金沢大学 血液内科・呼吸器内科(検索順位)2回目集計
ホームページ通称:金沢大学 血液内科・呼吸器内科
ホームページ正式名称:
金沢大学附属病院血液内科・呼吸器内科・細胞移植学講座(旧第三内科)
上記ホームページ(このブログは上記HPに併設)を、2008年9月11日にリニューアルオープンさせていただいて、今日で9月が終了します。
「血液内科」「呼吸器内科」「研修医募集」などの主要キーワードで、GoogleやYahoo検索でどのあたりに掲載されるか気になるところです。
9/22に紹介させていただいて、1週間以上が経過しましたので、 今日の時点でも記録を残しておきたいと思います。
「血液内科」での検索:Google 14位/1,420,000件(前回は18位/1,380,000件)
「血液内科 研修医募集」での検索:Google 4位/65,400件(前回は11位/61,100 件)
「呼吸器内科」での検索:Google 12位/884,000 件(前回は11位/831,000 件)
「呼吸器内科 研修医募集」での検索:Google 6位/66,900 件(前回は7位/65,000 件)
なかなか善戦しているのではないかと思います。前回の集計に比較して、分母が大きくなっている点にも注目していただければと思います。
「血液内科」または「呼吸器内科」の単独キーワードでも、検索2ページ以内に登場するのはとても嬉しい現象です。
是非、近い将来、検索1ページ目を目指したいと思っています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:02
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抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法):アスピリンとワーファリンの使い分け
抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法)について、表にして整理したものを作成しましたので、記事にしておきたいと思います。
抗血小板療法(アスピリンなど)は、血流が速い環境下で形成される血小板血栓に対して有効です。
代表的疾患は、心筋梗塞、脳梗塞(心房細動を除く)、末梢動脈血栓症になります。
その他には、冠動脈ステント留置後、網膜中心動脈(網膜分枝動脈)閉塞症、腸間膜動脈血栓症などにも使用されます。
抗凝固療法(ワルファリンなど)は、血流が遅い環境下で形成される凝固血栓に対して有効です。
代表的疾患は、深部静脈血栓症、肺塞栓、心房細動になります。
その他には、門脈血栓症、網膜中心静脈(網膜分枝静脈)閉塞症、腸間膜静脈血栓症、脳静脈洞血栓症などにも使用されます。
抗リン脂質抗体症候群(APS)では、胎盤に血栓が形成されることなどが原因となって、習慣性流産(不育症)をきたします。
胎盤の血流は。。。と考える以前に大きな問題があります。
抗血栓療法治療薬で、催奇形性の問題がないと断言できる薬剤は内服ではアスピリンのみ、注射薬ではヘパリンのみです。アスピリン内服(必要に応じてヘパリン皮下注の併用)で対応します。
なお、ワルファリンには催奇形性の副作用の問題がありますので、APSの習慣性流産対策に使用してはいけません。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:58
| 抗凝固療法
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喀血と吐血の鑑別
喀血と吐血の鑑別は、色調などにより通常は難しくないのですが、食道静脈瘤破裂やMallory-Weiss症候群による大量出血では鮮紅色になるため色調のみでは鑑別しにくいことになります。
喀血
1)咳とともに喀出
2)鮮紅色、泡沫あり
3)凝固しにくい
4)アルカリ性
5)食物残渣なし
6)呼吸困難または窒息感を伴う
7)呼吸器症状の既往があることも多い など
吐血
1)悪心をともなって吐出
2)暗黒色、泡沫なし
3)凝固しやすい
4)酸性
5)食物残渣あり
6)呼吸困難、窒息感なし
7)胃または肝障害の既往があることが多い など
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・便潜血(便ヒトヘモグロビン)
・全身性出血性素因のスクリーニング検査
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:57
| 医学全般
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全身性出血性素因の最初の検査
全身性出血性素因にある症例では、凝血学的検査を行う必要があります。
初めから、全ての検査を行うのは、非効率かつ経費がかかってしまいますので、何段階かに分けて検査を行うのが現実的です。
まず行うべきスクリーニング検査
1)血算(血小板数を含む)
2)プロトロンビン時間(PT)
3)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
4)フィブリノゲン
5)FDP
6)出血時間(必要に応じて、初めから血小板凝集能を行うこともあり)
理論的には、上記の検査によりほとんどの全身性出血性素因をスクリーニングしていることになります。ただし、スクリーニングされない出血性素因が2疾患あります。とてもまれな疾患です。
a)先天性第XIII因子欠損症:PT&APTTのいずれでもスクリーニングされません。
b)先天性α2PI欠損症:とても稀な疾患です。管理人は、この疾患の経験はありません。
ですから、第一段階の検査としては、1)〜6)を行うのが適当です。
ただし、注意が必要です。軽症の全身性出血性素因では、1)〜6)が正常になって見落とされることがあります。
たとえば、重症ではないvon Willebrand病では、APTTや出血時間が正常になってしまうことがあります。
ですから、幼少時からの鼻出血のように、von Willebrand病が疑われるような場合には、最初からvon Willebrand因子を測定する方が良いことがあります。
トランサミン(インデックスページ)へ
【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:00
| 出血性疾患
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ワーファリン:経口抗凝固薬、PT-INR
ワルファリン(経口抗凝固薬)
ワルファリン(商品名:ワーファリン)は、これまでは唯一内服可能な抗凝固薬でした(現在は、新規経口抗凝固薬がでましたので事情が変わっています)。ワルファリンはビタミンKの拮抗薬で、活性のあるビタミンK依存性凝固因子の産生を抑制することで抗凝固活性を発揮します。
ビタミンKのKの由来は、オランダ語のKoagulation(英語ではCoagulation)の頭文字に由来しています。文字通り凝固のためのビタミンと歴史的にも認識されてきました。また脂溶性ビタミンであり、その吸収には胆汁の存在を必要とします。
ビタミンK依存性凝固因子として、半減期の短い順番に第VII因子、第IX因子、第X因子、第II因子(プロトロンビン)の4つの凝固因子が知られています。これらの凝固因子は肝での生合成の最終段階で、ビタミンKの存在下で分子中のグルタミン酸のγ-カルボキシル化を生じ、このことによりカルシウム結合能を獲得し、血小板のリン脂質と結合できるようになります。
ワルファリン投与下やビタミンK欠乏状態では、グルタミン酸のγ-カルボキシル化が障害されて、PIVKA(protein induced by vitamin K absence)が出現します。
PIVKAはカルシウム結合が障害されており、凝固活性を有さず出血傾向をきたします。ただし、適切なモニタリングの下にワルファリンによって適度なビタミンK欠乏状態にすれば、あまり出血の副作用をきたすことなく血栓症の発症を抑制することが可能です。
ワルファリンは、心原性脳塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓などの凝固血栓の病態に対して使用されます。ワルファリンを適切に使用することでこれらの血栓症の発症を有意に抑制することが可能です。特に、心房細動は高頻度にみられる不整脈であり、ワルファリン内服を必要とする患者数はかなり多いはです。
しかし、ワルファリンはPT-INR(古くはトロンボテスト)による適切なコントロールを行わないと出血の副作用が懸念されること、頻回の血液検査の煩雑さ、他の薬物との併用により効果が増強したり減弱したりすること、納豆などビタミンKの豊富な食物を摂取できないことなどの理由により、ワルファリン治療がなされるべきでありながらアスピリンなど他剤で代用されてきた事例が少なくありませんでした(ワルファリンを用いるべき病態に対してアスピリンを用いても十分な効果が期待できないことが知られているにもかかわらずです)。
比較的最近、複数スポーツ監督者の心原性脳塞栓症の報道が多くあったことなどに伴ってか、この疾患に対する国民の関心が格段に高まっています。
ワルファリンが用いられるべき患者に対して本薬の処方件数が増加するのは国民全体の健康に貢献すると考えられますが、出血の副作用は最小限に抑制することが重要です。
現在、院内でPT-INRの即日検査が可能な医療機関は中規模以上の病院と考えられますが、小規模病院や開業医でも簡便にPT-INRのチェックが可能な機器の登場は、本薬が適正に内服される上でも極めて意義が高いです。
この点、約1分で結果を出せるPT-INR簡易・迅速測定装置 「コアグチェック XS」の存在はありがたいです。
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・ 血液凝固検査入門:インデックスページ ← クリック(全記事、分かり易く図解)
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・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
・リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:28
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スロンノン(アルガトロバン):合成抗トロンビン薬
アルガトロバン(合成抗トロンビン薬)
アルガトロバン(商品名:スロンノンなど)は、アンチトロンビン(AT)非依存性の合成抗トロンビン薬です。
保険適応上、脳血栓症急性期(ラクナ梗塞&心原性脳塞栓を除く)、慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症、バージャー病)、血液体外循環時(先天性AT欠損症や、AT活性が低下した患者において)における使用が認可されていました。
比較的最近の話題として、「ヘパリン起因性血小板減少症(heparin induced thrombocytopenia:HIT)II型における血栓症の発症抑制」としても保険収載された点があげられます。
HITに対しては、スロンノン 0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し持続投与するとされているため、例えば体重60kgの人では60mg/24時間で投与することになります。
本剤は肝代謝の薬剤であり、肝不全症例に対して投与する場合には血中濃度が著しく上昇(PT&APTTが著しく延長)することが知られており注意が必要です(減量あるいは他薬を考慮)。
実は、アルガトロバンは播種性血管内凝固症候群(DIC)に対する臨床試験が過去に行われていますが、出血の副作用が高頻度に見られたために断念された歴史があります。
当時のDICの臨床試験で用いられていたアルガトロバンの用量は、30mg/24時間程度ではなかったかと記憶しています。
DICとHITは、後天性血栓性素因である点で共通していますが、血小板数が低下する点でも共通しています。
HITに対してアルガトロバンを用いる場合には、出血の副作用に対する十分な注意が必要と考えられmす。
管理人の個人的な見解ですが、日本人のHITに対しては、欧米人に対する用量よりも、ずっと少ない量で良いのではないかと考えています(たとえば、体重60kgの人では、20mg/24時間)。
あくまでも個人的見解ということでお許しいただければと思います。
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・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
・抗Xa vs. 抗トロンビン
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・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:02
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プロタミン:ヘパリンの中和
プロタミン(ヘパリンの中和薬)
プロタミンはヘパリンの中和薬として良く知られています。
推薦図書:「臨床に直結する血栓止血学」
未分画ヘパリン(標準ヘパリン)に対する中和効果は充分ですが、低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサンなど)に対する中和効果は不十分で、6割程度の中和効果とされています。また、フォンダパリヌクス(アリクストラ)に対する中和効果はありません。
プロタミンの作用機序は、プロタミンがヘパリンとイオン結合し、抗凝固活性を欠く安定複合体を形成するというものです。なお、ヘパリンが存在しない時には血小板やフィブリノゲンなどのたん白質と相互作用しそれ自体で抗凝固活性を示します。ですから、ヘパリンが投与されていない状態で、プロタミンが投与されてしまいますと、プロタミンは抗凝固薬になってしまします。
プロタミンの副作用出現は低頻度ではあるものの、ショック、血圧降下、肺高血圧症、呼吸困難、徐脈、一過性皮膚潮紅温感、悪心、嘔吐などが知られています。
ただし、管理人らは上記の副作用よりも、ヘパリン類が投与されている患者のほとんどが明らかな凝固活性化状態にあることを留意すべきと考えています。安易なプロタミンの投与は血栓症を誘発する可能性があるのです。多少の出血症状によっても致命症になることは例外的ですが、血栓形成はわずかな量であっても致命症になることがあります。
蛇足ながら、管理人は、20数年の臨床経験のなかでプロタミン使用はごく少数回のみです。心臓血管領域では術後のヘパリン中和にプロタミンは不可欠だと聞いていますが、ヘパリンの中和が悪影響を及ぼす場合もあることに留意すべきだと思っています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11
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【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策
金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)
(設 問)
抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載として、正しいものはどれか。
a. APTT、PTともに正常であれば、APSを否定できる。
b. 抗カルジオリピン抗体が陰性であれば、APSを否定できる。
c. 静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。
d. 習慣性流産の若年女性に対しては、ワルファリンによる抗凝固療法を行う。
e. 深部静脈血栓症の若年男性に対しては、アスピリンによる抗血小板療法を行う。
(ポイント)
a. APSは、血栓症、不育症(習慣性流産)といった臨床症状があり、抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントのいずれか一方以上が陽性であれば診断される。
APTTが延長することがあることは有名だが、必ずしも延長することと診断は関係ない。
b. 抗カルジオリピン抗体が陰性であっても、ループスアンチコアグラントが陽性であれば、APSと診断されうる。
c. APSでは、静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。動脈血栓症では、脳梗塞が最も多い。
d. ワルファリンには催奇形性の副作用があるため、妊娠希望の女性には使用できない。
e. 深部静脈血栓症対しては、アスピリンによる抗血小板療法よりも、ワルファリンによる抗凝固療法の方が有効である。
(内科専門医試験対策)
ビタミンK依存性蛋白:VII、IX、X、II、プロテインC、プロテインS、オステオカルシンなど。
(血液専門医試験対策)
APTTや、カオリン凝固時間のクロスミキシングテスト(混合試験)の、成績を解釈できるようにしておきたい。
凝固因子欠乏パターン vs. インヒビターパターン。
(答)C
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10
| 医師国家試験・専門医試験対策
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【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策
金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)
下記の疾患のうち出血傾向、血栓傾向の両者がみられる疾患・病態はどれか。
a. 高Lp(a)血症
b. 電撃性紫斑病
c. 先天性プロテインC(PC)欠損症
d. 先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症
e. 高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症
(ポイント)
a. 高Lp(a)血症:動脈血栓症、静脈血栓症の危険因子。参考までに、高ホモシステイン血症も、動脈血栓症、静脈血栓症の危険因子。
b. 電撃性紫斑病:プロテインC活性が著減(0%に近い)した状態での、DICに類似した高度の血栓傾向。皮膚の微小循環レベルで血栓が多発する。血流障害に伴って、血管外に血液がリークし、二次的に紫斑をきたす。
先天性プロテインC(PC)欠損症のホモ接合体では生後間もなく、電撃性紫斑病を発症する。
あるいは、先天性プロテインC(PC)欠損症のヘテロ接合体(PC活性は約50%)では、ワルファリンを内服すると、ビタミンK依存性蛋白であるPCがさらに低下して0%に近づくため、電撃性紫斑病を発症する。
c. 先天性プロテインC(PC)欠損症:しばしば若い時期から静脈血栓症を発症する。
d. 先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症:線溶活性化が高まり出血傾向をきたす。
e. 高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症:線溶が抑制され血栓傾向をきたす。
(内科専門医試験対策)
PAIは、中性脂肪、インスリン濃度、肥満度と正相関する。最近話題のメタボリック症候群では、PAI活性が高まり線溶抑制状態となるため、血栓傾向となる。
(血液専門医試験対策)
出血傾向、血栓傾向の両者がみられる疾患・病態の治療は困難なことが多い。以下は、出血傾向、血栓傾向の両者がみられる。
1)DIC
2)TTP、HUS、HELLP
3)異常フィブリノゲン血症
4)ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併
5)骨髄増殖性疾患のなかの、ET、PV
6)ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
(答)b
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10
| 医師国家試験・専門医試験対策
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【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策
金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)
下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が正しいのはどれか。
出血時間 PT APTT Fbg HPT
a. 血友病 A 延長 正常 延長 正常 正常
b. Glanzmann病 正常 正常 延長 正常 正常
c. 先天性第XII因子欠損症 正常 延長 正常 正常 正常
d. ワルファリン内服 正常 延長 延長 正常 正常
e. Bernard-Soulier症候群 延長 正常 正常 正常 正常
PT:プロトロンビン時間、APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間、Fbg:フィブリノゲン、HPT:ヘパプラスチンテスト
(ポイント)
a. 血友病 A:先天性第VIII因子欠損症。関節内出血などの深部出血を特徴とする。伴性劣性遺伝。APTTは延長するが、出血時間、PTは正常。
b. Glanzmann病:血小板無力症と同義。血小板膜糖GPIIb/IIIaの先天性欠損症。血小板機能(血小板凝集)が低下している。血小板凝集能で、ADPの一次凝集が欠如する。PT&APTTは正常。出血時間は延長する。
c. 先天性第XII因子欠損症:第XII因子は、内因系凝固活性化機序の最初の凝固因子。
d. ワルファリン:ワルファリンは、ビタミンKの拮抗薬。深部静脈血栓症や肺塞栓などの静脈血栓症の発症抑制、心原性脳塞栓の発症抑制などに用いられる。PT&APTT(特にPT)が延長する。HPTは、ビタミンK依存性凝固因子の中でも、VII、X、II因子を総合的に評価する。ワルファリン内服により、HPTが低下するが、肝不全になる訳ではない。
e. Bernard-Soulier症候群:血小板膜糖タンパクGPIb/IXの先天性欠損症。血小板の粘着障害を起こす。
(内科専門医試験対策)
内科専門医試験でも、PT、APTT、Fbg、FDP、Dダイマー、出血時間などの基本的検査と疾患/病態との関係は出題が予想される。
その他、アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS、TAT、PICなどの基本的検査の意義は理解しておく必要がある。
(血液専門医試験対策)
Bernard-Soulier症候群では、巨大血小板が出現することは、必ず記憶しておきたい。
巨大血小板が出現する疾患
1)Bernard-Soulier症候群
2)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
3)May-Hegglin異常症
(答)e
(補足)
この形式の凝固問題は、金沢大学では必出!
絶対に落とさないようにしよう。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:01
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第6回北陸循環障害研究会
第6回北陸循環障害研究会
日時:平成20年11月5日(水)18:30 〜
場所:ホテル日航金沢 金沢市本町2-15-1 (JR金沢駅前)
【特別講演】
「大血管末梢血管循環不全に対する外科治療」
岐阜大学大学院医学系研究科高度先進外科分野
教授 竹村 博文 先生
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研修医の皆さん、学生の皆さんの御参加を歓迎しています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:15
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研修医の歓迎会
平成20年9月25日(木)午後7:30〜
当科への研修医の歓迎会が開催されました。
BSLの学生さんたちにも合流していただいています。
遅めの時間での開始だったため、集合写真が撮れませんでした(写真を合成して集合していただきました)。1〜2割の方しか写っていないと思います。写らなかった方には、お詫びいたします。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 23:30
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【金沢大学統合卒業試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策
金沢大学統合卒業試験過去問題(2007年)
(設 問)
36歳女性。全身皮膚の点状出血のため来院した。
現病歴:1週間前から感冒様症状、食欲低下が出現するようになり、近医にて抗生剤を含む投薬を受けた。3日前から四肢、胸腹部などに、点状出血がみられるようになった。本朝から鼻出血が出現し、止血しないため来院。
既往歴:特記すべきことなし。
現 症:意識は清明。身長158cm、体重56kg。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧122/82 mmHg。鼻出血、歯肉出血あり。四肢、胸腹部に点状出血が多数みられる。心音、呼吸音異常なし。腹部は平坦で、肝、脾、腎を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
検査所見:赤血球340万、Hb 10.5g/dl、白血球6,700、血小板1.2万、PT 18.4秒(基準10〜14)、APTT 39.6秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン320 mg/dl(基準200〜400)、FDP 7μg/ml(基準10以下)、ALT 28単位、LDH 284単位(基準176〜353)、クレアチニン 0.6 mg/dl 、CRP 0.1 mg/dl(基準0.3以下)。ハプトグロビン正常。PIVKA II陽性。
本症例の治療として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
予測正答率 85%
( )a 血漿交換
( )b ビタミンK点滴静注
( )c ピロリ菌の除菌療法
( )d 免疫グロブリン製剤投与
( )e 副腎皮質ステロイド薬投与
(ポイント)
1)本症例は、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が疑われる。
2)また、PT延長、PIVKA II陽性よりビタミンK欠乏症を合併しているものと考えられる。
3)ハプトグロビン正常、LDH正常より溶血の所見はなく、特発性血小板減少性紫斑病(TTP)は考えられない。血漿交換はTTPの治療である。
4)ビタミンK点滴静注は、合併しているビタミンK欠乏症の治療として適している。
5)c、d、eは、いずれもITPの治療として適している。なお、選択肢cであるが、ITPに対する除菌療法は急性期ITPに対する治療としてではなく、慢性期ITPに対する治療として行われることが多いことをふまえて、直前に他の選択肢に差し替えました(何に差し替えたかは記憶していません、すいません)。ただし実際の臨床の場では、急性期ITPであっても、除菌療法が行われることは少なくないです。
(内科専門医試験対策)
ITP治療の第一選択と言えば、一昔前は、ステロイド療法、第二選択は摘脾術でした。しかし、現在は、その考え方に変化が見られてきています。
ピロリ菌陽性の患者様では、除菌療法をまず考えます。わずか1週間の除菌治療で、しかも副作用はほとんどありません。ステロイドは長期間服用が必要で、多くの副作用がみられるのとは対照的です。
除菌に成功しますと、約半数の患者様で血小板数の回復が見られますので、ステロイドによる治療効果と遜色ありません。ITPに対する除菌療法は素晴らしい治療法です。
(血液専門医試験対策)
1)妊娠時のITP管理は問われやすいものと推測される。臨床的にも問題となりやすい。
2)ITPの(20〜)40%に抗リン脂質抗体が出現することを理解しておく必要がある。ITPに対して摘脾術を行うと血小板数回復に伴って、血栓症を誘発することがある。
3)そのため、ITP症例では、必ずループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体をチェックしておく必要がある。
(答)a
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 10:17
| 医師国家試験・専門医試験対策
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フラグミン(ダルテパリン)、クレキサン(エノキサパリン)とは:低分子ヘパリン
ダルテパリン & エノキサパリン(ともに、低分子ヘパリン)
推薦図書:「臨床に直結する血栓止血学」へパリン類などの抗凝固療法に関しても詳述されています。
日本で使用可能な低分子ヘパリン(low molecular weight heparin: LMWH)は、長らくダルテパリン(商品名:フラグミンなど)1剤のみでしたが、最近になり整形外科術後の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)予防目的にエノキサパリン(商品名:クレキサン)の使用が可能になりました。
アリクストラとともにクレキサンが、治療薬としてではなく予防薬として保険収載がなされたというのは、日本における保険制度の上で、まさに画期的な出来事ではないかと考えられます。
低分子ヘパリン(LMWH)の特徴としては、抗Xa/トロンビン活性比が未分画ヘパリンよりも高く(相対的にトロンビンを阻止しにくい)、血小板に対する影響が少なく出血の副作用が少ないことがあげられます。
また、未分画ヘパリンと異なり非特異的に血漿中蛋白(histidime-rich glycoprotein, fibronectin, vitronectin,血小板第4因子など)とほとんど結合しないために、ヘパリン不応例のような問題はあまりなく血中濃度も安定しやすいです。
また、未分画へパリンでみられるヘパリン依存性血小板減少症(HIT)や骨粗鬆症といった副作用もみられにくいです。
血中半減期は標準ヘパリンより若干長いですが、フラグミンでは24時間持続点滴による投与が基本です。クレキサンでは皮下注投与が行われています。
LMWHのモニタリングをどうするかについては、国際血栓止血学会雑誌において何回も誌上討論が行われたくらいであり一定の見解はありませんが、低体重の症例や腎機能障害の症例においては減量して使用すべきと言う点は、ほぼ共通した認識です。
関連記事(リンクしています)
DIC病型分類に関する欧文論文:Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2014, 2: 20.
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
・リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:55
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アリクストラ(フォンダパリヌクス)とは:ヘパリン類
Fondaparinux(フォンダパリヌクス)
Fondaparinux(商品名:アリクストラ)は、ヘパリンの最小有効単位であるペンタサッカライドの合成化合物であり(分子量1,728)、アンチトロンビン依存性にXa活性を発輝します。
ダナパロイドナトリウム(商品名:オルガラン)以上に、抗Xa/トロンビン比は高く、極めて特異的にXaを抑制します。また、大部分は腎にて代謝されます。
本薬は、股関節または膝関節手術後の深部静脈血栓症(DVT)発症予防としての有効性が確認されています 。また最近、腹部外科手術後のDVT予防としても保険が認可されました。
予防治療がほとんど認められていない日本の保険医療の場において、アリクストラが(クレキサンとともに)DVTの予防薬として認可されたのは、まさに画期的なできごとです。
1日1回の皮下注投与でよいため(低分子ヘパリン LMWHは1日2回皮下注が必要)、利便性も評価されています。
ただし、半減期が長いことや、ヘパリンに対するプロタミンのような中和薬がないことは、本薬を使用する際には注意すべきです。
出血の副作用が少ないとは言っても、万一出血の副作用が出現してしまった場合には対応に苦慮する懸念があります。
特に、術直後の投与開始、高齢者、低体重者、腎機能低下例、消化性潰瘍の既往や消化管出血の可能性が高い患者、ワルファリン・抗血小板薬・非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)との併用においては注意が必要です。
整形外科疾患では痛みを伴うことも多く、NSAIDの使用例も多いと予想されますが、NSAIDによる胃潰瘍の副作用に対しては充分な配慮が必要です(胃潰瘍を発症していると本薬によって大量の消化管内出血を誘発する可能性があります)。
現在日本では、予防目的としてアリクストラ1.5mgと、2.5mgの2種類の規格単位の薬剤を使用可能ですが、出血の副作用を嫌ってか最近は1.5mg規格単位の使用頻度が増加しているようです。
関連記事(リンクしています)
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:22
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第10回 日本咳嗽研究会(金沢)
第10回 日本咳嗽研究会
日時 : 2008年11月1日(土) 15:00〜19:00
場所 : 金沢市アートホール
〒920-0853 金沢市本町2-15-1(ポルテ金沢6階)
TEL:076-224-1660
1. シンポジウム(pro & con)
「慢性咳嗽の診断治療は的確に行われているか」
2. Chronic cough : up to date 2008
「基礎と臨床」
当番世話人は、当科の石川県済生会金沢病院 呼吸器内科 小川晴彦先生生です。
日本咳嗽研究会
第一回 1999.10.23 東京 経団連会館 藤村政樹(金沢大学)
第二回 2000.10.7 大阪 ホテルグランヴィア大阪 新実彰男(京都大学)
第三回 2001.10.6 名古屋 エーザイ東海サポートセンター 内藤健晴
(藤田保健衛生大学)
第四回 2002.10.5 東京 エーザイ別館 内田義之(筑波大学)
第五回 2003.10.4 新潟 ホテル日航新潟 藤森勝也 (新潟県立加茂病院)
第六回 2004.10.9 札幌 アートホテルズ札幌 田中裕士(札幌医科大学)
第七回 2005.10.8 秋田 さとみ温泉 塩谷隆信(秋田大学)
第八回 2006.10.14 神戸 新神戸オリエンタルホテル 石田春彦
(前 神戸大学、谷口耳鼻咽喉科)
第九回 2007.11.10 大阪 大阪国際会議場 東田有智(近畿大学)
第十回 2008.11.1 金沢市アートホール 小川晴彦(石川県済生会金沢病院)
プログラム
<開会の挨拶にかえて> 15:00〜15:10
座長 石川県済生会金沢病院 呼吸器内科 小川 晴彦 先生
— 日本咳嗽研究会10年の歩み —
日本咳嗽研究会代表世話人 金沢大学付属病院呼吸器内科 藤村 政樹 先生
<一般演題> 15:10〜16:10(発表5分、討論5分)
座長 石川県立中央病院呼吸器内科 西 耕一 先生
1)「咳喘息患者に対する抗ロイコトリエン薬と長時間作用型β2刺激薬の効果比較」
東京女子医科大学第一内科 横堀 直子 先生
2)「マイコプラズマ感染症による咳嗽が遷延する機序解明へのアプローチ —遷延咳嗽抑制に有用な鎮咳薬の検討— 」
聖マリアンナ医科大学呼吸器・感染症内科 渡邉 直人 先生
3)「咳喘息患者のimpulse oscillometry (IOS) 所見と健康関連QOL:
軽症喘息患者との比較検討」
京都大学 医学部 呼吸器内科 竹田 知史 先生
座長 神戸大学大学院医学系研究科呼吸器内科学 西村 善博 先生
4)「慢性咳嗽患者および健常人におけるメサコリン誘発咳嗽の検討」
金沢大学附属病院 呼吸器内科 大倉徳幸 先生
5) 「慢性咳嗽で発症したブロンコレアの一例」
半蔵門病院アレルギー呼吸器内科 小柳 久美子 先生
6) 「通年性アレルギー性鼻炎患者の後鼻漏と咳嗽」
藤田保健衛生大学 医学部 耳鼻咽喉科学教室 長島圭士郎 先生
〈休 憩〉 16:10〜16:20
<Annual Review; Chronic cough up to date 2008> 16:20〜17:00
座長 熊本大学大学院医学薬学研究部環境分子保健学分野 高濱 和夫 先生
基礎・・・・・ 星薬科大学薬学部 薬物治療学 亀井 淳三 先生
座長 三重大学医学部附属病院呼吸器内科 田口 修 先生
臨床・・・・・ 秋田大学医学部附属病院 保健学科 塩谷 隆信 先生
〈休 憩〉 17:00〜17:10
<PRO&CON> 17:10〜18:50
テーマ 慢性咳嗽の診断治療は的確に行われているか
1)ACは慢性咳嗽の診断治療に重要な疾患概念か?
座長 新潟県立柿崎病院 呼吸器内科 藤森 勝也 先生
PRO・・・富山市民病院 呼吸器内科 石浦 嘉久 先生
CON・・・京都大学医学部附属病院 呼吸器内科 新実 彰男 先生
2)PNDSは慢性咳嗽の診断治療に重要な疾患概念か?
座長 藤田保健衛生大学 耳鼻咽喉科・気管食道科 内藤 健晴 先生
PRO・・・兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科 阪本 浩一 先生
CON・・・福井大学 耳鼻咽喉科 山田 武千代 先生
<閉会の挨拶にかえて> 18:50〜19:00
座長 国立病院機構相模原病院副院長 臨床研究センター長 秋山 一男先生
—アレルギー性気道疾患における環境真菌の重要性—
第10回日本咳嗽研究会当番世話人 石川県済生会金沢病院 呼吸器内科 小川晴彦 先生
◆ 会終了後情報交換会を準備いたしております。(会場:ホテル日航金沢4階 鶴の間)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 10:01
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オルガラン(ダナパロイドナトリウム)とは:ヘパリン類
Danaparoid sodium(ダナパロイドナトリウム)
ダナパロイドナトリウム(商品名:オルガラン)は低分子量ヘパリノイドであり(分子量5,500)以下の成分から構成されています。
ヘパラン硫酸84%、デルマタン硫酸12%、コンドロイチン硫酸4%(ヘパラン硫酸が主成分である)。
抗Xa/トロンビン活性比が非常に高く(22倍:標準ヘパリンは1倍)、血中半減期が相当長い(20時間:標準ヘパリンは0.5〜1時間)ことが特徴です。
標準ヘパリン、低分子ヘパリン(low molecular weight heparin:LMWH)(商品名:フラグミンなど)同様に、アンチトロンビン(AT)依存性に抗凝固活性を発揮し、主としてXaを阻止します。
日本における保険適応は、播種性血管内凝固症候群(DIC)のみですが、欧州においてはヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、深部静脈血栓症(DVT)に対して頻用され好成績が報告されています。
血中半減期が長い特徴を生かせば、24時間持続点滴で患者を拘束したくない慢性DIC症例、術後早期離床を促したい患者における術後DVT発症予防などで最も有用性を発揮できるものと考えられます。
注意点:
1)腎代謝のため、腎機能低下症例では用量を減じます。また、抗Xa/トロンビン活性比が高いと出血の副作用が少ないと言われてはいますが、万一出血した場合には半減期が長いことがデメリットになることもありえます。
2)管理者らは、腹部大動脈瘤や肝巨大血管腫に合併した線溶亢進型DIC(慢性に経過)に対して、ダナパロイドナトリウムとトラネキサム酸の併用療法を行い、患者のADLを損なうことなく優れた効果を発揮した症例を経験しています。また、抗リン脂質抗体症候群(APS)患者における習慣性流産に対しての臨床試験がおこなわれた上で、適応が是非欲しいところです。
<以下、全てリンクしています>
参考記事(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ):ヘパリン類
NETセミナーも参照:DICの病態・診断、DICの治療
Ontachi Y, Asakura H, et al: Kasabach-Merritt syndrome associated with giant liver hemangioma: the effect of combined therapy with danaparoid sodium and tranexamic acid. Haematologica. 2005 Nov;90 Suppl:ECR29.
Ontachi Y, Asakura H, et al: Effect of combined therapy of danaparoid sodium and tranexamic acid on chronic disseminated intravascular coagulation associated with abdominal aortic aneurysm. Circ J. 2005 Sep;69(9):1150-3.
【関連記事】
<特集>播種性血管内凝固症候群(図説)← クリック(シリーズ進行中!)
関連記事(リンクしています)
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
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・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
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・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:34
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科(検索順位)
ホームページ通称:金沢大学 血液内科・呼吸器内科
ホームページ正式名称:
金沢大学附属病院血液内科・呼吸器内科・細胞移植学講座(旧第三内科)
上記ホームページ(このブログは上記HPに併設)を、2008年9月11日にリニューアルオープンさせていただいてから、10日を経過しました。
私達にとっては、「血液内科」「呼吸器内科」「研修医募集」などの主要キーワードで、GoogleやYahoo検索でどのあたりに掲載されるか気になるところです。
検索順位は、1日どころか時間単位でも変動することがありますが、今日の只今の時点での記録を残しておきたいと思います。
「血液内科」での検索:Google 18位/1,380,000件
「血液内科 研修医募集」での検索:Google 11位/61,100 件
「呼吸器内科」での検索:Google 11位/831,000 件
(3nai.jpで掲載されますが当科のことです)
「呼吸器内科 研修医募集」での検索:Google 7位/65,000 件
まだ、リニューアルオープンして間もないにもかかわらずこの成績はかなりの善戦ではないかと喜んでおります。
特に、「血液内科」または「呼吸器内科」の単独キーワードでも、検索2ページ以内に登場するのには管理人も驚きました。
試しに、「血液内科 呼吸器内科」を検索しましたら、1位/365,000 件でした。私たち医局の血液内科と呼吸器内科が力を合わせると、日本一になれるということだと解釈しています。
検索順位に恥ずかしくないように、今後ともますます研鑽を積みたいと思っているところです。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:26
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【金沢大学統合卒業試験過去問題】兼:国家試験対策・専門医試験対策
金沢大学統合卒業試験過去問題(2005年)
(設 問)
67歳女性。約10年間の糖尿病治療歴がある。5日前より頻尿と排尿時痛を自覚。昨日より39℃を超える発熱、食欲低下、口渇がみられるようになり来院した。意識清明。血圧126/82。肋骨脊柱角に叩打痛を認める。血液学的検査:白血球 14,200、赤血球 386万、Hb 12.2g/dl、血小板 2.5万、クレアチニン 1.4mg/dl、LDH 274単位(基準176〜353)、PT 13.8秒(基準10〜14)FDP 41μg/ml(基準10以下)。なお、血液培養にて大腸菌が検出された。
適切な治療薬はどれか。 予測正答率 80%
( )a 利尿薬
( )b ビタミンK
( )c ヘパリン類
( )d 新鮮凍結血漿
( )e 副腎皮質ステロイド薬
(ポイント)
1) 本症例は、膀胱炎から急性腎盂腎炎を発症した症例で、血液培養の結果より菌血症をきたしている。
2) 血液検査のうち、血小板数、FDPの成績から、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併していると考えられる。
3) Hb、クレアチニン、LDHより、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)は否定的。
4) PTが延長していないことより、ビタミンKの欠乏もない。
5) DICに対してヘパリン類の投与が適切である。
6) なお、脱水状態にあると考えられることから利尿剤は不適当である。また循環不全はなく、糖尿病があることから副腎皮質ステロイド薬は不要である。
(内科専門医試験対策)
DICの基礎疾患は熟知している必要がある。基礎疾患を有する症例に遭遇したら、DICの合併の可能性を考えて検査を行うところが、診断の第一歩となる。以下が、代表的なDICの基礎疾患である。
敗血症、急性白血病、固形癌、産科合併症(常位胎盤早期剥離,羊水塞栓)、外傷、熱傷、膠原病(血管炎合併)、ショック、大動脈瘤、劇症肝炎、肝硬変、急性膵炎など。
特に、敗血症、急性白血病、固形癌は、DICの三大基礎疾患である。
(血液専門医試験対策)
DICの病型分類、分子マーカー(TAT、PIC、PAI、Dダイマーなど)の変動について、最小限の知識は必要である。
治療に関しても、アンチトロンビン濃縮製剤、ヘパリン類の種類は知っている必要がある。抗線溶療法は原則禁忌である。
詳しくは、ホームページのNETセミナー(DIC病態・診断、DIC治療)へ。
(答)C
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:18
| 医師国家試験・専門医試験対策
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【金沢大学統合卒業試験過去問題】兼:国家試験対策・専門医試験対策
金沢大学統合卒業試験過去問題(2007年)
(設 問)
34歳女性。流産の既往が3回あり。現在内服中の薬物なし。昨夕より、左下肢の腫脹が出現するようになった。本朝になり左下肢の腫脹が悪化し、疼痛による歩行困難もみられるようになったため来院した。血液学的検査:白血球 8,200、赤血球 362万、Hb 12.2g/dl、血小板 8.5万、ALT 23単位、クレアチニン 0.8mg/dl、LDH 214単位(基準176〜353)、PT 11.2秒(基準10〜14)、APTT 73.4秒(基準対照32.2)、FDP 16μg/ml(基準10以下)、CRP 5.8 mg/gl(基準0.3以下)。
この患者にみられる検査所見として誤っているのはどれか。1つ選べ。
予測正答率 85%
( )a Dダイマー上昇
( )b フィブリノゲン上昇
( )c 抗カルジオリピン抗体陽性
( )d von Willebrand因子活性低下
( )e ループスアンチコアグラント陽性
(ポイント)
1) 本症例は、習慣性流産の既往を有する女性で、血小板数低下とAPTT延長をきたしており、抗リン脂質抗体症候群が強く疑われる。
2) 左下肢の腫脹、炎症反応(CRP上昇)、FDP上昇は、深部静脈血栓症(DVT)を発症したためと考えられる。
3) DVTのため、FDP同様にDダイマーは上昇しているものと考えられる。
4) フィブリノゲンは炎症反応の一環として上昇しているものと考えられる。
5) 抗リン脂質抗体症候群と関連して、抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントは陽性であって良い。
6) von Willebrand因子活性は、炎症のためむしろ上昇しているものと考えられる。
(内科専門医試験対策)
抗リン脂質抗体症候群(antiphopholipid syndrome:APS)とは、臨床症状があり、診断用検査1)2)3)のいずれか一つ以上が陽性の時に診断される。
臨床症状
1) 動脈血栓症 and/or 静脈血栓症
2) 不育症(習慣性流産)
診断用検査
1) ループスアンチコアグラント
2) 抗カルジオリピン抗体
3) 抗β2GPI抗体:日本では保険点数はついていない。
良く見られる検査所見(必ず見られる訳ではない)
1) 血小板数低下
2) APTT延長
3) 梅毒反応の生物学的偽陽性(BFP)
4) 抗核抗体陽性
5) 複数凝固因子活性の低下
(血液専門医試験対策)
ループスアンチコアグラントや、第VIII因子インヒビターなどの循環抗凝血素の存在下では、凝固時間のクロスミキシング試験(混合試験)で、凝固時間の延長が補正されないのが特徴である。
例:
患者血漿(Pt)APTT 73.4秒
コントロール血漿(C)APTT 32.2秒
混合血漿(Pt:C=1:1)APTT 69.0秒(凝固時間の延長が補正されていない):ループスアンチコアグラントや第VIII因子インヒビターなど(ただし、第VIII因子インヒビターでは2時間incubationが必要)。
混合血漿(Pt:C=1:1)APTT 38.0秒(凝固時間の延長が補正されている):血友病や肝硬変などの凝固因子欠乏状態。
(注意)
クロスミキシング試験(混合試験)は、ごく最近保険収載された検査項目であるため、血液専門医試験や内科専門医試験などで特に出題されやすいものと推測される(混合試験のデータの解釈など)。
(答)d
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:20
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【医師国家試験過去問題】下肢の腫脹
医師国家試験過去問題
25歳の男性。突然の左下肢全体の腫脹と疼痛とを主訴に来院した。昨夜、飲酒後に就寝したところ、明け方に痛みのため覚醒し、次第に左下肢が腫大してきた。体温36.5度。下肢に明らかな感染巣を認めない。左下肢は腫脹し、一部暗赤色の発赤を認める。最も考えられる病態はどれか。
a. 特発性浮腫
b. リンパ流障害
c. 深部静脈血栓症
d. 血小板減少に伴う出血
e. 凝固因子異常に伴う出血
この臨床問題には、さりげなくキーワードが多数散りばめられている。
(キーワード)
1) 突然:脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓などの血栓症を連想しても分かるように、血栓症の重要なキーワードの一つに、突然発症がある。
2) 左下肢の腫脹:両側ではなく、片側のみである点がポイント。ある日突然、片側下肢のみの腫脹といえば、もう回答となる疾患くらいしか思いつかないかも知れない。
3) 前日の飲酒:これはあまり直接関係ないかも知れないが、飲酒は利尿作用があり脱水の原因になる。そのため、血液粘度が上昇し血栓症を誘発する懸念がある。
4) 体温36.5度:敢えて書いてあるのは、感染性疾患ではないという暖かいヒント。加えて、感染巣がないとまで念押しがある。
5) 一部暗赤色の発赤:血流遮断に伴って、血液が血管外にリークしたためと考えられる。
(答)C
(内科専門医試験対策)
深部静脈血栓症の危険因子
1)脱水・多血症
2)肥満
3)妊娠
4)下肢骨折・外傷、手術
5)下肢麻痺、長期臥床、ロングフライト
6)癌
7)心不全、ネフローゼ症候群
8)経口避妊薬
9)深部静脈血栓症や肺塞栓症の既往
10)血栓性素因
11)その他:近年、話題になりやすい地震災害時の深部静脈血栓症/肺塞栓も理解しておく必要がある。地震災害時には、脱水、ストレス、不動(車中泊を含む)が、誘因となっている。弾性ストッキングの装着が勧められる。
(血液専門医試験対策)
深部静脈血栓症の血液学的血栓性素因
1.先天性凝固阻止因子欠乏症
アンチトロンビン欠乏症
プロテインC欠乏症
プロテインS欠乏症
2.線溶異常症
プラスミノゲン異常症、高Lp(a)血症
(Lp(a)は、線溶因子であるプラスミノゲンと類似した構造を有し、拮抗的に作用する)
3.後天性血栓性素因
抗リン脂質抗体症候群
(抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント)
高ホモシステイン血症
特に、抗リン脂質抗体症候群は不育症(習慣性流産)とも関連して、出題されやすい。抗リン脂質抗体症候群の治療は、ワルファリンが有効というN Engl J Medの報告があるが、催奇形性の副作用があるため、挙児希望の女性には処方できない。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:40
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【医師国家試験過去問題】血友病A&von Willebrand病
金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)の試験問題対策の記事を連載する旨の予告をさせていただきましたが、まずは、手始めに、医師国家試験(過去問題)の解説から開始したいと思います。
医師国家試験・専門医試験対策のカテゴリーへ。
上記のカテゴリーから入っていただきますと、 実際の過去問題解説は、かなりページをさかのぼる必要があるのですが、よろしくお願い致します。
特に、金沢大学での過去問解説や、血液内科(血栓止血領域)の国試対策記事を充実させています。金沢大学血液内科試験では、医師国家試験での高得点につながるような思いを込めて作題していますので、国試対策にもなると思っています。
【医師国家試験過去問題】血友病A&von Willebrand病
血友病Aとvon Willebrand病とに共通しているのはどれか。
a. 遺伝形式
b. 主な出血部位
c. 出血時間延長
d. APTT延長
e. 血小板粘着能低下
血友病
疾患概説:先天性の出血性素因で、関節内出血や筋肉内出血といった深部出血を特徴とする。血友病Aは先天性の第VIII因子欠損症、血友病Bは先天性の第IX因子欠損症である。
遺伝形式:血友病A&Bともに伴性劣性遺伝であり、男性のみに発症する。
検査所見:血友病A&BともにAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が延長する。PT(プロトロンビン時間)、出血時間は正常。血小板機能(血小板粘着能、血小板凝集能を含む)は正常。
治療:血友病Aは第VIII因子製剤、血友病Bは第IX因子製剤。
合併症:
1) 血友病Aでの第VIII因子インヒビター(血友病Bでの第IX因子インヒビターもありうるが低頻度)。
2) HIV&HCV感染症:20数年以上前に、凝固因子製剤を使用した症例で問題となっている(薬害)。
専門医試験対策:インヒビターが出現した場合の対応は、バイパス製剤。近年は、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(商品名:ノボセブン)の使用頻度が増加している。
von Willebrand病(フォンヴィレブランド病、旧:フォンビルブランド病)
疾患概説:先天性の出血性素因で、鼻出血などの粘膜出血を特徴とする。先天性に、von Willebrand因子(vWF)が低下している。
遺伝形式:最も多いtype Iは常染色体優性遺伝であり、男女ともに発症する。
検査所見:出血時間とAPTTが延長する。PTは正常。
血小板粘着能が低下する(vWFは血小板の粘着に必要)。
第VIII因子活性の低下(vWFは第VIII因子のコファクターであり、vWFが存在しないと第VIII因子は安定して血中に存在できない)
治療:コンファクトF(純度が高くないためvWFも含有した第VIII因子製剤)、DDAVP(血管内皮からvWFを放出させる作用がある)(国試既出)
専門医試験対策: DDAVPは連用すると血管内皮中vWFのストックがなくなるため、効果が減弱する。血液専門医試験では、von Willebrand病のサブクラスに関する出題も予想される。
(国家試験対策)
血友病A&von Willebrand病は、必ず毎年出題されている。基本的知識で回答できる良問が多い。この手の問題は、絶対に落とさないようにしよう!
(確認)
出血時間の延長が見られるのは、以下の3つの場合のみである。
臨床的には、もっぱら血小板機能のスクリーニング(下記の2))目的に行っている。血小板数が低下していれば出血時間は当然延長しているため、敢えて行うことはない。
1) 血小板数の低下:各種血液疾患など。
2) 血小板機能の低下:血小板無力症、von Willebrand病、Bernard-Soulier症候群、アスピリンなどのNSAIDの内服、尿毒症など。
3) 血管壁の脆弱性
(答) d
医師国家試験・専門医試験対策のカテゴリーへ。
医師国家試験 問題対策のエッセンス記事:血液内科(血栓止血領域)へ
【参考記事】
血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー
金沢大学第三内科HPへ
金沢大学第三内科ブログへ
研修医・入局者募集へ
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:20
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金沢大学第三内科卒業試験(卒試)過去問解説:兼 医師国家試験、専門医試験対策
このブログに、「金沢大学 第三内科 卒試」の検索で訪問していただいた方がおられます。
だからという訳ではないのですが、今後、金沢大学第三内科(血液内科・呼吸器内科)卒業試験(卒試)過去問解説の記事も時々掲載していきたいと思います。
実は、この件については複数の関係者から提案があり、すでに今後掲載予定にしておりましたので、とてもタイムリーです。
ただし、このブログは全国の医学部学生の皆さん、研修医の皆さんにもご覧いただいていると思いますので、以下の点に心がけていきたいと思います。
1)医師国家試験対策にもなること。
2)内科認定医試験、総合内科専門医試験、血液専門医試験、呼吸器専門医試験対策にもなること。
3)もちろん、金沢大学第三内科卒業試験、進級試験、統合試験対策にもなること。
今回は、予告編のみで、乞うご期待ということにしたいと思います。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 15:49
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ヘパリン類 : フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ
ヘパリンと言えば、血栓症の治療、予防目的の注射薬としてなくてはならない重要なお薬です。
以前は、ヘパリンと言えば、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)のみの時代がありましたが、現在は多くの類似薬が使用可能となっています。
そのため、「ヘパリン類」の言い方が普及しています。
現在、日本で使用可能なヘパリン類の種類と特徴について記事に致します。
ヘパリン類の種類と特徴
1. 未分画ヘパリン(標準ヘパリン)
・適応症:DIC、体外循環の血液凝固防止(透析)、血栓症の予防・治療
・抗Xa/トロンビン比:1対1
・半減期:0.5 〜1時間
・用法:臨床の場での実情は、5,000〜10,000単位/24時間持続点滴(DIC)。教科書的には、5〜10単位/kg/時間持続点滴(DIC)
2. 低分子ヘパリン
1) ダルテパリン(商品名:フラグミンなど)
・適応症:DIC、血液体外循環時の還流血液の凝固防止(欧米ではDVTも)
・抗Xa/トロンビン比:2 〜 5 対1
・半減期:2〜4時間
・用法:75単位/kg/24時間持続点滴(DICの場合)
2) エノキサパリン(商品名:クレキサン)
・適応症:下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制(股関節全置換術 、膝関節全置換術、股関節骨折手術)
・抗Xa/トロンビン比:2 〜5 対 1
・半減期:2 〜 4 時間
・用法:2,000 (20mg) IU ×2 回皮下注(術後DVT予防として)
3. ダナパロイド(商品名:オルガラン)
・適応症:DIC(欧州ではDVTも)
・抗Xa/トロンビン比:22 対 1
・半減期:20 時間
・用法:1,250単位×2 回静注(DIC)
4. フォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)
・適応症:下肢整形外科及び腹部外科術後の静脈血栓塞栓症発症抑制
・抗Xa/トロンビン比:7,400対1
・半減期:17 時間
・用法:2.5mg (1.5mg)×1回皮下注(術後 2 週間程度)
(ポイント)
1) 抗Xa/トロンビン比の高い薬物は、出血の副作用が少ないと考えられています。
2) オルガランとアリクストラは半減期が長いことも特徴です。そのため、24時間持続点滴で患者様を拘束しなくて良い点が特徴になります。逆に、出血の副作用が少ないとは言っても、万一出血した場合には、薬剤を中和できない点が短所になる場合もありえます。
3) 上記の注射薬のなかで、アリクストラ、クレキサンの2薬は、術後静脈血栓塞栓症の予防目的(治療目的でなく)に使えるという意味で、まさに画期的な薬剤と言えます。
4) オルガランは日本ではDICに対してのみの適応ですが、欧州では静脈血栓塞栓症に対しても使用されています。
5) 他の優れたヘパリン類が存在する現在、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)の医学的なメリットはないと言えます。ただし、医学以外の観点からは、安価である点が唯一のメリットです。これが、臨床の現場から、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)が撤退しない理由と考えられます。
【関連記事】
・<特集>播種性血管内凝固症候群(図説)← クリック(シリーズ進行中!)
関連記事(リンクしています)
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
・リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:26
| 抗凝固療法
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便潜血:便ヒトヘモグロビン検査の盲点(胃癌の見落とし)
便潜血検査は、消化管出血の有無をチェックする上で重要なスクリーニング検査です。
ドック、健康診断などでも採用されています。
最近は便潜血検査と言えば、便ヒトヘモグロビンを連想すると思いますが、盲点も理解しておく必要があります。
触媒法(オルトトリジン法、グアヤック法):
便中ヘモグロビンから生成したヘマチンの触媒作用を利用して血液を検出します。
管理人が今でいう研修医時代(20数年前)はもっぱらこの検査のみでした。当時は主治医が便潜血検査を行うことになっていました。数えきれないくらい自分の手で便潜血検査をしてきました。青春時代の思い出が、ほろ苦い香り(?)とともに蘇ってきます。
長所:オルトトリジン法は感度が良く、グアヤック法は特異度が高いため、通常両者を組み合わせて行います。消化管全体の出血の有無のスクリーニングに適しています。
短所:食事内容(肉食:肉食中の動物性血液)や薬(鉄剤)により偽陽性になることが問題点です。食事内容で偽陽性にならないように、便潜血食という特別食がありました。この短所をクリアするために、便ヒトヘモグロビン検査が開発されました。
免疫法(便ヒトヘモグロビン):
免疫学的に便中に人のヘモグロビンが存在するかどうかを検出します。健康診断で便潜血と言えば、通常こちらの検査です。
長所:食事や薬による偽陽性がないことです。便潜血食にして検査する必要もありません。
短所:胃からの出血があった場合でも、便ヒトヘモグロビン陰性になってしまうことがあります。ヘモグロビンが、胃酸、消化酵素、細菌の作用によって変性してしまうためと考えられています。たとえば、進行性胃癌であっても便ヒトヘモグロビンで見落とされたという事例が発生しているようです。
まとめ
便ヒトヘモグロビン検査の限界(弱点)を知った上で、適確に検査を評価したいところです。なお、便ヒトヘモグロビンにかぎらず、どの検査についてもその検査の弱点を知るということは、適確に結果を評価する上で重要だと考えられます。
(補足)
吐物中に血液の混入があるかどうかで潜血反応を行う場合にも注意が必要です。同じ理由で、免疫法(便ヒトヘモグロビン)では偽陰性になる可能性があります。日本臨床検査専門医会HP の Q&A でもこの問題点が取り上げられています。
なお図は、日本臨床検査医学会のロゴマークです
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12
| 医学全般
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老人性紫斑:高齢者の青あざ、脳出血?
御高齢者の、前腕、手背などに出現することがあります。境界がとても明瞭で、青紫〜暗紫色です。
しばらくしますと消えていきますが、また場所を変えて出現します。
表現が適切ではないかも知れませんが、神出鬼没と言った感じです。
この図でみるような典型例ですと、すぐに老人性紫斑だと診断できます。見た目にはとても目立ちますので、患者様は、変な病気ではないかということで、しばしば病院を受診されます。しかし、老人性紫斑は全く病的なものではありません。
患者様から、このような青あざがでやすいということは、脳の血管が切れて、脳出血にもなりやすいのではないかとご相談をうけることがありますが、そんなことはありません。
今後とも出没しますので、そのことも患者様に十分お伝えしますが、放置して良いものです。
ただし、このような紫斑の原因として、実は出血性素因が存在するということもありますので、検査はしっかりしておいた方が良いです(※)。
全ての検査結果が正常であれば、老人性紫斑と確定診断することができます。
(※)行うべき検査:
異常出血の家族歴や既往歴がなければ、血算、出血時間(and/or 血小板凝集能)、PT、APTT、フィブリノゲン、FDPが、第一段階の検査になります。これらの検査に異常があれば、次のステップの検査が必要になります。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:11
| 出血性疾患
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女子学生茶話会(金沢大学第三内科):女性医師と女子学生の集い
第3回女子学生茶話会(通称ケーキ会)が金沢大学第三内科医局にて開かれました(平成20年7月23日水曜日16時30分〜)。
今回は5年生9人、6年生4人が集まってケーキとコーヒーや紅茶を飲みながら、金沢大学第三内科女性医師たちと語り合いました。
毎回参加者は増えて、場所も時間も足りない勢いです。
第三内科にはいろんな段階(?)の女性医師がそろっています。
みんな興味津々、いろいろな悩み不安など話はつきません。
定期的に今後開く予定ですので研修医、学生の皆様、ぜひいらしてくださいませ。
ちなみに次回は11月頃の予定です。
お問い合わせは、以下からも可能です。
info@3nai.jp
(追伸)金沢大学 血液内科・呼吸器内科(旧 第三内科)は、女性医師がとても多いのが特徴です。皆さんとても有能で、しかも志が高いです。今後とも、女性医師(研修医)、女子学生と関連した記事をアップできればと思っています。
研修医・入局者募集へ ←クリック
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:26
| 女性医師(当科)からのメッセージ
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播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態、診断、治療(研修医/学生対応)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科に併設したこのブログにも、少しずつGoogleやYAHOOによる検索で訪問いただく方が増えてきたようです。検索ワードの掛け合わせ方から、医学部学生さんや、研修医の皆さんのご訪問も多くなってきているように感じています。
今回は、播種性血管内凝固症候群 ( D I C )の記事を、医学部学生さんや、研修医の皆さん対応で簡明に書かせていただきたいと思います。
【関連記事】
<特集>播種性血管内凝固症候群(図説)← クリック(シリーズ進行中!)
DIC病型分類に関する欧文論文:Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models. Journal of Intensive Care 2014, 2: 20.
1)播種性血管内凝固症候群 ( D I C )の語源
Disseminated:播種性(種をばらまくように)
I ntravascular:血管内(血管内に)
Coagulation:凝固(凝固活性化→微小血栓多発)
DICは「究極の血栓症」「血栓症の王様」とも言える。
DICに対して有効な薬剤は、深部静脈血栓症などの他の血栓症に対しても有効。
2)DICの概念
1. 基礎疾患の存在
2. 全身性持続性の極端な凝固活性化
3. 線溶活性化(その程度は種々)
4. 消費性凝固障害
5. 出血症状、臓器症状
3)DICの基礎疾患
三大疾患:敗血症,急性白血病、固形癌
産科合併症(常位胎盤早期剥離,羊水塞栓)、外傷、熱傷、膠原病(血管炎合併)、ショック、大動脈瘤、劇症肝炎、肝硬変、急性膵炎など。
4)DICの発症機序
● 急性白血病&固形癌:線溶亢進型〜線溶均衡型DIC(旧名称:線溶優位型〜中間型DIC)
腫瘍細胞中の組織因子(tissue factor:TF)(旧称:組織トロンボプラスチン)が、外因系凝固機序を活性化する。
● 敗血症:線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)
単球からのTF産生。血管内皮からのTF産生、トロンボモジュリン発現低下(by LPS,サイトカイン)
5)DICの二大症状
1. 出血症状
2. 臓器症状
6)DICではなぜ出血するか?
1)消費性凝固障害:血小板や凝固因子の低下。
2)線溶活性化:止血血栓の溶解。
7)DICではなぜ臓器障害をきたすか?
・微小血栓多発に伴う微小循環障害のため。
・しばしば多臓器不全(multiple organ failure:MOF)
8)DICの予後(旧厚生省研究班疫学調査)
平成4年度:4科で死亡率65.2%(内科68.1%・外科71.3%・小児科45.5%・産婦人科38.9%)
平成10年度:6科で死亡率56.0%(内科61.8%・外科61.5%・小児科42.3%・産婦人科46.4%・集中治療部46.4%・救急部42.9%)
9)DICの治療
1.基礎疾患の治療(最重要)
2.抗凝固療法
ヘパリン類:ダナパロイド(オルガラン)、低分子ヘパリン(フラグミン)、未分画ヘパリンから選択
アンチトロンビン濃縮製剤(アンスロビンP、ノイアート、ノンスロン)
合成抗トロンビン薬:メシル酸ナファモスタット(フサン:FUT)、メシル酸ガベキサート(FOY)
3.補充療法:濃厚血小板(血小板の補充)、新鮮凍結血漿(凝固因子の補充)
4.抗線溶療法;トラネキサム酸(トランサミン)など:原則禁忌(線溶抑制型DICでは絶対禁忌)
理由:臓器障害を悪化
DIC関連記事(リンクしています)
・播種性血管内凝固症候群(DIC)【図解シリーズ】
・播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態、診断、治療(研修医/学生対応)
・DIC病態(造血器悪性腫瘍)
・DIC治療(造血器悪性腫瘍)
・急性前骨髄球性白血病(APL)とDIC:ATRA、アネキシンII
・TAT
・PIC
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:51
| DIC
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医学部卒業後の進路:基礎医学、臨床(研修医)、行政
医学部卒業後の進路について、管理人の知るところを書かせていただきます。
1)基礎医学:
研究一筋の道です。臨床は大事ですが、臨床レベルの発展を支えているのは、基礎医学です。基礎医学の研究の積み重ねによって、素晴らしい診断方法や治療方法の発展があります。
基礎医学は日本の医学研究を支えています。現在、基礎医学へ進む人はとても少ないです。海外の医学研究に遅れをとらないようにしなければいけません。いろんな要素があると思いますが、国の行政の力によっても、もっと基礎医学に進む人が増えるようにしていただきたいと思っています。
2)臨床医学:
研修医を経て、臨床医になるコースです。多くの人が、この道を選択します。ただし、極めて多くの領域があります。
内科系:
内科(さらに多くの領域があります)、小児科、精神神経科、放射線科など、多数。
外科系:外科(さらに多くの領域があります)、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、皮膚科など、多数。
たとえば、
ここから、多くの分野を知ることができます。
研修医・入局者募集 ← こちらからもアクセスいただけます。
3)行政(厚生労働省)など:
私の同期生も、複数人がこの道を選択されました。
現在の医療は、良き行政のもとに、発展していきます。とても大事な仕事ですし、私達臨床家も多くの期待を寄せています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:45
| 医学全般
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抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
抗血栓療法とは、血栓症の発症を抑制する治療のことです。抗血栓療法と類似した用語として、抗血小板療法、抗凝固療法があります。これらの用語は、意味するところが違いますので、厳重に使い分けする必要があります。
関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)← クリック!
抗血栓療法の分類
1. 抗血小板療法:
血小板の働きを抑制して、いわゆる血液をさらさらにする治療法です。主として、動脈血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈血栓症など)の予防に用います。もっとも歴史のあるお薬は、アスピリン(バファリン、バッファリンと同じ)です。
2. 抗凝固療法:
凝固の働きを抑制して、いわゆる血液をさらさらにするお薬です。主として、静脈血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓など)や、心房細動からの脳塞栓(心原性脳塞栓)の発症予防に用います。もっとも歴史のあるお薬は、ワルファリン(商品名:ワーファリン)です。
3. 線溶療法:
できてしまった血栓を溶かす治療です。ウロキナーゼやt-PAがこの分類に属する治療薬です。
抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法は、それぞれ意味するところが違います。抗血小板療法と抗凝固療法を合わせて(線溶療法も含めることがあります)、抗血栓療法と言います。
たとえば、アスピリンによる抗凝固療法というのは、間違った言い方です。アスピリンによる抗血小板療法ならOKです。アスピリンによる抗血栓療法という言い方なら許容できます。
臨床家の間でも、多少混乱があるようです。しかし、抗血小板療法、抗凝固療法のどちらを使うかという使い分けはとても重要です。しっかり区別すべきと考えられます。
関連記事(リンクしています)
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 18:07
| 血栓性疾患
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ビタミンK依存性凝固因子(肉納豆、にくなっとう、2 9 7 10?)
今回の記事は、医学関連の学生さんが対象です。
凝固因子は、文字通り血液を凝固する(止血する)のに必要な因子です。
全部で、I 因子(フィブリノゲンと同義)から、XIII 因子まであります(VI 因子は欠番です)(最後に笑い話を掲載)。
凝固因子の中には、ビタミンKがないと活性を持つことができない凝固因子があります。このような凝固因子を、ビタミンK依存性凝固因子と言います。
ビタミンK依存性凝固因子は、全部で4つあります。
VII、IX、X、II 因子の4つです。
なかなか覚えにくいですね。
医学参考書には、「肉納豆(にく なっとう:2 9 7 10)」と覚えましょうと書かれています。しかし、2 9 7 10の配列には何の意味もありません。
どうせ覚えるのであれば、意味のある順番でおぼえましょう!
やはり、下記の順番です。
VII、IX、X、II
半減期の順番です。
VIIが、半減期が最も短いです。
ですから、ビタミンK欠乏症では、半減期の短い第VII因子が最初に低下します。
ビタミンK欠乏症のスクリーニングは、プロトロンビン時間(PT)で行うのですが(APTTではありません)、PTは、半減期の短い第VII因子をひっかけるためです。
(笑い話)もう10年以上経過していますので、時効の話です。今でも、思い出しますと笑いがこみ上げてきてしまいます。凝固検査の結果「この患者さんは、第VI(6)因子欠損症が疑われますので精査をお願いします」というコンサルトを受けたことがあります。しかし、第VI因子は存在しないのです。一発でヤブ医者であることがばれてしまいますね。
【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 18:06
| 出血性疾患
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PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
参考書籍:「臨床に直結する血栓止血学」(INRなど凝固検査の内容も充実しています)
第21回日本検査血液学会学術集会(金沢2020年):血栓止血関連プログラムも豊富です。
参考書籍:しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編 ← クリック
PT-INR(あるいは、単にINR)検査について、研修医や医学部学生の皆さんからよくご質問をうけます(参考:PT-INR検査 ← クリック)。
INRは、ワルファリン(商品名:ワーファリン)コントロール時に用いられている検査項目です。
関連記事:血栓止血の臨床(日本血栓止血学会HPへ)
血液凝固検査入門(インデックス)
プラザキサ vs ワーファリン(インデックス)
抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
地震災害とエコノミークラス症候群
INRというと、特殊な検査と勘違いされることがあるようですが、検査している中身はプロトロンビン時間(prothrombin time:PT)と同一です。PTを測定して、ある換算式により、INRに換算します。
ですから、PTの検査を行いますと自動的にINRが算出されます。念のため書かせていただきますが、PTを測定して、それとは別にINRを測定するという訳ではありません。
「PTという凝固時間」のみを測定すれば、自動的に「INR」が算出されます。測定機器が勝手にPTからINRへの換算を計算してくれています。
PTが正常であれば、INRは1.0になります。
PTが延長するほど、INRは高値になります。
疾患にもよりますが、INR 2.0〜3.0 でワーファリンコントロールすることが多いです。INRはワーファリンコントロール用のマーカーという印象が強いと思いますが(確かにこの目的で使用していますが)、当然ながらPTが延長する疾患では、INRは高値になります。
INRが高値となる(=PTが延長する)疾患
1)ワーファリン内服中:ワーファリンはビタミンKの拮抗薬です。
2)ビタミンK欠乏症
3)肝不全(肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎など)
4)凝固第VII、X、V因子、プロトロンビン(=凝固第II因子)、フィブリノゲン(=凝固第I因子)の欠損症または、これらの凝固因子に対するインヒビター。
INRという表現にだまされないようにしましょう。
プロトロンビン時間(PT)と全く同じことを、違う表現で言っているだけです。
(補足)
【PT-INRとトロンボテスト(TT)のどっちが良い?】
現在はワーファリンのコントロール用検査には、INR(PT-INR)が主流になっていると思いますが、かつてはトロンボテストが主流であった時代があります。
それでは、INR とトロンボテストのどちらを用いた方が良いのでしょうか?多くの人に受け入れられる答えは、INR になります。INRですと施設間差がなく、インターナショナルで使用できるメリットがあります。トロンボテストでコントロールしているのは、世界の主流からは外れているかもしれません。
世界的な英語の論文を見ても、トロンボテストという単語はでてきません。トロンボテストでは世界から相手にされないことになります。
しかし、管理人は上記の点を承知の上で、トロンボテストによるコントロールを行っています。なぜなら、ワーファリンのコントロール領域では、INRよりもトロンボテストの方が遥かに精度が良いことを実感しているからです。もちろん、このような内容を記載しますと反論が多数でそうです。ブログならではの記載ということでお許しいただければと思います。
なお、INRとTTの対応は以下の通りです。
INR 2.0 = TT 17%
INR 3.0 = TT 9%
関連記事
・ 血液凝固検査入門:インデックスページ ← クリック(全記事、分かり易く図解)
関連記事
・播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ ← クリック(全記事、分かり易く図解)
関連記事(リンクしています)
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
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【凝固検査】
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・ PIC
・ アンチトロンビン
・ PT(PT-INR)とは?
・ PT(ワーファリン)&トロンボテスト
・ DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のDIC関連記事がリンクされています。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:07
| 抗凝固療法
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e-血液.com 様をリンク
e-血液.com 様をリンクさせていただきました。
このブログ(血液・呼吸器内科のお役立ち情報)では、相互リンクしてくださるサイト様を募集しています。
特に、血液内科、呼吸器内科に関連した学術的内容を含んだサイト様を歓迎しています(ただし、企業色があまりにも強い場合には、ご意向に添えないこともありますので、ご了承お願いいたします)。
どうぞ遠慮なくご連絡ください。
info@3nai.jp
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 08:51
| 医学全般
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抗血栓療法(ワーファリン、アスピリン他)と検査(PT-INR、TAT他)
血栓症の分類:抗血栓療法(抗血小板療法、抗凝固療法)をどのように行うかを判断する上でも、血栓症分類の考え方は重要です(表)。通常は、血管内皮の作用によって、血栓症は発症しないように防御されているのですが、それが破綻した状態が血栓症です。
動脈血栓症(心筋梗塞や脳梗塞など):
血小板活性化(血小板血栓)が主病態。抗血小板薬(アスピリン、プラビックスなど)が有効。
静脈血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓など):
凝固活性化(凝固血栓)が主病態。抗凝固薬(ワーファリン1・2、ヘパリン 1・2・3、低分子ヘパリンなど)が有効。心房細動からの脳塞栓は、血栓形成の原因は血液の心内滞留であるため凝固血栓の性格を有している。なお、深部静脈血栓症と、血栓性静脈炎は違う病気である(参考記事)。
現在は内服可能な抗凝固療法治療薬はワーファリンのみですが、今後の開発が期待できるポストワーファリン役もあります。
凝固活性化マーカー(血液検査):
トロンビン-アンチトロンビン複合体 (TAT)、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)、可溶性フィブリン(SF)、フィブリンモノマー複合体(FMC)、Dダイマーなど。
抗凝固療法のモニタリング(血液検査):プロトロンビン時間(PT)、PT-INR、トロンボテスト(TT)など。近年は、ワーファリンのコントロールは、トロンボテストよりもINRが頻用される傾向にあります。
この記事に関連した本格記事は、以下からご覧いただけます。
NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング ← クリック
関連記事(リンクしています)
・血管内皮と抗血栓作用
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
・リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:25
| 抗凝固療法
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北陸最大プロバイダのネスク(nsk)さんに感謝。
本日、金沢大学 血液内科・呼吸器内科(旧第三内科)HPのリニューアル版を公開いたしました。
この新HPは、ネスクさんに制作していただきました。
いろいろ無理な注文を申し上げたり、変な質問をしたりと、やっかいなお客さんだったのではないかと思いますが、いつも真摯に対応していただきありがとうございました。
特に、Oさんには実際の制作過程でいろいろ相談にのっていただきありがとうございました。この場をかりて感謝いたします。
ネスクさんにおかれましては、今後とも、私たちのHP&ブログの成長を暖かく見守っていただければ幸いです。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:52
| その他
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閉塞性動脈硬化症、ABI&PWV、プレタール、プロサイリン、ドルナー
1)閉塞性動脈硬化症とは:
下肢への動脈が動脈硬化のため狭窄して、血流が悪くなる病気です。
病気の進行度にはランクがありますが、内科で診せていただくこの病気の患者様は、長く歩いていると、下腿が痛くなるということで受診されることが多いです。
しかし、痛くなってもしばらく休んでいますと痛みがやわらいで、また歩行可能になります(間歇性跛行と言います)。休むと痛みがとれるので大丈夫ではなく、早々に対処する必要があります。
2)閉塞性動脈硬化症の治療:
1. 原因疾患の治療:糖尿病、高血圧症、高脂血症などの病気をお持ちのことが多いです。それらの病気の治療を充分に行います。
2. 禁煙:絶対禁煙が必要です。
3. 血流改善薬:アスピリンは抗血小板薬ですが、下肢血流改善作用はありません。まず、プレタール、プロサイリン、ドルナーなどの血管拡張作用を併せ持つ抗血栓薬から薬剤を選択して投与したいです。
進行例では、バイパス術と言った外科手術が必要になりますが、進行例でなければ、プレタール、プロサイリン、ドルナーは特効薬です。著効いたします。
ただし、これらの薬剤には副作用があります。頭重、顔のほてり、動悸が高頻度でみられます。とくに内服を開始して1ヶ月以内でみられやすいようです。
ただし、この時期をクリアできますと、副作用は気にならなくなることが多いですので、なんとか乗り切っていただきたいところです。
なお、管理人は副作用を少なくする目的で、少量から開始して少しずつ増量するようにしています。また、アスピリンなど他の抗血栓薬を併用することもあります。
4. 運動療法:上記の薬物を内服した状態で、散歩を励行していただきます。
これは、新しく血管(バイパス血管)を発達させるためです。万一、動脈本幹が閉塞してしまっても、バイパスの血管が発達していますと、緊急手術に至らずにすみます。ただし、重症例では、運動療法をできない場合がありますので、慎重に評価いたします。
3)他の動脈硬化症に注意:
この病気を有した患者様は、全身の他の血管も動脈硬化が進行していることが多いです。そういう意味で、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などにもなりやすいですので、全身のチェックが必要です。
4)早期診断のために:
糖尿病、高血圧症、高脂血症などの病気をお持ちの患者様は、定期的に下肢血流が悪くないかどうかの検査をしていただいています。
ABI(PWV)という検査です(心電図と血圧をたして2で割ったような検査です。全く痛くない検査です)。この検査で、自分の血管年齢も分かります。
管理人は、健康診断のルーチン検査にしてはどうかと思っています。
(補足)
ABI:ankle brachial indexの略
足首と上腕の血圧を同時に測定して、その比を算出することで下肢への血流をチェックします。健常人の場合、足首の血圧は上腕の血圧よりも高いですが、閉塞性動脈硬化症では下肢の血流が悪くなるため足首の血圧の方が低くなります。ABI<0.9では、下肢動脈の狭窄または閉塞を疑います。
PWV(pulse wave velocity)により、動脈硬化の程度(血管年齢)も同時に分かります。
なお、画像は、Amazonからの引用です。
関連記事(リンクしています)
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:07
| 血栓性疾患
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金沢大学 血液内科・呼吸器内科HPリニューアルのお知らせ
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(旧第三内科)のHPを、本日リニューアルオープンいたしました。ブックマークされている方はお手数ですが、変更手続きをお願いいたします。
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(旧第三内科)新HP
http://www.3nai.jp/
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(旧第三内科)ブログ
http://www.3nai.jp/weblog/index.html
(ブログの方は、上記の新HPからも入場いただけます)
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 16:16
| 医局内行事・研修医・専門医
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石川県学術講演会(鉄過剰症)
石川県学術講演会
日時:2008年9月18日(木)19:00〜20:30
会場:ホテル金沢 4階「エメラルド」
総合司会:
金沢大学大学院医学系研究科 がん医科学専攻・細胞移植学
教授 中尾 眞二
特別講演:
旭川医科大学内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学
教授 高後 裕 先生
「鉄過剰症の現状と新しい治療戦略」
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 13:21
| 研究会・セミナー案内
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メタボリック症候群、生活習慣病、血栓症(悪魔の階段)
血栓症(thrombosis)のうち、動脈血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症に伴う血栓症など)は、生活習慣病がありますと、発症しやすくなります。
ですから、血栓症発症予防のためには、生活習慣病にならないようにする必要があります。もし、生活習慣病がある場合は、コントロール良好にする必要があります。
最近は、典型的な生活習慣病になる前に、早く手をうてるように、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)の考え方が普及してきました。メタボリック症候群というのは、典型的な糖尿病、高血圧、高脂血症などではないけれども、将来典型的な生活習慣病にならないように早めに手を打とうというわけです。
メタボリック症候群とは。。。
【必須項目】おへその高さの腹囲が。。。
男性で 85cm以上
女性で 90cm以上
この条件に下の3つの症状のうち2つ以上該当した場合に診断されます。
1)中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方
2)収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれかまたは両方
3)空腹時血糖が110mg/dl以上
健康 → メタボリック症候群 → 生活習慣病 → 血栓症
と言った、「悪魔の階段」 を駆け下りることのないようにしましょう。
なお、メタボッリック症候群から、生活習慣病の階段を飛び越して、血栓症を発症することもあります。
(補足)たとえば、糖尿病の患者様から、自分はお腹が出ているのでメタボリック症候群ですかという質問をお受けすることがありますが、ちょっと誤解があるようです。糖尿病があれば、メタボリック症候群ではなく糖尿病です。
関連記事(リンクしています)
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・抗Xa vs. 抗トロンビン
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:49
| 血栓性疾患
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ピロリ菌と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板数が低下する血液疾患の一つです。自己血小板に対して抗体が産生され、血小板が破壊されます。
血液内科の疾患としては、鉄欠乏性貧血や抗リン脂質抗体症候群などとともに、とても多い疾患ではないかと思います。
血小板数の正常値は、15〜40万/μL位ですが、この疾患では血小板数が一桁にまで低下します。多くの病気では早期診断、早期治療が重要ですが、この疾 患では早期診断は重要ですが、必ずしも早期治療は重要ではありません。血小板数が2〜3万程度に低下していても、出血症状がなければ無治療で経過観察する ことも少なくありません。
さて、近年のITP治療は大きく変貌をとげました。特に、以下の1)です。
ITPの治療
1)ピロリ菌の除菌療法:ピロリ菌(再発性の胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原 因となりうる)陽性かどうかは、胃カメラ、呼気法、血液検査などで明らかにできます。陽性であれば是非とも試みるべき治療です。抗生剤2種類とプロトンポ ンプインヒビター(PPI)1種類を、1週間内服いたします。副作用はほとんどありません。約50%の方で、血小板数が回復します。
2) ステロイド療法(プレドニゾロンなど):副作用が多い治療法ですので、できることなら行いたくない治療です。しかし、血小板数が漸減し出血症状がみられ、除菌療法が無効であった場合には行わざるをえません。
3) 摘脾術:除菌療法やステロイド療法が無効であった場合に考慮します。この病気は血小板が脾臓で破壊されますので、その脾臓を除去して、血小板が破壊されないようにしようという考え方です。
4) 免疫グロブリン大量療法:通常は摘脾術の1週間前から点滴で投与します。ただし、効果は一時的です(ですから、摘脾術とセットで考慮する治療です)。
5) その他:その他の免疫抑制療法など。
なお、1)〜5)ともに、効果は20〜50%くらいです。
さて、何故、ピロリ菌の除菌療法(本来は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療)が、ITPに有効なのでしょうか?
ピロリ菌に対する抗体が、血小板とも交差反応するためではないかと考えられています。除菌療法により、抗ピロリ菌抗体が消失しますと、血小板とも反応しなくなり血小板数が回復するという考え方です。
ステロイド治療とは異なり、除菌療法にはほとんど副作用がありませんので、ITPでピロリ菌陽性が証明された場合には、必ず試みるべき治療ではないかと思います。
やや違和感を感じられるかも知れませんが、管理人は、ITPの患者様がピロリ菌陽性ですと、ほっとすることが多々あります。ほとんど副作用を伴わない除菌療法を行う事ができて、この治療で血小板数回復を50%期待できるからです。
それにしても、ITPに対して除菌療法が有効であることを最初に発見した人は偉大ですね。
なお、画像はAmazonからの引用です。
【リンク】
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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 14:35
| 出血性疾患
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血液型O型の人は、vWF活性が低い。
フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:vWF)というのは、止血に必要な因子の一つです。血小板が、破綻した血管に粘着する際に、vWFが必要となります。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand disease:vWD)という先天性出血性素因が知られていますが、vWFが先天性に低下しているために、鼻出血などの粘膜出血をきたしやすくなります。最も多いType Iは、常染色体優性遺伝します。同じく先天性出血性素因である血友病は伴性劣性遺伝ですので男性にしか発症しませんが、vWDは、男女ともに発症します。
医学部学生さんもご覧になっていると思いますので、念のため書かせていただきますと、vWDでは、出血時間延長、APTT延長の所見が見られます(国試、卒試のヤマ中のヤマです。内科認定医・専門医試験でも問われやすいと思います)。
また、vWFは凝固第VIII因子のキャリア蛋白でもありますので、vWDでは、第VIII因子活性も低下しています(vWFが存在しませんと、第VIII因子は安定して血中に存在できません)。
さて大変興味あることに、健常人においても血液型O型の人ではvWFが低下していることが知られています。
なぜ血液型O型の人では、vWF活性が低下するのでしょうか?
最近の医学論文によりますと、O型の人間のvWFは、クリアランスが速いようです。また、O型の人のvWFは、vWF分解酵素(別名:「ADAMTS13」とも言います)による分解を受けやすいという報告があるようです。
1)Bloodの論文
2)Thromb Jの論文
それでは、vWF活性の低いO型の人は、出血しやすいのでしょうか?
そういうことはありません。vWFは元々たっぷりありますので、多少低下した程度では出血をきたすことはありません。
なお、イラストは、厚生労働省HP内の重篤副作用疾患別対応マニュアルより引用しました。
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:53
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研修医の広場(コメント欄へどうぞ)
この「研修医の広場」(金沢大学 血液内科・呼吸器内科)のカテゴリーでは、研修医の皆さんや、医学部学生の皆さんからの、ご意見、随筆、コメント、質問などをいただきたいと思っています。研修、医学、医療などと関連した、詩、短歌、川柳なども可です。
また、既に研修を終了された方やベテラン医師の方の、ご意見、ご助言なども歓迎しています。
コメント欄にご自由に書き込みをしていただければと思います。
金沢大学学内、学外問わず、全国の皆様からの書き込みを歓迎しています。
なお、コメントは承認性になっていますので、すぐには公開されませんが、できるだけ早く公開手続きをとるようにいたします。
原則として、全ての書き込み記事を公開させていただく予定ですが、本ブログの趣旨とは大きく逸脱していたり、非難、中傷の類いの書き込みは削除させていただくことがありますので、あらかじめご了承お願いいたします。
【関連記事】画像付きの記事もあります!
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(研修医):一言お願いします(1)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(2)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(3)
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(クリクラ):一言お願いします(4)
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金沢大学病院での研修〜カンファレンス〜:後期研修医の独り言(1)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 11:52
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早朝の血栓症(脳梗塞、心筋梗塞)とPAI
脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症は、早朝時に発症しやすいことが知られています。
いろいろな理由が考えられていますが、その中の一つの理由は、早朝時には血栓を溶かそうという働き(線溶:fibrinolysis)が低下していることがあげられます。
興味あることに、線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)活性は日内変動することが知られていて、PAI活性は早朝には高まります。そのために、早朝には血栓が溶けにくくなり、血栓症を発症しやすいという訳です。
日内リズムのある体内物質はいくつか知られていますが、PAIもその一つなのです。
早朝に血栓症が多い他の理由としては、早朝には脱水傾向になっている(血液粘度が上昇する)こともあげられます。
人間は夜間睡眠中に大量に発汗して、脱水傾向となります。
私は、血栓症を発症された方に対して、再発予防の一つの方策として、寝る前の水分補給をおすすめしています。
なお、PAIは中性脂肪が高いと、一緒に高くなります。
つまり、中性脂肪が高いと、血栓が溶けにくいため、血栓症を発症しやすくなります。
関連記事(リンクしています)
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・ワーファリン
・抗Xa vs. 抗トロンビン
・深部静脈血栓症
・ロングフライト血栓症
・閉塞性動脈硬化症
・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・ヘパリン類の種類と特徴(表)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・アリクストラ(フォンダパリヌクス)
・プロタミン(ヘパリンの中和)
・スロンノン(アルガトロバン)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:27
| 血栓性疾患
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深部静脈血栓症と血栓性静脈炎の違い
深部静脈血栓症と血栓性静脈炎は、名前は似ていますが違う病気です。
研修医の先生とお話していますと、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)かと思ってずっとお聞きしていたところ、実は血栓性静脈炎だったということも多々ありました。
両者が合併することも皆無ではないのですが、病態も治療方法もまるで違いますので、原則として分けて考えるべきなのです。
血栓性静脈炎
1)表在静脈が問題となる病気です。まず、炎症が先におきますが、二次的に血栓が形成されます。
2)原因:静脈瘤、外傷が原因となることがありますが、原因不明も多いです。
3)症状:表在静脈の発赤、疼痛が見られます。炎症を起こした静脈の走行を皮膚を通してみることができます。炎症を起こした血管を押さえると痛いです。重症例では、皮膚が汚くただれた感じになります。
4)肺塞栓:まず合併しません。
5)治療:局所療法、消炎鎮痛剤、時に抗生剤。抗血栓療法は不要です。
深部静脈血栓症
1)深部静脈が問題となる病気です。まず、血栓が先におきますが、二次的に炎症所見を伴います。
2)原因:長期臥床、悪性腫瘍、先天性&後天性凝固異常などが原因になります。
3)症状:片下肢の腫脹、疼痛。深部静脈の走行を皮膚を通してみることはできません。
4)肺塞栓:合併することがあります。重症例では、肺塞栓が致命症になることがあります。
5)治療:抗血栓療法。急性期はヘパリン類(未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ダナパロイド)、慢性期はワーファリンを使用します。
見た目には、血栓性静脈炎の方が派手ですので重症に見えるかもしれませんが、致命症になることがあるという意味では、深部静脈血栓症の方が重症と言えます。
今回とりあげた2つの病気に限りませんが、目で見て分かる病気よりも、見えない病気の方がしばしば怖い病気のことが多いのです。
なお、画像は深部静脈血栓症のガイドラインからです。
関連記事(リンクしています)
・血栓症の分類と抗血栓療法の分類
・抗血小板療法 vs, 抗凝固療法(表)
・PT-INRとトロンボテスト
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
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・プロタミン(ヘパリンの中和)
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・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:05
| 血栓性疾患
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抗リン脂質抗体症候群、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は、最も高頻度にみられる後天性の血栓性素因です。
臨床症状として
1)血栓症(動脈血栓症、静脈血栓症):脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓など。
2)不育症(習慣性流産)
があり、
臨床検査所見として以下のどちらかが陽性であれば診断されます(以下のどちらもが、抗リン脂質抗体です)。
1)ループスアンチコアグラント
2)抗カルジオリピン抗体
(国際的には、抗β2GPI抗体も)
上記の検査が陽性であっても、血栓症や不育症がなければ、「抗リン脂質抗体症候群」とは言いません。単に、「抗リン脂質抗体陽性」の症例と言い方に留まります。ただし、このような検査のみ陽性の方であっても、将来血栓症を発症すれば、その時点で「抗リン脂質抗体症候群」と言う病名がつきます。
抗リン脂質抗体症候群は極めて多い、後天性の血栓性素因です。おそらく、抗リン脂質抗体症候群であるにもかかわらず診断のなされたいない人が多数おられるものと推測します。ひょっとしたら、糖尿病よりも多いのではないかと思っている位です。
将来的には、ループスアンチコアグラントと、抗カルジオリピン抗体が健康診断の項目に組み込まれる時代がくるのではないかと真剣に思っています。
さて、ループスアンチコアグラントと、抗カルジオリピン抗体ですが、どのような場合に測定すべきでしょうか(どのような場合に、抗リン脂質抗の存在を疑って検査すべきでしょうか)?
下記の場合は、必ず検査すべきと思われます。
1)習慣性流産、不育症
2)危険因子が明らかでない動脈血栓症(脳梗塞など)
3)全ての静脈血栓症(深部静脈血栓、肺塞栓など)
4)膠原病(全身性エリテマトーデスなど)では必須の検査
5)原因不明の、APTT延長、血小板数低下
適切な検査がなされるかどうかで、患者さまの治療方針と、人生がまるで変わってしまいますので、臨床検査はとても重要だと思います。
なお、子役で有名であった、現在は写真家としてもご活躍の、間下このみさんがこの病気であることをご自分で公表されています。このことをきっかけに、抗リン脂質抗体症候群が日本国民の間に多少なりとも浸透したのではないかと思っています。
著名人の方の役割として、このような健康、病気に対する関心を高めるということもあるように思っています。間下このみさん、ありがとうございます。
画像(間下このみさん)は、amazonからです。
抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)← クリック! 抗リン脂質抗体症候群の全記事へリンクしています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:58
| 血栓性疾患
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厚生労働省エイズ動向委員会の報告書より
今回は、厚生労働省エイズ動向委員会の報告書(平成19年エイズ発生動向ー概要ー)の図からです。
このグラフは累積数ではなく、新規報告者数です。新規報告数は、直線的からやや指数関数的に増加しているように見えます。ですかから、HIV累積感染者数は、指数関数的に増加していることになります。
大変恥ずかしいことに、先進国の中で、HIV感染者数が増加しているのは日本のみです。行政も大変な努力をされているとは思うのですが、残念ながら結果に結びついていません。
もっと画期的な政策が必要なのではないかと思っています。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:18
| 医学全般
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100年後の医学:癌、血栓症、エイズ
「100年後の医学」を見てみたいと思われた方はおられないでしょうか。
100年後まで生きることはできませんので、タイムマシンの力を借りなければいけません。
さて、100年後を考える前に、現在を考えてみたいと思います。
現代の人間は、下記のいずれかの疾患で命を失うことが大変多いです。
3大疾患と言って良いのではないかと思います。
1)悪性腫瘍(がん)
2)血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓など)
3)感染症(エイズなど)
おそらく100年後もこの状況は続くのではないでしょうか。
まず、エイズです。抗HIV薬は、次々と開発されています。しかし、残念ながら、現在の医学では完全にHIVを死滅させることはできません。そのため、抗HIV薬は永続的に内服する必要があります。是非とも100年後には、1週間の内服でHIVが100%死滅して、内服を止めてもHIVが増殖しないようになっていると良いと思います。さらには、是非ともワクチンの開発に成功して欲しいです。HIVはすぐに変異するため、ワクチンの開発は困難と言われてきましたが、そこを何とかしたいです。できれば、100年後と言わず、10〜20年でエイズを撲滅したいところです。
次に、悪性腫瘍です。これは、なかなか厄介です。私が学生のころは(25〜30年前になりますが)、20年後にはがんは制圧されているでしょうと講義で習ったような気がいたします。しかし、残念ながらそうはなっていません。診断技術も、治療技術も格段に向上したのですが、残念ながら、悪性腫瘍の制圧にはまだまだ年月がかかりそうです。現在、すぐれた治療法が多数開発されているのですが、さらに常識を打ち破った画期的な治療法が欲しいところです。
最後に血栓症です。この世から血栓症をなくすにはどうすれば良いでしょうか? ここは、遺伝子治療に期待したいです。 今の人間は出血には大変強いのですが、血栓症にはとても弱いです。その理由は、血小板や凝固因子と言った止血因子はたっぷりあるにもかかわらず、凝固阻止因子は極めて乏しい状況であるのが原因の一つです。これをなんとかする必要があります。
遺伝子操作により、凝固阻止因子を10倍増やしたいところです。
具体的には、アンチトロンビン、プロテインCなどの凝固阻止因子を今の10倍量にしたいところです。そうすれば、凝固因子とのバランスがよくなるに違いありません。 本当は、このような作業は神様にお願いしたいのですが、どうも神様は怠慢のようです。今の人間は、血栓症で死にやすい生物になってしまっています。
100年前の医学は今の医学のレベルと比較しますと、とても医学とはいえないようなレベルでした。同じことが100年後にも起きると思っています、つまり、今の医学は、100年後の医学によって完全に否定されているのではないでしょうか。
100年後、さらに言えば1,000年後の医学を是非見てみたいとしばしば思っているところです。いったい、どうなっていることでしょう。タイムマシンがあれば、こっそり100年前の医学を覗きにいくことができるのですが。。。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:10
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MPV、PDW(血小板マーカー)
血小板関連の検査と言えば、血小板数、血小板凝集能、血小板粘着能、出血時間あたりをまず思い浮かべられることと思います。特に、血小板数が最も基本的かつ大事な検査だと思います。血小板数の正常値は、15〜40万/μLです。
推薦図書:「臨床に直結する血栓止血学」
血小板数は、自動血球計算機で簡単に測定されますが、実がこの時に他の血小板関連検査が同時に算出されています。
それは、MPV、PDWです。血液内科専門医でもひょとしたら無視している人が多いかも知れません。
1)MPV(mean platelet volume):日本語では、平均血小板容積です。
2)PDW(platelet distribution width):日本語では、血小板分布幅です。
関連記事:幼若血小板比率(IPF)/網血小板
MPVは、文字通り血小板容積の平均をみています。簡単に言えば、血小板の大きさということになります。
MPVが大きくなる疾患としては、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が代表的です。血小板は、産生された直後の時期は大きく、経過とともに次第に小さくなることが知られています。ITPでは、血小板が末梢で破壊されていますので、骨髄からの若い血小板産生が亢進しています。それで、MPVは大きい訳です。
一方、MPVが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。これらの疾患では、骨髄からの血小板産生が低下しています。そのため流血中の血小板は長い経過をとっていることになります。血小板は小さく(MPVは小さく)なる訳です。
PDWは、血小板容積の分布幅を反映しています。小さい血小板から大きい血小板まで広く分布していますと、PDWは大きくなります。通常、MPVが大きいとPDWも大きくなります。たとえば、ITPでは、MPVは大きいですが、PDWも大きくなります。
一方、PDWが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。血小板産生が低下しているため、MPVが小さい血小板が多くなります。そのためPDWも小さくなります。
このように、MPVとPDWは、正の相関をすることが多いです。
なお、管理人の個人的な印象ですが、MPVよりもPDWの方が鋭敏に変動しやすいように思っています。
【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)へ
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)へ
金沢大学血液内科・呼吸器内科HPへ
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログへ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:34
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国際血栓止血学会
血栓止血研究室にとって最も重要な学会は、日本血栓止血学会ですが、その上部組織が国際血栓止血学会になります。
その国際血栓止血学会が、2011年京都で開催されます。
会長は慶応大学の池田康夫先生です。
私たち学会員にとっては、ビッグイベントであり、とても楽しみにしているところです。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:48
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