニン 0.7 mg/dl 、CRP 8.2 mg/dl(基準0.3以下)。PIVKA II陽性。腹部エコー検査で胆石が確認された。

本症例の検査所見として、正しいのはどれか。1つ選べ。



( )a 幼若血小板比率の低下

( )b プラスミノゲンの低下

( )c 血液凝固第VII因子の低下

( )d 血液凝固第VIII因子の低下

( )e アンチトロンビン活性の低下


【 予測正答率】 100%


【作問のねらい】

本症例は、胆石に抗生剤投与を行い、ビタミンK欠乏症になったものと考えられます。

PT延長、PIVKA II陽性よりビタミンK欠乏症の確定診断が可能です。 

第VII因子はビタミンK依存性蛋白ですが、プラスミノゲン、第VIII因子やアンチトロンビンは異なります。

幼若血小板比率は、ITPで上昇します。

【 正答】 c


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2012年8月27日

金沢大学医学部統合問題:習慣性流産、下肢腫脹

金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。

臨床問題

36歳女性。流産の既往が4回あり。現在内服中の薬物なし。

本朝の起床時に左下肢の腫脹に気がついた。疼痛による歩行困難もみられるようになったため来院した。

血液学的検査
白血球 9,200、赤血球 348万、Hb 12.8g/dl、血小板 8.6万、ALT 19単位、クレアチニン 0.7mg/dl、LDH 220単位(基準176〜353)
PT 11.7秒(基準10〜14)、APTT 69.2秒(基準対照32.2)、FDP 17μg/ml(基準10以下)、CRP 4.5 mg/gl(基準0.3以下)。

この患者にみられる検査所見として誤っているのはどれか。1つ選べ。



( )a 赤血球破砕像

( )b 抗カルジオリピン抗体陽性

( )c 梅毒検査の生物学的偽陽性(BFP)

( )d ループスアンチコアグラント陽性

( )e トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)上昇


【 予測正答率】 98 %


【作問のねらい】

本症例は、習慣性流産の既往を有する女性で、血小板数低下とAPTTの延長をきたしており、抗リン脂質抗体症候群が強く疑われます。

左下肢の腫脹、FDP 上昇は、深部静脈血栓症(DVT)を発症したためと考えられます。

DVTのため、FDP同様にDダイマーやTATは上昇しているものと考えられます。

抗リン脂 質抗体症候群と関連して、抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントは陽性であって良いです。

BFPの所見がみられることがあります。

赤血球破砕像は、TTPなどで見られます。


【 正答】
 a


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2012年8月26日

金沢大学医学部統合問題:出血性素因

金沢大学医学部卒業前の統合問題(血液)平成23年度:問題紹介です。

臨床問題

75歳の男性。抜歯時に止血困難をきたしたため、精査目的に来院した。

身体所見では、腹部に拍動性腫瘤を触知し、bruitを聴取した。また、抜歯部位からの出血が持続していた。

血液学的検査:白血球 6,800、赤血球 407万、Hb 13.6g/dl、血小板 5.6万、ALT 32単位(基準35以下)、クレアチニン 0.8mg/dl、LDH 235単位(基準115-245)

PT 16.3秒(基準10〜14)、APTT 35.8秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン68 mg/dl(基準200〜400)、FDP 62μg/ml(基準10以下)、CRP 0.2 mg/dl(基準0.3以下)、PIVKA-IIは陰性。

本症例における血液検査所見として誤ったものはどれか。 


( )a プラスミノゲンの低下

( )b プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)の上昇

( )c α2 プラスミンインヒビター(α2 PI)の上昇

( )d  Dダイマーの上昇

( )e プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の上昇


【 予測正答率】 95 %


【作問のねらい】

腹部大動脈瘤に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)(線溶亢進型DIC)の症例です。

DICでは、Dダイマー、F1+2、TAT、PICの上昇がみられます。プラスミノゲンやα2PIは低下します。

【 正答】 c


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2012年8月25日

鼻出血、APTT:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


6歳の男児。鼻出血が止まらないため、母親に連れられて来院した。

検査の結果、出血時間とAPTT延長し、PT正常であった。

原因はどれか。

A.    PAI-1
B.    血小板粘着能
C.    第II因子
D.    第V因子
E.    第IX因子
F.    第X因子
G.    第XI因子
H.    第XIII因子


(解説)

6歳の男児の出血ということで、血友病ではないかと思った医学生も多いかもしれませんが違います。

血友病では関節内出血や筋肉内出血が特徴的です。

本症例は、鼻出血という粘膜出血です。


出血時間(血小板数の低下、血小板機能の低下で延長)という血小板関連の検査も延長して、APTTという凝固関連の検査も延長する疾患といえば、von Willebrand病です。

von Willebrand病は、von Willebrand因子(vWF)が低下して出血症状をきたす先天性疾患です。

vWFが欠損しているために血小板粘着が障害され(血小板機能が低下し)、出血時間が延長します。

vWFは第VIII因子のキャリア蛋白でもあります。

vWFがないと第VIII因子が安定して血中に存在できないために、第VIII因子も低下します(血友病Aとは異なり産生はされていますが)。そのためAPTTが延長します。



(正答)

B

 

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2012年8月24日

出血、PT、APTT:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


36歳の男性。

抜歯を行ったが、治癒が遅延しており、また、出血が止まりにくいという。

検査の結果、出血時間、PT、APTT、線溶系はすべて正常だった。

異常があるのはどれか?

A.    PAI-1
B.    血小板粘着能
C.    第II因子
D.    第V因子
E.    第IX因子
F.    第X因子
G.    第XI因子
H.    第XIII因子


(解説)

PTAPTTが正常であるため、第VII、XII、XI、IX、VIII、X、V、II因子は正常です。

出血時間が正常であるため、血小板数、血小板機能にも異常はありません。

線溶系にも異常がないと書かれているので、先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症でもなありません(参考:PIC)。

なお、線溶阻止因子であるPAI-1(プラスミノゲンアクチベータインヒビター-1)の高値は、血栓傾向となります(参考:線溶関連マーカー)。

先天性第XIII因子欠損症では、創傷治癒不全、出血傾向をきたしますが、出血時間、PT、APTT、線溶系はすべて正常です。出血のみならず、「治癒が遅延」もキーワードになっています。


(正答)

H

 

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2012年8月23日

DICの病態:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。

 

DICの起こる機序を示す。血小板が入るのはどれか。

DIC病態2



(解説)

・    DICには必ず基礎疾患が存在します。敗血症、急性白血病、固形癌は、三大基礎疾患として知られています。

・    DICの本態は、全身性&持続性の著しい凝固活性化です。(1)は、凝固の活性化です。

・    著しい凝固活性化の結果、微小血栓が多発して、重要臓器において微小循環障害をきたすために、臓器障害をきたします。(2)は、微小血栓の多発です。

・    多発した微小血栓を溶解するために、線溶が活性化されます。(3)は線溶の活性化です。(5)は、血栓の溶解です。

・    微小血栓が多発するために、血小板(および凝固因子)が血栓の材料として消費されます(消費性凝固障害)。(4)は、血小板(および凝固因子)の消費亢進です。

・    DICにおける出血の原因は、消費性凝固障害のみならず、過剰な線溶活性化による止血血栓の溶解です。



(補足)

DICの病態

1.    基礎疾患の存在

2.    全身性&持続性の血管内における極端な凝固活性化状態
→微小血栓の多発

3.    二次線溶:ただし,その程度は症例により様々。線溶は、生じた血栓を溶解しようとする働きです。生体の防御反応の側面もありますが、過剰な線溶活性化は、出血症状の原因となります。

4.    消費性凝固障害(consumption coagulopathy):血小板や凝固因子の低下。

5.    出血症状、臓器症状 (DICの2大症状)。

 

(正答)



<リンク>

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2012年8月22日

DIC:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


DICの病態と関係がないのはどれか。

A.    血小板数の減少
B.    Hageman(ハーゲマン)因子の活性化
C.    FDPの上昇
D.    血小板粘着不良
E.    プラスミノゲンの活性化


(解説)

A. 血小板数低下は、DICにおける最も特徴的な所見です。

B. Hageman(ハーゲマン)因子は、第XII因子のことです。Hageman因子という用語は死語になりつつありますので、あまりこのような選択肢を使用して欲しくなかったところです。加えて、DICにおいて第XII因子活性化がどの程度意義を有しているかは議論の分かれるところです。不適切な選択肢と言わざるをえません。

C.FDP(およびDダイマー)の上昇は、血小板数低下とともにDICの最重要所見です。

D.血小板粘着障害は、von Willebrand病やBernard-Soulier症候群でみられます。

E. DICでは程度の差はあっても、必ず線溶活性化がみられます。t-PAによって、プラスミノゲンからプラスミンへの転換が進行しています。


(補足)

DIC診断用の所見

1.    基礎疾患の存在。
2.    出血症状&臓器症状の存在。
3.    血小板数の低下。
4.    血中FDP(Dダイマー)の上昇。
5.    血中フィブリノゲンの低下。
6.    プロトロンビン時間(PT)の延長

その他の重要所見

1. アンチトロンビン(AT)の低下。
2. プラスミノゲンの低下、α2プラスミンインヒビター(α2PI)の低下。
3. トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の上昇。
4. プラスミン-α2PI複合体(PIC) の上昇。


(正答)

D



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2012年8月21日

血友病:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。

 

血友病で起こりやすいのはどれか。

A.    点状出血
B.    鼻出血
C.    関節内出血
D.    臍出血
E.    頭蓋内出血

 

(解説)

A. 点状出血は、特発性血小板減少性紫斑病など血小板が原因の場合に見られやすいです。

B. 鼻出血は粘膜出血の一症状。von Willebrand病などでみられやすいです。

C. コアカリや国試では、血友病と関節内出血は1:1対応と思っていて良いでしょう。

D. 臍出血は、先天性フィブリノゲン欠損症や先天性第 XIII 因子欠損症に特徴的です。

E. 頭蓋内出血は、先天性凝固異常症や、線溶亢進型DICでみられることがあります。

 

 

(補足)

血友病 A & B

先天性出血性素因の中で最も高頻度です。重篤な出血傾向をきたします。発症頻度は、血友病A:血友病B = 5:1。どちらも臨床症状は全く同じです。

1)ともに伴性劣性遺伝の出血性疾患:患者は男性、母親がキャリアー。母方の男性血縁者に出血者がみられることが多いです。

2)関節内出血が特徴的で、繰り返すと関節拘縮をきたします。その他、筋肉内出血、皮下出血などの深部出血がみられます。

3)APTTの延長 (PT出血時間は正常)がみられます。

4)凝固因子活性:血友病Aでは第VIII因子の低下、血友病Bでは第IX因子の低下がみられます。


5)治療は出血時の第VIII(IX)因子濃縮製剤輸注。


(正答)

C



<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:54 | 医師国家試験・専門医試験対策 | トラックバック(0)

2012年8月20日

急性白血病とDIC:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


急性白血病においてDICを合併しやすいのはどれか。

A.    M1
B.    M2
C.    M3
D.    M4
E.    M5

 

(解説)

×A, B, D, E.  DICの合併はありますが、Cより頻度は少ないです。
○C. M3(APL:急性前骨髄球性白血病)では、DICは必発です。


(補足)

DICの代表的な基礎疾患
・    全科共通:敗血症(重症感染症)、固形癌、ショック
・    血液内科:急性白血病(特にAPL<M3>では必発)
・    産科:常位胎盤早期剥離,羊水塞栓
・    救急部:外傷(頭部外傷、骨折を含む)、熱傷
・    膠原病内科:膠原病(特に血管炎合併例)
・    血管外科:大動脈瘤
・    消化器内科:劇症肝炎、肝硬変、急性膵炎

特に、アンダーラインの3疾患は、DICの三大基礎疾患です。


(正答)

C

<リンク>

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月19日

抗血栓薬:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


抗血栓作用を示さないのはどれか。


A.    アスピリン
B.    プロスタグランディン
C.    ウロキナーゼ
D.    へパリン
E.    ビタミンK


(解説)

A. アスピリンは、代表的な抗血小板薬です。
B. プロスタグランジンI2(PGI2)は、血小板機能抑制作用や血管拡張作用を有します。
C. ウロキナーゼや組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)は、線溶療法治療薬です。
D. へパリンはアンチトロンビン(AT)の活性を高めます。
E. ビタミンKの拮抗薬であるワルファリンは、代表的な抗凝固薬であり抗血栓作用を示します。
ビタミンKそのものには、抗血栓作用はありません。


(補足)

抗血栓療法の種類と代表的薬物

1.    抗血小板療法:アスピリン、PGI2誘導体、チエノピリジン系薬剤など
2.    抗凝固療法:ワルファリン(経口薬)、へパリン(注射薬)など。
3.    線溶療法:t-PA、ウロキナーゼなど。

(参考)ビタミンK依存性凝固因子:VII、IX、X、II(半減期の短い順番)


(正答)  E


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月18日

血小板機能・凝固:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。


血小板機能や凝固に影響を与えないのはどれか。


A.    トロンボキサン
B.    組織プラスミノゲンアクチベータ
C.    アンチトロンビン
D.    NO
E.    プロスタグランジン


(解説)

A. トロンボキサンA2は、血小板機能亢進作用や血管収縮作用を有しています。
B. 組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)は、プラスミノゲンをプラスミンに転換することによって線溶作用を発揮します。
C. アンチトロンビンは、トロンビンなどの活性型凝固因子を抑制することで、凝固を抑制します。
D. 一酸化窒素(NO)は、血小板機能抑制作用や血管拡張作用を有します。
E. プロスタグランジンI2(PGI2)も、血小板機能抑制作用や血管拡張作用を有します。


(補足)

血管内皮には、トロンボモジュリン(TM)、へパリン様物質(アンチトロンビン、TFPIが結合)が存在して抗血栓的に作用しています。

また、PGI2やNOが産生され、血管拡張や血小板機能抑制を介して抗血栓的に作用しています。

形成されてしまった血栓に対しては、血管内皮からt-PAが産生されて血栓を溶解します(線溶)。


(正答)  B


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月17日

二次止血:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)(再現問題)の紹介と解説です。

 

止血のうち、二次止血に関与するのはどれか。

A.    血小板凝集
B.    血圧維持
C.    血液凝固
D.    血管収縮
E.    線維素溶解

 

(解説)

A. 血小板粘着と凝集は一次止血に関与します。
B. 血圧維持と止血は無関係です。
C. 血液凝固は、二次止血に関与します。
D. 血管収縮は止血と直接は関係ありません。
E. 線溶とも言います。過剰な血栓はプラスミンによって溶解します。


(補足)

血管が破綻しますと、まず「血小板粘着」が起きます。

さらに多くの血小板が集結して「血小板凝集」を生じます。その結果、血管破綻部位に「血小板血栓」が形成されます。ここまでが、一次止血です。

ついで、血小板を反応の場として多くの凝固因子が集結して、最終的にトロンビンが形成されますと、フィブリノゲンがフィブリンに転換して凝固が完結し「凝固血栓」が形成されます(強固な止血血栓が形成される)。これを二次止血と言います。

 

(答え)

C

 


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月16日

北陸PNH研究会のご案内:血栓症・肺高血圧症

第3回 北陸PNH研究会のご案内

日時:2012年9月15日(土) 15:00〜17:00
場所:ホテル金沢 エメラルド 4F



講演    「JPSG活動報告」 

座長  金沢医科大学 血液免疫内科学教授   岡崎俊朗 先生

演者   大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師 
日本PNH研究会事務局長   西村 純一 先生


症例報告

座長  石川県立中央病院 血液内科 診療部長         上田 幹夫 先生

症例1   金沢大学 血液・呼吸器内科         杉森 尚美  先生
症例2   富山大学 血液内科 助教       宮園 卓宣 先生


パネルディスカッション

テーマ「PNHに伴う血栓症・肺高血圧症」

司会・基調講演  金沢大学大学院医薬保健研究域医学系がん医科学専攻細胞移植学講座 
教授    中尾 眞二

ディスカッサント

NTT東日本関東病院 血液内科 顧問    浦部 晶夫 先生
筑波大学医学医療系臨床医学域 医療科学 教授    二宮 治彦 先生
大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学    西村 純一 先生
金沢大学附属病院・高密度無菌治療部准教授     朝倉 英策
 
主催:アレクシオン ファーマ


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12 | 研究会・セミナー案内

2012年8月15日

鼻血・出血時間・APTT:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

25歳の男性.

鼻血がよく出る.
出血時間とAPTTが延長している,PTは正常.


原因となるのはどれか.

a アンチトロンビン   
b 血小板粘着因子
c 第III因子
d 第VII因子
e 第VIII因子
f  第XI因子
g 第XII因子
h フィブリノーゲン
i  プラスミノーゲンアクチベーター
j  プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター


(概説)

出血時間という血小板関連検査と、APTTという凝固関検査の両者が延長しています。

PTは正常です。

症状は鼻出血という粘膜出血です。

von Willebrand病
と考えられます。

von Willebrand病は、von Willebrand因子(血小板粘着時に必要な因子)が先天性に欠損する先天性出血性素因です。

血友病は鑑別に挙りますが、出血時間が延長している点が合いません(血友病では出血時間は正常)。

また、血友病の出血部位は、関節内出血や筋肉内出血などの深部出血です。


(正答) 
b
(血小板粘着因子という紛らわしい選択肢ではなく、von Willebrand因子という選択肢にして欲しかったところです)


(補足)

<出血時間の延長>以下でみられます。特に、2)での検査意義が大きいです。

1)    血小板数の低下。
2)    血小板機能の低下。
3)    血管壁の脆弱性のあるとき。

参考:血友病とvon Willebrand病の比較


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月14日

出血&ワルファリン:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

70歳の男性.

鼻血がよく出る.出血時間は正常,APTTPTともに延長.

脳梗塞の既往があり,ワルファリンを服用している.

原因となるのはどれか.

a アンチトロンビン   
b 血小板粘着因子
c 第III因子
d 第VII因子
e 第VIII因子
f  第XI因子
g 第XII因子
h フィブリノーゲン
i  プラスミノーゲンアクチベーター
j  プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター


(概説)
「脳梗塞の既往があり,
ワルファリンを服用」より、心房細動があり過去に心原性脳塞栓を発症したために、ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)による血栓症の二次予防が行われているものと考えられます(参考:プラザキサ)。

ビタミンK欠乏状態にあるために、
PTAPTTは延長します(出血時間は正常)。

ビタミンK依存性凝固因子がどれか、という問題と同義と考えて良いでしょう。


(正答)
  d


(補足)

<ビタミンK依存性凝固因子>

半減期の短い順番に、第VII、IX、X、II因子(II因子はプロトロンビンとも言う)。
PTは半減期の短い第VII因子を反映しているために(APTTは反映していない)、ビタミンK欠乏状態では、APTTよりもPTの方が敏感に延長しやすいです。


<ビタミンK依存性凝固阻止因子>


プロテインC、プロテインS(2012年国家試験既出)。もう一つの凝固阻止因子であるアンチトロンビン(AT)はビタミンK依存性ではありません。


<備考>


骨代謝と関連したオステオカルシンもビタミンK依存性です。
骨粗鬆症の治療薬の一つにビタミンK製剤(商品名:グラケー)があります(参考:プラビックス)。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月13日

関節内出血:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 
7歳の男児.

膝関節に血腫があることに気づいた母親とともに来院した.

2日前の運動会の徒競走で転倒したという.

小さい頃から皮下出血がしばしばみられたという.母方の叔父にも同様のエピソードが小さい頃からあったという.

考えられる疾患は何か.

a 急性白血病
b 再生不良性貧血
c 溶血性貧血
d 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
e 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
f 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
g 
播種性血管内凝固症候群(DIC)
h 血小板無力症
i 血友病
j ビタミンK 欠乏症


(概説) 

男児の関節内出血です。

小さい頃から皮下出血があったという記載から、先天性出血性素因を疑わせます。

「母方の叔父にも同様のエピソード」より、母方から遺伝し、男性が発症しているものと考えられます(伴性劣性遺伝)。

国試やコアカリで関節内出血とくれば、まず血友病を考えて良いです。




(正答)  i




<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:08 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月12日

紫斑&血小板数減少:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 
27歳の男性.

上肢に紫斑を生じたため来院した.1週間前に風邪を引いたという.

血液所見:赤血球410万,Hb 11.7%,Ht 38%,白血球7,000,血小板1.4万,PT 11.2秒(基準11〜13),APTT 30.5秒(基準25〜40)

考えられる疾患は何か.

a 急性白血病
b 再生不良性貧血
c 溶血性貧血
d 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
e 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
f 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
g 
播種性血管内凝固症候群(DIC)
h 血小板無力症
i 血友病
j ビタミンK 欠乏症

(概説)

ウイルス感染症を契機に上肢の紫斑をきたしています。

血小板数が著減しているのが際立った所見です。
PTAPTTが正常である点も注目したいと思います。
軽度の貧血がみられますが、白血球数は正常です。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が最も考えやすいです。


(正答)  e


(補足)

特発性血小板減少性紫斑病
(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)


最近は「免疫性血小板減少症」と称することも多いです。



<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月11日

紫斑病:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 
20歳の女性.下肢に突然写真(省略)のような発疹ができた.数日前から腹痛を訴えている.血小板数は正常.
最も考えられるのはどれか.

a 副腎皮質ステロイドは効果があまりない.
b 数日前に肺炎球菌に感染している.
c 血小板に対する自己抗体が原因である.
d 硝子板で押すと消える.
e 服用していた薬剤が原因である.

 

(概説)

 下肢に左右対称性に特有の紫斑が出現しています。

この画像をみただけで、病名がでるようにしたいです。

腹痛を認めている点もヒントになっています。

血小板数は正常と書かれていますので、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)ではありません。



(項目別)

a 自然治癒も多く、副腎皮質ステロイドを使用することはほとんどありません。重症例では使用することもありますが有効です。

b 上気道感染が先行するのが特徴です。

c 血小板に対する自己抗体ができるのは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)です。

d 血管外に出血しているために硝子板で押しても消退しません。 

e 薬剤は無関係です。


(正答)  b


(補足)

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)


1.    血管性出血性素因。全身性の血管炎が本態で血管壁にIgAの沈着し、毛細血管の透過性が亢進します。小児に多いが成人にもあります。上気道感染が先行。

2.    皮膚出血斑(特に、下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血傾向。


3.    時に,腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴います。

4.    PT、APTT、出血時間、血小板数は正常です。

5.    時に、第XIII因子が低下(治療に第XIII因子製剤を使用することもあります。

6.    腎障害がなければ、予後は良好です。自然治癒も多いです



<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月10日

播種性血管内凝固症候群(DIC):CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

DICを起こしやすいのはどれか.

a 急性前骨髄球性白血病
b CML
c AML
d ALL
e 骨髄異形成症候群


 

(概説)

播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患として三大基礎疾患は、急性白血病、固形癌、敗血症です。

特に、急性前骨髄球性白血病(APL)では、DICは必発です。

その他には、産科領域では常位胎盤早期剥離、羊水塞栓、救急部領域では外傷(頭部外傷、骨折を含む)、熱傷、内科領域では膠原病(特に血管炎合併例)、血管外科領域では大動脈瘤、消化器内科領域では劇症肝炎、肝硬変、急性膵炎なども基礎疾患として有名です。



(項目別)
a APLではDICは必発です。なお、APLの分化誘導療法であるall-trans retinoic acid(ATRA)を投与しますと、しばしばDICも劇的に軽快します(ATRA症候群の場合を除く)。

b CMLの慢性期はDICをきたしません。ただし、blastic crisis(急性転化)するとDICを発症することがあります。

c DICを合併することがありますが、必発ではありません。

 
d DICを合併することがありますが、必発ではありません。

e DICの合併は例外的です。


(正答)  a(c、dも間違いではないので不適切問題ですが、最も有名なのはAPLです)


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月9日

血友病A:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

血友病Aの治療に用いられるのはどれか.

a 第V因子
b 第VII因子   
c 第VIII因子
d 第IX因子
e 第XIII因子

 

(概説)

血友病
A&Bは、伴性劣性遺伝の先天性出血性素因です。

血友病Aは第VIII因子、血友病Bは第IX因子の欠損です。関節内出血、筋肉内出血などの深部出血が特徴です。

血友病A&BともにAPTTは延長しますが、PT出血時間は正常です。

止血治療は、血友病Aは第VIII因子濃縮製剤、血友病Bは第IX因子濃縮製剤を用います。

ただし、特に血友病Aでは治療に伴い第VIII因子インヒビター(同種抗体)を生じることがあります(参考:クロスミキシング試験後天性血友病)。



(項目別)

×:a、b、d、e
○c 正しいです。血友病Aは、第VIII因子の先天性欠損です。



(正答)  c


(補足)

先天性出血性疾患の代表と言えば、血友病とならんで、von Willebrand病をあげることができます。

von Willebrand病は、多くの点で血友病と対照的です。遺伝形式は常染色体優性遺伝です。

von Willebrand因子(vWF)が低下していますが、vWFは第VIII因子のキャリア蛋白でもあるため第VIII因子活性も低下します。

APTT
出血時間は延長しますが、PTは正常です。粘膜出血(鼻出血など)が特徴的です。

止血治療は、vWFも含有した血漿由来第VIII因子濃縮製剤(コンファクトF)またはDDAVP(国試既出)を使用します(参考:止血剤の種類と疾患)。


<リンク>


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月8日

血小板粘着:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を記事にさせていただきます。

受験生による再現問題のため、実際の問題とは微妙に異なっている可能性がありますが、ご容赦いただければと思います。


血小板の血管への粘着に関わる因子はどれか.

a 第VIII因子
b アンチトロンビンIII
c プロスタグランジン
d von Willebrand(フォン・ビルブランド)因子
e トロンボキサン
 

(概説)

止血においては、まず血小板の粘着が起きます(その際にvon Wiilebrand因子が必要です)(図解:止血・血栓の機序)。

次に、血小板の凝集がみられます(その際にフィブリノゲンが必要です)。

血小板膜表面上で多くの凝固因子が集まり、最終的にトロンビンが形成されると、フィブリノゲンがフィブリンに転換されて止血が完了します。

血液凝固を抑制しているのが、アンチトロンビン(AT)プロテインC(PC)、プロテインS(PS)です。

ATは、トロンビンや活性型第X因子などの活性型凝固因子を抑制します。

活性型PCは、PSを補酵素として、FVa&FVIIIaを抑制します。

なお、PC、PSは、凝固因子FVII、IX、X、II(凝固因子は半減期の短い順に記載)同様に、ビタミンK依存性です(国試既出)。


(項目別)


a FVIIIは、FIXが血小板リン脂質に結合する際に必要です。FVIIIの先天性欠損症が血友病A、FIXの先天性欠損症が血友病Bです。

b アンチトロンビン(AT)は、トロンビンや活性型第X因子などの活性型凝固因子を抑制します。最近は、アンチトロンビンIII(ATIII)ではなく、単にアンチトロンビン(AT)と言うことの方が多いです。

c アラキドン酸から、各種プロスタグランジン(PG)が産生されます。例えば、PGI2(プロスタサイクリン)には、血小板機能抑制作用や血管拡張作用があります。

d 血小板粘着の際に必要です。

e トロンボキサンは、プロスタグランジン同様にアラキドン酸から形成されます。トロンボキサンA2には、血小板機能亢進作用や血管収縮作用があります。


(正答)
   d

<リンク>


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:59 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月7日

南砺市民病院の紹介(3):金沢大学第三内科関連病院

南砺市民病院の紹介(2):金沢大学第三内科関連病院 より続く。

 
南砺3


南砺市民病院の紹介(3)

超高齢化し、医師や看護師の少ない南砺市の住民を守るには、「地域包括医療・ケア」の構築と住民の理解と積極的な参加が必須条件と考え、富山大学総合診療部  山城教授の協力を得て、平成21年度「地域医療再生マイスター養成講座」を開始しました。

医師、看護師、リハビリ療法士等だけでなく、行政の保健師や介護・福祉職、婦人会や女性議会等一般の方々も含め約50名が5回の講座に参加し、南砺市の地域医療再生への方策を各々の立場で立案しました。

その結果、参加者が協力し、平成22年2月「南砺の地域医療を守り育てる会」設立へ発展しました。

平成24年度も第8〜10回の「南砺の地域医療を守り育てる会」や第4回「地域医療再生マイスター養成講座」が予定されています。

住民意識の変革と協力なく地域医療の再生は困難であり、南砺市の活動が全国のモデルとなるよう取り組んで行きます。


南砺市民病院は現在耐震化工事を行っています。

平成23年度で閉校となった隣接する井波高校グランドに西棟を新築し、その後古い1・2号棟を解体し、平成26年6月に新たな外来、手術、画像部門等の中央棟を完成させ、南砺市の医療を担う機能を整備します。

又南砺市は、平成24年度市立病院・診療所や訪問看護ステーションを管轄していた「医療局」に地域包括支援センター等介護福祉部門を取り込み「地域包括医療・ケア局」として再編しました。

この事は南砺市長の決断であり、平成25年10月に「介護保険推進全国サミットIN南砺」が開催される環境整備でもあります。

サミットを目標に井波高校校舎に保健、介護・福祉分野を集中化し、病院と共に南砺市の地域包括医療・ケアを担う体制整備を進めています。


終わりに、30年間診療を行い、地域医療は地域の状況と課題に向き合い日々努力する過程だと感じています。

100の地域に100の地域医療が存在すべきであり、過疎化、超高齢社会の南砺市で、当院は今後も医療・保健・福祉介護や行政、住民の方々と苦楽を共にして、幸せな生活(QOL)を支える地域包括医療・ケアを構築して行きます。

 

<リンク>


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07 | その他

2012年8月6日

南砺市民病院の紹介(2):金沢大学第三内科関連病院

南砺市民病院の紹介(1):金沢大学第三内科関連病院 より続く。

南砺2


南砺市民病院の紹介(2)

病院長に就任した平成19年当時、当院も医師不足に直面し、病院経営だけでなく医療継続にも強い危機感を持ち、医師や看護師等専門職の確保と育成を最優先事項と考えました。

専門医の派遣は大学病院に要請しますが、高齢社会に必要な「地域包括医療・ケア」構築を目指し「温かい心で確かな全人的医療」を提供できる総合医や家庭医の育成に取り組みました。

平成21年度、初期研修医2名を育成し、平成24年度は新たに2名の初期研修医を迎え、「NANTO家庭医養成プログラム」の3名の後期研修医を含め、常勤医は金沢大学第三内科からの5名等合計23名と確実に増加しています。

今後も各大学等の協力を頂き総合医・家庭医育成の拠点化に努め、専門医と共に高齢社会のQOLを支援できる病院を目指します。


高齢化の進む南砺市では在宅医療や看取りは大切な課題です。

在宅での人工呼吸器、IVH等医療必要度の高い場合や癌終末期等で看取りが推定される場合は病院が担当し、長期療養が見込まれる場合は開業医が担当する機能分担を行っています。

充実した南砺市訪問看護ステーション(看護師15名、リハビリ療法士10名)が開業医のグループ化や医療材料管理の支援を行い、在宅診療に参入する開業医が増加しました。

訪問看護を受けている在宅患者が急性増悪等で入院が必要な場合、南砺市民病院は確実に受け入れています。

南砺市民病院と南砺市医師会との良好な病診連携により、南砺市では重度な患者の在宅復帰が叶い、在宅での看取りも増加しています。

(続く)南砺市民病院の紹介(3):金沢大学第三内科関連病院  へ


<リンク>


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55 | その他

2012年8月5日

南砺市民病院の紹介(1):金沢大学第三内科関連病院

金沢大学第三内科が大変にお世話になっている「南砺市民病院」の紹介です。
当科大先輩の南砺市民病院院長の南眞司先生から原稿をいただきました。

これは、金沢大学第三内科同門会報の原稿ですが、ご了承をいただきましたので、ブログ記事でもアップさせていただきます。

南砺1


南砺市民病院の紹介(1)

当院は昭和28年3月、旧井波町の地に5診療科・病床数32床で「井波厚生病院」として設立されました。

その後、医師不足等から病院経営が困窮し、破滅寸前の状態まで追い込まれましたが、町や先輩諸氏の努力で改善が見られ、昭和45年現在地に6診療科・病床数50床で新築移転しました。

その後地域ニーズに対応し、昭和50年に80床、昭和56年に120床、平成4年に180床への増改築を行い、名称も「公立井波総合病院」としました。平成16年11月、4町4村合併で南砺市となり「南砺市民病院」と改称し今日に至っています。


南砺市は、平成24年度人口約55000名、高齢化率約31.5%と過疎化と超高齢化が顕著です。

このような状況下で、国保直診施設の当院は、設置目的の「地域包括医療・ケア」構築を目指し、保健活動から救急・急性期医療は勿論、在宅・終末期医療等の包括医療と共に、介護・福祉等と連携し地域包括ケア活動も行なっています。

21診療科、7:1看護体制、急性期144床・回復期リハビリ病棟36床の合計180床で、年間入院患者は約2500名、平均在院日数は16日前後です。

救急は24時間対応し、救急車搬送は年間約900台です。

医療機器は平成19年に64列CT等積極的に導入し、電子カルテも平成14年に運用開始しました。

地域連携として、平成21年度に南砺市立2病院4診療所で統一電子カルテを導入し、平成25年度に砺波広域圏の2次救急病院間で画像や電子カルテの連携も構築されます。

 

(続く)南砺 市民病院の紹介(2):金沢大学第三内科関連病院  へ

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52 | その他

2012年8月4日

血液内科学系統講義試験:血液学総論

平成24年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成24年7月17日 (火) 


今回は
、血液学総論です。

問2.    次の文の括弧の中に適切な言葉を入れよ。

1)移植目的の骨髄採取の際に用いられる抗凝固剤は(    )である。

2)好中球、網赤血球、血小板のうち血中にもっとも長くとどまるのは(    )である。

3)貧血の鑑別診断においてもっともよく用いられる赤血球指数は(    )である

4)急性リンパ球性白血病患者の骨髄においてペルオキシダーゼ染色陽性となるのは(    )である。

5)塗抹標本上で血球形態を観察する際には細胞がよく伸びていて(    )が重なっていないところを選んで観察する。

6)造血幹細胞は骨髄の(    )に存在し、支持細胞によって増殖調節を受けている。

7)幼若顆粒球や赤芽球が末梢血中に出現する現象を(    )と呼ぶ。

8)遊離ヘモグロビンは(    )と結合することにより水溶性となる。

9)赤芽球の中でもっとも幼若な細胞は(    )である。

10)骨髄塗抹標本の鉄染色で陽性となる細胞はマクロファージと(    )である.


(正答)

1)ヘパリン

2)血小板

3)MCV

4)顆粒球、幼若顆粒球、好中球などの何れでも良い

5)赤血球

6)ニッチ

7)類白血病反応

8)ハプトグロビン

9)前赤芽球

10)赤芽球

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月3日

血液内科学系統講義試験:貧血など

平成24年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成24年7月17日 (火) 


今回は
、貧血などです。


問3.   

18歳男性。

以前から貧血を指摘されていたが、無症状であったため放置していた。

学校健診で白血球数 3800/μL、赤血球数 375万/μL、Hb 10.0 g/dL、Ht 30.0%、血小板数 18万、網状赤血球数 8.5万/μLを指摘された。

血清鉄 90μg/dl、TIBC 266μg/dl、LDH 260 IU/l (基準値120-214)、総ビリルビン 1.7 mg/dl、ハプログロビン10 mg/dl以下であった。

母がタイ人である。


1)MCV値を冪数(10のx乗)表示の単位をつけて記載せよ(小数点以下四捨五入)。

2)疑われる疾患は何か?

 

(正答)

1)80x10-15L

2)サラセミナマイナー

 


問4.    鉄欠乏性貧血に合致しない所見はどれか。

(1)    血清ヘプシジンの上昇
(2)    バチ状指
(3)    菲薄赤血球の出現
(4)    静脈コマ音
(5)    血小板数の増加

a. (1) (2) b. (1) (5) c. (2) (3) d. (3) (4) e. (4) (5)


(正答)  a

 

問5.    血球形態に関する記載のうち正しいのはどれか。

(1)    赤血球の連銭形成は骨髄塗抹標本で評価する。
(2)    好塩基性斑点は鉛中毒でみられる。
(3)    アズール顆粒は単球でもみられる。
(4)    好中球の中毒顆粒は感染症でみられる。
(5)    日本人の血液塗抹標本で標的赤血球をみることはほとんどない。

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)

 

(正答)  d

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月2日

血液内科学系統講義試験:汎血球減少/MDS

平成24年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成24年7月17日 (火) 


今回は
汎血球減少/MDSなどです。

 

問6.    次の中で汎血球減少を来す疾患はどれか。

(1)    血球貪食症候群
(2)    発作性寒冷ヘモグロビン尿症
(3)    Diamond-Blackfan症候群
(4)    巨赤芽球性貧血
(5)    有毛細胞性白血病

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)


(正答)  c


問7.    治療法で正しい結びつきはどれか.

(1)    輸血後鉄過剰症―デフェラシロクス
(2)    自己免疫性溶血性貧血―副腎皮質ステロイド
(3)    寒冷凝集素症―摘脾
(4)    発作性夜間血色素尿症―リツキシマブ
(5)    赤芽球癆―シクロスポリン

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)


(正答)  b

 

問8.    骨髄異形成症候群(MDS)について正しいのはどれか。

(1)    二次性MDSが増えているのは環境の悪化が主な原因である。
(2)    第7染色体異常陽性例は予後良好である。
(3)    異常造血幹細胞によるクローン性疾患である。
(4)    脱メチル化薬(アザシチジン)によって生存期間の延長が得られる。
(5)    レナリドマイドは5q-症候群に対して著効を示す。

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)

 

(正答)  e

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22 | 医師国家試験・専門医試験対策

2012年8月1日

血液内科学系統講義試験:リンパ腫

平成24年度 血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成24年7月17日 (火) 


今回は
リンパ腫関連です。


問9.    ホジキンリンパ腫に関する記載の中で正しいのはどれか。

(1)    日本では悪性リンパ腫の中の10%程度である。
(2)    病変は非連続性に進展する。
(3)    非ホジキンリンパ腫に比べて治りにくい。
(4)    発熱や炎症反応を伴うことが多い。
(5)    若年者では結節硬化型(nodular sclerosis; NS)が多い。

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)


(正答)  c

 

 

問10.   

40歳、女性。

2週間前より出現した右頚部のリンパ腫腫大のため総合内科を受診した。

右側頚部に3cm大のリンパ節を1個触知する。弾性・軟で軽度の圧痛を伴う。
その他のリンパ節腫大は認めない。

プライマリーケアとして行うべき検査・処置はどれか。


(1)    リンパ節生検
(2)    耳鼻科受診
(3)    全身CT
(4)    可溶性インターロイキン2レセプターの測定
(5)    FDG-PET

a. (1) (2) (3) b. (1) (2) (5) c. (1) (4) (5) d. (2) (3) (4) e. (3) (4) (5)


(正答)
  d

 

問11.    EBウイルスが関与するリンパ系腫瘍はどれか。

(1)    慢性リンパ性白血病
(2)    免疫不全関連リンパ増殖性疾患
(3)    NK/T細胞リンパ腫
(4)    ホジキンリンパ腫
(5)    辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)

a. (1) (2) (3)  b. (1) (2) (5)  c. (1) (4) (5)  d. (2) (3) (4)  e. (3) (4) (5)

 

(正答)  d



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15 | 医師国家試験・専門医試験対策

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